凍りのくじら (講談社文庫)

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著者 : 辻村深月
  • 講談社 (2008年11月14日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062762007

凍りのくじら (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

  • 物語が終盤に差し掛かかってもなかなか行く先が見通せず不安が胸を覆っていたが、
    その分、ラストで全ての謎が収斂する様があまりに鮮やかで、数分鳥肌が止まらなかった。
    優しい希望の光に溢れた物語で色んな人に薦めたいのに、
    いざその魅力を語ろうとすると相応しい言葉がなかなか思いつかずにもどかしい。
    青春ものであり、ミステリーであり、サスペンスであり、同時にファンタジーで。
    恋愛小説のようでいながら家族の物語もある。
    全てを読み終えてからプロローグを見直すと、また鳥肌が。
    「そして、その光を私は浴びたことがある」

  • 初めての辻村深月さんの作品。引き込まれた。
    尖っているキャラクターでもあるが、確かに私自身の中に理帆子や若尾もいて、共感できる部分が多々あった。

  • 長い。

    一言でいうならそれに尽きる。
    小説が長いというのは本当に難しいもので、長ければ長いほど批判が多くなる気がする。調べてないので適当な予測だけれども。

    簡単に言えば読んでいる人間は「ここの部分必要なの?」だとか「この登場人物は何のために居たの?」というのが気になってしまう。要は、読んだ時間の、あるいはページの無駄を異常に嫌う傾向にある。

    なので長編になればなるほど気に入らない部分が現れる可能性が高まるという感じではなかろうか。

    どこか冷めた女子校生の主人公芦沢理帆子は、『少し不在』な自分を、どこか諦めながら過ごしていた。
    病床の母、失踪した写真家の父、不安定な元彼、軽い友人、周りに溶け込めず、溶け込もうともしない自分と付き合いながら、日々を過ごす。

    はてさて。

    長編の長所は、短編と違って、登場人物に感情移入しやすくなる点だと思う。単純に描写が多くなるのでそりゃそうだという話なのだけれども。

    この小説は賛否両論凄いことになっているようなのだけれど、ひたすら長いこの小説の大半を占める描写に共感出来ず、主人公に感情移入できねーよ!なんだこの鬱陶しい女は!となった人が全否定に走るのだろう。

    わからんでもない。

    冒頭にも書いたが、長い。ひたすら煮え切らない日常描写が続くものだから退屈になるのは確か。
    エンタメ(ミステリ)というジャンルにおいて、純文学もどきのような内省な文章求めてねーよという。

    まぁそこはそれで、主人公の、例えば別れた彼氏が如何に頭のおかしな行動に出ようとも捨てきれない、といった煮え切らない行動を「イライラする」と切り捨てることが出来るのだろうかと私は思う。
    そういう部分が人間にはあるよなぁと思って読めば、感情移入とまではいかずとも気分が悪くはならない。

    ただ道中、藤子不二雄、あるいはドラえもんの道具にまつわる話が多々出てくるが、それが果たして具体的に例え話以外に必要だったのかという気持ちになった。
    そのあたりも難しいもので。

    ミステリとしての部分はおまけみたいなもんでしょう。
    この小説は自分という存在がいかに他人とつながっているか、みんな、って何か。つながりって何か。

    そんなことを考える一冊でした。

  • この作品の感想を一言で表わそう。私にとってそれはSukoshi・Fukyou(少し・不協)

    はぁ、辻村深月さん。私はあなたの作品に出会えて本当に良かったと心から思っています。深月さんのファンになってまだ日数は浅いけれど、着実に好きが増していく。

    ”挫折って、だから本当はすごく難しい”
    きっとこの世界には若尾予備軍がたくさん存在していて、理帆子のように少し不在な人間もそれなりに存在していると思う。しかし、それは大多数の人間のものではない。のにこの作品にここまで引き込まれる要因はどこにあるのだろうか。主人公に共感することはできなくとも、少しどこか遠くで繰り広げられるストーリーに、私たち読者は当事者ではなく傍観者として客観視することができるからではないだろうか。しかしドラえもんの話が投入された瞬間に、私たちは急に共感する感情を覚える…金曜日に習い事が始まったときから、ドラえもんとは疎遠状態であった私だが、この作品を読みまたドラえもんのSukoshi・Fushigiな世界に浸りたいと強く思った。この感情こそが共感であると思う。

    深月さんの描く男性像はすごく極端だ。「盲目的な…」の星近と若尾の下落っぷり(若尾は初めから下がっていたが)は、見ていて不安感を募らせると同時に、ぞくぞくとさせストーリーを進める上でのいいスパイスであったと思う。

    就活が終わって時間ができたら、ドラえもんをしっかりと見直し(読み直し?)て、それからまたこの作品を再読したいと思った。賛否両論あるみたいだけど、私はとても好きでした。

  • 他人を見下して、本気で触れ合うことはせず、そのくせ寂しさを感じ、誰とも仲良く振る舞う様な先中でいう少し・不在な主人公が、大きな悲しい出来事や、ある人との出会いを口火に居場所を見つけられる話。暗い雰囲気だが、結末は明るい話だと思った。

  • ものすごくいいストーリー。
    少し不思議な物語。
    涙がまんできなかった。

  • なるほど…。
    直前に名前探しを読んでたからか、私はあっちの方が好きかな。
    若尾がその後どうなったのか、大変気になる…。

  • 最初から最後まで、若尾の気味の悪さが際立っている。人間の行動原理はいつも不安定で、そんなことをする理由がわからないなんて、通用しない。全編を通して、ほとんど気味が悪いのに、郁也、多恵さん、それからあきら、お母さんの存在のおかげで中和されている(気がする)。辻村作品は共通して、伏線を回収した後のエピローグの爽快感がなんともいえない。

  • 主人公に共感はできない作品だったけれど、時たま現れる主人公の何も飾ってない、言葉も選んでない、感情だけ吐き出したような一文があって、そこに強い魅力を感じた。ドラえもんの道具もちらほら出てくるのも楽しい。

  • 読むのは二回目ですが、やはりラストは大泣き。受け取ることも思考も何もかも過剰な世代って、あるよね。会いにあふれた少し不思議な話です。
    あと、だめおとこに良く昔ひっかかってた自分には痛いところがたくさんありました。そういったところもひっくるめて、お気に入りの作品です。

  • 2017/3/13読了。
    人を馬鹿にして距離を置いている主人公の理帆子が、人との出会いや別れを経て人を信じられるようになっていく話、だと思った。
    冒頭に数年後の理帆子が写真家としてインタビューを受けているシーン、理帆子の写真は暗闇があるから光が際立っていると評されていたが、この本の話の流れ自体が闇を経て光を得ているような構成になっていると感じた。
    病気の母が絡むシーンはどれも感動した。泣いちゃったよ…。
    一時帰宅が体調悪化により断念し、それを悔やむところ、「せっかく掃除してくれたのにね」の一言に色々詰まってたし…母が構成した写真集を理帆子が読むシーンは長年の蟠りみたいなのがこういう瀬戸際で溶けた感じが見て取れた…。
    別所先輩のちょっと不思議な感じはとうとうでびっくりしたけど、ドラえもんの話をちょいちょい挟んでいたおかげで突拍子のなさは緩和されていた。ちょうどいい奇跡。
    最後のシーンで冒頭に触れていた「モデルになった男の子」が誰か明かされるけど、そっちの方がびっくりした。

  • 先に「スロウハイツ」の方を読んだので、登場人物がかぶっているのはよく分からなかった。
    初めて読んだ辻村作品のスロウハイツがまあまあ面白かった(☆みっつ)ので、2作品目に挑戦してみたら、こっちの方が面白かった。
    高校生が主人公の作品はあんまり好きじゃないので敬遠していたが、これはあまり学園モノではない感じが良かった。ま、理帆子自身が学校に「すこし不在」だからね。
    男性ストーカーの心理描写はすごく上手いと思った。いるよね、こういう自分以外に言い訳を見つける弱い人。
    最後まで読んでみて、この作品のコンセプトである「すこし不思議」がよく分かった。でも、登場人物にいちいち無理矢理SFを付けていくのは正直めんどくさかった。
    いわゆるSFとかファンタジーは苦手ジャンルだけど、これくらいの「すこし不思議」ならいいと思う。
    2017/03

  • 芦沢理帆子は高校生。父は写真家であったが理帆子が小学生の時に病に冒されて失踪する。母は現在入院中で余命幾ばくもない。
    一人暮らしになっている理帆子は昼間は真面目に学校に通いながら、深夜は飲み歩き異性を家に連れ込むなど刹那的な生活を送っていた。


    とにかく、長いお話でした。
    申し訳ないけれど読みにくくて何度も読書中断してしまいました。
    歯ごたえのある文章だからという感じではなくて、出
    主人公が好きになれない……。
    理帆子は身の廻りの人々に「少し・憤慨」など、少し・◯◯といった名を心の中でつけていくなど、なんとも上から目線な子。それだけに他者を甘く見ていて他人を巻き込んでしまい痛い目に会う。考え方もネガティブ。自分の境遇に酔っているような部分もあるような。

    もちろん最後にはそれから開放されては行くのだけれど、とにかく前半部分長い……。最後の数十ページで話は転がって行くのだけれどせめてあの全体の長さが3分の2くらいだったらなあと思うのでした。

  • 深月ワールドにいつでも引き込れてしまう、他の本に出て来る登場人物に会えるのが、楽しくてしょうがない❗️

  • SF : すこしふしぎ
    こんな造語があるなんて。
    これでSFも怖くないかも。

    このお話は複雑な余韻。
    すこし、不快。
    すこし、ふしぎ。
    もう一回読みたいような、もう二度と読みたくないような。

  • 新進気鋭のカメラマン芦沢理帆子の高校生時代の物語。
    学校、友達、元彼、家族、自分を取り巻く日々の中で、周りに適応しながらも、心のどこかで冷めきった人をバカにして冷めきった感情を持つ理帆子。
    そんな彼女が口がきけない少年・郁也との出会いを通じて起こる感情の変化が描かれています。
    理帆子が敬愛してやまない、ドラえもんの作者・藤子不二雄とドラえもんの道具が随所に登場して物語の象徴として当て込まれるのが面白いです。
    何となくわかる部分もある気がする理帆子の心情、そして、あーこんなやついる、となってしまう辻村深月独自の感性が存分に出ている物語です。

  • すごく共感した。
    初めて読んだ辻村作品だったけど読みやすくて良かったし、内容も面白かった。
    とにかく考え方が似てる主人公で後半苦しかった。
    ドラえもんすごく観たくなる。

  • 何だよこのドラえもん愛。
    内容はダラダラだし、ドキドキが無いし、長いし、暗いし、嫌な奴がずっと出てくるし。ブクログ点数良いから期待したけど、自分向きではなかった。SFをかけてくるのは、まぁちょっとだけ良い。

    傑作とか書いてあったけど、記憶に残らない一冊だった。でもまぁ、義母が亡くなる感じと良く似てたから、そこはちょい分かるかな。

    にしても、内容の割に長いわ!

  • 2017年1月19日読了。
    2017年15冊目。

  • 主人公の理帆子 は 父親の影響からドラえもん が大好きです。ドラえもんの道具が様々な形で、出てきて面白いです◎

    理帆子 が救われる未来が想像できなくて、途中挫けそうになったけど、やっぱり最後は最高のクライマックスが待ってました。途中で挫折しなくてよかった〜〜。゚(゚^∀^゚)゚。

  • 登場人物の理帆子も若尾も別所も
    現実離れした性格だから、
    感情移入するとかはなかったけど、
    不思議と「頑張れ!」って
    みんなのことを応援したくなった〜

    時間があったからすぐに読み切っちゃって、
    ああ終わってほしくないなあって
    残りのページが減って行くのが
    さみしくなっていくぐらい
    お気に入りの本になりました ☺︎❤︎

  • 途中、何度か「?」ってとこがあって、読みとり違い?著者のミス?なんてスルーしてたら、そ~ゆ~!!
    なんか、あの若尾が嫌で嫌で、あぁ…なんかつまんない話なんじゃん?って思いながら読んでたのが、その種明かしがされた瞬間から、素敵な話!ってコロっと変わってしまった^^
    カワイソメダル…つけてる人いる。私のそばにも(><)

  • 私が一番読み返した回数の多い作品。あとがきにもあるように、主人公の理帆子は決してみんなが共感できるようなキャラクターではない。しかし、私はどの小説にでてくるキャラクターよりも、この小説の登場人物たちに共感できた。少し不在な理帆子、少しフラットな別所に、少し腐敗な若尾に対しても。彼らは他人を見下して信用していないように映るだろう。たしかにそういった部分もある。しかし、それだけじゃなくて、自分の悩みは軽い相談によって理解されうるものではないことを知っているのだと思う。だからこそ、寂しさを抱えながらも、自意識と向かい合いながら生きていけるのだろう。
    人はみんな孤独で、その孤独の深さや形は人それぞれなのだろうけど、似た孤独を抱えた他者の存在がその孤独を少し和らげてくれることがある。私にとってこの作品はそういったものだ。

  • 読み終わるのがもったいないと思える読後感。なんとなくフワフワしてる構成なのに、読み出したら止まらない感じが辻村深月さん独特の世界観。
    たくさんの愛のカタチをたくさん感じれた作品でした。

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