凍りのくじら (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062762007

感想・レビュー・書評

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  • また平日の夜で読み切ってしまった。
    いかんな、このペース。

    主人公の「少し・不在」に共感できるところも多く
    後半は一気に読み切ってしまった。
    惜しむらくは別所のオチ。
    ここだけファンタジー過ぎて「えーそういう終わり?」と
    ちょっとがっかりして★一つ減らして4つ。

    中高生の時に読んだら★5つだったのかも。

  • 理帆子の人生を照らした「光」。心の闇にケリを付け、成長する過程とその瞬間が、少し・不思議な伏線の回収とともに描き切られた傑作。

    悩んだ数だけ、「人との繋がり」に恐怖してしまう。でもその先にはまた希望も見いだせる。

  • 理帆子は父の疾走や母の闘病、一人暮らしの不安や辛さを抱えながら、人に頼らず、強がり冷静さを装う。それは痛々しいほどだ。心がいつも緊張している。そうでなければ崩れてしまうのだろう。
    郁也を抱き締めながら叫けんだ「痛かったら泣いて、苦しかったら、助けてって言っちゃえばいいんだよ。きっと誰かがどうにか、力を貸してくれる。もう嫌だって、逃げちゃえばいいんだよ。誰かと繋がりたいときには、縋りついたっていいんだよ。相手の事情なんて無視して、一緒にいたいって…」それは理帆子が自分自身に向けた言葉。その言葉をたくさんの郁也や理帆子に伝えたい。

    凍りついた海で光を求めたくじらは、理帆子。
    闇の底からどれ程光を求めていただろう。
    そして、ドラえもんの『テキオー灯』の光を浴びた理帆子は、今度は闇の底にいる人たちに写真を通して光を届ける。強くて美しい光を。
    『テキオー灯』どんな場所であっても、この光を浴びたら、そこで生きていける。
    私たちは、たくさんの人たちから『テキオー灯』の光を当ててもらって生きてきた。
    その事に思い至った時、胸がいっぱいになった。

    ドラえもんの道具をたよりに、理帆子の心に深く寄り添っていく「少し・不思議」な物語。

    • やまさん
      新年明けまして、おめでとうございます。
      今年も宜しくお願い致しますm(_ _)m。
      いつもいいね!有難う御座います。
      やま
      新年明けまして、おめでとうございます。
      今年も宜しくお願い致しますm(_ _)m。
      いつもいいね!有難う御座います。
      やま
      2020/01/01
    • koringoさん
      明けましておめでとうございます
      やまさんのレビューを拝見するのを楽しみにしています。
      今年もよろしくお願い致します。
      Koringo
      明けましておめでとうございます
      やまさんのレビューを拝見するのを楽しみにしています。
      今年もよろしくお願い致します。
      Koringo
      2020/01/02
  • ●凍りのクジラ「辻村深月」
    これが存在するという、ただそれだけで、私はこの世界に絶望しない、何があってもきっと生きていけるっていうものは人によって色々あると思うけれど、
    私に取ってのそれは「ドラえもん」と、そしてこの本かもしれない。辻村深月さんの「凍りのクジラ」。
    昔からずっとドラえもんが大好きだった。物心ついた頃から好きすぎて、逆にヘタに話題にしたくないっていう理帆子が持っている感覚がすごく理解出来る。理帆子は、私だ。小学校から高校生まで活字中毒で、本さえあれば生きていけた。深い悲しみや喜び、感動は全部本を通じて知った。その感覚や感動を共有したくても周りにはここまで本好きの子はいなくて、常に少し・孤独で、だから仕方なく周囲のことを少し、馬鹿にしてしまう自分は、まさしく理帆子だったと思う。その感覚や感情を的確に広いあげて、こうやって文章にしてくれてそれを共感してくれる人がいるっていう、ただそれだけで、私は世界に絶望しないで生きていける。
    最後にテキオー燈でお父さんが理帆子を照らすシーンで号泣してしまった。大丈夫。この本に照らされた私も、きっと世界中どこでも、どんな場所でも生きていけるはず。

  • 心の闇が深い主人公(理帆子)が様々な人と関わることで、大人になっていく物語。主人公はドラえもん好きで、各章の題名がドラえもんの道具になっているのが新感覚であり、この本を手にとって読もうと思ったきっかけでした。色々な意味でのSF要素があり、辻村さんの世界観に引き込まれる作品でした。

    「映画ドラえもん のび太の月面探査記」の脚本を辻村さんが担当されており、映画も鑑賞しました。

    辻村さんのドラえもん愛を映画、小説の両方から感じました。

  • 誰しも他人のことを主観で評価してると思う。自分もそう。でもそこからどう動くかは人それぞれ。主人公とは根本的なところで合わない、理解できない。そこまで孤独になろうとしなくても…。私は周りとは違うんだ、と思うことで立っていられたんだろうか。
    読み終わってみると、スゴく狭い世界での話だったんだなと思う。息苦しい感じがしたのは、そのせいかな。自分の在り方をひたすら考え込んでしまうのはとても人間らしいけど、小説の読み手という完全に外側の人間からすると、少しもどかしい。自分が読み手であると意識してしまった時から、なかなか読み進めることができなくなってしまった。

  • ブクログのどなたかのレビューを見て興味を持った、辻村深月の初読。
    藤子・F・不二雄へのオマージュ…大事なことは、全て『ドラえもん』と藤子先生から教わった…といえばいいか、
    現代女子高校生への応援歌…痛かったら泣いて、苦しかったら、助けてって言っちゃえばいいんだよ。きっと誰かがどうにか、力を貸してくれる。もう嫌だって、逃げちゃえば、いいんだよ。そうすることだって、できるんだよ…といえばいいのか。
    文庫本568頁も思いのほか、すんなりと読み終えた。
    少し、ファンタスティック!

  • 好き。今まで読まずにいた事を悔やんでしまう程に。特にお誕生日会のところがお気に入り。あったかくて泣いてしまいました。主人公と自分の考え方が似ているのも、好きな理由。

  • 途中まで長かったけど、後半は一気読みでした!
    予想してなかったどんでん返し…ドキドキハラハラ…人間の怖さや脆さや素晴らしさがガンガン出てきて読み応えがありました。

  • 辻村作品は2作品目でした。
    序盤は世の中を俯瞰する理帆子の視点で、人間関係が描かれる。
    郁也、多恵さんとの出会いあたりから物語がスピードアップし、ページを捲る手が止まらなかった。母の死は泣いてしまいました。

    別所さんの正体は、正直びっくりでした(その手の小説だと思ってなかったので。所々違和感は感じていました)。

    本当にいい読書体験でした。次の辻村作品が楽しみです。

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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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