日暮らし(上) (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062762038

作品紹介・あらすじ

浅草の似顔絵扇子絵師が殺された。しかも素人とは思えない鮮やかな手口で。「探索事は井筒様のお役目でしょう」-。岡っ引きの政五郎の手下、おでこの悩み、植木職人佐吉夫婦の心、煮売屋のお徳の商売敵。本所深川のぼんくら同心・平四郎と超美形の甥っ子・弓之助が動き出す。著者渾身の時代ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 「ぼんくら」上下を読んだ後、少し間があいて忘れている部分も多い中、読み始めました。運よく、BSプレミアムでドラマ「ぼんくら」が再放送されているので、見ながら思い出し、並行して読み終えました。

    宮部さんの時代小説は、やっぱり漂う空気が好きだなあ。人たちの営みや、喜怒哀楽があちこちに散りばめられ、筋には意外な展開があり、飽きることがありません。
    人の弱さや脆さも、業の深さも、醜さもさらりと描いながら、奥が深い。登場人物が多めなので、時間が空いてしまうと忘れてしまうのですが、それでも興味深い登場人物の造作で次巻以降ももちろん読み進みます。

    「三島屋シリーズ」も面白いけれど、こちらの「ぼんくら」シリーズにも出会えて良かった。

  • 鉄瓶長屋での1件から1年弱、その後のそれぞれの様子を語った連作短編集。

    おでこがご飯を食べなくなってしまった話。
    13才で、人の家に厄介になっているおでこが、心無い言葉で気を病んでしまって可哀想…
    ものすごく役に立ってるし!
    元気になってまた活躍して欲しいです。

    所帯を持った佐吉の話。
    どうも上の空で噛み合わないと感じているお恵と、佐吉の同僚夫婦の間柄が上手く絡んで面白かったです。
    結局嫌いの虫なんていなくて良かった。
    今後、佐吉は葵の事を知ることになるのか?
    再読なのに全然覚えてない…

    葵の話。
    主人公はお六という苦労人だけど、あの葵の屋敷で働いていて、奥様と慕っているんだから面白い。
    葵のこれまでの過ごし方や人となりが分かって、印象は良くなったけど、やっぱり鉄瓶長屋での事を考えるとあんまり好きになれない人でした。
    お六に岡惚れした孫八が本当に気持ち悪かった。。

    お徳の商売敵の話。
    幸兵衛長屋に移ってからも煮売屋をしていたお徳のところに、別の女が煮売屋を始めた。
    儲けが出ないようなやり方がおかしいと調べてみると、なるほどと思わせる裏の事情があった。
    弓之助も出てきたし、悪い奴らは捕まったり相応の罰を受けたりですっきり終わって面白かったです。

  • おまえさんを読んで、ぼんくらのシリーズと気づく。これで筋が繋がった。弓之助の推理が相変わらず素晴らしい。

  • 時代物は普段読まないけれど、宮部みゆきさんの時代物はわりと好き。この作品もかなりの再読。
    いつの時代も、誰かを好きになったり嫌いになったりする原動力はかわらないんだな、としみじみ。
    ずる賢い人や気味の悪い人もたくさん出てくるけれど、最後はまっとうな人たちが笑える、お約束といえばお約束だけど幸せな結末はやはり読んでいて気持ちがいい。
    物があふれて情報もあふれて、あわただしい現代で生きるからこそ、小さいものを大事にする登場人物たちをみて、色々考えたいと思える。
    この上巻では、葵奥様とお六の話が一番好き。胸がすっとする。

  • 宮部みゆきさんの「日暮らし」上巻を読んだ。こちらは「ぼんくら」の続編で、お馴染みの同心・平四郎と超美形の弓之助が事件解決に走り回る。他にも植木職人の佐吉、おでこの悩み、お徳の商売敵など、気になるその後が描かれてます。
    中巻から物語がどう動き出すか楽しみ。

  • 想像しながら読むと面白いです。
    次は中を読みます

  • このシリーズ面白い

  • 「宮部みゆき」の長編時代小説『日暮らし』を読みました。

    『震える岩 霊験お初捕物控』、『天狗風 霊験お初捕物控【二】』、『あやし』、『ぼんくら』に続き、「宮部みゆき」作品です。

    -----story-------------
    〈上〉
    一日、一日積み上げるように、みんなそうやって日暮らしだ。
    時代小説(ミステリー)の最高傑作『ぼんくら』に続くシリーズ最新作

    浅草の似顔絵扇子絵師が殺された。
    しかも素人とは思えない鮮やかな手口で。
    「探索事は「井筒様」のお役目でしょう」――。
    岡っ引きの「政五郎」の手下、「おでこ」の悩み、植木職人「佐吉夫婦」の心、煮売屋の「お徳」の商売敵。
    本所深川のぼんくら同心「平四郎」と超美形の甥っ子「弓之助」が動き出す。
    著者渾身の時代ミステリー。

    〈中〉
    「弓之助」と「おでこ」、ころころと走る、走る!
    本所深川の同心と超美形の甥っ子が挑む、探索事は――

    「佐吉」が人を殺めた疑いを受け、自身番に身柄を囚われた。
    しかも殺した相手が実の母、あの「葵」だという。
    今頃になって、誰が「佐吉」に、18年前の事件の真相を教えたりしたのだろう?
    真実を探し江戸を走り回る「平四郎」。
    「叔父上、わたしは、本当のことがわからないままになってしまうことが案じられるのです」。

    〈下〉
    岸が違えば、眺めも変わる。本当に真実(ほんとう)のこと
    築地の大店「湊屋」の抱える“お家の事情”。クライマックスへ

    「ねえ叔父上、ここはひとつ、白紙(まっさら)に戻してみてはいかがでしょう」。
    元鉄瓶長屋差配人の「久兵衛」からもたらされた築地の大店「湊屋」が長い間抱えてきた「ある事情」。
    「葵」を殺した本当の下手人は誰なのか。
    過去の嘘や隠し事のめくらましの中で、「弓之助」の推理が冴える。
    進化する“宮部ワールド”衝撃の結末へ。
    -----------------------

    ぼんくら同心「井筒平四朗」シリーズの第2作、、、

    前作『ぼんくら』から1年後の物語… 前作に引き続き、時代ミステリを堪能できました。

     ■おまんま
     ■嫌いの虫
     ■子盗り鬼
     ■なけなし三昧
     ■日暮らし
     ■鬼は外、福は内
     ■解説 末國善巳

    冒頭に短篇小説が数篇並び、その後に長篇が置かれる… 前作を踏襲した構成でしたね、、、

    一見すると無関係に思える冒頭の一話完結の短篇の中に、長篇部分の伏線が張り巡らされており、後半の『日暮らし』でパズルのピースが嵌るべきところに嵌ってスッキリする展開… このスタイル、好きですね。


    『おまんま』は、気鬱で寝込んでしまった「三太郎」が、扇子に似顔絵を描く人気絵師が殺された事件を捜査する「平四郎」を助ける物語、、、

    「三太郎」は、自分がおまんまを食わせてもらうだけの働きをしているかに悩み、伏せってしまっていた… 働くことの意味を問い掛ける作品でした。


    『嫌いの虫』は、鉄瓶長屋の差配人を辞めた後に植木職人に復帰した「佐吉」と、「総右衛門」の妾腹の娘を育てていた王子の水茶屋の娘「お恵夫婦」の物語、、、

    まだ新婚の「佐吉」と「お恵」だが、「佐吉」の不可解な行動が夫婦の間に波乱を巻き起こすことになる作品。


    『子盗り鬼』は、前作でのキーパーソンながら名前だけの存在(幽霊のような存在)だった「葵」が初めて姿をみせる物語、、、

    「葵」は「総右衛門」の姪で、「佐吉」の母… 「葵母子」は成功した「総右衛門」の家で育ったが、「総右衛門」が「葵」と「佐吉」ばかりをかわいがるので、正室の「おふじ」との間に確執があったという。

    「葵」は、その渦中に失踪したため、何者かに殺されたとも、「佐吉」を捨てて男と出奔したとも噂されていた… 前作では掴みどころのなかった「葵」だが、本作品では、ストーカーにつきまとわれ命の危険に晒されていた「お六母子」を救う人情家の一面をみせる、、、

    大仕掛けを用意してストーカーを罠に落とす展開はスッキリしましたね。


    『なけなし三昧』は、鉄瓶長屋のまとめ役だった「お徳」が主人公の物語、、、

    幸兵衛長屋に越して、再び煮売り屋を開いた「お徳」… だが、同じ長屋で婀娜(あだ)な美女「おくめ」が総菜屋を開店。

    豪華なおかずを破格な値段で売る「おくめ」の店に押され、「お徳」の店には閑古鳥が鳴いていた… 「おくめ」の放漫経営を不審に思った「平四郎」が調査を始めると、異常な商売の裏事情が明らかになる。


    そして、メインとなる『日暮らし』は、芋洗坂近くにある「総右衛門」の別宅で暮らしていた「葵」が殺され下手人として「佐吉」が捕まってしまう物語、、、

    「佐吉」の無実を信じる「平四郎」は、「弓之助」、「三太郎」らと捜査を開始… 再び「湊屋」の闇と向き合うことになる。

    過去の嘘と隠し事の目くらましに、迷って悩む「平四郎」、夜ごとの悪夢でおねしょをしても、必死に謎と向き合う「弓之助」… 「ねえ叔父上、ここはひとつ、白紙(まっさら)に戻してみてはいかがでしょう」、、、

    「平四郎」は、散り散りになった元鉄瓶長屋の住人はもとより、「湊屋総右衛門」と腹心の「伊兵衛」、「総右衛門」の息子「宗一郎」らを訪ね事情を訊く… 「湊屋」の人々の数奇な運命と、人間の業の深さを前に、懊悩しつつも、謎に迫り続ける「平四郎」と「弓之助」。

    二人はたどり着けるのか… いやぁ、意外な女性が犯人でした、、、

    ミステリを堪能できましたね… 「弓之助」の成長が著しく、推理の鋭さが増していて、頼もしかったですね。


    最終話の『鬼は外、福は内』は、エピローグ、、、

    「おとよ」(「弓之介」の従姉)の結婚式に「平四郎」の憧れの人、死んだはずの三代目「白蓮斎貞洲」が出現… 「平四郎」が大喜びするシーンで締めくくりです。


    でも、全編を通じて随所で良い役を演じているのは「お徳」ですねぇ… 「お徳」の総菜を食べてみたいなぁ。

  • 各編に連続性があるようでいて、中身はかなり独立しています。
    葵さんの意外な一面を見たり、最初は主役級だと思っていた佐吉が完全に脇役だったり、お徳さんはどこへ行っても苦労が絶えなかったりと、2作目にしてシリーズとしての楽しみが出てきてなかなか良い感じです。

  • 前に読み終えていたが、感想書き忘れ。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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