ル・オタク フランスおたく物語 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062762182

作品紹介・あらすじ

一〇年ほど前、世界は「おたく」を求めていた。パリを中心に、欧米で巻き起こった二〇世紀末のジャポニズム、それに関わった者たちの姿をレポートする。フランスだけでなく、日本のアニメ産業の現状や、問題点も鋭く分析。文庫化にあたり再取材を敢行し、今日の「おたくカルチャー」のすべてがわかる決定版。

感想・レビュー・書評

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  • フランスでいかにして日本のアニメ、マンガが根付いてきたかを追った本。
    「日本アニメは世界に認められている」という面ばかりが強調されるが、フランスの例をみると、そこに至るまでには紆余曲折があったらしい。

  • 現在、日本のアニメはヨーロッパ、特にフランスで大人気となっており、「ル・オタク」というフランス語もできたほどです。
    もう少し詳しく知りたいと思って、この本を読みました。

    ジャパニメーションは、海外のそれよりもクオリティが高いために、美的感覚に優れたフランス人に好まれると思っていましたが、実際はそんな理想的な展開だけではなかったようです。
    日本のアニメーション会社の放映料が、格段に安かったのがその直接的な理由だそうです。
    それでフランスで日本アニメが多数放映されることとなり、人気が出たということ。
    結果オーライのような気はしますが、現在、日本が誇るアニメでは、資金面の弱さから制作側の人手不足が問題となっているとのことなので、海外のように、権利料などをしっかり主張し、制作側の立場をもっと護らないと、日本アニメは力尽きてしまう不安を感じます。

    日本サブカルが好きなフランス人たちについて書かれたものかと思いましたが、外国における日本のサブカルの浸透具合などが話のメインとなっていました。
    特に、日本の漫画をフランスに紹介した人について、本の半分以上を割いて語られていました。
    著者の個人的知人であるとのことで、この人の業績を世に知らしめたいためにこの本を書いたとされています。
    なので、外国における日本サブカル文化論を期待して読んだ身としては、少し当てが外れた内容でした。

    オタク文化は、日本国内でも異質のものとして見られがちですが、きちんとしたアートとして外国に受け入れられているものなので、国レベルでもっと知的所有権を保護し、援助すべきだとこの本は述べています。
    確かに、その国固有のセールスポイントは、国際関係上、強みになる重要なものなので、もっと国内理解を深めて、国家を上げて後押しすることが肝要だと思いました。

    もっと笑いながら、ゆるく読める本かと思いましたが、現代日本の課題やオタク文化の未来についての憂いが真面目に書かれていたので、襟を正して読みました。

  • 【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • 「おたく」と言いながら、主な内容はフランスにおける日本アニメの輸入の経緯・当時の実情や、フランスで二日本のマンガを始めて扱い始めた書店の主人の半生等々。おたく的なことの考察は意外と少ない。
    フランスの実情等それなりに興味深い点はありますが、この著者の文体、決めつけ・主張的な点はどうにも鼻について、好きになれないですね。

  • 面白かった。日本のアニメや漫画がどうやってフランスで広まったかについて良く分かるし、自国の文化が受け入れられていく過程は危ういくらいに見てて気持ちいいものがある。後半になって筆者の色々な持論が展開されだしてやや辟易。単にフランスのオタク文化についてだけ書けばいいものを、と残念な気持ちに。

  • ジャパニーズカルチャーとしての「オタク」がフランスにもたらした偉大な影響を知ることが出来ました。
    と同時に、果たしてフランスの「オタク」は日本の「オタク」がかなり歪められているような感覚をこの本から感じました。

  • フランスに日本のアニメ、マンガといったオタク文化がどうやって広まっていったかについて、まとめた本。
    日本という国を世界に広めた意味合いで、オタク文化を肯定的に論評しています。

  • 98年に刊行されたタイトル通りの本に08年に追記してある。
    経験談が多いので好みが分かれるかもしれないがその分マクロな詳細さがある。
    今ほどオタクが普通に語られている時代ではない時期に書かれていたので興味深い資料になると思う。
    ちょっと感情的な部分が多いのも経験談がメインと考えれば許容範囲か?

    ネット普及する前と後で世界ってかなり変わったような気がする。
    特にオタク的な感じで。

  • 興味深いテーマではあるのだが、本筋の邪魔をする著者の文章の書き方があまりにも残念。主観と感情に流された脱線気味の批判にはうんざりさせられる。「書いて伝える」ことの本質を分かってない人が、物書きになってはいけない見本だ。

  • この本は、1998年に同名でKKベストセラーズから刊行されたものだが、2009年に講談社から文庫本として再発行された。
    文庫本化にあたって「ル・オタクその後」という章が加えられ、フランスを中心としたヨーロッパでの最新の「オタク」事情が報告されている。これも貴重なのだが、それ以外の章も、今読む価値は充分にある。フランスで日本のマンガ・アニメがどのように広がっていったかに、そのテーマがあるからで、いわばフランスでの「おたくの歴史」が語られているからだ。

    フランスには、日本のポップカルチャーが受け入れられやすいいくついかの背景(マンガに似たバンド・デシネの文化、かつてのジャポニズムの興隆など)があって、世界でもいち早く日本のアニメやマンガが受け入れられたが、初期にはかなりの抵抗や非難があった。無知や誤解に基づく批判や、人種差別的に日本の作品だけを狙っているのではないか思われる攻撃だ。しかし、近年はフランス・マスメディアの扱いも、以前に比べ理性的になり、取材もよくしているという。大きな摩擦があっただけに、逆に真剣な取材をするようになったのではないかとのこと。

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