- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062763783
感想・レビュー・書評
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気づきの一冊。
前から気になっていた小山さんの小説、良かった。10篇に共通するのは"気づき"、そして新たな時間、世界かな。
一話目からふわっとした読後感を味わい、次の表題作「フィルム」で真綿のようなふわっとした温かさに包まれた。
過去を噛み締めながら生きているつもりでも、忘れがちなことって多々溢れている。
忙しさを言い訳にせず時に立ち止まってゆっくり過去をおさらいして、忘れていたことをしっかり心に刻む、フィルムに残すかのような作業は大切なことかも。
心に温かさがドリップされていくような時間を味わえた珠玉の短編集。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「フィルム」(小山薫堂)読了。ひとはだれでもふと立ち止まってしまう時がある。道を見失ったり行き止まりだったり恐怖や悲しみのせいだったりして立ち止まる。そんな時この本を読んでみてください。さりげなくそっと背中を押してくれますよ。もしかすると忘れていた何かを思い出すかもしれません。
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タイトルで手にとった一冊。薫 堂さんらしいおしゃれなエピソード満載。個人的にはやっぱり"フィルム"がお気に入りですかね~ :)
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普通の人々の、色んな感情が丁寧に描かれた短編集。
「鎌倉の午後三時」では、仕事に疲弊してた時に読んだから、励まされたし、少し背中を押してもらった。
「セレンディップの奇跡」には、人の繋がりが生み出す素敵な一面をみて、ほっこりした。
何となく購入した割に、良い登場人物に出会えて、良い時間でした。 -
なんかタイトルと表紙がぽくて手にとってしまった。
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放送作家や脚本家でもある小山薫堂さん。目の前に、物語の風景を思い浮かばせる文脈はさすがです。
「勝ち組」な人物が多く登場し、東京を中心とした洗練された都会を背景に自分を見つめ直す、という短編小説です。
10編全てに食の描写があり、作者の食に対する造詣を感じます。
特に好きだったのは、「フィルム」「スプーン」「鎌倉の午後3時」。他の物語の主人公より、自分の生活に近い(笑)庶民的な主人公なので、素直に入り込めた。食もカレーライスやラーメンと身近。どの物語にも小さな幸せがあり、その幸せを見つけるきっかけを得る物語でした。
また、老齢の登場人物も多く登場し、主人公の道標的な役を担います。自分よりも長い人生を経験された人の姿は打ちひしがれます。
「セレンディップの奇跡」は、小山さんの実体験エピソードがふんだんに盛り込まれていました。私の生活ではありえない様な偶然の幸せ。常に「人を喜ばせたい」を信条にしている小山さんだからこそ、小さな幸せを必然的に手に出来たのだなと思いました。
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佐賀の泊まれる図書館、暁で読んだ本。
日々の日常の中で一瞬動く感情を捉えた短編集。
脚本家、放送作家でもあることから描写がどれも映画になりそうで、表現が白々しい部分もあるけど素敵。
特に、相手の女性が自分とは違う場所にいると気づいた男性の感情を描写した青山クロッシングが、都会の華やかさ、冬の冷たさと青山通りの喧騒とあわさり、印象的。
(引用)
2人の男は結局何も言い出せないまま、表参道の交差点まで歩いてきた。そして毎日多くの人間を飲み込んでいる地下の穴に、それぞれの女性と共に吸い込まれていった。 -
やりきれないっていうか、切ないっていうか・・・
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短編集。
フィルム。
なんだか切ないような寂しいような。
セレンディップの奇跡。
学生の頃住んでたとこのすぐそばが舞台。
なんだか懐かしかった。
主人公達の年齢が近いせいか、どことなくしみる本。 -
ラブ・イズは良かったけど、他はうーん。期待が高かったかも。