永遠の0 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (608ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062764131

感想・レビュー・書評

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  • 最後の100ページくらいから唇噛みしめて自然と泣いていたよう。
    はじめて戦争モノを読むにあたって、相当時間がかかるのを覚悟していました。知らなかった過去を知れば知るほど、教科書に載ってる事実だけの文との違いに悲しみ、怒り、呆れなどよくわからなくなったりして苦しくなった。自分がどれほど無知だったか、申し訳ないという言葉があまりにも筋違いなくらい過去ありきの今、たくさん考えさせられました。
    わからない用語を調べて過去を知る、この動きだけでもこの本を読んだ価値があると思いました。読了後のこの気持ち絶対忘れたくない。

  • 読書を始めたばかりの自分にとっては少し長く難しく、読み終えるのに1週間以上もかかってしまった。だけど間違いなく人生の一冊と言えるだろう。
    「特攻隊」どういう集団かは聞いた事があったが、詳しい事は何も知らなかった。読み進んでいくうちにまるで自分も隊員の一人になったかのように感情移入していった、と同時に底知れない恐怖を感じた。中には知らない単語も多く、その度に調べていくと実際の映像などが流れ込んできて、こんな残酷なことが...とショックでいっぱいだった。この小説は本当に人生観を変えさせてくれたと思う。読み終えた後日、学校に行く途中に見る全てが美しくありがたく思えた。彼らが命をかけて戦ってくれたから残った平和な今を生きている。今自分は16歳。あと数年で最少年の特攻隊員と同い年になる。人生を改めるきっかけをくれました。ありがとうございました。

  • 初めて小説を読んでいて泣きそうになった。
    まさか取材されてる方の上長の孫が、、、、

  • 読むべき本。「読むべき」と言うと煙たがられるのかもしれないが、ぜひ読んだ方がいい。今の日本は決してある日突然、民主主義化されたわけではない。多くの犠牲者(犠牲者というのもこれを読むと憚られる表現だが)、生き残った人々の無念や苦しみ、それでも前を向いて生きてこられた生命力のたまものなのだ。

    当時の戦争がもう少し続いていたなら、もっともっと犠牲者が増えていた。そして戦死で亡くなった人より餓死した人か多いなんて。それもやむにやまれずということでもない。稚拙な、机上の空論に近い上層部の立てた作戦。そこに人が居ることが想定されていない作戦や零戦。
    宮部さんの「零戦を作った人が憎い」(ニュアンス)は本当にそうだ。十死零生、なんと恐ろしい言葉か。それも今の私より20も若い人たちがその言葉、その事実に直面するのだ。

    宮部さんの生に対する執着。本来、人間が本能的に持ち合わせているはずの感覚。多くの死に直面する中で麻痺してしまうところだが、結局、宮部さんは特攻に参加する。この本の中においての最大のミステリーだ。1人の人生を遡る本だと思っていただけに、それをミステリーと呼ぼうと思ったのは、最後まで読んでからだ。実は何ヶ所も伏線がはられている。涙を流しながら、それらを回収していく、新しい感覚であった。

  • 夏になると毎年読んでいる一冊。戦争を、それぞれの「人」の目を通して描かれている。映画にも原作にも心震わされました。

  • 読み終わり「やられた…」というのが正直な感想。
    特攻を扱った題材も沢山あるし、日本の軍国主義の悲惨さやその被害については散々語られてきているし、この著者だし、かなり美化したものが描かれているいるのではないかと想像したので、感動を覚えるとは思っていなかった。
    純粋に、小説として良かった。

    特攻に志願して世を去ったと聞かされていた祖父について、主人公がその足跡を追う形で物語が進行する。
    このため、祖父である宮部久蔵という人物は会話(回想)の中にしか出てこない。その容姿も口調も全てが、祖父の足跡を追う孫にさえ想像でしかない。
    つまり、宮部久蔵の人となりを思い描くのは読者だけでなく、小説の中の登場人物も同じなのだ。
    彼についてのエピソードを一つまた一つと聞く過程で、主人公がそうであるように、読者も「宮部久蔵という人物に想いを馳せる」ことになる。

    本を読み終えたとき、温かい気持ちになり、読者は宮部久蔵という人物に惚れてしまうだろう。
    このじんわり来る感じが非常に良かった。

    ちなみに、この「宮部久蔵に思いを馳せる」という感覚は残念ながら映画では削がれてしまうので、圧倒的に 小説>映画

  • "ずいぶん前から気になっていた本だが、中々手に取らなかった。ベストセラーといわれると、つい読みたくなくなる。「海賊とよばれた男」が話題になり、ついに読み始めた。
    この本に限って言えば、もっと前に読んでもよかったし、読んで良かった。
    この作品は映画化されるらしい。期待も膨らむ。本当に素晴らし作品に出合えた。今日はその余韻に浸りたい。"

  • 戦争について考えるきっかけを与えてくれたこの本には感謝すべきだし、そういう力がこの本にはある。

    ただ、どうしても文章の端々からチラチラと垣間見える著者百田尚樹の傲慢というか、「自分の小説が一番」かのような文章の書き方、酔いしれ方?がすごく鼻につく。(これは私が勝手に受けた印象だが。)
    もうひとつは、宮部の特攻に行った理由。
    「家族のためになんとしてでも生きて帰りたい」というのが芯だった男が、仲間が特攻で死んでいく姿をみて自分も特攻に志願することにする。
    この、ここの心情の変化が一番大事なのではないか。
    ここに戦争の恐ろしさ、理不尽さを見ることができるのではないか。
    しかしそこの部分はほとんど書かれておらず、もう次に出てきた時に宮部は既に生きる希望を失っていた。特攻に志願する心境に至るまでの心情が漠然としすぎており、結局なんでなの言いたくなる。書かれなくとも想像しろということかもしれないが、ただ単純にあまりにも軽く扱われすぎている気がする。

    映画もみたがどうしてもいいと思えない。
    いいところも確かにあったが、私には深部に触れているようで実は表面をなぞっただけの作品にしか感じず、「涙がでた」「感動した」と世間で絶賛されているのが恐ろしくもある。どこにどんなふうに感動したのか理解ができない。

  • 「永遠の0」(映画は見てないので原作のほうね)がダメダメなのは、現代パートの展開があまりに稚拙とか、回想パートが一本調子なうえにくっそ長いとか、文章がそもそもアレとか、数え上げたらきりがないのけど、なにより物語としての核心部分がまったく描けてないってことなんだよね。
    それは「なぜ宮野久蔵だけが特異な行為者たりえたのか?」という問いに集約できる。本来考えなくてはいけないのは、宮部が特攻に臨んだ理由をめぐる問いではなくて、それ以前において彼がすでに特異な立場にあったことなんだよ。お国のために死ぬことを是とする中で、そもそもなぜ宮部だけが死を避け生きることを公言できそのために行動できたのかという特異さこそ、問われるべきなんだよ。
    んで、その問いへの回答は「妻子のもとに生きて帰りたいという強い意志」なんてのでは十分でない。というか、ぜんぜん足りない。
    だって、戦地には何万という特攻隊員、何十万という日本兵がいて、その多くが、生きて帰りたい、妻子と再会したい、と強く望んだはずだもの。そのことに関しては宮部も他の兵員たちも同じであり、何ら変わるところはない。それにも関わらず、彼らは自らの希望を口に出すことも能わぬまま死地に赴き、宮部だけが自らの意志を口にすることができ、また実際に行為を成すことができた。
    それはなぜか?なにが宮部と他の兵員たちとを分けたのか?意志の力のみには還元できない決定的な要因が宮部と他の兵員たちとの間には横たわっていたはずで、それこそが問いの核心なんです。それを問わない限りは宮部の行為が理解されることはない。
    でも、作中において、その問いに対して何らの回答も示唆も存在しない。だから、宮部はたんたんと話したんたんと行うのみであり、その内側や背景を読み取ろうとしてもなにもない。ただただ空白ばかりがある。そうじゃなくて、宮部が宮部たり得た理由が示唆されなきゃならんし、そうなって初めて最終的に宮部が特攻に臨んだ理由も説得力を持つんです。それがすっかり欠落しちゃってる。
    一方、宮部本人ではなく、他の兵士たちの悲哀をこそ書こうとしているのだから、そこまでは考える必要はないという考えもあると思う。でも、描きたいのが他の兵員たちであるならばなおのこと、彼らが宮部になれなかったその訳を考えなくてはいけないし、だからその意味でも問いは極めて重要性なんですよ。
    そんなこんなで、いちばん大事な核心部分が完全に看過されたまま話は進んでいくわけですから、小説として成立してないんちゃう?と。少なくとも致命的な欠陥だってことは間違いない。
    もしそうと気づかずに看過したのなら作者はあまりにまぬけだし、気づいていながら看過したのなら不誠実にすぎる。僕らだってバカじゃないんだから、そういう手抜きとか不誠実とかはイラっとするわけですよ。読者なめんなよ!ってね。ナイトスクープは大好きなんで、そっちに集中してほしいとこです。

  • 昨年8月広島に、今年8月長崎に行った。
    恥ずかしながら35年生きてきて初めて原爆の歴史に触れた。
    宮崎駿「風立ちぬ」も見た。
    零戦を作った男たちの世界に触れた。
    そして、ついにこの本にたどり着いた。
    零戦に乗って戦った男たちの魂に触れた。

    今ある日本は、たくさんの人々が命がけで守った日本だ。
    なのに、私たちは我がもの顔でこの国に生き、
    この国を汚し、この国を蔑ろにしている。
    愚かなことだ。
    生きたくても生きられなかった人々の犠牲のうえに私たちはいる。
    それを忘れてはならないとこの本は強く訴えてくる。

    今年は戦後68年目。
    戦争体験者の数は減る一方で、増えることはない。
    この本が語り部となり、歴史が語り継がれることを祈りたい。

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著者プロフィール



「2022年 『橋下徹の研究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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