震災列島 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (644ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062764377

作品紹介・あらすじ

名古屋で地質会社を営む明石真人は、東海・東南海地震の連続発生を予測。地震による大津波を利用して、娘の仇を討つべく復讐計画を練り上げる。そして数ヵ月後、ついに東海地震が発生。浜岡原発の炉心融解を目前に、復讐劇の幕が開く。最新の研究データに基づく大災害小説。そのとき、人は、生き様を問われる。

感想・レビュー・書評

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  • 東日本大震災の記憶はまだ新しい。
    大規模な地震の影響で津波が起き、本当に多くの人たちが犠牲になった。
    そして、福島第一原発の原子力事故により被害はさらに拡大していった。
    災害小説だと思い込んで読み始めたのだけれど、どうにも話が別の方向に向かっている。
    主人公の住む町内である日突然地上げ攻勢が始まる。
    次々と土地を売り離れていく住民たち。
    残った人たちは必死に連携を強めていくが、町内会長である主人公の父は必然的に矢面に立つことが多くなる。
    空き家となった家には地上げの張本人であるやくざたちが引っ越してきた。
    やがて嫌がらせが始まり、ついには愛娘の命が失われる。
    地震を中心にした物語だと思っていただけにこの展開には戸惑った。
    震災の記憶がまだ強烈に残っているためか、地震・・・津波を利用した復讐劇にはどことなくすっきりとしないものを感じた。
    詳細なデータをもとに書かれたであろう物語。
    浜岡原発が抱えている問題点なども、わかりやすく詳しく書かれていた。
    けれども、実際に人が流され、多くの人たちが命を失った映像を見ているだけに・・・複雑な思いもした。

    物語が書かれたのは2004年。
    文庫化されたのは2010年。
    東日本大震災はまだ起きていない。
    この世の中に絶対な安全などというものはないとあの時思った。
    どんなに優れた技術をもってしても、100%の安全などないのだと。
    地質学を中心にした地震が起きるメカニズムの説明などは興味深かった。

  • 地震発生後のサバイバル小説と勘違いしていたが、実際は違った。本書は2004年の出版だが、2011年に発生した福島第一原発の状況を的確に予言しているかのような内容で驚いた。フィクションだが、多くの参考文献が巻末にあり、多くの情報を基に描かれていたことがわかる。災害大国の日本において警鐘のような1冊。そして恐ろしいのが、最後にでてくる国家による火事場泥棒のような通貨コントロール。これも計画的にはできはしまいは、現実世界で十分起きうる恐怖だ。

  • タイトルと出だしから想像するに震災のシミュレーション小説家と思いきや、亡き娘の復讐ために40人以上を一気に殺すために震災を利用するクライム小説である。

  • 名古屋に住む主人公。
    周辺にやくざが進出してきて家族や地域はめちゃくちゃに。
    地震を予測して完全犯罪の復讐劇が始まる。

    震災パニックというよりも、ハードボイルド的な小説ですが、地震や津波、原発事故についてもしっかり描かれています。
    東日本大震災前にこれを書いていたのは、ある意味先見性がったと思います。

  • 途中で何度か放り投げたりしながらなんとか読了。自然・災害メカニズムの解説はわかりやすく心情や言わんとすることには共感できるが、読後に不思議な疲労感が残るのは(死都日本も同様)時折滲み出る著者独特のイデオロギーの強さのようなものが原因なのではないかと思った

  • 100310

  • この本、東日本大震災が起こる前に書かれたものなのですね。
    物語の中で起きる地震は、東海大地震を想定して書かれたものなのですが
    原発事故の話しなどかなりリアルに書かれています。

    地震大国の日本。
    安全だ安全だと言われていた原発。
    少し考えてみれば、そんなはずはないと誰もがわかる事ですよね。

    国規模で色々なことを考えると頭がこんがらがってしまいますが、
    やはり自分が大切にしたい人や想いを大切に出来ない国の政策は、何だかおかしいよー。と思ってしまう。

  • む〜ん…富士覚醒よりはいいかな。ただアカデミックな災害の描き方とストーリーには大きな乖離あり。娘の仇というが軽い。されたことの受け止め方はあれで良いのかね。

  • 娘の仇を打つ父、祖父の話。大地震を利用する計画でスケールがでかい。読み応えがあり、一気に読んでしまった本。

  • 地震が題材。久しぶりに面白い小説を読んだ。

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著者プロフィール

1954年、広島県生まれ。医師、小説家。阪神淡路大震災に遭遇したことを契機に執筆を開始。地変国日本のあり方を問うた処女作『死都日本』(第26回メフィスト賞受賞作)でデビューし、その科学的根拠に基づいた緻密な構成力と、圧倒的なスケール感で、読者に異例の反響を呼ぶ。他の著書に、『昼は雲の柱』『樹の上の忠臣蔵』(ともに講談社)がある。

「2010年 『震災列島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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