駐在刑事 (講談社文庫)

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著者 : 笹本稜平
  • 講談社 (2009年9月15日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062764629

駐在刑事 (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 著者の作品は、大まかに、(海洋)冒険(謀略)小説、山岳小説、警察小説に分類できると思う。
    本作は、そのうちの山岳と警察との二つを融合した贅沢な小説。そして、山岳小説の舞台は大概外国の山が多いが、この作品は、奥多摩を舞台にしている。
    主人公は、事情聴取中に被疑者(冤罪の疑い)を死なせてしまった責任を取って、刑事を辞め、駐在所勤務となった警部補。
    事件の都度、主人公たちは奥多摩の山々を登攀する。著者が、実際に踏破した経験から書いたと思われる描写が溢れていて、山の魅力を存分に伝えている。
    事件そのものよりも、奥多摩の魅力とそこで暮らす人々との交流の方が印象に残る作品。

  • 「春を背負って」で初めて出会った
    笹本稜平さんをもっと追いかけてみたくなり手に取りました。
    興味があったのは山岳小説なのですが、こちらは山岳を背景にした刑事ものです。

    警視庁捜査一課の警部補・江波淳史は
    訳あって奥多摩の青梅警察署水根駐在所の所長となり、自負の念を背負いながらも
    奥多摩の地元の人たちと触れ合いながら自らを信じる捜査を貫いていく──。

    奥多摩の四季折々の風景と
    憧れの山々を背景にして、殺人事件も起きてしまうのですが
    長閑な山あいの自然の中からは人の情と温かさが伝わってくるような
    ソフトでライトなミステリでした。

    6編の短編連作集はどれも心に沁みます。
    なかでも後半の2編
    ・秋のトリコロール
    ・茶色い放物線 がお気に入り。

    加倉井管理官とはどうしても縁が切れないようですね。もう~やなヤツです。
    .....だけどちょっといい人?(笑)

  • 警視庁捜査一課で活躍していた江波は、取り調べ中に容疑者が服毒自殺をしたことによって、青梅警察署水根駐在所所長へ左遷される。
    奥多摩の自然と、周囲の人たちの協力によって次第に自分自身を見つめ直し、地域の一部として溶け込み始めた。
    ある日彼は非番で鷹ノ巣山を登っていた江波は、女性の悲鳴のような声を聴いたのであった・・・。

    山岳小説が主の笹本が、山間の駐在所の所長を主人公とした連作集に挑戦した。
    当然山歩きが重要な要素を占めていて、独創性の有る刑事小説になっていると思う。
    刑事小説とは言いながら、あくまで主人公は駐在さんであって刑事ではない。事件に主体的に関わっていくはずはないのだがそこは小説。彼の周りではバンバン事件が起こり、どんどん解決していく。
    そもそも奥多摩なんて辺境の地でそんなに沢山事件が起こったらとっても怖い。はっきり言って非常事態でしょう。
    コナン君か?と言う位事件に巻き込まれますが(警察なんで機会は多いでしょうが)そんなに事件無いと思う。
    何故そんな事を言うかと問われれば、私この辺りまで一山越えれば一時間以内で着けるお隣さんなのであります。実際は平和な町なのである意味十年一日のような日々を送っております。

    所で私、文句付けながらこの小説とっても好き。
    江波と地元に戻った女性の、恋愛とは言えないけれども好意を抱いている淡い感情とか、登山中に出会った少年との友情とか、近所の小学生が持ち込んだラブラドールの雑種「プール」とのウキウキするようなモフモフ生活とか魅力が満載にあります。
    地元の小学生や、登山家との交流もとても楽しいし、単純に人情話として胸打たれる瞬間もちらほら。

    それだけに警察物としての若干の現実離れが残念。いっそのこと村の人の悩みを解決するほっこりミステリーにしてもよかったのではないかと思う次第です。

  • 2015.3.17読了。
    山岳物は苦手なんだけど、笹本稜平さんが好きで山岳物じゃないものを買おうと探して買ったものが山岳物絡んでたという…

    ある事件をきっかけに、花形刑事から駐在所の所長になった江波淳史。その街で起こるさまざまな事件を解決していく6篇からなる小説です。
    短編集といえども、登場人物が変わらないので読んでいて楽しかったです。
    中でも好きだったのは『茶色い放物線』。

  • キャリアの保身のために刑事から奥多摩の駐在へと転身した江波の活躍を描く短編集。ミステリー、山岳小説と笹本稜平の魅力が伝わる。力強い冒険小説も良いが、こういう作品もなかなか良いな。

  • 笹本稜平といえば、『極点飛行』や『太平洋の薔薇』一連の傭兵シリーズなど、大自然というか極限状態で繰り広げられる冒険小説のイメージが強い。そのどれもが、文句なく面白くて、好きな作家のひとりでもある。今回はガラッと変わって、奥多摩の駐在所に赴任した元捜査一課の刑事の物語。小さな集落でも事件は起こるし、外からも持ち込まれる。刑事としての経験と駐在さんとして在ることで、地域の人々の協力を得て解決してゆく。主人公江波の人間回復のハナシなのかもしれない。それにしても山の描写がすてきだった。笹本作品は、サハラも南極も奥多摩も、まるで手に取るように見えてくるから不思議だな。

  • 遠い昔に駐在所暮らしを経験したことがあるのでタイトルが非常にそそられるものがありました。人の生死が一話ごとにあるので穏やかな駐在さん暮らしとは少し遠いですが、その地に住む一員として徐々に江波さんが馴染んでいく様子や地域の住民たちの交流が和やかに描かれているので楽しいです。
    犬が好きなのでプールのエピソードが最高に好きです!素敵な相棒が増えたことでますます本書が楽しいものになりました。
    間違えて続巻を先に買ってしまったので続きも間をおかずに読む予定

  • 笹本稜平作品にしては、小さい小説である。
    でも小さいなりに凄くいい。

    事件は駐在所が絡む程度の事件だし、主人公は中央での競争に敗れて地方に落ちた警察官僚、登場人物たちも分かりやすくデフォルメされた性格で、舞台はほぼ奥多摩の山か里起こる手の届き感。

    これ、笹本小説を期待するから拍子抜けするけど、系譜が理解できたら、楽しみ方が分かる。よーするに江戸時代小説の市井人情ものを味わうように読めば味の分かる作品集だということだ。

    山登りも重要な要素になっていて(1作なんかあこがれの北鎌尾根登るんやで、小説とはいえエエなぁ~)俺は甘めに加点します、続編も楽しみ。
    それにしても、北鎌尾根って、奥多摩雲取山ややバリエーションコース(11時間)をCT半分弱(5時間)でクリアしな行かれへんのかぁ。もっともっと鍛えないとなぁ。

  • 落ち着いた警察小説。派手さは一切有りませんが自然の美しさがあります。地域社会のつながりも温かいです。

  • 安定感のある作品。

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