駐在刑事 (講談社文庫)

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著者 : 笹本稜平
  • 講談社 (2009年9月15日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062764629

駐在刑事 (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

  • 著者の作品は、大まかに、(海洋)冒険(謀略)小説、山岳小説、警察小説に分類できると思う。
    本作は、そのうちの山岳と警察との二つを融合した贅沢な小説。そして、山岳小説の舞台は大概外国の山が多いが、この作品は、奥多摩を舞台にしている。
    主人公は、事情聴取中に被疑者(冤罪の疑い)を死なせてしまった責任を取って、刑事を辞め、駐在所勤務となった警部補。
    事件の都度、主人公たちは奥多摩の山々を登攀する。著者が、実際に踏破した経験から書いたと思われる描写が溢れていて、山の魅力を存分に伝えている。
    事件そのものよりも、奥多摩の魅力とそこで暮らす人々との交流の方が印象に残る作品。

  • 読み始め…17.4.13
    読み終わり…17.4.17

    「春を背負って」で初めて出会った
    笹本稜平さんをもっと追いかけてみたくなり手に取りました。
    興味があったのは山岳小説なのですが、こちらは山岳を背景にした刑事ものです。

    警視庁捜査一課の警部補・江波淳史は
    訳あって奥多摩の青梅警察署水根駐在所の所長となり、自負の念を背負いながらも
    奥多摩の地元の人たちと触れ合いながら自らを信じる捜査を貫いていく──。

    奥多摩の四季折々の風景と
    憧れの山々を背景にして、殺人事件も起きてしまうのですが
    長閑な山あいの自然の中からは人の情と温かさが伝わってくるような
    ソフトでライトなミステリでした。

    6編の短編連作集はどれも心に沁みます。
    なかでも後半の2編
    ・秋のトリコロール
    ・茶色い放物線 がお気に入り。

    加倉井管理官とはどうしても縁が切れないようですね。もう~やなヤツです。
    .....だけどちょっといい人?(笑)

  • 警視庁捜査一課で活躍していた江波は、取り調べ中に容疑者が服毒自殺をしたことによって、青梅警察署水根駐在所所長へ左遷される。
    奥多摩の自然と、周囲の人たちの協力によって次第に自分自身を見つめ直し、地域の一部として溶け込み始めた。
    ある日彼は非番で鷹ノ巣山を登っていた江波は、女性の悲鳴のような声を聴いたのであった・・・。

    山岳小説が主の笹本が、山間の駐在所の所長を主人公とした連作集に挑戦した。
    当然山歩きが重要な要素を占めていて、独創性の有る刑事小説になっていると思う。
    刑事小説とは言いながら、あくまで主人公は駐在さんであって刑事ではない。事件に主体的に関わっていくはずはないのだがそこは小説。彼の周りではバンバン事件が起こり、どんどん解決していく。
    そもそも奥多摩なんて辺境の地でそんなに沢山事件が起こったらとっても怖い。はっきり言って非常事態でしょう。
    コナン君か?と言う位事件に巻き込まれますが(警察なんで機会は多いでしょうが)そんなに事件無いと思う。
    何故そんな事を言うかと問われれば、私この辺りまで一山越えれば一時間以内で着けるお隣さんなのであります。実際は平和な町なのである意味十年一日のような日々を送っております。

    所で私、文句付けながらこの小説とっても好き。
    江波と地元に戻った女性の、恋愛とは言えないけれども好意を抱いている淡い感情とか、登山中に出会った少年との友情とか、近所の小学生が持ち込んだラブラドールの雑種「プール」とのウキウキするようなモフモフ生活とか魅力が満載にあります。
    地元の小学生や、登山家との交流もとても楽しいし、単純に人情話として胸打たれる瞬間もちらほら。

    それだけに警察物としての若干の現実離れが残念。いっそのこと村の人の悩みを解決するほっこりミステリーにしてもよかったのではないかと思う次第です。

  • 2015.3.17読了。
    山岳物は苦手なんだけど、笹本稜平さんが好きで山岳物じゃないものを買おうと探して買ったものが山岳物絡んでたという…

    ある事件をきっかけに、花形刑事から駐在所の所長になった江波淳史。その街で起こるさまざまな事件を解決していく6篇からなる小説です。
    短編集といえども、登場人物が変わらないので読んでいて楽しかったです。
    中でも好きだったのは『茶色い放物線』。

  • キャリアの保身のために刑事から奥多摩の駐在へと転身した江波の活躍を描く短編集。ミステリー、山岳小説と笹本稜平の魅力が伝わる。力強い冒険小説も良いが、こういう作品もなかなか良いな。

  • 笹本稜平といえば、『極点飛行』や『太平洋の薔薇』一連の傭兵シリーズなど、大自然というか極限状態で繰り広げられる冒険小説のイメージが強い。そのどれもが、文句なく面白くて、好きな作家のひとりでもある。今回はガラッと変わって、奥多摩の駐在所に赴任した元捜査一課の刑事の物語。小さな集落でも事件は起こるし、外からも持ち込まれる。刑事としての経験と駐在さんとして在ることで、地域の人々の協力を得て解決してゆく。主人公江波の人間回復のハナシなのかもしれない。それにしても山の描写がすてきだった。笹本作品は、サハラも南極も奥多摩も、まるで手に取るように見えてくるから不思議だな。

  • 遠い昔に駐在所暮らしを経験したことがあるのでタイトルが非常にそそられるものがありました。人の生死が一話ごとにあるので穏やかな駐在さん暮らしとは少し遠いですが、その地に住む一員として徐々に江波さんが馴染んでいく様子や地域の住民たちの交流が和やかに描かれているので楽しいです。
    犬が好きなのでプールのエピソードが最高に好きです!素敵な相棒が増えたことでますます本書が楽しいものになりました。
    間違えて続巻を先に買ってしまったので続きも間をおかずに読む予定

  • 笹本稜平作品にしては、小さい小説である。
    でも小さいなりに凄くいい。

    事件は駐在所が絡む程度の事件だし、主人公は中央での競争に敗れて地方に落ちた警察官僚、登場人物たちも分かりやすくデフォルメされた性格で、舞台はほぼ奥多摩の山か里起こる手の届き感。

    これ、笹本小説を期待するから拍子抜けするけど、系譜が理解できたら、楽しみ方が分かる。よーするに江戸時代小説の市井人情ものを味わうように読めば味の分かる作品集だということだ。

    山登りも重要な要素になっていて(1作なんかあこがれの北鎌尾根登るんやで、小説とはいえエエなぁ~)俺は甘めに加点します、続編も楽しみ。
    それにしても、北鎌尾根って、奥多摩雲取山ややバリエーションコース(11時間)をCT半分弱(5時間)でクリアしな行かれへんのかぁ。もっともっと鍛えないとなぁ。

  • 落ち着いた警察小説。派手さは一切有りませんが自然の美しさがあります。地域社会のつながりも温かいです。

  • 安定感のある作品。

  • 1014.3.31ー18
    青梅署水根駐在所に左遷された元刑事が遭遇する事件6編

  • 「秋のトリコロール」を読み終えたとき、心が震えた。
    あとがきに「人にとって幸福とはなんだろう、希望とはなんだろうー。そんな問いに対する答えをおぼろげにでも感じとってもらえればという願いが、この作品を書き続けるうえでの動機でもあった」
    とある。おぼろげながら感じられたと思う。読み終わった時、とても温かい気持ちになる作品です。

  • 面白かった。山岳+警察(+途中から犬)。派手さはない。むしろ地味。でも、うるっ・ドキッ・ハラハラ、色々なお話が詰まってた。「茶色い放物線」「秋のトリコロール」が特に良かった。
    主人公の元上司が笑える。なぜだかこの人が登場するシーンだけコメディみたい(笑)

  • 笹本さんの本は全部よんでますが、これは山岳か刑事ものかどっちつかずでちょっと微妙。焦点が合いにくいです。

  • 警察小説と山岳小説のハイブリッド。
    奥多摩の山に登り、北アルプスが好きならはまること間違いなし。
    あり程度、山の知識があるとより楽しめます。

  • この作品をきっかけに笹本さんの作品を読むようになりました。

    長編を書いてこその笹本稜平と、評価される方もいらっしゃるようですが、
    個人的にはこの短編も好きです。

    自然の描写もいいですね。
    そこがかなり惹かれた点でもあります。

  • 警視庁の敏腕刑事がキャリアの上司と衝突し、容疑者を取り調べ中に死なせてしまう。彼は奥秩父の派出所勤務を願い出る。旅館の親子から山の知識を徐々に身につけていくうちに、ここが気に入った場所になっていく。そんな時、山で女性の滑落死が発生し、自殺か他殺かで揉める。警視庁時代の上司がこの事件の責任者として出張って来て、江波を困らせる。次々に起こる事件を江波が解決していき、犬猿の仲のキャリアの上司のプライドを傷つける。最後には命令に反した行為で問題は解決するが、彼は辞表を出す。ここは犬猿の仲の上司も引止め役に廻る。笹本氏が山の物語に入っていったのはこれからではないかと思う。

  • 少し特殊なジャンルではあるが著者の『還るべき場所』は夢枕獏の『神々の山嶺』と共にポスト新田次郎の大傑作!本作は山岳小説ではなく、奥多摩の豊かな自然を背景とした連作ミステリである。ある不祥事の責任を負わされ、花の警視庁から山里の駐在所への移動を余儀なくされた男が主人公。登場人物+1匹の造形は1人を除き好ましい。但、その例外たる元上司のキャリアが余りにも【お馬鹿っぽい】のが頂けない。加えてS・キングが創造した怪しの街キャッスルロックじゃあるまいし、奥多摩で次々に怪事件が発生するのも無理がある。箸休め的小品か?

  • 笹本稜平の4作目。連作短編。
    各編ごとに感想を。

    【終わりのない悲鳴】
    哀しい女性の物語。
    主人公の抱える心の傷とリンク。彼の背景の事件が今後関わってくることになるようならば、面白さも倍増しそうなものだが、果たして………?
    2012.07.10.書。

    【血痕とタブロー】
    再び、自ら死に向かおうとする人を救った主人公。本作のテーマはコレなのかな?と。
    いけすかない管理官に一泡吹かせてやる展開もあることを期待(笑)。
    2012.07.10.書。

    【風光る】
    恋の予感?(笑)。骨髄移植で血液型が変わる………というのは初めて知った。唐突だったので、ややアンフェアか?とも思ったが、“いわゆる推理小説”なわけではないのでOK。
    2012.07.10.書。

    【秋のトリコロール】
    警察小説というよりは、ソフトな山岳冒険小説、かな。
    誇り高きアルピニストの、堕とされた栄光の回復・・・、目頭が熱くなる一遍だった。
    筆者は、本当に山が好きなのね、とも。
    2012.07.11.書。

    【茶色い放物線】
    ハラハラドキドキ。クライマックスは、“良い意味で”平成ひと桁時代の刑事ドラマを見ているかのよう(笑)。
    ………「刑事貴族」とか………
    犬が、限りなく可愛かった(^-^)v。
    2012.07.11.書。

    【春嵐が去って】
    おばあちゃんモノと子どもモノには、極めて弱い。頬を濡らしてしまった。
    あの、嫌~ないやな管理官が、わりと潔く負けを認めて恰好良さ気に引き下がったのだけは、物足りないかな・・・ギャフンと言わせ失職させるか降格させるかして欲しかった(笑)。

    通読して・・・・
    心温まる物語だった、と。笹本稜平、好きになったかも。
    他の代表作にも、手を伸ばしてみよう。

    ★4つ、8ポイント。
    2012.07.12.了。

  • 短編小説。退屈してしまったが駐在さんの見本のような人物像に惹かれて読了。どこかほっとする内容だった。

  • 山登り好きの元捜査一課の駐在さんの短編集。

  • 1年半分の季節が巡る間に奥多摩(「秋のトリコロール」のみ北鎌尾根)で起こる事件と人間模様が、時系列で6つの短編としてまとめられている。手にしたとき、「駐在刑事」のタイトルから堅い内容を思い描いたが、あにはからんや、子供やお年寄り、犬が重要な役回りだったりで、ほのぼのさも感じる物語でした。

    好きなキャラは真紀とプール。「茶色い放物線」は映像化を希望。「風光る」での江波と遼子のような出会いには憧れる。「秋のトリコロール」は山に登りたくなる。

    肝心の主人公・江波の印象が弱く、敵役・加倉井との対立構造の描き方が平板なところに物足りなさを感じた。やっぱり自分は、警察組織の中にいる個人としての刑事や、犯罪者の心理を描く作品が好きなようだ。

  • 上司の失策の責任を取らされ、警視庁の捜査一課から奥多摩の駐在警官に左遷異動させられた江波警部補が主人公の連作短編集。
    後半、少し無理があるかなぁ、と思う展開はあったけれども、全体的にほのぼのして読後感良し。脇キャラの池原親子の存在も良いし、遼子と江波の関係も気になるところ。敵キャラの元上司の存在はお約束な感じかな。山岳小説としての描写もあり、なかなか楽しめた一冊だった。

  • 図書館で借りました。面白かったです。

    地域に根ざして、と言うか地に足の着いたと言うかそういうおまわりさんって今時珍しい存在なのかもなあと読んでいて思いました。かくいう自分もそれほど土地と人がしっかり結びついている土地に育ったわけではないので地域とかコミュニティと言ったものに憧れを感じているだけかも知れませんが。

    山登りが終始出てまいります。奥多摩かあ… 行ってみたいなあ。お父さんの携帯を探す話が好きでした。これ、シリーズになってるのかな?なってるならまた読んでみたいなと思います。

  • 笹本稜平の一刷。

    奥多摩駐在所の所長、江波警部補の周辺で起こる6つの事件。
    それぞれが、短い短編でつながっています。

    舞台となる奥多摩もなじみのある水根沢や石尾根などがでてきて、歩くときには江波刑事を探してしまいそうです。
    漫画『岳』にも通じる、ほのぼのとした小説でもっと続きを読みたくなる一冊です。

    【収録作品】
     終わりのない悲劇
     血痕とタブロー
     風光る
     秋のトリコロール
     茶色い放物線
     春嵐が去って

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