密室殺人ゲーム王手飛車取り (講談社文庫)

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感想 : 374
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  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062765497

作品紹介・あらすじ

"頭狂人""044APD""aXe(アクス)""ザンギャ君""伴道全教授"。奇妙なニックネームの5人が、ネット上で殺人推理ゲームの出題をしあう。ただし、ここで語られる殺人はすべて、出題者の手で実行ずみの現実に起きた殺人なのである…。リアル殺人ゲームの行き着く先は!?歌野本格の粋を心して堪能せよ。

感想・レビュー・書評

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  • 2023年一発目の読書本。
    自分が既に起こした事件の謎を他のチャットメンバーに解いてもらうという「推理ゲーム」が日々行われている。
    500ページ超えの厚い小説だがそれぞれに謎が用意されているためテンポが良く謎解きやチャットメンバーのキャラクター性も相まってとても面白い。やっていることは最低なのでまったくといって良いほど彼らに同情できないが、トリックはとても面白い。時刻表のトリックや八田邸のトリックは読んでいて「なるほど!」というトリックだった。
    そしてこんな風に倫理観がほぼゼロな人々だったが最終章で見せたあの足掻きは彼らの人間性が残っていたのかが驚きだったがこの本の読者の感想にあった最後はとても切ない物になるという意味がよくわかりました。
    まさかの頭狂人と044APDがリアルで兄弟だったとは思わなかった。彼を殺した後に正体に気づくというのかとても切ないし、読んでいるかぎりだと兄のことはそこまで嫌っている様子もないしなんなら今の人生を歩むきっかけのような感じなのも余計に切なさがあると感じました。そして最後のシーンはまさかの「To Be Continued」という続編付き。もう買ってあるので読んでいきます。

  • ネット上で集まる5人
    実際に殺人を行い、トリック当てゲームを定期的に行なっている。
    5人とも殺人者であり、探偵
    ゲームのためなら人を殺せる者達

    犯人は出題者なので、犯人当てではなく、トリックに重点が置かれてる。
    (本格)推理小説などで、よく「トリックにだまされた!」とか更に複雑で、更に誰も真相が見破れないトリックへと加熱するように、5人の殺人者とも(まともな倫理観ではないのだが)そういう小説を読み込み、飽きてさらなる刺激を求めている読者のようにも見えた。

    ネット上での知り合いにすぎず、名前しか知らない5人。名前と話し方からどんな人なのか想像するも、実際の人物そのままというわけではないのでどんな人間かはわからず、それがネット上に存在するアカウントっぽい虚無感に繋がってる。中身が見えない。

    三部作の一作目なので、どうなるのか…そもそも本格とか変格とか苦手なのかもトリックに驚き、犯人の動機とかはその驚きに流されて結局もう一度読むこともなく本棚に収まってる本をいくつか思い出す。

    スポーツの一種目として読むくらいしか楽しめないのかもしれない。

  • 久々のレビュー

    これも面白かった!

    しっかりとした伏線と、
    しっかり読むと答えが分かるフェア精神と、
    終わり方の秀逸さと。

    著者は好きな作家ベスト5に間違いなく入ります!

  • ネットで知り合った5人がビデオチャットで推理ゲームを出し合う謎解きミステリー。ただしその推理ゲームはリアルで実行された猟奇的な殺人ゲームだった。

    ありえない設定ながらストーリーの進め方が上手でどんどん読み進められました。発想はできても、こんなにうまくお話を整理できているのが素晴らしい。文章も読みやすいです。

    いくつかある殺人ゲームのトリック自体もバラエティーに富んでいて、さすがの歌野晶午ぶりを発揮。
    こういう背景設定なら、メイントリックはおそらくこんなんじゃねえの? と想像していたが見事的中。こんなものかとほくそえんでいましたが、さらなる驚きが待ってました。いやぁびっくり。

    本格ミステリー好きには是非おすすめしたくなる一冊。

  • まったくもって、好みではなかった。
    ただ、葉桜は好み。

  • …この作品を「面白い」って思ったら自分が不謹慎な人間な気がして、言うのすごく気が引けるんだけど、でも面白かった。
    そう思う自分への嫌悪感に苛まれる作品。

    チャット参加者が、人を殺してはその連続性の法則やらトリックやらアリバイ崩しやらをクイズの問題にして出し合うの。
    人を殺すことへの罪悪感が全くなくて、怖い。
    ある意味みんな狂ってる。
    そして、現代にこういう人達が実際に居そうで、怖い。
    まとわりつくリアリティが怖い。

    はじめは、思い付いたミステリの奇抜な要素を披露し合うだけの連続短編集なのかと思った。
    そしたら、だんだん全てを包み込む大きな物語になっていって、俄然面白くなった。

    考えてみれば、ミステリ作家って、トリックを思い付いたところから肉付けしたりして作品を作ってゆくんだろうから、フィクションの中とはいえ、この登場人物達と同様の行為をしてる訳だよね。
    そういう楽屋裏の作業が作品の核となって表に出てきたところが、この作品の新しさだろう。

    ひとつだけ、頭狂人の殺人は警察にバレちゃうんじゃないだろうか。アリバイ工作したみたいだけど、家の中の人でないと殺せない状況だし、部屋から金品出てきたらアウトじゃないだろうか。

    最後、あれだけ簡単に(知り合いでさえ!)殺してきた人達が、自分の椅子に仕込まれてるかもしれない起爆装置にパニックになるのが興味深い。こりゃ面白いゲームだね~って悪乗りしていいはずなのに。
    多分オフだからだよね。ネットの匿名性というか、ネットで演じている別人格が殺人なんて大胆な行動を後押しするんだろうね…。

  • トリックのみに特化したミステリー 
    やられた感はあるが文体 口語調が読み辛い

  • 設定が面白すぎるので、ラストに期待しすぎたかな。歌野晶午作品という事で、裏切りを欲してました。

  • 殺人をゲームとして楽しんでいる登場人物たち。
    悲壮感とか憤怒とか憎悪、そういうのがあまり感じられず、本当にゲームのようにすすめられる。
    勿論フィクションだからこちらも楽しめる(それでも何だか後ろめたいというか不謹慎感はあるが)。でも実際にこんな考えを持った人がこの世界にはいるのかもしれないと思うとゾッとする。

    そんなことを思いながら読み進め、ラストはページを捲る手が止まらず夢中になった。歌野晶午さん、私にとっては2作目だったが、他のものも読んでみよう。

  • 初期の家シリーズを読んでいたのだけれど、ちょっと辛くなり最近の作品を摘み読み。面白かった!しかしここで引きとは。続きが気になってしまう。キャラ立ちが素晴らしい。ロジックが毎回気持ちいいし、最後にはちょっとした叙述トリックもあって盛り沢山。ただラストのラストで急にミステリではなくサスペンスになってしまい拍子抜け。願わくば5人の推理ごっこをずっと見ていたかった。

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著者プロフィール

1988年『長い家の殺人』でデビュー。2004年『葉桜の季節に君を想うということ』で第57回推理作家協会賞、第4回本格ミステリ大賞をダブル受賞。2010年『密室殺人ゲーム2.0』で第10回本格ミステリ大賞をふたたび受賞。

「2022年 『首切り島の一夜』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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