スロウハイツの神様(上) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.92
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本棚登録 : 20249
感想 : 1255
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062765565

作品紹介・あらすじ

人気作家チヨダ・コーキの小説で人が死んだ-あの事件から十年。アパート「スロウハイツ」ではオーナーである脚本家の赤羽環とコーキ、そして友人たちが共同生活を送っていた。夢を語り、物語を作る。好きなことに没頭し、刺激し合っていた6人。空室だった201号室に、新たな住人がやってくるまでは。

感想・レビュー・書評

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  • 読書の海辺で水遊びはじめて漕ぎ出したらいつの間にか160冊越えてました。穏やかな波間に心地よい日差しをうけて時折爽やかな風が頬をなでるそんな船旅でしたが物足りなさを感じるようになってきたので、そろそろ遠洋にでて荒波に揉まれるような体感もしてみたくなってきたし、大物も釣ってみたい。深淵に潜む様々な感情がうねる複雑な海域を、暗礁に乗り上げないように慎重に進むようなジャンルにも、首突っ込みたくなってきたので苦手意識のあった辻村深月さんの海へと舵をとってみました。
    とゆうことで手にした「スロウハイツの神様」上下あるし、この厚さが敬遠しがちな理由でもあったんですけど。読む順番あってるだろうか?

    若きクリエーター達が共同生活をするスロウハイツ。もうアパートもののこの設定だけでお替りできちゃうぐらいストーリーが膨らみますね。長屋から商店街に団地やニュータウン、別荘地にタワーマンションまでご近所さんとの関係は複雑怪奇でワクワクします。
    ここでは一人一人のキャラを丁寧に描写しながら関係も紹介されていて、この世界観だけで浸れそうなんですが上巻は密かに着実に爆薬が仕掛けられてゆく感じなんかなあ。

    • つくねさん
      かなさーーん、こんにちは♪

      凝り性のかなさんの本棚、今は銀鉄関連で並べられていて見てるだけで
      気持ちいいですね。
      私も辻村作品で並...
      かなさーーん、こんにちは♪

      凝り性のかなさんの本棚、今は銀鉄関連で並べられていて見てるだけで
      気持ちいいですね。
      私も辻村作品で並べてみようかな( `ー´)ノ
      下巻のが厚いですね大丈夫だろうかな

      ところで、ヒグチユウコさんとかもお好きでしたよね
      キモカワの絵が特徴で以前私が偶然手に取った本の表紙絵が
      独特のキノコのイラストで興味をもって開いたのですが
      「日々のきのこ」って作品でした内容は異次元すぎて
      理解できませんでしたが挿絵とかはキモカワでしたよw
      最近になって挿絵描いたのヒグチユウコさんだと知って
      かなさんに伝えなきゃって思ってたんです。( ;∀;)
      2023/10/20
    • かなさん
      しじみさん、お疲れ様です!
      いいですねぇ~辻村深月さん並べもヽ(^。^)ノ
      この作品なら、きっと下巻はあっという間に読み切るはずです!!...
      しじみさん、お疲れ様です!
      いいですねぇ~辻村深月さん並べもヽ(^。^)ノ
      この作品なら、きっと下巻はあっという間に読み切るはずです!!
      だって、すごくいいんですよぉ~♪

      あと、ヒグチユウコさんのこと、
      教えてくださってありがとうございます!!
      そうなんですよ、
      ヒグチユウコさんの絵はクセになる可愛さなんですっ(*´▽`*)
      早速「日々のきのこ」図書館にあるか、検索してみましたが、
      残念ながらありませんでした(ノД`)・゜・。
      また、何かあれば教えてくださいね♡
      2023/10/20
    • つくねさん
      かなさん、いろいろ情報ありがとうございます。
      「日々のきのこ」はありませんでしたか。
      残念でしたね。私の本棚にありますので表紙絵だけでも...
      かなさん、いろいろ情報ありがとうございます。
      「日々のきのこ」はありませんでしたか。
      残念でしたね。私の本棚にありますので表紙絵だけでも
      楽しんでくださいね♪
      2023/10/20
  • 裏表紙の「人気作家チヨダ・コーキの小説で人が死んだ――あの事件から10年。アパート「スロウハイツ」ではオーナーである脚本家の赤羽環とコーキ、そして友人たちが共同生活を送っていた。夢を語り、物語を作る。好きなことに没頭し、刺激し合っていた6人。空室だった201号室に、新たな住人がやってくるまでは。」を読んだ後、初めてのページをめくる。いきなりチヨダ・コーキの登場だ。

    そして、「赤羽環はキレてしまった。」に続く…何にキレたのかしばらく読み込めず、上巻最後に何に対してキレたのかを理解することになる(ただ、まだ、下巻を読んでないので、本当にそうであるかは確証なし)。

    本作の中でも説明があるように、あの『トキワ荘』が思い浮かぶ物語である。先に読んだ著者『凍りのくじら』で、藤子不二雄の魅力を知りたくて、何となくかたっぱしから調べてみた。だからここにトキワ荘を持ってきた著者の藤子不二雄へのリスペクトに微笑んでしまった。

    また、上巻の中で、環の高校からの親友である円屋伸一が登場する。彼は環をライバル視するあまり、スロウハイツを出ていくことになるのだが、彼の登場の意味がまだ、上巻でははっきりしない。これは下巻を読めばわかるのだろうか?
    スロウハイツを出ていくエンヤが環に向かって「俺、絶対一人前になって」と叫んだ言葉。「何も聞こえない。何も見えない。」と言った環の本心が、「自分の言った言葉っていうのは、全部自分に返ってくる。返ってきて、未来の自分を縛る。声は、呪いになるんだよ」と、狩野に説明するした時に環のエンヤに対する優しさに、脚本家、小説家という職業の心意気のようなものが感じられた。

    そして、チヨダ・コーキの小説に真似て自殺をした事件があった後、コーキことコウちゃんの復活のために毎日新聞社に手紙を送った「コーキの天使ちゃん」は、絶対、環だと思った。のだが…ロリータの加々美莉々亜であったことがちょっと不思議だった。つまり、環でないならば、この後の展開がややこしくならないのか?…と心配してしまう。

    大きな展開なく、物語が進んでいったような感じで終わった上巻であった。

  • 早く読んでおけばよかった。
    あの人もこの人も、最近読んだ本に出てきてたのに。順番間違えたー!...ま、面白いからいいか。
    今から、昨日急いで買ってきた下巻に突入だー!

  • 大〜好きすぎて4度目の再読♪♪

    講談社時代の辻村さんの作品って、そこに出てくる1人1人の人物描写がとても丁寧に描かれてる印象がある。
    その分、長いな〜と感じるかも知れないけど、登場人物1人1人に感情移入もしちゃうし、そして後になってその丁寧な描写には意味がある事を知る。

    もう4度目だけど、分かってるからこそ、丁寧に丁寧に読んでしまう。
    すべては下巻のためにあると言っても過言ではないと思える上巻!

    • 1Q84O1さん
      ナイスアイデア!w
      だけど、ダメでーす!
      私の中で、mihiroさん=積読本のイメージが出来上がっているのでmihiroさんは買って買って、...
      ナイスアイデア!w
      だけど、ダメでーす!
      私の中で、mihiroさん=積読本のイメージが出来上がっているのでmihiroさんは買って買って、そして積んで積んでしてくださいねw
      2023/09/07
    • mihiroさん
      あははは笑ꉂꉂ(ᵔᗜᵔ*)
      バレバレですね〜笑
      すごい積読の量なのに、気になるのあるとまた買っちゃうんですよね〜σ(^_^;)
      きっと私、買...
      あははは笑ꉂꉂ(ᵔᗜᵔ*)
      バレバレですね〜笑
      すごい積読の量なのに、気になるのあるとまた買っちゃうんですよね〜σ(^_^;)
      きっと私、買うのが趣味〜ƪ(ꈍДꈍ ;)ʃオーマイガッ
      2023/09/07
    • 1Q84O1さん
      そんなmihiroさんは再読月間と合わせて積読消化強化月間も作ってくださいねーwww
      そんなmihiroさんは再読月間と合わせて積読消化強化月間も作ってくださいねーwww
      2023/09/08
  • これまで辻村深月さんの作品は、「ツナグ」「東京會舘とわたし」を読ませていただき、「かがみの孤城」のアニメ映画をTVで観た程度です。まだまだ初心者の私。

    とにかく人の心の動きを丁寧に緻密に静かに描写し、暖かみのあるストーリーが展開され、読後感がとても気持ちいいという印象が残っています。

    しかし、本作は出だしから「チヨダ・コーキの小説のせいで人が死んだ」という不穏な文章で始まった。しかも、小説家、脚本家、漫画家、映画監督、画家、編集者といったアート系の尖った性格の登場人物たちが「これでもか!」というほど自己主張しながらスローハイツで集団生活していく風景が描かれている。

    読み始めの方はストーリー全体に馴染むのに少々時間がかかってしまいました。本当に辻村さんの作品なのか?と思ってしまったぐらいです。

    とにかく「上」巻でスローハイツのこと、登場人物たちのキャラクター、それぞれの背景が尖りながらも丁寧に描かれている。登場人物のすべてが主役級のキャラクターなんですね。

    「上」を読み終えるころには、もうドップリと辻村ワールドに入り浸ってしまいました。早く「下」巻を読まねばなりませぬ。

  • 読書生活2年目の私が最初に全ての作品を読んでみたい!と思った辻村深月さん。そう思わなければ手にはしなかったであろう、あらすじと分厚さの作品。(特に下巻が分厚い…)

    前半はクリエイティブな若者たちの感性に触れ、あーこれは私の好みとは違うかな?と思ったものの、きちんと読者を惹きつけるポイントがあり、じわじわとスロウハイツの物語に入り込む…。上巻の終わり方は下巻へと素早く手が伸びる仕様がお見事。いざ下巻へ!

    「愛は、イコール執着だよ。その相手にきちんと執着することだ」

    • あきちさん
      辻村深月さんの本にハズレはないです。
      辻村深月さんの本にハズレはないです。
      2022/08/20
    • あささん
      あきちさん、コメントありがとうございます!
      あきちさんも辻村深月さんお好きなんですね♪私はまだ辻村さん7作品くらいしか読めてないので、はやく...
      あきちさん、コメントありがとうございます!
      あきちさんも辻村深月さんお好きなんですね♪私はまだ辻村さん7作品くらいしか読めてないので、はやく読破したいです〜!
      2022/08/20
  • 「島はぼくらと」を読んで赤羽さんがちょっとだけ出てたことが読むきっかけです。人気脚本家の赤羽環と人気作家コーちゃん+夢見る若手アーティスト達の共同生活。なんだろ?そんな大きな波も無く物語が進んでいきましたが、最後の最後で気になる展開!下巻を早く読み始めなイケン

  • これは面白いです。チヨダ・コーキは元より登場する人物があまりに活き活きと描かれていて、何だか現実世界の隣のアパートにでも住んでいそうにも感じてきます。また、彼らがとっても魅力的。彼らのことをもっと知りたい、彼らの活躍をもっと見たいと自然に感じさせ、そして、上巻最後の締め方も、『ザ・下巻に続く』という感じで疑問と期待を最大限に膨らませてサッと幕を引く鮮やかさ。もうすぐに下巻を読み始めたいです!

    いきなりの冒頭で展開されるマスコミの悪者探し。我々日本人が大好きなこと。何かとんでもない事件が起きると、みんなで悪者探しをして、一人の悪者に全てをなすりつける。まるで自分がヒーローになったが如く。そして安心し、自分の中で早々に決着をつけて終わらせてしまう、ホッとする。でも一方でそんな際に生まれるバツの悪さ、それを辻村さんは『いじめには、その一線を越えてしまったが最後、逆にかっこ悪くなる瞬間というのがある。』と書きます。そうなると、今度は我先にと他人を気取り、いつまでも攻めている人を逆に責めるようになります。この辺りの皮肉、あまりに本質を突き過ぎていて他人事でなく笑えないと思いました。

    裏庭でのバーベキュー、流し素麺、どことなくほんわかしたスロウハイツの生活と、そこに暮らす人たちの裏側に流れる影の部分、『人間は自分が計算していればしているだけ、相手の計算やごまかしを敏感に読むようになる。疑い、目敏く発見する。』辻村さんらしい鋭い表現が下巻へ向けて作品に深みを与えていきます。

    いいなぁ、この作品。下巻もとても楽しみです。

  • 辻村さんの作品の中で1番好きな作品。
    登場人物全員にそれぞれの個性があり、辻村さんの愛が注がれていることがこちらにまで伝わってくる。

    ◆あらすじ
    作家、脚本家等のクリエイターの卵がスロウハイツというアパートで共同生活をしつつ、それぞれの夢に向かって切磋琢磨しながら絆を深めていく青春兼お仕事小説。

    ◆感想
    上下巻ある大作だが、一度読み始めたらこの作品の魅力に陥り、一瞬で読了できる。
    私はハマりすぎて、映像化するなら環はあの女優さんがいいな、チヨダコーキはあの俳優さんがいいいなと、勝手に人選…。
    彼女たちが後の辻村さんの作品でちょくちょく出てくると、また会えた!とテンション爆上げに。
    とにかく大好きな作品。恩着せがましいけれど、周りの人みんなにオススメしたい作品。

  • 「かがみの孤城」以来の、辻村作品。
    自分からは決して選ばない本だが、お世話になっている方からのお勧めで読んでみた。

    難しいところは一切ないので、さくさくと進める。
    ただ困ったことに、登場人物たちにあまり魅力を感じない。
    スロウハイツの住人たちは皆、オーナーの「赤羽環」も含めてクリエイターと呼ばれる人たちだ。強い自意識の固まりで、自分こそ特別だと思い込んでいる人たち。
    特に「赤羽環」はそれが強烈だ。
    彼女の「男が」「男と」という物言いや、相手の苗字を呼び捨てにするところなど、どうしても嫌悪感が先にたってしまう。

    もっとも、だからこそのクリエイターなのだろうけれど、しかしこの共依存は何?
    互いの距離が近すぎて、幼いほどの密着感だ。
    個性の強い「赤羽環」が、自ら声を掛けて住まわせた住人たちなので、赤の他人通しが住む一般的なアパートとは一線を画していると、考えれば良いのか。
    それとも、こんなところで躓きそうになるのは、すでに作者の術中に嵌ってしまったということか。もしそうなら実に楽しい読書になりそうなのだが、今のところ何とも言えず。

    メンバーの中の誰にとって、誰が神様なのか。
    上巻を読んだ時点でおおよその察しはついている。
    たぶん下巻でそのいきさつが明らかにされるのだろう。
    素人の私が推測した通りの流れだと失望してしまう。どうか、そのはるか上を行って欲しい。
    そして「赤羽環」というキャラ設定の意味も判明すると嬉しい。

    オープニングに現れる「チヨダ・コーキ」の小説に影響されたと言われる事件。
    その「チヨダ・コーキ」も住んでいるスロウハイツ。
    キーポイントはそこかな。
    小さなエピソードも全て、巧みに回収されることを願うのみ。ということで、下巻に続く。

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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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