「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」 ベトナム帰還兵が語る「ほんとうの戦争」 (講談社文庫)

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  • 講談社 (2010年3月12日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062766036

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「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」 ベトナム帰還兵が語る「ほんとうの戦争」 (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

  • 憲法第9条改正だの、必要な戦争もあるだの、日本人としての誇りを養うには徴兵制をだの言っている輩は、この本を読むがいい。
    戦争とはどういうものかよく分かる。

  • 帰還兵の手記はたくさんあるが、これは読みやすい上、全く呼び知識のない子供にも戦争の恐ろしさがリアルに伝わる。
     飢えから逃れたい、誇りを持って生きたいという貧しく鬱屈した若者を巧みに勧誘して兵士にする。訓練は殺す技術の習得と洗脳。殺す相手は同じ人間ではなく、醜い下等な生き物だから、心を痛める必要はない。それどころか、狩猟感覚で楽しんでよい。そして、それを心から楽しめる鬼畜は、戦場では英雄扱いされる。
     著者はベトナム人と会話をし、ベトナム人の女性の出産に偶然出くわしたことで、ベトナム人も自分と変わらない人間だということに否応なく気づかされる。もし、そういうことがなかったら、自分で自分を終わらせたかもしれない。そういう帰還兵もたくさんいたはずだ。
     戦場で多くの人を殺し、帰還後PTSDとなり、改めて贖罪に生きる姿は、心を打つ。
     この本は、読解力はあまりいらないし、長くないので、是非ともあまり本を読まない中学生に読んでほしい。いざ戦争ということになったら真っ先にリクルートされるような、貧しい家庭の子どもに、親とうまくいっていない子どもに。

  • Amazonで中古にて購入。実は『戦場で心が壊れて』を先に読んだのですが、どうしてもどうしても、こちらの方も読みたくなりました。ところが、出来るだけ新品で読みたいというのもあって書店で売っていないか探していたのですが、なかなか見つからない。仕方なくAmazonで注文しました。本日読了です。

    アレン・ネルソンさんの戦場での体験がメインで語られています。表題の質問、「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」のエピソードは序盤に出てきますね。ベトナム戦争帰還後ホームレスをしていたアレンさんのもとに小学校教師をしている元クラスメートが現れて、戦争で体験していたことを子どもたちに語って欲しいと請われる。最初は嫌だったアレンさんも、子どもたちから手紙や絵を受け取ったりする中で子どもたちの前で話そうと決心する。そして当日、同じアフリカ系アメリカ人の子どもたちを前にして戦争について語りだすアレンさん。しかし、口から出てくるのは、戦争に関する上辺だけのキレイゴトの話ばかり。「ほんとうの戦争」については一切語らないまま、語れないまま、話は終わり質問タイムへ。子どもたちからの様々な質問が出てくる中、最後に手を上げた女の子の質問が、
    「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」

    私はおそらくこの本で初めて「ほんとうの戦争」では何が起こっているのかを知ったように思います。
    本当に、アレンさんはよく人間性を失わないで戦場から帰ってこれたなぁと思います。私が同じ状況だったら、海兵隊員だったら……死体を見て発狂するか、徹底して殺人マシーン、モンスターに進んでなろうとするか、どちらかになるのではないか……

    そして、女の子の質問に対してよくぞ、YESと、答えたなぁと思います。いや、「答えた」のではなく、アレンさんの人間性そのものがアレンさんの口にYESと「答えさせた」のかもしれません。
    本当に答えにくかったろうと思います。事実としては人を殺した。でもそれは認めたくない。YESと子どもたちの前で答えてしまったら、その瞬間から子どもたちの目の前にいるのは「ネルソンさん」ではなく「人殺し」。逃げ出すべきか、誠実に答えるべきか……。その壮絶な葛藤、しんどさが読んでいる私にも伝わってきて、胸が苦しくなりました。
    しかし、そのなかでアレンさんはYESと言った。ここから、ほんとうの懺悔の日々が、戦場とは言え「人を殺した罪」を身に引き受けて、背負っていく日々が始まったのでしょう。そして、このことがあったればこそ、アレンさんを通して私たちは「ほんとうの戦争」について学び、考えを深めることが出来るのだと思います。
    特に、沖縄に関することは決して他人事では済まされません。日本は米軍を沖縄に駐留させることを認めたために、間接的にもベトナム戦争に加担してきた戦争責任があります。そして、未だに基地被害があるのにも関わらず、基地を撤退させようとせず、むしろ基地を増やそうとまでしている。
    これがどれほど残酷なことなのか、悲しいことなのか、人道を無視したことなのか。アレンさんから「ほんとうの戦争」について聞くことがなかったなら、考えもしなかったろうと思います。

    どう戦争と向き合うべきなのか、改めて問い直していきたいと思います。

  • ベトナム戦争で戦った元米軍兵士の手記を初めて読んだ。兵士が語る戦争体験ものって、実はフィクション(「野火」とか)しか読んだことがなかったのに気づいた。
    貧しい黒人の若者が入隊して、研修で徹底的にしごかれて自分でモノを考えられないようにするというくだりの描写が、日本の部活動とか学校教育とダブって怖かった。自分で考えない、感じない、上官の命令にのみ従って動くとどうなるか。恐ろしい。

  • 日本のことがやけに多く出てくると思ったら、日本に縁深い方だったんですね。憲法9条の是正は難しいところですが、残していってほしいものだと思います。
    ベトナムの方々の方では、どう思っているんでしょう。根強い反日反米感情があってもやむなしという気もします。
    米国では退役軍人への手厚いサポート、民間企業でも割引があったりします。それらは政府による支援があるものと想像しますが、それだけ過酷な環境に派遣していると、政府も把握しているということなんでしょうね。

  • ベトナム戦争を体験したネルソンさんに、子どもたちの一人が質問した「ネルソンさんあなたは人を殺しましたか?」ネルソンさんは、うつむき目を閉じて答えを探す。どれだけの沈黙があったのだろう。
    ことし後半に、探して図書館で借りて読んだ。
    単行本版のほうだったけれども、コミック版も、いつか探して読んでみたい。
    重い本だけれども、子どもにも読みやすい感じになっている。

  • 政治と現場はいつも違うのかもしれない。当然かもしれない。

  • ベトナム戦争の体験談
    「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」

  • 元アメリカ兵であり、ベトナム戦争で戦った兵士の実話。
    ベトナム戦争の悲惨さを描く。

    でも、何より怖いのが、これが現実。
    未だ残り続ける現実の世界。
    あたしには、ベトナム戦争は現在でいうイラク戦争。
    人間を人間と思わない世界。

    たくさんの人に読んで欲しい一冊。

  • 日経新聞夕刊 8/15/2012 読書日記 平山夢明

    烏兎の庭 第四部 箱庭 2.23.13
    http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto04/diary/d1302.html#0223

  • どうしてこんなに多くの人に読んで欲しいすばらしい本が、うちの市立図書館には書庫にしまわれてしまっていたのかなあ。

  • 小学生にも分かる平易な文章で書かれているけど、すごく戦争の残虐さ、恐ろしさが分かる本。

    実際にベトナムで人を殺してしまったネルソンさんだからこそ、日本国憲法第9条の大切さを純粋に訴えても、偽善者ぶった所がないというか、本当にその重要さが身に沁みます。

  • ベトナム戦争症候群。ベトナム戦争から帰還した兵士たちが、
    残酷な戦場での体験の為に社会に適応出来ずに家族からさえ
    も見放されて行く。

    著者もそのひとりである。父を知らない黒人家庭に生まれ、高校を
    ドロップアウト。海兵隊に入隊し、沖縄に送られそこからベトナムの
    戦場へ旅立った。

    18歳の不良少年は訓練と戦場での体験を通して、ベトコンを殺す
    マシーンと化して行く。しかし、あることをきっかけに彼は思い出す。
    「ベトナム人も自分たちと同じ人間なのだ」と。

    23歳で除隊した著者は、ベトナムの悪夢にうなされ家を飛び出し
    浮浪者となる。そんな時、教師となった高校の同級生と偶然再会し、
    彼女が教鞭を取る学校でベトナム戦争について話して欲しいと
    請われる。

    逡巡し、最終的に受諾した著者は子供たちの前でベトナム戦争について
    語る。そして、本書のタイトルとなった質問が浴びせられる。「ミスター・
    ネルソン、あなたは人を殺しましたか?」。

    少女の質問に「YES」と答えた著者。その著者を少女は抱きしめる。
    「可哀想…」とつぶやいて、泣きながら。

    体験したことを語ることが、あの凄惨な戦争を生き延びて来た自分
    の責任ではないのか。著者は何度も日本を訪れ、子供たちに戦争
    体験を語った。そして、国会で問題になっている沖縄の少女暴行
    事件に心を痛め、海兵隊の沖縄からの撤退運動にも積極的に
    関わる。

    国の為に心に大きな傷を負い、それでも語ることで戦争を憎んだ
    著者は2009年3月26日、61歳で白血病の為にこの世を去った。

    メディアの人間が書いたベトナム戦争関連の作品は何冊も読んだが、
    本書は実際のベトナム戦争を戦った海兵隊員の体験として貴重な
    1冊だ。

    子供向けに発行されたものの文庫化。確か漫画も出ているはず。でも、
    文章で読んで欲しいね、大人にも子供にも。

  • 僕はこの本を週刊少年マガジンでコミカライズされていたものを読んだのがきっかけでした。ベトナム戦争で起こっていたことは決して過去のものではないということを痛感させられます。

    この本のことを最初に知ったのは『週刊少年マガジン』誌にてこの本のコミック版が掲載されていたからです。いまさら僕がこの場で言う事ではないけれど、現在のアメリカはイラクにおいて、ここに書かれている事に非常に似たようなことをやっていましてね。具体的な例は挙げませんが。

    著者のアレン・ネルソン氏は貧困層出身のアフリカ系アメリカ人で、貧困から抜け出すために海兵隊に入隊し、「コール・アンド・レスポンス」をはじめとする『殺人者』になる訓練(詳しくはスタンリー・キューブリック監督の映画『フルメタル・ジャケット』を参照して下さい。)を受けた後、戦場のベトナムに派遣されます。そこで見たものは、悲惨な戦争でした。

    ベトナム人を『グークス』とよんで、一切のためらいもなく残虐な諸行をする兵士たち。そんな修羅の日々の中で彼が人間性取り戻した出来事が捕虜のベトコン兵士に
    「なぜ、あなたたちはわたしの国にいて、わたしたちを殺しているのですか?わたしたちは自由のために戦っています。あなたたち黒人も自分の国では自由すらないではありませんか」
    といわれたことと、戦場で少女の出産に立ち会ったときだったそうです。

    戦場から帰還した彼は酒びたりとなり、ホームレスにまで転落しました。その日々の中で、学校で戦場体験を聞かせて欲しいという依頼があって赴いたある小学校で質問されたのが
    『ネルソンさん、あなたは、人を、殺しましたか?』
    だったそうです。ベトナムで行われていたことは決して過去のことではなく、形を変えて現在でも脈々と行われているのだということを知るためにはいいのではないのでしょうか?

  • もとが児童書?というだけあって、まず文章が読みやすい。
    そして淡々と誠実に、戦争中の体験と向かい合っていることが、逆に戦争の悲惨さを引き立てている。
    ただアレンさんのように、自分の行いを省み、きちんと言葉にできる人はそういないだろう。
    アレンさんは高校の同級生との出会いから、自分の道を決め、最終的に教育まで受けた。
    その陰には、言葉にする術さえ持たず、苦しんでいる方が多数いるのだ。戦争は被害者も加害者もない。
    誰もが傷を負う。

  • とても読みやすいのにとても深い。ベトナム戦争のことは学校でしか習っていなかったが日本にも深いかかわりがあったのだということがわかる。命の尊さを再認識できた。

  • ベトナムでのこと

    枯れ葉剤の被害者たちが何世代に渡って苦しむことをテレビで見た

    奇形児の数々

    それでこの本読んだ
    戦争は戦争しか産まない

  • 導入から泣けます

    でも、ただ泣けるだけの物語として読んじゃいけないんだと

  • 元ベトナム帰還兵アレン・ネルソン氏の自らの体験をつづった
    著書。

    帰国後、PTSDを患い、勲章を受けたにも関わらず黒人として
    差別を受け、家族にも見放されてホームレスになったネルソン氏。

    そんな彼に手を差し伸べたのは小学校の先生をしている
    かつて同級生だった女性。彼女のクラスに招かれた氏が
    生徒の一人に問いかけられる。

    「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」

    生い立ちから海兵隊に志願するいきさつ、ベトナムに向かう前の
    沖縄での訓練、ベトナムでの生活、そして帰還。

    特にリアルに迫ってきたのは、偶然ベトナム女性の出産に立ち会ったときのこと。常に死と隣り合わせに生きてきた海兵隊員とって、「生」はとっくに忘れ去られた感覚だった。

    晩年は平和運動家としても活躍したが、昨年に死去。
    ベトナムで浴びた枯葉剤の影響とか。今は石川県加賀市の
    寺院に納骨されているとのこと。

    戦争を体験したことによるPTSDの症状は想像以上にすさまじい
    。先日見た映画「キャタピラー」もやはりPTSDに悩まされる
    軍人の物語だったので、よりいっそう迫るものがありました。

  • 父親からもらった1冊

    ベトナム戦争のお話です
    戦争の現実
    ベトナム帰還兵が語られています

    胸に様々な感情がこみあげてきました
    日本にも触れられています

    この本を薦めてくれた父に感謝です

  • 小説に解釈される前のナマの体験が見たくて買いましたシリーズ。「イングロリアス・バスターズ」からの流れかもしれない。
    親本は児童書。著者は元海兵隊員で、米軍基地反対&九条改正反対の運動に招かれて何度か日本に来ているようだ。あとがき的に巻末についてる関係者の寄せ書きはまあ、真っ赤っかに市民運動臭ぷんぷんなんだが、本文はイデオロギーから自由な普遍的によいものであった。簡潔で誠実。
    シリーズ続きは「ケアをひらく」の中のどれかになるだろう。『逝かない身体』とか。

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