カシオペアの丘で(上) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062766302

作品紹介・あらすじ

重松清のすべてがここにある。渾身の長編小説
平凡だけど、幸せな日々だった。これからもずっと幸せでいられると信じていた。

丘の上の遊園地は、俺たちの夢だった――。肺の悪性腫瘍を告知された39歳の秋、俊介は2度と帰らないと決めていたふるさとへ向かう。そこには、かつて傷つけてしまった友がいる。初恋の人がいる。「王」と呼ばれた祖父がいる。満天の星がまたたくカシオペアの丘で、再会と贖罪(しょくざい)の物語が、静かに始まる。

感想・レビュー・書評

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  • 今回は以前から読みたいと思っていた「カシオペアの丘で」を読みました。
    4人の幼なじみが中心の話でしたが、テーマは「生(死)」と「家族」、「友情」でした。
    40歳という若さで癌のために苦しむ「シュン」。
    余命を宣告されてから、どのように「死」までを生きていくか。
    子供に どうすれば父親として伝えなければならないことを伝えることができるのか。
    病気で一番苦しい所を逃げも隠れもせずに 真正面から描ききっています。
    読んでいる間 ずっと涙が溢れてくる作品でした。

  • 癌ので亡くなる設定と、出てくる女性達にあまり共感出来ず。ただ、やっぱりどんどん読み勧めたくなる。行った事の無い知らない場所でも、読んでいるだけでそこに自分もいるような気持ちになる。

  • 「ゆるしたい相手を決してゆるせずに生きていくひとと、ゆるされたい相手に決してゆるしてもらえずに生きていくひとは、どちらかが悲しいのだろう」

  • 下巻へ

  • 子供に先立たれ妻に裏切られた男性と、子供と妻を遺して死ななければならない男性と、複雑な事情を抱えた4人の幼なじみの話。

    中学生の頃に1度読んだことがあり、今回は2回目。
    看護学生になってから読み返すと中学生の頃とは違った視点と想いで読むことができた。

  • 赤字続きで閉園間際の遊園地の園長トシとその妻ミッチョン。がんで余命幾許もないシュン。妻の不倫相手に愛娘を殺された川原さんと関わる雑誌記者のユウ。幼馴染の4人が再び生まれ故郷に集い、友人の死に向き合う。暗い内容に嫌気が差しそうになったが、一方で家族や友人たちへの愛がしっかりと描かれており、下巻でどう決着するのかが楽しみになった。

  • ひとまず上巻読み終わったので、簡単に感想を。
    すごく情景が思い浮かぶ小説!
    ずっしり重くて内容が詰まってるからまさに日曜劇場とかになりそうな感じ。

    全体の感想は下巻読み終えてから書くことにして、久しぶりに読んだ重松清は、読者に伏線?をすごくアピールする人だなぁと思った。
    最近、読んだ作品はどれも気づかない程度に伏線置いてる感じだったので新鮮。小説の書き方も流行り廃りがあるのかな。

    上巻時点ではまだシュンとミッチョが大学生の頃付き合ってたことはわかったけど、なぜシュンはミッチョに会えないと思ってるかは謎のまま。

    でも、青春ぽくて切ないのは、大学時代の回想シーンでアサガオが昼にしぼむのが悲しくて朝方からふたりで咲くのを待ってるっていうシーン。なんかすごく素敵だった…胸がギュンとする感じ。
    愛を表現するのに、キッチン含めて六畳しかない部屋で2人で暮らしてるってところもいいなぁと思った。

    下巻も楽しみ。

  • 「カシオペアの丘」という北海道の遊園地と隣接する北都観音に、いろんな人たちの過去や思いや関係性がからみついていて、とても奥行きのある話だった。
    主な視点はガンを患った俊介であるが、読む人によってどの登場人物に感情移入していくかはわかれるところだと思う。
    かつての同級生たちとの別れから再会までが物語の多くを占めているが、私はかつて王と呼ばれた俊介の祖父・倉田千太郎が北都に与えてきた恩恵や非情さから、俊介がどういった人生を歩んできたかのエピソードがいちばん印象に残った。
    倉田千太郎は悪ではなく、大きすぎる正義であり、それを根底では理解しているが納得して受け入れることのできない俊介の気持ちが、読んでいて痛々しくもありグッとひきこまれる点でもあった。

    『下』では老いた千太郎と俊介がどういった最期をとげるのかに注目したい。

  • そうだったな。僕だってそうだった。学生時代は、おとなの存在など目に入らなかった。背広にネクタイ姿で会社に通うことが、ちょっと考えればなによりもリアルなはずの未来だったのに、それを自分と結びつけることはなかった。身勝手なものだった。人より図抜けた才能や強烈な野心があるわけでもないのに、ひととは違う人生を歩むんだと決めつけていた。ずうずうしかった。甘かった。若かった。すべてをまとめて、要するに、生きることに対して傲慢でいられたのだと思う。

    まだたっぷりと残っている手付かずの未来を前に、今日をむだづかいしているような恋人同士の笑顔は、いつの時代の、どこの街でも変わらないのだと思う。
    そんな日々は、いつか終わる。僕はそれを知っている。だが、いつか終わってしまうんだと知らないからこそ、いまがいとおしくなるんだということも、おとなになればわかる。

    ゆるしたい相手を決してゆるせずに生きていくひとと、ゆるされたい相手に決してゆるしてもらえずに生きていくひとは、どちらが悲しいのだろう。

  • 上下巻ともに読了。
    読み応えあるが、感情移入してしまい、あっという間に読んでしまった。
    ページをめくる手が止まらない。涙も止まらない。

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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