妖怪アパートの幽雅な日常 4 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062766739

作品紹介・あらすじ

夕士、高校2年生。魔道士として人として、レベルアップの夏!

夕士、高校2年の夏休み。魔道士の修行がレベルアップされ、息も絶え絶えな日々。バイト先の運送会社でコミュニケーション不全の新入りに活を入れ、自殺未遂の小学生を説得し、アパートにいながらにしてとてつもない超常現象に巻き込まれて大忙し!そして夏が終わる頃、世界はまたひとつ広がっている。

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ第四弾。
    新人魔道士として修行を続ける主人公、稲葉夕士。
    高校二年の夏休みは、修行がレベルアップ!
    どんどん成長しているなぁ。

    今回はバイト先(運送屋)でのエピソードが登場。
    大学生の新人バイトをめぐる、コミュニケーションについてのお話。
    「近頃の若い奴ときたら、全く訳わかんねぇ」と、社長や社員のオッサンらは言う。
    そんな、コミュニケーションが苦手な大学生バイト達だが、徐々にオッサン達の輪に入るようになっていく。
    本当にね、人生の先輩達の話しを聞くのって、面白いと思う。(この年齢になってもまだまだ先輩はいるのです)
    同年代の友達とは全然違う会話が出来るし、何しろ色んな分野においての経験談がすごい。
    でも私自身、積極的に人の輪に入っていけるタイプじゃないから、この大学生バイトの気持ちは良く分かる。
    うんうん、この一夏で成長したな、って微笑ましい。

  • しばらく間が空いたので、このテンションの高い世界に戻るのに時間がかかった。
    今回は大きな流れが3つ。
    1.魔道士としてのレベルを上げるため、修行もレベルアップされた話
    2.バイト先の新人たちがコミュニケーション不全な話
    3.自殺未遂の小学生を説得した話

    このうち2と3については、自分の知っている狭い世界の外に出て行けない若者(小学生も含む)に、上辺の言葉のやり取りではなく、生の言葉を、身体に伝わるような言葉をかける夕士。
    夕士はそれを、妖怪アパートに住む大人たちや、バイト先のおっさんたちに教わった。
    「親しい人以外と話すのは苦手」でも、苦手だからってコミュニケーションをとらないわけにいかないのだ。
    だったら、ちゃんとコミュニケーションを取ろうよ。

    そして小学生には、世界は広いこと、自分の可能性は無限であることを、大人たちと接することで知っていかなければならないと伝える。
    自分一人で生きていこうと思っていたことのある夕士だからこそ、コミュニケーションの大切さが身に染みている。

    そして、夕士の成長が、魔導士としての成長と重なった時、ちょっとすごかったですよ。
    まあ、あんまり人外に寄っていかないでね、とも思いますが。

  • 当たり前の理屈なんだけど、そうきれい事で終わらない。それでも言葉にされると、そうだよねと思う。

  • 今回も一気読みでした。そして今まで以上に4巻は気になる言葉がたくさんありました!
    でも、一気読みしたからメモしてない(-_-;)
    唯一探し出せたのが次のセリフ。
    「迷っても悩んでも、それを乗り越えようともがき、あがく者には、必ず救いの手が現れる。たとえ、それで問題は解決しなかったとしても、もがくこと、あがくことで、世界はひろがってゆくんだ」
    再読して気になる言葉をメモしたいなぁ・・・

    高校2年の夏休み。
    夕士の魔道士の修業はレベルアップし、バイト先ではコミュニケーション不全の新人の世話、自殺未遂の小学生の説得と大忙し日々を送る・・・

  • このシリーズを読むときの教訓。

    各巻のいたるところに、とても勉強になる言葉や教訓がつまっている。
    が、それに期待しすぎないこと。
    「どんな善い事がかいてあるだろう?」なんて色眼鏡でこの本を読まないこと
    。 その時のまっさらな気持ちで、素直に言葉を受け止めるようにして読むのがいいと思う。
    スッと入ってきた言葉が、そのとき自分に足りないことだったり、悩みを解決する糸口になると思うから。


    このシリーズを読むときは、気をつけようと思った。
    それくらい大切なことがたくさん書いてある。

  • バイト先の話が初登場。
    ここの大人たちも、妖怪アパートの面々と遜色なく愛情に溢れている。

    殆ど喋らずメールばかりしているバイト先の大学生、
    自殺すると騒ぎ立てる異常に大人っぽい小学生。
    こういうタイプの人たちは現実に覚えがあるので
    読み始めはものすごく切なかったんだけど
    この人たちが話の分かる、しかもものすごく吸収率のいい人たちだったので
    たとえ現実離れしていても嬉しかったし、清々しい読後感だった。
    とくに小6の有実ちゃんの吸収力はハンパない。
    このまま真っ直ぐ育っていってほしいと願うばかりである。

    幽霊が成長する、というのも変な話だが(笑)
    クリちゃんの成長振りも見ていて微笑ましかった。
    まさか寝ている間に顔に落書きをするようになるとは。可愛すぎる。

    このシリーズのカテゴリが『児童文学』に分類されるということを
    解説を読んで初めて知った(遅)。
    児童文学にしては生々しい描写もたくさんあるような気もするが
    妖怪アパートの住人やバイト先の人たちのような
    人生の指標になるような素敵な言葉をくれる大人がたくさん出て来る理由が
    なんとなくわかったような気がした。
    なんとなく、だけど。
    自分もこういう素敵な大人になりたかったなーなんて。

  • 夕士くんのレベルアップ!な夏。
    『普通に考えて当然できるだろうこと』が出来ない若い子が増えている。わからないことは質問したり、きちんと相手の心を汲み取って、自分もそれに見合う何かを返すことだったり。コミュニケーション能力の欠如。
    そんな子達が、変わっていく青春の夏を、夕士の視点で眺めている。
    うーん、説教くささが鼻に付くと言う人もいる本シリーズだけど、確かに穿って見るとそうかもね。その巻はかなりそうだった。
    でも、納得の行く話だし、心に残る言葉も多かった。
    コミュニケーション能力が欠けてる若い子って確かに多い気がする。マニュアルに従うだけで、工夫出来ない子。人との関係が上手く作れない人。
    学校だけじゃなくて、もっと色んな世界があるはずなのに、その窓を開けようと思いつきもしない子供たちに、ほんの少し手を貸すには、どうしたらいいんだろう。
    そんなことを考えさせられる巻でした!

  •  怪しげな妖怪たちと、ワケありの人間たちが同居するアパート寿荘(通称:妖怪アパート)で、日々修行(?)しながら、成長していく高校生稲葉夕士の物語『妖怪アパート』シリーズ第4弾

     今回は夏休みに入った夕士が、秋音の指導の下、本格的な修行に専念するところからスタート。バイト先の運送会社の無気力なバイト学生との仲介を頼まれたり、自殺願望の小学生を救ったり、思いもよらぬことに巻き込まれながら、考え、悩み成長していく夕士。
     一番考えさせられたのは、バイトの学生たちの言動。コミュニケーション能力の低下とかいう以前に、基本的なことが欠落していることに危機感を感じました。たとえ本人たちに悪気がなくても、「気がつかない」ことは許されることなんだろうか。しかも、こんなことは往々にありそうな気がして、空恐ろしくもなりました。まっとうな「感覚」ってすごく大切。でも、それってどうやって育つんだろう。
     世界を広げるは、「視野を広げる」ことでもあるはず。いろんな価値観を知ること、目の前のことから目をそむけないこと、本をたくさん読むこと、分け隔てなくどんな人(こと)からも学ぶ姿勢。小さくまとまってちゃダメなんですね。

  • 今回のテーマは耳が痛かった。
    つい最近仕事中に想像力不足が故に失敗して、もっと考えて動かないとな、と個人的に反省したばかりだったので特に。

    悩んだり失敗したりすることはあっても、それに気づいて考えたり足掻ける人間でありたいとこの巻を読んで思いました。
    無関心、無感情にはなりたくないものです。

  • 2023/07/02

    夕士の忙しい夏休み。色んな人といろんな事件に巻き込まれながら成長してく。ルリ子さんの料理たべたい!!

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著者プロフィール

和歌山県生まれ。本シリーズの第1作目で産経児童出版文化賞フジテレビ賞受賞。「ファンム・アレース」シリーズ(講談社)「大江戸妖怪かわら版」シリーズ(理論社)など、YA(ヤングアダルト)小説の作家。

「2023年 『妖怪アパートの幽雅な日常(26)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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