- Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062767163
作品紹介・あらすじ
父が飛龍想一に遺した京都の屋敷-顔のないマネキン人形が邸内各所に佇む「人形館」。街では残忍な通り魔殺人が続発し、想一自身にも姿なき脅迫者の影が迫る。彼は旧友・島田潔に助けを求めるが、破局への秒読みはすでに始まっていた!?シリーズ中、ひときわ異彩を放つ第四の「館」、新装改訂版でここに。
感想・レビュー・書評
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シリーズ第四弾「人形館の殺人」
今までの館シリーズとは空気感が異なっていた。.....いや、タイトルからして怪しいと踏んではいたのだが、むむぅ、やはり人形館のオカルトな響きは常に纏っている状態である。がっつり苦手分野だ。
変わり者芸術家と評された父、飛龍高洋の死後 、住居兼アトリエであった屋敷を引き継いだ息子想一は義母 沙和子とその地で生活をする事となる。その屋敷では生前の父が取り憑かれたように作り上げた幾体もの人形が滞在していた。それも必ず四肢の一部が欠損した状態で。顔は頭部のない人形を除けば全て「のっぺらぼう」だ。いやはや、もう羅列する単語が怖い。
今回も言わずもがな、伏線の網が至る所に張り巡らされている。警戒しようが深読みしようが蜘蛛の巣に1歩足を踏み入れた時点で時すでに遅しだ。ましてはオカルトに脳内を侵食された時の私の注意力は芋虫並である。芋虫さんには申し訳がないが、ただ喰われるのを待つのみだった。
ここ京都にて想一は、叔母である母親替わりの沙和子以外に知り合いはいない。更にこの地では現在進行形で幼児のみを狙う連続殺人が起きていた。
この不穏な空気を更に濃ゆくするのは密室のアトリエ内で二度、「殺された」顔のないマネキン人形の存在だ。そして想一宛に何度も届く差出人不明の謎の手紙と、その内容に比例した数々の悲劇。想一は「誰か」に命を狙われているとしか考えられない。
現地で再開した友人、架場久茂が唯一の相談相手だったが、究極にまで追い詰められた彼は旧友 島田潔 に助けを求める事となる。果たして、探偵 島田は破局への秒読みがゼロを差すまでに彼の元へ辿り着けるのか...!!!
想一の消された「過去」の因果、そこから明かされる復讐者の動機、そして全ての真相と、後半は睡眠欲を彼方へ蹴散らす圧倒的なスピード感であった。
やはりこの惨劇は、奇矯の建築家 中村青司が手掛けた館故の運命だったのだろうか... 。
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館シリーズは深く内容を追求出来ないので抽象的な感想となってしまうのが無念なのだが、せめて最後にオカルト嫌いな同志達のために注意喚起を。
「マネキン人形の意味」を学習した読了組は皆通った道かと思いますが、
改めて表紙をよく観察してみると、
全力で後悔することとなるので辞めましょう。
いや人形もなんだけど、木とかね、なんか普通にシンプルに軽やかにビクッてなりますからね、本当に、お気を付けて(誇 ´•ω•` 張) -
今回の館は、京都。本邸は日本家屋と今はアパートとして賃貸している離れの洋館の「緑影荘」。
彫刻家であった亡父の残した、マネキンが所々に置かれた通称“人形館”
前3作とは、趣が変わります。
館シリーズに混在させて良いのか疑問に思うほど。スピンオフ的。
まず、この館を中村青司が設計したのか、改築したのか、しばらくわからないです。そして、ここが重要でした。
作品の雰囲気は、古都、日本家屋、クラシックなアパートメントと、好みなんですけども。この館なら住みたいくらい。
主人公が幼児期のトラウマに悩まされて、それと現在の殺人事件との関係が徐々に見えてくるのですが、実態が根底から否定となると、ミステリーではないかな。
それよりも、解説で、宮部みゆきさんと綾辻行人さんが誕生日が同じで、1992年に第45回日本推理作家協会賞を同時受賞したという方がミステリだと思った。ファンには周知のことだったか。
知らなかったので、びっくりしました。
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俺と真逆や。
極力作者の写真等は見ないようにしてる。
偶然目に入ってしまったらすぐに目を背けるわ。
理由は……自分でもよくわからない。...俺と真逆や。
極力作者の写真等は見ないようにしてる。
偶然目に入ってしまったらすぐに目を背けるわ。
理由は……自分でもよくわからない。
2023/11/30 -
まったく知りませんでした。
宮部みゆきのファンなんですが‥‥。
ちなみに、宮部みゆきとは同い年です。
だからこの年代は、高度成長のいい時期の...まったく知りませんでした。
宮部みゆきのファンなんですが‥‥。
ちなみに、宮部みゆきとは同い年です。
だからこの年代は、高度成長のいい時期のまま、いい大人になって、大変な時代の制約を受けていないんです。そこんところがコンプレックスというか、だからこそ書けるものはあるのか、というのが宮部みゆきを追っている一つのモチベーションになっています。2023/12/06 -
kumaさん、こんばんは。
熊本旅行充実でしたね。
主人が、熊本出身ですので、このところ毎年、法事で帰省しているのですが、誰も私に自由時間を...kumaさん、こんばんは。
熊本旅行充実でしたね。
主人が、熊本出身ですので、このところ毎年、法事で帰省しているのですが、誰も私に自由時間を与えてくれないので、どこにも行けません。
熊本に遺跡があるのを知りませんでした。
来年あたりは、どうにか家に帰ったふりをして、せめて修復された熊本城あたりは、行きたいものです。
宮部みゆきさんと同い年なんですね。ということは、綾辻さんともですね。^_^
それで、宮部みゆきさんの作品は、よく読まれているんですね。
確かに昭和の好景気を知り、バブルを知り、徐々に高度化していく事務機器の歴史を知り、贅沢な世代かもしれません。
それにしても、誕生日が同じって、凄いです。
ふたりのこれからも気になります。2023/12/06
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じわじわと迫り来る犯人の影…
終始ドキドキしなが読み進めました。
想像の遥か上をいく真相に、またしても、やられた〜となりました。
館シリーズ、どれもほんとに面白い! -
館シリーズ第4弾
今までで一番あっさり読めた気がする。
あまりトリックや考察を必要とせず、ただただ不気味なことが次々起こる。
しかも今回は館内ではなく外でも事件が起こり範囲が広い点も今までのシリーズとはちょっと違う雰囲気を中盤で薄々感じる。
最後は一気に種明かしがされて、あーやっぱり。といった具合になった。
スピード感があり面白かったがサイドストーリー的ななにかという印象。
あと友人はやっぱり知ってて破滅を傍観してたなと私は思うな。
読み終った直後の私:島田さんをもっと登場させて! -
館シリーズ4作目を読了。
過去の3作とは異なるテイストの作品で、僻地にある館ではなく京都市内が舞台になっており、ザ・ミステリー小説感は若干抑えめで、日常の生活の中で起きる事件という感じです。
ただ、今作もしっかり仕掛けが用意されており、過去作を読んでるからこそ楽しめる作品だなと思います!
毎作、新たな仕掛けに挑戦していて、新鮮な驚きと楽しさを感じられて素晴らしいシリーズ作品だなと再実感しました。 -
館シリーズの4作目。
とにかく“異色”だった。
島田潔の出番が全然なくて、びっくりしました。
過去に館シリーズを読んでいたので、今回もどこかに秘密の通路があるんだろうなあと思い、探しながら読んでいました。
密室のアトリエでマネキンたちが動かされていた時は、このアトリエに秘密の通路があるのかと思ったけど、最後はしっかり予想を裏切ってくれました。
しかし、結末の部分に関しては途中ところどころ違和感を感じながら読んでいたので、前作に比べると衝撃度は低かったです。
次作の『時計館の殺人』は名作との呼び声も高く、とてもたのしみです。
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飛龍想一。
育ての母、沙和子とともに、父で彫刻家・飛龍高洋が残した、京都の『人形館』に越してきた。
父・高洋が作った、顔のない人形が飾られた『人形館』に。
京都では、連続児童殺害事件が…
想一にも脅迫状が…
そして、何者かに沙和子が殺害される。
想一は、旧友・島田潔に助けを求める…
『人形館』も中村青司によるからくりがあるのか…
誰が想一を脅迫しているのか??
想一が思い出そうとしても思い出せない、子どものころに犯した罪は…
いつも通り、からくりが見つかったと思いきや…
そうだったのか…
まさか、そんな結末とは…
まったく予想していなかった結末で…
こんな結末もありなのか…
なかなか斬新だった。
島田潔の出番がなかなかないなと思ってたら、結局…で。…だけだったとは…
でも、精神疾患で無罪なのか…
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館シリーズ第4作目。
本人も言ってますがとても異色作です。
4作目にしてこれをやるか…と驚きました。
大好きです!
拍子抜け感はありますがそれこそが本書の魅力ですね。
やられました。 -
やっぱり館シリーズは面白い
画家の飛龍想一は、亡き父が残した京都の屋敷に引っ越すことに。その屋敷は、顔や体の一部がないマネキン達がいたるところに置かれた屋敷だった。
ある日、想一の身の回りで嫌がらせが起こり始める。自分を狙っている者がいることに気がついた想一は、誰がなんのために?と考えるが、危険は刻一刻と迫っていた。
想一は昔の友人である島田(シリーズにおける探偵の立ち位置の人物)に相談するが‥
‥‥‥
いつもの館シリーズと違う感じ。
想一の視点と、想一を狙う脅迫者の視点で物語は進んでいく。
館に何か秘密があるのか?と疑いながら読み進めていったが、予想を上回る真相にびっくり。
読み終わったあとに、想一と島田のやりとりを振り返るとぞっとする
2024年2月23日 -
館シリーズ4作目
邸内各所に顔のないマネキン人形の佇む「人形館」に住むことになった男が、姿なき脅迫者の影に脅え、旧友であり、シリーズの探偵役でもある島田潔に助けを求める作品。
公式の作品紹介に「異彩を放つ」と書かれているが、正にそのとおりの作品だった。
なんとかトリックを解き明かそうと思いながら読み進めていたが、これまでの「館シリーズ」とは異なる性質のトリックにまんまと引っ掛かってしまった。
見事な大どんでん返しで、面白かった。
改めて、読者の先入観、小説という媒体の特性を自由自在に操る著者の力量に感服した次第である。
うふふ、逆にHAHA...
うふふ、逆にHAHAHA!と笑っていただける方が嬉しいので普通に喜んでしまいました。お褒めの言葉とお気遣い、ありがとうございます♪
まーちゃんさんの「天久鷹央シリーズ」のレビュー毎回楽しく拝見しております!!これからも楽しみにしてますね♡