敗走記 (講談社文庫)

  • 229人登録
  • 3.73評価
    • (11)
    • (27)
    • (24)
    • (2)
    • (0)
  • 26レビュー
著者 : 水木しげる
  • 講談社 (2010年7月15日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062767385

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部 みゆき
武良 布枝
村上 春樹
三島 由紀夫
村上 春樹
三浦 しをん
水木 しげる
有効な右矢印 無効な右矢印

敗走記 (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

  • あとがきから察するに、ほぼ実話、少しフィクション、のようです。
    ほんとうはきっと耳を覆いたくなるようなひどい話、つらい話をいっぱい見聞きされてこられたのでしょうが、その中からこれらの話を選んで漫画にしてきた水木さんの思いのようなものを考えてしまいます。
    悲しい物語もどこかこっけいな描写があって、読むのがそんなに辛くなく、過酷な状況で忘れられがちな「人の誠実さ」「友情」「家族愛」が、決していつも損なわれてばかりではなかったことなどを教えてくれます。
    前にも思いましたが、漫画というメディアは、かつて日本が我を失い袋小路に迷い込んでしまった戦争の体験を伝えるのに非常に向いていると思います。
    特に水木さんの漫画は、少しトボけたような明るい雰囲気があって、「戦争のことを知ろう!」なんて気負うこともなく、読むことができます。それでいて戦争の本質みたいなものはしっかりと伝わってきて、心の奥に残ります。

  • 一言足りとも反戦云々言わずして戦争の不条理と滑稽さ、残酷さを書き連ねた傑作短編集。
    旗の話とか泣きたくなってくる。

  • 「生死の境に美談あり」人は死に直面すると、仏にもなるし、鬼にもなるんだろう。南方での兵士の日常の数々。多少フィクションもあるようだが、これは体験者でしか語れない内容。映像だと派手な戦闘シーンや美化されたものが多いが、こういう漫画は貴重な資料になる。

  • (01)
    標題の短編のほか5編が収録されている.いずれも太平洋戦争の南方戦線が舞台となっている.
    おそらく著者本人が描いたであろう背景の細密が印象的で,南や黒を感じるタッチであり,テーマ(*02)にも即している.その背景に比べると人物や表情は戯画化されシンプルであるが,飄々さ,戦場をさまよう亡霊といった感じがよく出ているように思う.
    擬音表現も興味深い.それは背景でもなく人物でもない,セリフでもないし,説明の地の文でもない,その擬音たちが細密な背景にうまくデザインされて配置され,漫画を芸術として昇華させている.

    (02)
    無論,反戦の立場から戦争の悲惨さを描いた作品として読んでよいと思うが,戦争礼賛まではいかないものの戦場の美談といったテーマも扱っているところに著者の冷静が表現されているように思う.また,戦場となった南方の現地人,風土風物への言及にも著者ならではの視線を感じる.

  • 2010年(底本1991年)刊行。戦時中の体験(第三者のそれを含む)・見聞した状況をマンガで描出した短編集。飄々とした人物(性格面のみならずビジュアル面でも)と、それと対比的なリアルな戦場場面・メカニック。これらが台詞回しの可笑しさや暖かい人間関係が限定空間に止まることを暗示しているのか。光人社文庫や学研M文庫にあるような情景とは異質の、そしてリアルな戦場が描かれている。著者自身によるあとがきも、本書の内容にうまくアクセントをつける。

  • 自身の体験だけでなく取材した話を元にした短編集。「総員玉砕せよ!」での非合理さは影を潜めるので、単にストーリーとして面白いと思えた。こういうところにも水木しげるの漫画家の才能の高さが伺える。

  • 水木しげる先生の短編集。
    最近、こういうマンガ読んでなかったから、面白かった。生々しい。そして、考えさせられる。
    マンガなのに読むのに時間がかかるけど、ぜひ一読をお勧めする。

  • 絵も好きです。
    このごろの漫画は顔近すぎ。。。

  • 詩人杉山平一さんの「わが敗走」(ノア)の負けっぷりがすげえ(3千人の工場倒産)。五輪の敗北などへのカッパ、人生のこやしだ。

  • 「ゲゲゲの女房」で近頃人気の水木しげる。書店に行くと、貸本時代の作品まで平積みで売られている。
    私はアニメの「ゲゲゲの鬼太郎」は好きだったが、水木しげるの漫画そのものを読んだ記憶がほとんどない。だって気味悪いんだもん。(笑)しかし、この「敗走記」と「総員玉砕せよ」はNHKのドキュメンタリーを見たこともあって、読みたくなり購入した。
    これほど悲惨でひどい話なのに、大変冷静に描かれていることに心をうたれた。感情を抑え、当時のことをできる限り間違いなく思い出そうという作者の意図が読み取れるからだ。作中のそこかしこに漂うペーソスとユーモアは水木ならでは。こういう人が生き残るのかと何となく納得してしまった。
    淡々と描かれているからこそ、戦争の残酷さや無意味さが実感として迫ってくる。

  • 「ごきぶり」がいちばん記憶に残った。

  • 戦争の不条理、悲惨さ。でも、どこかユーモラス。

  • NHK「ゲゲゲの女房」を見ている最中に購入。

    戦記文学にはあまり興味がなかったが、いやはやこの本はすごい。戦争の悲惨さを、漫画でリアルに描写。戦争はちっともかっこよくないことを知らしめる。

  • NHK 朝の連続ドラマ小説「ゲゲゲの女房」を見てて、水木しげる氏を
    非常に好きになり、ドラマ作中に出てきており、購入しました。
    ドラマにおける著者の戦争反対に対する思いに強く影響されたためか、
    期待が大きすぎました。
    戦争反対というテーマと絵のタッチのギャップを感じてしまいました。

    雲の絵を描いた点描は圧巻でした。

  • 著者が見聞きした話を再構成した話。南方の諸島で孤立する陸軍の兵士が主人公の話が主体。

  • 短編6編がまとめられた本書はどのストーリーも力強く、戦争の悲惨さ、むなしさを心に訴えかけてきた。 特に「敗走記」の命からがらの逃げ具合は、息をのむ。 よくこれで本当に生きて帰れたね!! 絶対、奇跡!!と驚いたし、「レーモン河畔」と言う本当にあった美談は、読んでいて心から嬉しくなった。 戦争と言う精神的に普通ではいられない環境と境遇の中でも、意外とこんな理性が働く時もあったのだ。。と深く心に残る作品だった。 水木先生の目的は正しく自分の見てきた戦争を語る事だったのだと思っている。 それによって私の感じた感想は、「やはり、戦争は間違えている」。 きっとこれでいいのだ。 この本の存在はそう言う事なのだ。水木先生、ありがとう。

  •  実戦で本当の辛酸をなめた人だけが書ける作品。戦争を知らないどこかの似非右翼にはない迫力があります。

  • 読み応えがあります。
    「ごきぶり」が一番印象に残ってるかも。
    一気読みしましたが、もう一度読みたくなりました。

  • 下手なテレビや映画よりもっと深いところで反応する部分がある。読み応えアリ。

  • ずっと読みたいと思っていました。戦争の酷さを語っています。私たちは、戦争に行かれた方々が語ってくれないとそこで何があったのか?わからないですものね。
    時代にのまれ込んでしまった多くの一般市民がいた事を忘れてはいけないと思います。

  • なじみのある水木しげるの絵で描かれた漫画なので、読みやすい。
    これは南方戦線での実話だけど、太平洋戦争の実話をもとにしたほかの作品もあるので、戦争を知るためにも読んでおくべき作品だと思う。

    「総員玉砕せよ!」のほうが、生々しさを感じた。

  • 朝ドラ「ゲゲゲの女房」で取り上げられ、急にAmazonでの売り上げが伸びた戦記漫画短編集。全体から浮かび上がってくるのは不条理。現地女性を慰安婦にする、しないという話もあり、衝撃的。戦地に赴いた作者ならではの物語ばかり。

  • (欲しい!) コミック・戦争

  • 他のシリーズも読みたいなぁ。

  • NHK朝の連続ドラマ『ゲゲゲの女房』も先週の100回を超えるあたりから、やっと何十枚も溜っていた質札を元に戻せるくらい収入が安定し、ようやく水木家にも貧乏神が去っていく兆しがみえてきたようです。

    つまり、すたれていく貸本屋マンガから時代は週刊マンガ誌へと移行、一部のマニアの間でしか読まれていなかった俗悪な貸本マンガ家の水木しげるも、何十万部という雑誌に掲載されるやいなや一気に読者層の拡大を得て人気沸騰、例のあのサンデーVSマガジンの火花を散らす闘いの鍵みたいな存在と目されていたようですが、でも、その狭間に「少年ブック」や「漫画王」や「少年」や「ぼくら」や「少年画報」や「少年クラブ」という月間マンガ誌の時代があって、マンガもさることながら付録についてくる忍者の極意を書いた巻物やなんかも楽しみのひとつだったと私の父などは言いますが、調べてみると、この月間というスタイルが時代のニーズに合わなくなって60年代後半にほとんど休刊や週刊誌との合併に追い込まれています。

    ただ、わずか10年前後しかない月刊誌の時期だったとしても、どうして水木しげるの活躍できる余地がなかったのか不思議です。

    それにしても、あの伝説の青林堂によるマンガ誌「ガロ」の長井勝一をモデルにした嵐星社発行のマンガ誌「ゼタ」の深沢洋一(演じるはわが村上弘明!)や、東考社による貸本マンガからインディーズ出版を極貧のなかで貫徹した桜井昌一をモデルとする北西社の戌井慎二(俳優は梶原善)、このふたりのような地位や名声や富を求めないマンガへの無上の愛と、マンガをみる確かな目がなければ今のこのマンガの隆盛も広汎な才能の開花もなかったような気がします。

    ところで、『ゲゲゲの鬼太郎』や『悪魔くん』だけが水木しげるではないと知っていても、なかなかその他のハードなものに手が伸びないのが水木ファンではない普通のマンガ愛好家というものでしょうが、それは絶対に惜しいと断言できます。

    というのは、彼の戦記物は同種の娯楽的に書かれたものと比べても告発的な体験者によるものと並べても、まったく異質な肉体的な水木しげるという個別な人間的なものにあふれたもので、それは、何も戦争の無意味さを訴えたり、もちろん格好よさを吹聴したりするわけではなく、ただあるがままに自ら経験した惨めさ汚さ空腹さ痛さ苦しさを書き表し、勝ち戦も負け戦もないただ死へと向かうだけの行進でしかなく、その残酷な現実と向かい合うためには天皇陛下万歳とかお母さんとか言ってはいられず、幾分は半狂乱気味にでもなって、森の精霊や石と遊んだり純朴な現地の人と交流したりしなきゃやってらんないとばかりに、戦争の真っ只中にありながら戦争そっちのけで、せっかく戦争で南島に行ったのだからと、ちゃっかり生来の妖怪趣味を活かしてちゃんと南洋編を編纂してくるあたりやはり水木しげるという人はとことん只者ではありません。

    願わくば、水木しげるの戦記マンガを読んで、一人でも多くの方が戦争を生理的に嫌悪する感性と肉体を持たれんことを!

全26件中 1 - 25件を表示

敗走記 (講談社文庫)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

敗走記 (講談社文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

ツイートする