中原の虹 (2) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062767422

作品紹介・あらすじ

半世紀にわたり、落日の清王朝を一人で支えた西太后が人生の幕を閉じようとするころ、張作霖や袁世凱は着々と力を蓄えていた。死期を悟った西太后が考え抜いて出した結論は、自らの手で王朝を滅ぼすということだった。次の皇帝として指名したのは、わずか3歳の溥儀。その悲壮な決意を前に、春児は、そして光緒帝は-。

感想・レビュー・書評

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  • 壮大だった…!物語が大きく動き、先が気になりすぎて、一気に読んでしまいました。あんな結末になるとは全く想像してなかったから、読んだ後驚きすぎて余韻がすごかった。

    西太后は、世間からはとんでもない悪女として知られているけれど、物語の中では誰よりも国民のためを思う、聡明で慈しみのある人物として描かれていました。ただただ天才としか思えなかった。
    反対に袁世凱は、いい人と思わせといてやっぱり自分のことしか考えられない最低なやつでした。好きになれなかった。今後は改心してくれ。

    日本に亡命したあの2人も出てきて、嬉しくなりました。またいつか活躍して欲しいなー。春児と春雲はもう大活躍だし、大物だし。いつかみんなで再会して欲しい!

    途中でカタカナと漢字だけ、ひらがなだけのページが出てきて、ほんと心くじけて読むのやめようかと思ってしまった。でもそこを乗り越えて最後まで読んで、本当に本当に良かった!

  • 張作霖や袁世凱ら軍閥が勢力を蓄えつつあった頃、死期を悟った西太后が考え抜いた結論は「清国は私が滅ぼす」ことにあった。 光緒帝(第11代皇帝)は、長い幽閉生活で健康を損ない、正気を失っており、列強諸国は清国の覇権を握るまたとない好機であり、西太后の死を待ち望んでいた。西太后は次の皇帝として指名したのは、わずか3歳の溥儀であった。・・・〝この国では、往古から何よりも大切な大義。天の命令。それさえあれば、この国が列強の植民地になることはなく、四億の民が奴隷にされることもありません。畏くも太后陛下と皇帝陛下は、テレグラムを用いて親しくご相談なされた結果、この大清国はお二方の代でおしまいにしようと、ご聖断なされました・・・〟

  • 2023年2月12日読了。

    面白くなって来た〜!!
    吉永少尉のお母さんが東京で文秀と玲玲夫妻と交友を保っていると知った時の鮮やかなまでの驚きがもう……!
    吉永少尉の亡くなったお父さんが漢学者だったなら、状元で登第した少爺のことを尊敬しないはずなかったんだ……
    ひとまわりも年の違う夫婦だが、柳川夫妻はまるでつがいの小鳥のように仲睦まじかった
    ありがとうございます〜!!!!

    そして2巻の最後まで読みました。慈禧様は少なくとも春児にとっては唯一無二の仏様だった。四億の民の一人である春児にとっては仏様だった。ああ。
    龍が死んでしまったあと、本当にこれからどうなるのだろうという気持ちばかりが焦ります。あと肇国の礼親王ダイシャン様が本当に優しくて大好きになっちゃった。慈禧様を労る方が一人でもいてくれて良かったなぁ。

  • 浅田次郎のこのシリーズ(だけじゃないけど)を読んでいると、日本語(漢字もひらがなも)って美しいなぁと感じる。
    美しい態度はより美しく、でも醜い態度もより醜く、感じるような気がする。

    中華とは真ん中に咲く華。文化。
    この認識を史実として西太后が持っていたのかはわからないけど、
    いま、誰もがこの認識を持っていたら、世界は平和なんじゃないかと思う。

  • 蒼穹の昴から物語に君臨し続けて来た西太后が、いよいよ覚悟を持って最期の舞台を整える。長い長い物語は何度も大きくうねりながら、歴史的瞬間を美しく描き出した。蒼穹の〜では春雲と蘭琴の義兄弟の物語がとても好きなので、彼の登場がとても嬉しかった…が…らんちーーん( ; ; )浅田さんは泣かせどころを忘れた頃に盛り込んで来るので、この難しい中華の物語を私のような不勉強の者にも読ませることができるのだと思うなぁ。ラストエンペラーが出て来た時には、ああーーー、そういう流れだったのかと。なんと切ない運命。

  • 2巻。蒼穹に出てきたキャラクターが次々と登場してきて面白くなってきました。
    文秀と玲玲が日本で夫婦として暮らしていて、しかも子供まで生まれていて、その子供が復生(フーション)という玲玲の婚約者だったタンストンのあざなで呼ばれていたのが泣けた。
    幽閉されている光緒帝と西太后が通信で会話するシーンに号泣。歴史に疎いのでどこまでが創作でどこまでが史実なのかはわからないけど、浅田次郎の描く西太后像はとても好きだ。愛情深くて強く美しい女性。春児の前でだけは子供みたいな素の顔を見せるところもチャーミングで可愛い。最初はただの暴君にしか思えなかったんだけどな。いつの間にか好きになってしまった。
    そんな西太后がついに身罷る。そして歴史が動いていく。溥儀という聞いたことのある名前が出てきました。いわゆるラストエンペラーというやつ。この壮大な歴史ロマンに触れた感じ、歴史の話は難しいけど、やっぱり面白い!
    2巻は他にも春児と蘭琴の対話など胸熱シーンがてんこ盛りでした。
    西太后を失った清の国はどうなっていくのか。兄弟の再会はあるのか。蒼穹のラストで毛沢東に出会った王逸も今後登場してくるかな。王逸好きなので。楽しみです。
    3巻に続く。

  • つらい…。
    歴史上の事実はどうぬるか知ってはいるものの、蒼穹の昴から読み続けた者としてはつらい展開だった。続きももちろん読むけれど。

  • ついに西太后が人生の幕を閉じようとしているなかで、この先をどうするのか次の皇帝をどうするの、それぞれの人の想いがたくさん詰まっていてその暖かさや忠義に涙が出てくる。

  • 李鴻章亡き後、皇帝も西太后の力も衰えたこの国の支配を目論む袁世凱の前に立ちはだかり存在感を増してゆく張作霖将軍。
    一方、清国の命運を握る西太后と光緒帝は列強からの侵攻を食い止め国と民を守るため密かに心を通じ合い驚くべき決断をする。そして遂にラストエンペラー溥儀が時期皇帝として指名される!
    広大な国土の中で繰り広げられる異民族の支配が続く中国大陸の長い歴史のなかで、植民地支配の波に翻弄される清国(中国)とその為政者の深く重い歴史。
    高校で習った歴史の内容はすっかり忘れてしまったがこのシリーズであらためて勉強させてもらった。この先も楽しみ。

  • もちろんこれは小説なのだけれど、西太后の印象を操作して貶めて自分達に有利になるようにする、というイメージ戦略は、いかにも植民地として中国を狙っていた欧米諸国(日本も同じ穴の狢だけど)がやりそうなことだと納得してしまう。もしかしたら西太后の実像はこちらにより近かったのかも?と思ってしまうと、彼女の最期の描写は胸に迫るものがある。西太后も光緒帝も気の毒すぎて…
    更に、日本がしたことを考えると、いたたまれなくなる。中国が列強の植民地になった場合の日本の立場を考えると切羽詰まるのも理解はできるが…うーん…
    近代史もちゃんと子供に教えた方がいいと思う。起きたことを受け止め、検証し、同じことを繰り返さないようにみんなで考えることは、とても意義あることだと思う。

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著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

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