- Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062767446
作品紹介・あらすじ
依田いつかが最初に感じた違和感は撤去されたはずの看板だった。「俺、もしかして過去に戻された?」動揺する中で浮かぶ一つの記憶。いつかは高校のクラスメートの坂崎あすなに相談を持ちかける。「今から俺たちの同級生が自殺する。でもそれが誰なのか思い出せないんだ」二人はその「誰か」を探し始める。
感想・レビュー・書評
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上下巻からなる辻村さんの作品では、作品世界のゆったりとした夜明けが見れるのが上巻の魅力です。この作品でもプロローグから本編へと一気に作品世界に引き込まれて行きます。
『どうやら俺は三ヶ月後の『未来』から来ました。』と語る依田いつか。本の紹介でも書かれることが多いようにこの作品はタイムスリップのことも取り上げています。しかもこの作品では冒頭の一章を贅沢に使って『タイムスリップとはなんぞや』を坂崎あすなの語りによってかなり丁寧に説明してくれます。
一方で、この作品の魅力は何と言っても辻村さんの描く学園風景。中でもう〜ん、そうだったよねと思ったのが『違うクラスの教室というのは、不思議だ。教室というのは、同じ学校なら部屋の作りは内装も大きさもほぼ同じなのに、いつの間にかクラス毎の雰囲気が色をつける。明確なよその家の空気。上がりこむことに一瞬、躊躇する。』という一節。外の世界から隔絶された学校内、そんな学校の中にはクラスという-国家-がクラスの数だけ形成されています。すぐ隣なのに簡単には入れない、同じ時間が流れているはずなのに醸し出されるスピード感も全く違う、あの独特な感覚。そのクラスという国家毎に存在するヒエラルキー。そしていつの間にか全員を拘束してしまうクラス独自の不文法に縛られる一年間。現在進行系の読者の方も含めて納得感を感じさせる学校生活が一定の方向性を伴いつつ描かれて行きます。
「冷たい校舎の時は止まる」と違って、いつか達は物理的には自由に動き回ることができます。でも何だか見えない壁を感じてしまう、広いようで狭い世界、それが学校。制約という壁に閉ざされ、自由なのに自由でない目に見えない閉塞感、何故か自分たちで自分たちの自由を縛りあう、それが学校生活。こういった部分含め「冷たい」と同じような雰囲気も強く感じられ、すっかりこの世界にはまってしまいました。
この作品を読むために、「凍りのくじら」「子どもたちは夜と遊ぶ」、「ぼくのメジャースプーン」と順を追って読んできました。事前の準備万端です。
ということで、辻村さんの上下巻ものの下巻で必ず味わえるであろうカタルシスへの期待が最大限に膨らんでいます。一度味わうと癖になる辻村さんの下巻。とても楽しみです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
展開云々よりもとにかく青春、懐かしい。当時の感覚そのままのタッチです。下巻もそのままいってほしい
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『光待つ場所へ』を読み始めて本作を読んでいないことに気づいてこちらに浮気。『冷たい校舎の時は止まる』ほどシリアスではない学園ミステリ。スクールカースト、いじめがメインテーマにも関わらず、他の要素もふんだんに盛り込んでいる。下巻も楽しみ。
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一体、誰なのか気になる!!笑
先が読めない!本当にタイムスリップしてるのかも、凄く気になる、、。
登場人物、一人一人がすごく魅力的で、なんだか秘密結社みたいで、おじいちゃんのお店に皆で集まって食事したり、水泳の練習なんかは、ちょっぴり羨ましささえ感じてしまう笑
秀人くん、掴めないキャラしてるな〜笑
面白かった! -
不可思議なタイムスリップで3ヵ月先から戻された依田いつか。
同級生の坂崎あすな達と共に自殺した同級生を探す物語。
他人からみたら信じられない現象でありつつも協力するクラスメイト達。
その中には「ぼくのメジャースプーン」から成長したあの2人の姿も。
知られざる他の生徒の実情から真相を探る形で前編は終わり。
後編もまた読んでみようと思います。 -
タイムスリップから始まった。
突然3ヶ月前に戻った高校生の依田いつかは、起こるであろう自殺を止められるのか?
ジャニ系モテ男、何事にも投げやりでいい加減ないつかが、自殺阻止へ熱い気持ちを持ち始め… 。
『ぼくのメジャースプーン』の登場人物リンクを予想しつつ、下巻へ。 -
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この作家さんは、読んでみたいと思っていたのですが、どれから読もうか迷っていました。コメント参考になります!この作家さんは、読んでみたいと思っていたのですが、どれから読もうか迷っていました。コメント参考になります!2020/05/29
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2020/05/30
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332ページ
1400円
4月26日〜4月28日
不可思議なタイムスリップで3ヶ月前から戻された依田いつか。これから起こる誰かの自殺を止めるため、同級生の坂崎あすな、秀人、天木、椿と共に放課後に誰かを探し始める。あすなの机の中に入っていた誰かのノートに、遺書と思われるものと、新聞記事のようなものが書かれていた。ノートの持ち主である基がいじめにあっていることを知り、なんとかしようと作戦をたてる5人。
本当は誰が自殺するのかを知っているのではないかと思わせる記述が気になる。いつかは本当のことを全部話していないし、中学時代の水泳での怪我も気になる。あすなもいつかに対して何か思うところがあるらしいわざとらしい記述が気になる。さりげなくないところが、丁寧なんだけど、やたら気にかけさせられた。 -
読み終わったのに記録し忘れてた…。
いつもは上巻は読むの苦しいけど、今回はそんなに苦しくなく読めました。
どうなっちゃう?って少し不安だし痛々しい。 -
『今から、俺たちの学年の生徒がひとり死ぬ。自殺するんだ。』と、3ヶ月後にタイムスリップしていた依田いつか。
でも、それが誰かはわからない…
自殺を止めないと。
同級生・あすな、いつかの親友・秀人たちを巻き込んで、対象者を探し始める…
対象者はいじめられていた、河野基…
ほんとにそうなのか⁇
いつかの中学時代の事故。
地元から離れた藤見高校へ通ういつかとあすな。
何か理由が…
いつかとあすな、名前にも何かが…
辻村深月ワールド。
いろんな伏線がはられてそうで…
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大好きなタイムスリップ系。
上巻はさらりと進む。
このままでは終わらない予感しかない。
下巻が楽しみ。 -
3カ月先の未来からきた依田いつかが、タイトルどおり未来で自殺した同級生を探し、自殺を止めようと奮闘する
他の辻村作品ほどのハラハラ感は、まだない -
読みやすいのですらすらと上下巻読める。
高校が舞台なので中高の学生さんにもおススメ。
「ぼくのメジャースプーン」を事前に読むのが良いです。
ぼくが秀人、ふみちゃんが椿
二人とも成長したなというのとふみちゃんが立派で感激します(笑)。
もひとつ「凍りのくじら」も事前に読むと良いです。
理帆子が写真家、松永がピアノ弾き
として登場します。
あと「スロウハイツの神様」のチヨダコーキもあすなの愛読書になってます。
エライ簡単に物事が進みすぎるよな、、、こんなわけないよな、、、
という状態で最後の最後の展開はびっくりしました。
この展開はちょっと、、、と思ったので★減らして3つ。 -
タイムスリップ学園謎解き話が、水泳の話になって上巻終了。なんかソロモンの偽証と少し雰囲気似てるような気がします。
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鏡の孤城が面白かったので、同じ作者の作品と思って読みました。
高校生らしくない登場人物だけど、細かい設定に目を瞑れば、それなりに楽しく読めた。 -
本来なら下巻のレビューに書くべきだろうが、全体としての所感をすでに書いてしまったので、敢えてここで触れる。
この作品は感動の最後を迎える(少なくとも私は)わけだけが、終わり間際の文章に、普通に独立した一作品として読むには「おいおい、ミステリーでそれはないだろう……」と言われても仕方ないような、ある意味余計な表現が出てくる。
逆にそれは辻村深月ファンにとっては「この二人はあの二人だったのか」的な、もう一つの感動というかうれしさというか、そういう気分を抱かせてくれるのだけれど。
これには確かに賛否両論あって然るべきだろう。
“作者の遊びが過ぎるのではないか”と言われて仕方がないようにも思う。
この作品より先に「ぼくのメジャースプーン」を読んでいなければ、その台詞の意味が全く理解できないからだ。
だから、この作品は何かの賞を取るということはないのだろう。
その部分は、重大な瑕疵として読まれてしまうはずだから。
作者が読者、或いは自分の作品に対するファンへのメッセージ、もしくは楽しませるために”その禁断の謎解き”を入れるのがどこまで許されるのか、という論争まで発展しかねない。
難しいところだ。
ミステリーとしては反則技だろう。
ただ、私はこの作品を「ぼくのメジャースプーン」より先に読んだが、それでも感動に打ち震える素晴らしい作品であることに疑いを持たない。
その部分の瑕疵が気になるとしてもだ。
私が何を書いているのか、この「名前探しの放課後」と「ぼくのメジャースプーン」の両方を読んでいない方には全く分からないことだろうが。
まあ、最後までこの作品を読んでください、と言うしかないか。 -
(上下巻共通)
上巻中盤からノンストップで読了。引き込まれる展開と魅力的な登場人物、鮮やかな伏線回収、圧巻の一言に尽きる。是が非でも再読したい作品!
この作品単体でも十二分に楽しめるが、皆がおすすめするように、「子どもたちは夜と遊ぶ」→「ぼくのメジャースプーン」→「本作」の順は守った方がより大きな感動を得られる。
この辻村先生は違和感というたくさんの小さな種を芽吹かせ大樹とするかのような伏線回収の手腕が見事であるし、それに劣らず思わず感情移入してしまう心情描写や成長物語・青春物語を描くのが本当に上手い。
皆にすすめたくなる名作。 -
ぼくのメジャースプーンを事前に読んでないですけど
普通に読めました。
ぼくのメジャースプーンを読んでたらニヤリと
出来たのかな?
とりあえずこの上巻ではふわりふわりと進んでいきました。
苗字と、名前、あだ名がバラバラに出てくるので
どれがどれか分からなくなったりも、する。
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まだ、上巻だけですが、続きが気になります!
さすが、辻村深月さんの作品であって、文章が綺麗で読みやすいです。設定もこじつけ的なものが無いし、すんなり話に入っていけます!
早速下巻に取り掛かろうと思います -
以前に読んだ『ぼくのメジャースプーン』の続きとして手に取った。タイムスリップというワードから、ファンタジーかと思って読み進めると少し違う。主人公のある同級生が自殺をすることを知ったことから、誰が死ぬかを周りの友人を巻き込んで調べていく。イジメや挫折、複雑な苦しい家庭環境と登場人物それぞれの辛い状況があり少しづつ状況が改善するように努力して結果を残す。高校生の話なのに、自分の周りとリンクしながら読み続けた。誰かを救いたい、その真っ直ぐな気持ちが清々しい。
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「今から同級生が自殺する。でもそれが誰なのか思い出せないんだ」過去に戻ったいつかは「誰か」を探し始める。
設定も面白く、登場人物も個性があり色々と抱えていそう。下巻を読むのが楽しみ。 -
本当に面白い
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タイムスリップと、これから起こる誰かの自殺に
違和感を感じながらも日常が進んでいく。
田舎にそびえ立つジャスコを中心とした閉塞的なコミュニティや遠距離通学は大変そうで、何となく「島はぼくらと」を思い出す。
初めて読む際に、推理しながら読むのは勿論、
下巻読んでから再度読むと話が違って見える面白さ。
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未来で同級生が自殺する。でもそれが誰なのか思い出せない。
未来を変えるために奮闘する。
これからどうなるのか。
先がすごく気になって読む手が止まらなかった。 -
3か月前に時間を戻された、いつか。
終業式の日に、通ってる高校の生徒
の誰かが自殺するという事実の記憶
があるが、それが誰かはわからない
親友やその彼女、クラスメートの女
子たちと、自殺する誰かを探してい
く。
ちょっとずつ人間関係に変化がある
描写が丁寧。
辻村深月の世界観が溢れた物語。
下巻も楽しめそう^_^ -
メジャースプーンを読んでから手に取らないと分かりづらかったり解釈が違く感じる。辻村深月さん作品は読む順番がやはり重要。本作の内容は冷たい校舎を思い出しつつもう少しポップではありました。最終的には盛大な「ぼく」の力のせいだったってことでいいのかな?
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馬鹿にせず、ちゃかしもせず、鬱陶しくも思わずに突拍子の無い話を聞いてくれて信じてくれる友達が居ること、というか見つけられる事がすごく羨ましい。
打算的な面も一部あるとはいえ、忙しい高校生活の中協力してくれているし。こういうの良いな。
ぼくのメジャースプーンのメンバーが高校生になったのか〜と親戚のおばちゃん目線もありつつ
さて、続き続き!
下巻を早く読まなくちゃ!