名前探しの放課後(下) (講談社文庫)

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著者 : 辻村深月
  • 講談社 (2010年9月15日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062767453

名前探しの放課後(下) (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 「いつか」書こうと、ずっと思っていた。
    「あすな」ら、書けるのではないかと思った。

    この本は───何度読み返しても、幸せな気持ちになれる感動の物語。
    ひたすら「素晴らしい青春群像劇」だというしか、他に評価する表現手段を私は持ち得ない。
    タイムトラベル、タイムスリップ。
    三ヶ月先に起こる同じ高校の生徒の自殺を突然知ってしまった主人公、依田いつか。
    彼は多くの友人の助けを借りて、奔走する。
    その“誰か”を、絶対に守るために。何とか死なせないために。
    いったい誰が自殺するのか。
    絶望と暗闇の深淵の中に飛び込んでしまうのは誰なのか。
    “いつか”は、自殺する人間を見つけ出すために、放課後に名前探しの旅を始める。
    残された期間はわずか三ヶ月。
    その間に“誰か”を探し出し、なんとしても自殺を食い止めなければならない。
    それが、三ヵ月後の未来を図らずも知ってしまった自らの使命だと頑なに信じて。
    その真剣な思いを感じ取ったからこそ、友たちも“いつか”に手を貸し、それぞれの役割を担い、“誰か”を探し、助けようとする。
    はたして自殺は食い止められるのか?
    高校生たちの絆は未来を変えることができるのか?

    友たちのつながりは、ある意味非常にドライのように見える。
    固い友情で結ばれたというような、ありきたりの関係ではない。
    ギブアンドテイク。
    “いつか”を手伝うから、その代わりに何かしろよ、というような代償を求める者もいる。
    でも、それは一種の照れ隠し。
    本音では彼らも、その”誰か”の自殺を思い止めさせるため、自分だけにできることで、必死に助けようとしているのだ。
    甘ったるい友情や言葉の発露がないからこそ、彼らの結び付きに心が打たれる。
    彼らの絆は、心の奥底で深く結び付いてるように思えるから、信じることができる。
    幾度読み返して、幾度、感動の涙が頬を伝ったことか。

    単なるミステリーとして語れない、天才“辻村深月”の世界観がこの作品にあります。
    是非みなさん、ご一読願いたい。
    『無人島に持っていくならこの本』と自信を持って言えるお薦めの一冊です。
    最後の最後で、見事な伏線回収の、素晴らしき『辻村深月ワールド』を体験してください。

    註:皆さんが書かれているように「ぼくのメジャースプーン」を先に読んだほうが、エピローグでの秀人の言葉の意味が分かることは確かです。
    ただ、私はさほど気にせずに読み流しました。
    その言葉の意味が分からなくても感動したので。

  • 完全にしてやられました!!もう…この子たちってば!大人に心配かけて!

    スピンオフ構造分かってたのにダミーにまんまと騙され、秀人の正体に気づいても見逃していた私のおたんちん!
    あんなにちっちゃかったあの子がね、ぽろぽろと涙をこぼしていたあの子が、立派に大きゅうなって!
    見事に立ち直ってしっかりと前に進んでいたんだなぁ…なんだか親戚のおばさんのようですが思わず涙ぐみそうになります。


    河野基が知り合いの話し方に似すぎていて、本当このタイプは感じが悪い、ように見えて思ったよりかなり感じがいい(笑)
    男に二言はない。の台詞にはしびれました。鉄男くん、いいじゃないか。何より…演技力ありすぎやろ~!

    もう少しでお友達ぱんちをお見舞いするところでした。そしていつかくん…惚れてまうやろ~!


    母にも読んでもらい、同じ驚きを共有しました。
    「凍りのくじら」も早く読みたいなぁ。直木賞なんて獲ってしまったから尚更図書館では予約待ちだけど…


    ネタバレになりますが、今回感じたのは加害者・被害者役を役割として与えた場合、人はそれを鵜呑みにしてしまうということ。大津市のいじめ連想しながら読みましたもの…ハルくんごめんよ~。
    真相のあたたかさに救われました。また読み返したくなる作品。

  • もうこれヤバイでしょ。今、辻村作品を順番に読んでいる処ですが、改めて彼女の才能に驚かされます。そして順番に読んでいるからこそ感動が大きくなる。辻村作品は読む順番が大事ですね。
    同世代にこんな素敵な作家さんがいるなんて…嬉しくもあり羨ましくもあり、今私の心は熱く、ぶくぶく沸騰している様です。

    3ヶ月後からタイムスリップしてしまった男子高校生の依田いつか。同級生が自殺してしまうという記憶が強烈に脳裏に焼き付いてるんだけど、それが誰だか思い出せない。自分になにができるのか、仲間達と悪戦苦闘していきます。

    学園もののSFという感覚で、あー私ってなんだかんだで青春ものが好きだよな~と楽しく読んでいました。

    終盤に近づくと、知っている名前がチラホラでてきて「おっ?」という感じで、「あれ、とゆーことは……」ってあの二人じゃん~!!秋先生らしき人がチラッと登場した時や、うさぎのシールなんかが出てきた時は「むむ?」ってなったけどやっぱり最後まで分かりませんでした。でも良かった、幸せに成長してた。うんうん。

    いろんな物語が絡み合っていて、一言では言い表せないですね。とにかくやっぱり愛!いろんな愛が溢れてます。

  • 上巻に続き、自殺者は本当に彼なの??と疑いなら読んでいたけど、
    最後に、やられました!!けど清々しいやられ感でした。面白かった!!
    いろんな伏線が最後にきれいに回収されているのは さすが辻村さんです。

    誰かのために必死になるっていうのは素敵だし、仲間っていいよな~と思わせてくれます。「あすな」と「いつか」の微妙な距離感も良かったし、「あすな」のおじいちゃんが素敵です!!

    「ぼくのメジャースプーン」「凍りのくじら」を読んでいたので、彼らにまた出会えたのがうれしかった。(途中まで気付かなかったけど・・・)
    スプーンのキーホルダーも出てきてうれしかった。

  • 最後のどんでん返しにびっくりしました。

    避けてきたことにきちんと向き合ったり、逃げたままでいたことにもう一度挑戦したり・・・。

    きっと、そのままにしていても、生きていくことはできる。
    だけど、自分の手が届かなかった場所にいる誰かを見るたびに、後悔や苛立ちがまとわりついてくる。

    義務感や正義感じゃない。ただ、ここに居てほしい。

    この世を、自分の意思で離れようとする人を繋ぎとめることができる、最大の言葉だと思う。

    こんな気持ちを持ち、自分と必死になって、向き合ってくれる人達がいるって、最高に幸せだよなと思った小説でした。

  • 「自殺者」の予想は何となく当たっていたが、まさかこういうこととは思わなかった。辻村さんの本ではいつも、自分の予想が一応少しは当たりはするのだが、真相はその一手、いや十手以上先にあり、してやられた感。多くの読者がそうなのではないかと思う。おそらく、そこまでは当てられると見越した上でのジェットコースター的どんでん返しなのだろう。こんな青春、羨ましいと思えるようなまぶしさ。登場人物が素敵で、読後感もいい。

    しかし、何と言うかいくらなんでも無理があると思う。みんな演技力が高すぎる!それと多くの方が指摘しているが、『ぼくのメジャースプーン』を読まないと肝心のオチが中途半端になるというのはさすがにどうなのかな、と思ってしまった。作品同士の関係性があるのは面白いし、他の作品も読んでみようと思わせるきっかけになると思うのだが、一つの作品がそれだけで完結してこそのファンサービスであってほしい。海堂尊氏の「桜宮サーガ」のように。

    これはいつものことなのだけれど、『ぼくのメジャースプーン』を読んだのが結構前なので、関連性は椿さんのフルネームが出るまで気づきませんでした。ふみちゃん、ちゃんと過去を乗り越えて素敵な女子高生になっていてほっとしました。

  • すごい!すごい!
    本当にすごい!

    実は上巻の途中からこの小説の結末が見えていたんです。
    いや、見えたつもりになっていたんです。
    でもそれでは不十分でした!


    椿が「ふみちゃん」だったなんて!
    良かった。ずっと気になってたから元気になっていて安心した。
    それに「僕のメジャースプーン」を読んで大好きになった「僕」が秀人だったなんて。
    「郁也」が大きくなってたから、「ふみちゃんや僕も大きくなってるのかなぁ」なんて考えてたのに、気付かなかった。

    他にも大好きな登場人物がいっぱい出てきて嬉しかった。
    読めて良かった。

    辻村さんに感謝。

  •  たった一人の誰かのために作られた物語。

    フィクションはフィクション、
    作り物は作り物であって、
    偽物だとは言うけれど、

    そんな作られた環境が
    誰かの命を救うことだってあるのかもしれない。

    それを作り上げる仲間たちが本気であるのなら。

    人は強く、そして、脆い。


    貼られたリンクに、それぞれの物語を添えて。

  • 辻村作品の中でも大好きな部類に入る、特別な作品。再読。
    現実にやるとしたらなかなか難しいかもしれない内容だけれど、そうゆうの差し置いて楽しむことができた。
    未来を変えたい、そう思って友達を巻き込んで、該当者に対してはひたすら騙し続け、でもみんなの中で友情ができあがっていく。
    最後の模試の日、全員が一斉に動き出すところではついつい手に力が入ってしまった。
    一番お気に入りはトモの存在。
    あすなに対するいつかの想いや、基とトモの関係、バイクのこと、最後にぶわっと回収されて興奮してしまった。
    ファンサービスが強くて、この本が集大成というのもうなずける。
    郁也、たえさん、りほこ、チヨダコーキ、秋先生などたくさんの人物が登場する。叙述トリックに近い手法はもはや定番になっているけれど、どこかでだまされているんだろう、と思いつつもやっぱりすんなりとだまされてしまう。
    叙述トリックと、細やかな心理描写が辻村作品の魅力だな、と改めて思った。

  • 登場人物のネタバレを読んでしまっていたので、秀人と椿ちゃんの仲睦まじい様子に嬉しくて頬が緩みまくり。にもかかわらず、この展開を予想してなかった。騙された(*´д`*)元はと言えば秀人なんだけど、これはいつかを救う物語だったんだな。人生が寂しいものにならない為に、いつかが必死になった結果だ。人生にはイベントが必要、か。。。それにしても、みんな演技上手すぎるよ(´・ω・`)

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名前探しの放課後(下) (講談社文庫)の作品紹介

坂崎あすなは、自殺してしまう「誰か」を依田いつかとともに探し続ける。ある日、あすなは自分の死亡記事を書き続ける河野という男子生徒に出会う。彼はクラスでいじめに遭っているらしい。見えない動機を抱える同級生。全員が容疑者だ。「俺がいた未来すごく暗かったんだ」二人はXデーを回避できるのか。

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