警視の覚悟 (講談社文庫)

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制作 : 西田 佳子 
  • 講談社 (2010年10月15日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (680ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062767842

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警視の覚悟 (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

  •  クリスマス休暇でキンケイドの実家にいった一同。
     そこで納屋の壁に埋められた子供の遺体が発見させる。

     結婚していないということでちょっとぎくしゃくしてるキンケイドたちと、共同経営者の画策によって上手くいってない妹夫婦と、年月の重みとともにあるべき形におさまってる感じのキンケイドの両親と、それぞれの家庭を描くことで、とっても<家族>のありかたを考えさせられる1作になっている。
     にしても、キッドはいい子だなぁ。
     ナイーブで、でも強くて、優しい。
     キンケイドとジェマは、とっても心配してるけど、彼はきちんとすくすく育ってるよ。でもって、それは二人の力だと思う。

     事件にかかわってくるボートで生活している一家も、家族のつながりを大事にしていて、その一家とかかわっていく監察医も結局のところ人とのつながりを求めているのだろう。

     なんともクリスマスシーズンにふさわしい作品だった。
     犯人を思うと滅入るけれど、根本的に心温まる話だったよ。

  • 警視キンケイド・シリーズ第11作。

    クリスマス休暇をキンケイドの故郷ですごすことにした一家。ところが、滞在先で乳児の遺体が発見されて……。

    シリーズ一ニを争う風景描写がすばらしい。イギリスを縦横にめぐる運河とそこを走るナロウボートなど、旅愁を誘う道具立てが効果的に使われている。心の光と闇がしだいに明らかになっていく様に身震いを禁じ得ない。

  • キンケイド警視シリーズ11作目
    これが初めてのキンケイド。ここから読み始めても面白かった。1作目から読みたい。

  • お~面白かった!
    筆が乗ってますねえ。
    あれ以上の傑作はなかなか出来ないだろうと思っていたら…
    はらはらさせられますが、人の個性の違い、弱さや醜さも覗かせながら、上手いこと着地させていきます。

    ロンドンで一緒に暮らす警部補のジェマと、警視のダンカン・キンケイド。
    かってはダンカンの部下で名パートナーだったジェマ。今は違う部署だが、まだ結婚はしないまま同居。
    ジェマの連れ子とダンカンの息子と一緒に、クリスマスに初めてダンカンの実家を訪れる。
    田舎のクリスマスは雪深いが、教会のある大通りなどは絵のようにとても美しい。
    ダンカンに息子がいるとわかってから初めての訪問でもあり、祖父母は孫に会うのを楽しみにしていた。
    ダンカンの別れた妻に育てられていた息子のキットはダンカンにそっくりの顔立ち。良い子だが、13歳の思春期で、母をなくし、その前に離婚して去っていった父は実父でないと知るなど、複雑な事情があった。
    ジェマの連れ子トビーは5歳で、無邪気で元気いっぱい。
    ジェマはダンカンの両親や妹に受けいられるかどうかやや不安も抱えていた。
    妹のジュリエットは実は夫と上手くいっていない。仕事先で、モルタルに埋められていた死体を発見してしまい、クリスマスイブは台無しに?!
    ジュリエットの娘のラリーはキットと同い年。
    美少女だが反抗期で、何やら秘密もある様子。

    田園地帯を走る運河、ボートで暮らす人々、美しい雪景色。
    ダンカンの両親の家はくつろげる雰囲気で快適そう。
    犬たちやポニーも出てきて、可愛い。
    妹一家はとんでもない状態だが‥
    そしてボート生活をしていた女性との出会い。哀切な人生。
    検死医の女性もまた、意外な面を持っていた…
    ダンカンの地元なので、同級生だった警部に非公式に協力して、捜査に参加することになるが。
    感じやすいのにまたしても試練にあうキットが心配になるけど、これだけ周りに思いやってくれる家族がいるのだから~大丈夫!

  • まだ入籍はしていないもののキンケイドとジェマ、それぞれの子どものキットとトビーが家族として過ごすクリスマス。キンケイドの実家に行きますが、もちろんそこでも殺人事件に巻き込まれ…。
    今回の話は家族として一歩進んだ気がします。
    そして、キットの成長、キンケイドの実家に集う家族の模様が物語を飽きさせません。
    風景の描写も美しく、クリスマスにふさわしい新刊本でした。次の刊行はもしかしたらずっと先なんでしょうか。

  • シリーズ11作目。クリスマスに子供たちと一緒にキンケイドの実家を訪ねると、父母には温かく迎えられながらも、妹ジュリエット夫婦は何やら不穏な雰囲気だし、その娘ラリーは反抗期の最中。キンケイドとジェマの一家も基本的にはうまくいっていますが微妙な気がかりを抱えていて一族はややぎくしゃくしています。まだ無邪気なトビ―が溌剌としているのが救い。キンケイドが到着した日、ジュリエットが古い家屋の改修作業をしていて埋められていた赤ん坊の遺体を発見し、、、。他人を思い通りに操り騙しながら笑顔で周囲を魅了する嫌な人間に翻弄される弱い人間やそれを見抜いてダメージを受けながらも立ち向かおうとする人間、福祉制度の限界、思春期の子供たちの危うい人間関係、正しいとはいったいどういうことか、など、幅広い問題を丁寧な描写と巧い構成で読ませます。犯人はこいつだろう!とだいたい察しがついてしまうものの背景がしっかり描かれているので不満なし。キンケイドの旧友の刑事が味があって良い感じなので、今後のシリーズでも出てこないかな、と期待してます。

  • 今年2冊目。なにが起きた、このペース。うれしいけどびっくり。

  • クリスマス休暇でジェマや子供たちを連れて実家に戻ったキンケイド。そこで妹が解体中の牛舎で赤ん坊の死体を見つけてしまい…。

    今回はアウェイと言うこともあって、キンケイドもジェマもあまり事件捜査には動き回ることはしない。そのせいもあって、事件が霞んでしまっている。
    その分丹念に描かれるのは、キットの心理。
    思春期の男の子ってだけでなく、山ほど苦悩を抱え込んでしまっている彼の姿を丁寧に描いている。
    そこにキンケイドの妹の家庭問題を絡めて、事件よりよほどこちらの方が緊迫した状態になっている。
    ミステリと言うより家族小説の色合いが濃いのだけど、これが巻数が進んだときにターニングポイントだったってな風になるように思う。
    もちろん面白かったし、キンケイドとジェマの家庭の形をじっくり読めたのも良かったのだけど、その分せっかく前半思わせぶりに挿入されていた犯人の呟きが放置されたままで終わってしまった感がある。
    なので行動の動機がいまひとつ希薄で、怖さを感じないというか…。犯人を掘り下げたら、キットの成長ももっと鮮やかになったんじゃないかと思うと残念だ。
    巧い作者なだけにこちらも注文が厳しくなってしまうなあ。

  • もう、まちがいなくおもしろい、このシリーズ。すごく好き。なんでこんなに好きなんだろうというくらい。互いに関係なさそうなさまざまな境遇、状況の人々が描かれていて、だんだんそのつながりが見えてきて事件の謎が解かれる、というまあいつものパターンといえばそうなんだけど、全然飽きない〜。今回はクリスマスにダンカンの実家にジェマ、トビー、キットという新しい家族で帰省する。ダンカンの実家になじめるか、というジェマの不安とか、そういう細かい部分が書かれているのもよくて。それに、おなじみの登場人物だけでなくて、たとえば、法医学者の女性は障害をもった妹と暮らして面倒を見ている、とか、全員の背景が丁寧に書かれているのが本当にいい。それにしても、イギリスっていうのはすごくいろいろな風景があるんだなあーと思う。今回は運河で、船で暮らす人々が出てくる。こんなところもあるんだ、と知らないイギリスの一面が見られるようなところも好き。

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