警視の覚悟 (講談社文庫)

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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (680ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062767842

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  •  クリスマス休暇でキンケイドの実家にいった一同。
     そこで納屋の壁に埋められた子供の遺体が発見させる。

     結婚していないということでちょっとぎくしゃくしてるキンケイドたちと、共同経営者の画策によって上手くいってない妹夫婦と、年月の重みとともにあるべき形におさまってる感じのキンケイドの両親と、それぞれの家庭を描くことで、とっても<家族>のありかたを考えさせられる1作になっている。
     にしても、キッドはいい子だなぁ。
     ナイーブで、でも強くて、優しい。
     キンケイドとジェマは、とっても心配してるけど、彼はきちんとすくすく育ってるよ。でもって、それは二人の力だと思う。

     事件にかかわってくるボートで生活している一家も、家族のつながりを大事にしていて、その一家とかかわっていく監察医も結局のところ人とのつながりを求めているのだろう。

     なんともクリスマスシーズンにふさわしい作品だった。
     犯人を思うと滅入るけれど、根本的に心温まる話だったよ。

  • お~面白かった!
    筆が乗ってますねえ。
    あれ以上の傑作はなかなか出来ないだろうと思っていたら…
    はらはらさせられますが、人の個性の違い、弱さや醜さも覗かせながら、上手いこと着地させていきます。

    ロンドンで一緒に暮らす警部補のジェマと、警視のダンカン・キンケイド。
    かってはダンカンの部下で名パートナーだったジェマ。今は違う部署だが、まだ結婚はしないまま同居。
    ジェマの連れ子とダンカンの息子と一緒に、クリスマスに初めてダンカンの実家を訪れる。
    田舎のクリスマスは雪深いが、教会のある大通りなどは絵のようにとても美しい。
    ダンカンに息子がいるとわかってから初めての訪問でもあり、祖父母は孫に会うのを楽しみにしていた。
    ダンカンの別れた妻に育てられていた息子のキットはダンカンにそっくりの顔立ち。良い子だが、13歳の思春期で、母をなくし、その前に離婚して去っていった父は実父でないと知るなど、複雑な事情があった。
    ジェマの連れ子トビーは5歳で、無邪気で元気いっぱい。
    ジェマはダンカンの両親や妹に受けいられるかどうかやや不安も抱えていた。
    妹のジュリエットは実は夫と上手くいっていない。仕事先で、モルタルに埋められていた死体を発見してしまい、クリスマスイブは台無しに?!
    ジュリエットの娘のラリーはキットと同い年。
    美少女だが反抗期で、何やら秘密もある様子。

    田園地帯を走る運河、ボートで暮らす人々、美しい雪景色。
    ダンカンの両親の家はくつろげる雰囲気で快適そう。
    犬たちやポニーも出てきて、可愛い。
    妹一家はとんでもない状態だが‥
    そしてボート生活をしていた女性との出会い。哀切な人生。
    検死医の女性もまた、意外な面を持っていた…
    ダンカンの地元なので、同級生だった警部に非公式に協力して、捜査に参加することになるが。
    感じやすいのにまたしても試練にあうキットが心配になるけど、これだけ周りに思いやってくれる家族がいるのだから~大丈夫!

著者プロフィール

米国テキサス州ダラス生まれ。後に英国に移り、スコットランド、イングランド各地に住む。現在は再び故郷・ダラス近郊で暮らす。代表作のダンカン・キンケイドとジェマ・ジェイムズのシリーズは、米英のほか、ドイツ・イタリア・ノルウェー・オランダ・ギリシア・トルコでも翻訳され、人気を呼んでいる。

「2023年 『警視の慟哭』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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