楽昌珠 (講談社文庫)

著者 :
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062767897

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  • 二郎、七娘、そして小妹。彼らは幼い頃、ともに遊んだ幼馴染。しかし今は互いに離れ離れとなり、それぞれの場所で不遇をかこつ日々を過ごしていたはずだった。
    そんな彼らが不思議な獣――翡翠、金猿、白虎――たちによって桃林に導かれて再会。喜びの酒を酌み交わすうちに、夢の中へと落ちてゆく。

    夢の中とは唐代・武則天の御世。18歳の二郎はそこでは中年の文官となり、七娘はその義理の姪となっていた。小妹は二郎の養女となり、そして彼らは陰謀渦巻く宮中にて、実に30年の歳月を過ごすことになる――。

    『胡蝶の夢』的命題で、短編連作というかたちで綴られてゆく中華ファンタジーかつ、ミステリ。
    どんな難局も3人でなら乗り越えられる――。しかし本当はどちらが夢で、どちらが現の、そして、誰が願う人生だったのだろう?

    この物語の終わりには、夢が夢を呼び、不思議な余韻だけが残る。

  • 聖獣に導かれてであった幼馴染三人が、
    夢見た世界での日々。

    現実なのか幻なのか、
    よくあるお話のようでいて、
    ちょっと変わっているお話です。

    最初は非常に楽しかったのですが、途中からは
    なんだかちょっと入り込みにくかったです。

    森福さんの作品には、とても楽しめるものと、
    ちょっと入り込めないのがあるのですが、
    今回は後者でした。

  • 荘子の「胡蝶の夢」を思い出します。
    桃林で酒に酔って寝ている自分が現実であるのに、夢の中での唐の都の生活も、また現実であるかのような。
    何かのきっかけで、桃林のことを思い出すから余計にそう感じるのでしょうか。
    唐の都で暮らしている自分達が、思い描いている夢を完璧とは言わないまでも、実現させているからでしょうか。

    タイムループのような終幕。
    現実の桃林には戻れないのかと思うと、このループが続くのかと思うと、少々恐ろしさが湧き出てきます。
    いつかはこの夢の時間が終わるはずと知っているからこそ、心地よい世界と感じているけども。いつ戻れるか知れないをなると、無限ループの恐ろしさが出てきますね。
    桃林の生活は、決して満足のいくものではなかったですが。そうはいってもですよ。

  • 好みの、玄宗の時代が舞台。
    いままで読んできた作品と一風変わって、桃林の世界と夢の世界を行き来する。

    画面がよく飛んだからか、最初でつまづいてしまったかんじ。
    あまり入り込めなかったのが、残念。

  • 人生の夢破れ、不思議な獣に誘われて辿り着いた先は美しい桃林。そこで偶然にも幼馴染に出会った男女三名が見る夢、、、それは陰謀渦巻く宮中で、、、。

    中国時代ファンタジー小説。胡蝶の夢のような、どちらが現実で、、、みたいな雰囲気ともちょっと違う。割りとそこはどうでもいい感じ。
    何だろう、、、何とも言語化が難しいの話。
    夢十夜みたいな?語り女みたいな?
    ハッキリとした終わりを求める人には向いていないが、この作者さんのお話が好きなら読んでもよいかと。

    私は買うけど、人には勧めない。
    そんな本。

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