山魔の如き嗤うもの (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.86
  • (66)
  • (145)
  • (94)
  • (6)
  • (1)
本棚登録 : 921
感想 : 98
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062769181

作品紹介・あらすじ

忌み山で続発する無気味な謎の現象、正体不明の山魔、奇っ怪な一軒家からの人間消失。刀城言耶に送られてきた原稿には、山村の風習初戸の"成人参り"で、恐るべき禁忌の地に迷い込んだ人物の怪異と恐怖の体験が綴られていた。「本格ミステリ・ベスト10」二〇〇九年版第一位に輝く「刀城言耶」シリーズ第四長編。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • すごい…!!
    こんな方法、思いつきます!?

    盲点をついたトリックにびっくり(゚ロ゚)
    先入観という言葉を恨む。

    刀城言耶シリーズ 第4弾!

    忌み山と呼ばれる初戸の三山にある集落に、昔から伝わる成人参り。
    「乎山」(かなやま)と呼ばれる忌み山に迷い込み、恐ろしい体験をしたという原稿が刀城言耶の目に入る。
    祖父江偲の願いもあり、現地に赴くことに。
    そして、恐ろしい連続殺人に巻き込まれる…。

    見どころは何と言っても「人間消失」の謎!

    この発想はホントすごい。
    「えっ?!」ってなりました(°д°)

    言耶は毎度少しずつ推理を披露していくのですが、
    「警部をはじめ両刑事が、思わず息を呑んだのが分かった」
    のも頷けますよ。
    私もですもん。(^▽^;)

    私は文庫本で読んだのですが、上手いこと次ページの頭に真相がくるように編集されている…♡

    こういうのが、たまらなく好きです!!

    あと、シリーズ通して言えますが、意外な犯人。
    文句なし!
    私は毎回当たりません(^_^;)

    そして何より、今回もバッチリ怖い、ホラーでございます。

    忌み山に棲むと言われる山魔。
    方々から自分を呼ぶ声。
    山中にぽつんと建つ一軒家。
    血の底から響いてくるような童唄…。

    一体あれは何だったんだろう…と、ゾッとする体験がむし暑さを吹っ飛ばしてくれます。

    今回は◯◯◯◯を思わせる描写がありますが、全体として考えるとオマージュとまではいかない。
    ただ、必要に応じてほんの少し要素を組み込んだ感じがしましたが…どうなんでしょう。

    最後の最後まで言耶の言葉に気が抜けない。

    やっぱりすごく面白かった!!♥(´∀`*)

  • 刀城言耶シリーズ第四長編。成人参りの儀式で、遭遇した“山魔”に纏わる怪異譚から始まる。そして、刀城言耶が訪れた村で次々と見立て殺人が起こる!怪異描写は悍ましく、事件の謎は多い。解決編ですべてが繋がるどんでん返し。『首無の如き祟るもの』に次ぐ傑作。


  • 刀城言耶シリーズ第4弾!!

    山魔に会いに田舎に泊まろう!行ってきます!!

    行くぞーᐠ(°Д° )ᐟヨイショットー!!!!

    〜あらすじ〜

    忌み山で続発する無気味な謎の現象、正体不明の山魔、奇っ怪な一軒家からの人間消失。刀城言耶に送られてきた原稿には、山村の風習初戸(はど)の“成人参り”で、恐るべき禁忌の地に迷い込んだ人物の怪異と恐怖の体験が綴られていた。「本格ミステリ・ベスト10」二〇〇九年版第一位に輝く「刀城言耶」シリーズ第四長編。(講談社文庫)


    “忌み山”を夜歩くと“山魔(やまんま)”が出る
    山中の怪屋からの一家消失、童唄に纏わる連続見立て殺人。
    『首無』に並び立つ“刀城言耶(とうじょうげんや)”シリーズ第四長編!!
    解説 芦辺拓(『綺想宮殺人事件』)/装画 村田修

    忌み山で続発する無気味な謎の現象、正体不明の山魔、奇っ怪な一軒家からの人間消失。刀城言耶に送られてきた原稿には、山村の風習初戸(はど)の“成人参り”で、恐るべき禁忌の地に迷い込んだ人物の怪異と恐怖の体験が綴られていた。「本格ミステリ・ベスト10」二〇〇九年版第一位に輝く「刀城言耶」シリーズ第四長編。


    村の風習に従い青年が成人の儀を行い……
    村で忌み山と恐れられている。乎山に…
    誤って迷い込んでしまって世にもおぞましい体験をしてしまう話から始まるのですが……

    これがめっちゃ怖い!何回ゾッとした事か……最近三津田信三のホラー慣れてきたなと思っていたのですが……
    盛大に見誤ってました。
    お見逸れしましたっっ!!

    自分的にこの段階でお腹いっぱい感があったんですが…ここからが本番なのです!!(๑˃̵ᴗ˂̵)و ヨシ!

    村に伝わる童唄をなぞりながら殺人事件がガンガン起こるわけですよ!
    今回は殺害方法も中々アグレッシブでかなりゾッとする事間違いなし!

    殺人が行われる度に謎が深まり……
    刀城言耶も警察もお手上げ状態……そして僕も頭パンクしそう…………(ಡ艸ಡ) ムリwww

    それでも刀城言耶はやってくれるんです!
    いつも通りに多重解決推理していき……
    真実に辿り着きます!

    そして僕も理由はわからないが投げやりに推理したら
    当たっちゃいました!!www

    いつもはめちゃ真面目に推理するのに……
    なんで適当に推理したら当たるんや……意味よ!!

    話が脱線してしまいましたが(笑)

    僕的に今回の1番の見どころは( •̀∀•́ )✧
    最後の殺人シーンですね〜まじゾッとしますね!
    読まれる時は是非注目して頂きたい!!


    やっぱり刀城言耶シリーズラストの終わり方めちゃ好きです!!( ˙з˙)す( ˙罒˙)き❤︎.*

  • いつもと違ってあまりおどろおどろしくないぞ、と思ったら、序章以外は全て刀城目線なのね( ^ω^ )ちょっと物足りなくってよ( ^ω^ )←

    と読み進めて行ったら、目くるめく見立て連続殺人・わらべ歌を歌いながら姿を現す犯人・二転三転する謎解き来ました〜( ^ω^ )お…お腹いっぱい…

    前回も断言しましたが、ミステリファンでまだ三津田作品を読んだことのない方。本当にこのシリーズは読んだ方がいいです。読むべきです。
    特に皆が寝静まった夜に読むのがオススメです。そして家の中の片隅に出来た暗闇に怯えながらトイレに行こうではありませんか←

    閑話休題〜( ^ω^ )

    本シリーズは【山】が舞台装置として度々出てくるのですが、今作は【密室を構築するツール】としての効果が遺憾無く発揮されているように思います。
    いつもは【宗教的畏怖】の対象としての位置付けの山だったり、【人が通る道以外の歩行は困難】という漠然とした密室装置としての山だったりするのですが、今作はそのいずれのカラーもグレードアップしています。
    実際に過去に忌まわしい事件が発生し、尚且つ人の出入り可能なアクセス方法をより限定的にすることで、山の存在感がいつも以上に増しております(O_O)

    後は、見立てにしっかりと必然性を持たせたのも秀逸ですね。見立て物ってどうしてもトリックその物には関係ないというか、雰囲気作りだったり特に意味はなかったりするものが多いのですが、これはしっかりと理由付けが無理なく施されています。

    ただ、惜しむらくは、謎の根幹にある例のトリック。ちょーっと無理ありすぎるな〜。ミステリのトリックなんて非現実的でなんぼよ!と常から言っておりますが、これはちょっと厳しいのではないか(笑)。
    できれば、被害者でもあり真相を唯一看破しえた【彼】が事前にその点を承知していた、というような描写があればまだしも腑に落ちたかも。

    ラストで目まぐるしく入れ替わる犯人指摘も、今シリーズの最大の特徴の一つです。二転三転する犯人像に眩暈されながら、予想に難い人物が最後の最後で指摘された時、毎回身悶えする幸せな騙されやすいミステリスキーでございます、はい( ^ω^ )



    忌み山で発生した奇怪な一家消失事件に端を発し、事態はやがて地元に伝わるわらべ歌に見立てた連続殺人に発展する。

  • 読み終えて、表紙を眺め、じわじわと怖くなってきました…
    はたして最後のあれはなんだったのか…
    私には最後の殺人事件の時に犯人は本当に人間だったのだろうか、とさえ思います。

    刀城言耶の事件の謎解きは、素人。曲がりなりにも探偵のものとはいえない。
    それは本人が作中で断っている通りだが、だからこそ最後で二転、三転と変化する。それがこのシリーズの特徴だと思うし、みどころ。
    そして行き着く真実とともに、どうしても残る人間でない「なにか」の存在…
    何処かもやもやとした気持ちと、恐怖感が交じる読後感。
    これこそ刀城言耶シリーズ!!!面白かったです。
    このシリーズ未読の方にもおすすめできる作品かな、と思います。
    首無は怖すぎました笑

  • 刀城言耶シリーズ第4作目。

    郷木靖美氏の手記「忌み山の一夜」から物語が始まっていくのだけど
    この手記が読ませる読ませる。
    全体の4分の1くらいのボリュームがあるにもかかわらず
    恐ろしいやら面白いやらで一気に物語に没頭してしまいました。

    ミステリーの仕掛けとしては、
    童唄の見立て殺人に沿って殺人が行われていく形式。
    本編中考察されるように、見立てにする必然性はいくつかあって
    今回もその中には入るのだけど、ちょっと弱いというか
    六地蔵の唄の意味を深めたり、場所的な位置関係で何かの意味を持たせたり
    せっかくの見立て殺人なのでもう少し深堀りして欲しかった。

    トリック部分も混乱がちな頭で考えても
    ちょーっと苦しいかなというところがあるように思えた。
    例えば、月子が2人の男性と三角関係にあって、
    片方が好きで片方が嫌い、でも実は・・・というのは
    ちょっと無理目感がありました。。
    関係を持っている相手を女性が●●するかなーと。

    でも、最後二転三転して、「え・・・」の連続気味で
    最後まで目を離せないまま押し切られる感じは楽しめましたし
    ホラー部分は大満足の出来でした。

    本編の中で一番印象的だったのは、楫取将夫が刀城言耶に
    「乎山や山女郎、山魔をどう思うか」聞かれて答える場面で
    義父の楫取力枚の言葉として紹介している

    「忌み山である乎山に関わって悪い出来事が起こるのは
    忌み山に住む忌むべき山女郎、山魔といった悪しき存在が
    全てを引き起こしているわけではない。
    悪い出来事の多くは、人の邪な心が引き起こすものであり
    忌み山は人の邪な心を増幅させてしまう装置だからこそ
    立ち入ってはいけない、忌むべき場所になっている」
    という言葉。

    『厭魅の如き憑くもの』でも悪しき存在が住む
    忌み山の話が出てきていて、
    忌み山って何だろうという思いがずっとあったので
    なんとなく腹に落ちる考えでした。

    刀城言耶が編集者の祖父江偲と交わした会話の中の
    「この世の全ての出来事を人間の理知だけで解釈できると断じるのは、
    人としての驕りである。かといって容易に不可解な現象そのものを
    受け入れてしまうのは、人として余りに情けない」

    というのも、刀城言耶の基本姿勢としてある考えで
    怪異譚を蒐集する際、普段は純粋に怪談として楽しむけれど
    殺人事件と関わっている場合は、合理的・論理的に
    調査・推理・検証して真実を突き止めようとするそのあり方も
    納得させられるものでした。

    けどまさか、「忌み山の一夜」で語られていた怪奇現象まで、
    合理的解釈をしていくとは思ってなかった。。

  • シリーズ4作目。最後に謎がきれいに解決されるのが気持ちよかったです。

  • 終盤色々ひっくり返されすぎて、すごいと思うよりはコロコロ言うことが変わる奴だな、と苛々してきた笑。考えようによっては真相が全く変わる点は面白い。
    最後の1文が最高。解決しきらない怪異が残るところが刀城言耶シリーズの魅力。

  • シリーズ最高作といわれる「首なきの如き...」より物語としては面白かった。
    ラスト刀城言耶の推理シーンは毎度の二転三転だがここまで覆す必要があるのかなと思うくらい、ちょっとくどく感じる

  • このミスベスト10、2009年版8位。本作はうんちくっぽいとこあんまりなくて、ホラー感満載の連続殺人とその推理がほとんどです。んで、前読んだやつも同じような感じなんだけど、探偵さんが謎解きにはいって、いろいろ説明するとこで、登場人物の警部とかがいちいち「ほほー、なるほど」っとか感心するんだけど、読者の自分は、何を感心してるのか分からんのです。まあ、何でそうなるのって、頭が?マークだらけになってきます。そうこうしてるうちに、実は、その解釈だと最後の謎が解けなくって、結局、真犯人は違ってて解釈を再構成する必要があるんですよってなる。まあ、その辺の最後のどんでん返しが売りっぽいんですが、最初の解釈の段階で良くわかってないので、どんでん返しにも、ふーん、勝手にやってよ、てな感じになります。前のやつが、ブクログでの評価値やたら高かったり、本作が本格ミステリベスト10の2009年度1位に選ばれてたりするのは、本格として、論理的にはトリックが納得性があって、美しく解けていて、読んでる人はそれを理解してるってことなんですかね。ボクには理解できないんですけど。

全98件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

三津田信三
奈良県出身。編集者をへて、二〇〇一年『ホラー作家の棲む家』でデビュー。ホラーとミステリを融合させた独特の作風で人気を得る。『水魑の如き沈むもの』で第十回本格ミステリ大賞を受賞。主な作品に『厭魅の如き憑くもの』にはじまる「刀城言耶」シリーズ、『十三の呪』にはじまる「死相学探偵」シリーズ、映画化された『のぞきめ』、戦後まもない北九州の炭鉱を舞台にした『黒面の狐』、これまでにない幽霊屋敷怪談を描く『どこの家にも怖いものはいる』『わざと忌み家を建てて棲む』がある。

「2023年 『そこに無い家に呼ばれる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

三津田信三の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×