風の中のマリア (講談社文庫)

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著者 : 百田尚樹
  • 講談社 (2011年7月15日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062769211

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風の中のマリア (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

  • 予てより
    (虫になってみたい…)という、
    決して叶わぬ願いを、
    ついに百田さんが叶えてくれた♪

    強いヤツにとっつかまって、
    速攻死んでしまうのだけは御免なので、
    出来れば
    最強の虫!
    (カブトムシか、クワガタがいいなー)
    なんて願望だけはさすがに叶わなかったものの、
    物語の主人公は
    最強、というよりは最恐!

    本当に恐ろしい『大スズメバチ』であった。

    百田さんは
    彼らに言葉と名前を与え、
    人間から見れば
    (なんて過酷で残酷な!)と、思われがちな一生を、
    彼ら自身は、どう思うか?どう思っているのか?
    を、
    興味深くシュミレートしてくれた。

    おそらく虫に感情などは無く、
    ただ
    自分の使命、果たすべき役目、のみが叩き込まれた本能に従って行動し、
    食う、食われる、の世界で短い一生を終えていくだけ、
    なのであろう。

    主人公のマリア(ワーカーなので、子は産めず、一生狩りをし、巣を守り続けていくだけの働き蜂。)
    も、言葉を与えられた事により、
    フッ、と、自分の一生に空しさを覚えたりもするけれど、
    それもほんの一瞬の事。
    そんな思いも、自分の果たすべき使命の前では速攻打ち消えてしまうのだ。

    私はマリアを通じて
    虫や動物が言葉を必要としないワケがなんとなくわかった様な気がした。

    自分がこの世に存在する意味、を
    正しく知る者に、哲学は必要ないんだ。

    いかに生きるか?を考えなくてもいい虫達ではあるが、
    いかに生き延びるか?は、考えなくてはいけない。

    その戦略もまた、大変興味深くて面白かった。
    虫界にも
    諸葛孔明や韓信の様に優れた軍師が絶対にいる、としか思えないほど、見事な戦術の数々。

    読後、
    この虫達の戦術動画を探してみると、
    いやぁ~、本当にある、ある!
    自分の体よりも大きな『大スズメバチ』の噛み千切られた頭部を見て、驚き慌てふためいているミツバチの様子を見ていたら、
    (彼らに気持はない、って誰が言ったんだっけ?)

    なんて、ふと思ってしまった。

  • 子どもに、読ませたいなぁ。
    とくに昆虫が好きな男の子や、すべての女の子に(蜂の世界は女性でなっている社会)中学生くらいからいけるだろうか。
    昆虫NGな人にはおすすめできないが、昆虫の生態の中に、生物としてのたくましさ、もの悲しさ、とにかく学ぶことが多い一冊。物語仕立てなのでよんでていも飽きないしね。

    ファーブルやシートンや椋鳩十、子供時代に読んだ本は私の心のどこかで消化吸収され、滋養となっている。

    このごろ、子供に与えたいな~と思う本を読むと、軽く眉間にしわがよる。

    悩ましいのだ。良いものは与えたい。
    でも、与えるって難しくて、最短距離では意味がない。
    自分で出会うからこそ価値のあるものも多い。
    いつか、子供と読んだ本の話ができたら、いいなぁ、と思うにとどまるに限るのだ。

  • オオスズメバチの生態に詳しくなった。
    擬人化されているので、楽しく学ぶことができたという印象。
    生物の一生の見方が変わった。

  • 想定外の面白さだった!
    オオスズメバチの生態、世界を描いた小説ということで若干のハードルの高さがあったのだけれど、読み始めたらすっかりこの世界の虜になった。

    女王バチが率いる帝国、その帝国を守るために、産卵もせずにひたすら他の虫と戦い、妹幼虫たちを育て、羽化してからおよそ30日の命をけずっていくマリア(オオスズメバチのワーカー)たち。
    実際に蜂は「帝国を守る」「戦うために生まれた」などと考えたりはしないのだろうけれど(それでも読後は、蜂たちは考えているのではないかとすら思ってしまう)、自らの役割をただひたすら全うし、命すら捧げていくさまには、彼女たちの誇り高さや高貴さすら感じる。

    なぜ、スズメバチが女王バチと働きバチにわかれるのか、他の生き物とどのように戦うのか、性別はどのように決定されるのか、これらの生態についても非常に詳しく説明がなされているのでとても興味深い。

    マリアの生きざまがかっこよく、オスバチ、ヴェーヴァルトとの出会いは切なかった。ワーカー、働き蜂として生きたマリアが、ヴェーヴァルトと一瞬とはいえ出会っていて良かった・・・と、完全にスズメバチに肩入れしてしまう作品。

  • まさかまさかのハチ視点。

    生々しいけど面白い。

    描写はグロいとこあったけど、文章が好きだったからハイペースで読んじゃった。

    妹たちを育てるために戦う、帝国のために戦う、という本能はすさまじい。

    虫とか魚とかって気持ちとかあるのかな。

    マリアみたいにいろいろ考えられるんだったら人間より強くなってると思う。

    人間が一番ってわけじゃないけど、なんていうか勢力的に。

    考えるから人間は本能が弱いというか、抑えられるのかもと思いましたm(__ )m


    最後、妹が無事女王バチの帝国繁栄させられてよかったね!

  • 「風の中のマリア」というタイトルのこの作品が、まさかオオスズメバチの生涯を描いた小説だとは思いもよらなかった。なかなかに思い切った試みだなとずっと気になっていた。ハチが主人公というと、どうしてもミツバチのマーヤやハッチ等が真っ先に思い浮かぶ。オオスズメバチの画像を検索してみたところ、あまりのいかつさにちょっとたじろいだ。本書を読むまでは、恐ろしく、忌むべき存在でしかなかったオオスズメバチに対する印象が、ガラリと変わった。
    ワーカー(働きバチ)のマリアは、「疾風のマリア」の異名を持つ凄腕のハンター。幼い妹たちを養うため日々狩りに精を出すが、羽化直前の虫だろうと、他の虫の獲物だろうと、容赦なく命を奪う非情さに、「殺すことしか知らない残虐な戦士!」と虫たちから罵られることもしばしばだ。子孫を残すために雄と雌が出会い、産卵する。大半の虫がそんな生き方をする中、オオスズメバチのマリアは雌でありながら恋もせず卵も産まず、帝国の維持のために戦い続ける。そんな生き方を自問自答するマリア。それでもひたすらに命を燃やして戦うマリアの勇ましさは、人間の私から見ても惚れ惚れするほどかっこいい。
    思いがけない雄バチとの出会い、少しずつ綻び始める帝国、次世代を育むための大規模な襲撃…後半の目まぐるしく凄絶な展開は、自然界では当たり前に起こっていることなのだろうが、その激しさには驚くばかりだ。非情だけれど、こうやって弱いものは淘汰されていくのだ…死にゆく虫たちの叫びが痛ましい。特にクライマックスのキイロスズメバチとの死闘シーンは、圧巻。アマゾネス達の命を賭した戦いは、攻める方も守る方もそれぞれに必死で、壮絶でありながら胸が熱くなる。
    社会性昆虫の生活の緻密さがよくわかり、自然界に対し興味が湧くと同時に、自分の人生についても何だか考えさせられるような不思議なメッセージ性を持った小説だ。日々生きるか死ぬかのオオスズメバチのワーカーと、のらりくらりな人間の自分とを比べるなんてスケールが違いすぎる、共通項は「女」のみだけど…同じ「女」として、マリアに心底憧れ、そして彼女を尊敬する。
    斬新だけど、間違いなく心に深く刻まれる一冊。自然ってすごいわ!!

  •  本書の解説で養老孟司教授が、虫が寝ること、小さいけれで脳があることが最近わかってきたと述べている。だとすると、虫にも「意識みたいな活動がある」可能性も期待できるそうである。なるほど・・・実に面白い。オオスズメバチ恐るべし 

  • 素晴らしい。大変面白かった。
    オオスズメバチの生態の解説を違和感なく織り交ぜながら、主人公マリアの一生の物語。

  • ただただ恐く、嫌な存在だと思っていたスズメバチのことが少し身近に感じるようになった。
    小説としてはスズメバチの生態になかなか感情移入できなかったが、学術的な内容も含むのに最後まで読ませる内容になっている。
    印象に残ったことはスズメバチも人間を恐がっているということ。
    結局、お互い様なんですね。

  • スズメバチの生態、興味深い!
    こういう視点で見れるんだなあって感心!
    けど、深く想像すると気持ち悪い、、
    面白いんだけど、もう一回読みたいとは思わないかも、、

    2014.5.12

  • これは、その一生を真摯に生き抜いた女性の物語、です。

    アストリッドという名の女王に率いられる“帝国”と、
    そこに生きる家族を守るために、戦士としてその全てを捧げて。

    主人公はマリア、生まれたのは夏が終わり秋が色づき始めたころ、
    帝国にとっては一番厳しく、斜陽の気配も色濃い時代でした。

     “ 最後の瞬間まで戦士として生き、そして戦士として死にたかった。”

    この言葉通り、マリアはただ剣に生き、次代の繁栄をつくるために、
    最後は眠るように旅立っていきます、恋を知ることもないままに。

    マリアが属した種族の名は「ヴェスパ・マンダリニア」、
    これは学名で、よく知る名前にすると「オオスズメバチ」。

    とまぁ、ハチの一生を描いた物語でして、
    擬人化されているわけですが、非常に面白かったです。

    ハチの生態や「ゲノム」のつなげ方の効率性など、
    今まで全く知らなかった知識がスルッと入ってきました。

    働き蜂は大体30日前後、巣自体も一年しか使われないとは、意外でした。
    生きるってことは戦いで、情けも容赦もないな、と実感です。

    それにしても百田さん、本当に引き出しが広いなぁ、、
    ファンタジー小説の骨格としても面白そうです、なんて。

  • オオスズメバチの命を懸けた戦いの話。

    主人公はマリアという働きバチ。働きバチは恋することもなく、子供を産むこともなく、ただひたすら帝国のためにエサを運び、産まれてくる妹たちの世話をする。生後30日くらいしか生きられないのに、力の限り生きるハチ。

    自分たちの帝国を守るために、他のハチの巣を攻撃したり、エサがなくなり子孫を絶やさないようにするため、女王バチをみんなで殺したり、命の限り常に戦う。

    虫の話なのに、感動した。虫や動物ってこうやって精一杯力強く生きているのに、それに比べて人間は何てひ弱なんだろうと思った。女王バチが働きバチのみんなに、自分が女王バチになるまでの話をするところがあり、そこも女王バチの責任感の強さというか、力強さをとても感じた。

  • オオスズメバチを通じて,生きるとは何かを感じるとは。。。
    ハチの生態を知る意味で面白いね。

  • みつばちハッチ的ワイルドライフ。
    オオスズメバチが人間のように思考したり、他種族の昆虫と会話したりします。
    これはちょっとどうなんだろうと思いましたが。
    幼い妹たちのため、帝国の繁栄のため、次世代に継ぐ命のため。
    殺戮、さらに殺戮の一生。
    マリアのハードボイルドな生き様に胸が熱くなりました。

  • 9月27日 読了
    百田氏の著書は初めて読みました。
    スズメバチの一生の描写が理解しやすく、物語自体も読みやすかったです。
    スズメバチだけの生態ではなく、作中に出てくる虫のちょっとした知識があるのも良いところだと思います。

  • 冒頭からぐいぐい引き込まれ、一気に読み終えました。一風変わった小説ですが、最後はかなりの感動が残りました。
    蜂の生態の勉強にもなりまし、二度美味しいお話です。

  • 蜂が主人公で、蜂目線で描かれていて面白かった。
    実際、こんなに詳しく蜂のことは知らなかったので
    ビックリすることもありました。

    ただ、これほど蜂目線で書かれていて自然と蜂目線で読める
    感覚が面白かったです。

  • 久しぶりに号泣した。

  • オオスズメバチ帝国を舞台に戦い続ける戦士「マリア」の物語。「偉大なる母」のため、恋もせず、子も産まず、自分の使命を全うする姿が描かれる。「疾風のマリア」と異名を持ち、様々な昆虫たちとの戦闘シーンにハラハラさせられ、美しい風景描写に一息いれながら読み進めた。他にもスズメバチの巣の構造、役割と行動、女王バチ、他のハチに至るまで物語を通して詳しく説明されている。強い毒で人間に害を与える昆虫スズメバチの別の一面を知ることが出来る一冊です。

  • オオスズメバチになった気持ちで、その生態を知ることができる、すごい小説。

  • 80年を生きるの人の一生の濃密度に全くひけを取らない、オオスズメバチの30日。坂の上の雲を読んだ時のような、ひとつの使命を追い続ける生き物の輝きを感じた。

  • 蜂を主人公にしながらも、現代社会の女性の生きづらさとか葛藤とかを描いた作品だと思う。読むのは少しきついけど、でも楽しめた。

  • オオスズメバチのハンターであるマリアを通して、大スズメバチの生態と蜂の巣の一生を蜂の思いを交えながら描かれている。ミツバチやその他の虫の生態も描かれていて、興味深い。蜂でなくて人間でよかったと思う。自然の世界は厳しい。

  • 今まで読んだ百田さんの小説の中で1番好きかも。オオスズメバチの帝国、ワーカーのマリアが主人公。昆虫の世界のこともわかるけど小説として感動的に成り立ってる。ずいぶん前に友達にすすめられたことに今頃納得

  • オオスズメバチの不思議な生態と彼女たちを取り巻く昆虫の世界を、学術的要素を交えながら、冒険小説として感動的に表現している。
    帝国を守るため、狩りを続けるワーカーが、脇目も振らず生きる様が非常に健気。人は何故生まれ、何故死ぬのか悩むものの、実のところは昆虫と同じで、子孫を後世に繋ぐためだけではないか。
    上橋菜穂子作品と同様、死生観を考えさせる作品。

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風の中のマリア (講談社文庫)の作品紹介

命はわずか三十日。ここはオオスズメバチの帝国だ。晩夏、隆盛を極めた帝国に生まれた戦士、マリア。幼い妹たちと「偉大なる母」のため、恋もせず、子も産まず、命を燃やして戦い続ける。ある日出逢ったオスバチから告げられた自らの宿命。永遠に続くと思われた帝国に影が射し始める。著者の新たな代表作。

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