深く深く、砂に埋めて (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062769310

作品紹介・あらすじ

『殺人鬼フジコの衝動』『更年期少女』著者が描く“底なし”の女の欲望
聖女の謀略? 悪女の純真? これぞ究極の魔性の女!

かつて一世を風靡した美貌の女優・野崎有利子。彼女に魅せられたエリートサラリーマンが、殺人と詐欺の容疑で逮捕された。やがて明らかになる男の転落と女の性(さが)。奔放に生きる有利子は悪女か、それとも聖女なのか? 悪女文学の傑作『マノン・レスコー』を下敷きに、女のあくなき愛と欲望を描く長編ロマンス。

感想・レビュー・書評

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  • 冒頭での「マノン・レスコー 作者の言葉より」が、引用されている事から分かる通り、
    そして著者 真梨幸子 から分かる通り、
    この作品はメンズの人生を喰い尽くした悪女の物語である。
    ーーーーーーーーー
    最 & 低 な母から産まれ、全てを魅了する美貌を持った女。
    その女は自由をこよなく愛し、その為なら手段は選ばず手に届くものは全て喰らい尽くす。
    愛した男は詐欺罪と殺人罪で囚われる。
    女は、醜く肥え過去に縋り金が全ての母親と海外へ逃亡する。
    関与が疑われる女を弁護する「男」
    さて、この美しい悪女は何を想い、何処へ向かい、そしてどの様な生き方を魅せてくれるのか。
    ーーーそんな「悪女物語」
    大体の人はこれだけでベタなストーリーを簡単に脳内で構築することが出来るであろう。
    そしてこの作品も例外ではなく、そんなガチガチに整備され使い古された道をひたむきに進んで行く。
    そんな面白味のない道を私は白目を剥きながら眺め続けた。何だこの時間は...と、思わないようにする事に全集中だった。←

    作品とは一切関係ないが、疲れてきたので口調を元に戻そうと思う。

    (´ρ`*)コホンコホン
    物語が動き出すのは全十一章内の九章から、ラスト六十ページ辺りからです。
    おめでとう。ここまで読み進めた読者たちへのご褒美タイムです。
    まぁ....ベタといえばベタ。伏線も何もあったもんじゃない畳み掛け。仔細語るべからず。ツッコミなんて...否ーーー!!!
    と、オラオラしてる感は否めませんでしたが、
    裏側に回っていた黒目が急いで正面に戻って来たくらいには食い気味でした。
    ミステリーとしては成り立ってません。が、これは酷評ではありません。
    向かえるのはあくまでも、「悪女の生き様とその先」です。

    そう言えば道中、彼女 有利子が語った「死」への恐怖と自論。その時私は、仮にこれを叶えてくれる殿方がこの世にいるのならばその為に何もかもを破壊しても構わない。...かも知れない。
    なんて、肌の表面がピリッとした記憶があります。
    女の欲望って醜いものが殆どながらも、たまに美しさを感じてしまうから怖いんですよねぇ。(他人事)
    つまりそう、私もこの悪女、有利子に魅了された一人なのでしょう。

    個人的に女のドロドロ書かせたら天下一!でイメージが固まっている真梨幸子さんですが、
    個人的にはそこよりも、時折魅せてくれる「美」を求めて彼女の作品を手に取ります。
    彼女は、悪と俗と糞に「美」を隠すのがとても上手。彼女が本当に書きたい物ってコッチなんじゃないかな...なんて生意気にも思ったりしてます。ムフフ
    変わった追い方なのかも知れませんが、変わらず真梨幸子作品をストーカーし続けるとここに誓います(・ω・)ノ<宣誓

  • 真梨先生にしては分かりやすかったが、イヤミスは健在。

    藤田の友を思う男気が 悪役っぽく描かれているが 素晴らしい。
    有利子の母 辰子がクズ過ぎる

    一途な愛を求める 有利子と篠原 報われなぃ愛が最後にたどり着くには あまりに悲しい最後。
    タイトル通り 篠原の愛も深く、深く、、、

  • かつて一世を風靡した美貌の女優・野崎有利子。彼女に魅せられたエリートサラリーマンが、殺人と詐欺の容疑で逮捕された。やがて明らかになる男の転落と女の性。奔放に生きる有利子は悪女か、それとも聖女なのか?悪女文学の傑作『マノン・レスコー』を下敷きに、女のあくなき愛と欲望を描く長編ロマンス。
    中小企業を対象にした機関誌と無利子無担保の融資を餌に手数料を騙し取る詐欺事件と殺人事件の謎解きに、本能的にどのように振る舞えば自分の欲しいものを手に入れることが出来るかという駆け引きを身につけている主人公・有利子の温かい家庭の庇護もなく育ち自分の美貌のみを頼りに生きていかざるを得ない孤独な女性が贅沢三昧出来ても愛を手に入れることが出来ない内面描写と女性を愛しきれない男の狡さを絡めて、底なしの女性の欲望を描いたロマンス色の強いミステリーの傑作です。

  • 真梨幸子さんの小説は何冊か読んでいますが、本作が今までで1番好きです✨男を次々と蝕んでいく悪女。頭では理解していながらも引き込まれていく男達… 彼女の描き方がまた絶妙にずるい

  • 真梨さんの作品なので、もっと後味の悪い物を想像してたが、ある意味、純愛?のような物語。ラストは、愛を貫いた男がいた。。側から見たら、堕落人生で最悪だけど、彼には幸せだったのだろう。
    ここまで、愛にハマり身を落としていく人達が、現実の物語のようで、恐ろしかった。
    悪女というか、素直で天然なところが、本当恐ろしく魅力的なんだなーと思わされる。
    お母さんは本当最悪だね。。
    いつものイヤミスとは違う、なんだか違う意味で心にきた作品だった。
    真梨ワールドにハマってます。

  • 有利子。なんて悪女だ!と思って読んでいたら、最期は悲しかったな。。。
    絶世の美少女がこんな人生なんて、もったいないな。

  • 有利子みたいな女性とは関わりたくない!と思う反面、生い立ちが可哀想すぎて、手を差し伸べたくなる複雑な気持ち…
    映画化するなら沢尻エリカでやってほしいな。

    あと真梨さんにしては珍しくタワマン&女のしがらみが出てこない小説です笑

  • 最後の結末、唸ります。イヤミスではあるが、主人公の魅力と悲しさを理解できる部分もあって、読後の嫌な感は薄い。

  • かつて一世を風靡した美貌の女優・野崎有利子。彼女に魅せられたエリートサラリーマンが、殺人と詐欺の容疑で逮捕された。
    やがて明らかになる男の転落と女の性。
    奔放に生きる有利子は悪女か、それとも聖女なのか?

    悪女文学の傑作『マノン・レスコー』を下敷きに、女のあくなき愛と欲望を描く長編ロマンス!

    ……ってことだったんだけど、なんか想像と違ったわ〜!しかも、イヤミスでもないし、ある意味ハッピーエンドかも。

    それに、こーゆーの、わりと好きだったりするのよね、私w

    好きな人のことを、死ぬまでずっと思い続けたり、守り続けたりするのって、他人から見たら愚かにしか思えなくても、本人がそれで幸せならいいわけで……愚かしいほど、純愛なのかもしれないし。

    そして、有利子の気持ちも、なんとなくわかる。
    まー、なんで啓介をそこまで好きになっちゃったのかはよくわかんないけど、人の好みはそれぞれだからねぇ?www

  • 読中はもやもやした気持ちがずっと晴れずに、いまいちどこにも共感できない話。
    ところが最終章を読みがらっと感想が変わった。
    どうしようもない虚しさや無常を感じ、やはり哀れを強く思う。

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著者プロフィール

1964年宮崎県生まれ。1987年多摩芸術学園映画科卒業。2005年『孤中症』で第32回メフィスト賞を受賞し、デビュー。2011年に文庫化された『殺人鬼フジコの衝動』がベストセラーとなり、”イヤミス”の急先鋒として話題に。2015年『人生相談。』が山本周五郎賞の候補となる。そのほかの著書に、『5人のジュンコ』『私が失敗した理由は』『カウントダウン』『一九六一東京ハウス』『シェア』など多数。

「2023年 『まりも日記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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