彼女のこんだて帖 (講談社文庫)

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著者 : 角田光代
  • 講談社 (2011年9月15日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062770194

彼女のこんだて帖 (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 前に同じ角田光代さんの料理エッセイ「今日もごちそうさまでした」を読んだ時に、これも面白いと薦めていただいた小説。
    まずぱらぱら捲ってみてびっくり。本編は4分の3くらいで、残りの4分の1は小説に出てくる料理のレシピ集(しかも写真つき!)になっているつくり。
    そして最後に角田さんのエッセイ的あとがきで締められていて、一粒で三度美味しい、初めて見るつくりの本でした。

    生きている限り、食べる、という行為は絶対に切り離せない。
    精神的、身体的な理由で食欲がわかない日もあるけれど、食べないでは生きていかれない。食に対するこだわりの有無は人それぞれあれど。
    たまには奮発して美味しいものを食べに出掛けよう、という日もあれば、面倒だから出来合いのもので済ませよう、という日もある。
    だけど毎日何かしらは口にしていて、それは人間の日常だ。

    この小説は、普通の人々の日常の中にある様々な料理を描いているのだけど、なぜかとてもスペシャル感がある。
    失恋したから食べるごはん、亡き妻の味を思い出しながら作るごはん、カップルのごはん、受験生のごはん、長年連れ添う夫婦のごはん…
    一編はごく短くさらっと読めるけれど、ゆるやかな愛情に満ちている。
    そして一話目の脇役が二話目の主役になり、二話目の脇役が三話目の主役になり、という形の連作になっている。最終話の仕掛けも良かった。

    温かく、そして少し切ない気分に。
    角田さんのあとがきを読んでいて、今は当たり前に食べている母親の料理もいつかは食べられなくなる日が来るのだ、と改めて実感。
    たまにしか食べられなかった時は有り難みがすごくあったのに、それが日常に溶けてしまうのはとても恐ろしい。
    それは夫婦なんかでもきっと同じで、作ってもらえることは当たり前ではないということを、頭の片隅にでもいいから置いておければ感謝の度合いは違ってくるのだと思う。

    作ってみたいレシピもいくつかあった。
    何より読んでいてお腹が空いた。笑
    食べ物を美味しく食べられるって素晴らしい。そんなことをしみじみ思った。

  • 食の大切さを改めて感じられるとっても良い本でした。
    ご飯食べられるってなんてすばらしいことなんでしょう。
    毎日ごはんを作る人も、毎日ごはんを誰かが作ってくれてなにもしなくても自動で食卓にご飯が並べられる人も、読んでくれたら食べることがいかに幸せなことかわかるんじゃないかなあと思います。
    とにかく食の大切さに触れると、涙が止まらんくて、ほとんどのお話を泣きながら読んどった・・・

    個人的に好きなお話は、
    かぼちゃの宝蒸し、豚柳川、ピザ、うどん、マツタケごはん。
    全部好きやけどね。
    母親、奥さん、旦那さん、兄弟、子供っていう家族の大切さとか、マツタケごはんにおいてはお金と働くことの大切さも感じ取れた。

    レシピ付きなので、豚柳川(なんて読むんかわからんけど)食べたいと思います。

  • 食べなくちゃ生きていけない。
    だれでも、どんなときでも。
    この本は食べることより
    料理することをメインに物語が組み立てられている。
    そういうと、レシピがメインみたいに聞こえるかもしれないけど、そうではなくて
    その料理を作るまでの背景だったり、
    人びとの思いがきちんと描かれている。
    短編集なんだけど、前の物語の脇役が次の主人公になっているリレー形式で、これまた引き込まれる。途中から次はこの人が主人公か?と予測しながら読むのも楽しかった。
    特に好きだったのが、
    4,5,7,8回目のごはん
    巻末にレシピもちゃんとついてるという
    なんとも嬉しい一冊。

  • とても心地良い短編小説。
    「料理」がテーマの短編で
    途中で気がついた。

    これらの主人公が、実は繋がってた!!と。。

    気づいてから、興味深く
    遡って、相関図をアタマに描きながら
    また読んだ。。

    そして、そこに出てくるエピソードの料理が
    後ろのページに、レシピ付きで
    写真が載っているのだ!

    これは、たまらん。
    うまそーーーーー!!!!


    料理というのは、
    ぽん。と、そこに出てくるものでは
    決してないのだ。
    という、角田さんの料理への愛情も感じられる。

    そして、何より、その1つ1つのストーリーの
    短い中の、凝縮された、濃い濃いメッセージが
    素晴らしい!!

    失恋は、失ってなどなく
    たくさんのものを得ていたのだ!。とか。

    感動の1冊だった。

  • 日常の料理にまつわるちょっといい話。1話目の脇役が2話目の主役になるという具合に、登場人物がリレーのように繋がる仕掛けも読んでいて楽しい。
    出てくる料理も美味しそうなものばかり。今夜はちょっとキッチンに立とうかな、そして食べてくれる人の反応を見たくなる小説である。勿論、レシピは巻末で。

  • 美味しい料理ががんがん出てくる素敵な短編集。
    最後には各ストーリーに登場するごはんのレシピまでついている!

    男と別れて、元気出すために特上のラムステーキを奮発して焼いちゃったり、海外旅行気分を味わうために月一で海外の食事を手料理で振る舞うパーティしちゃったり、ストーリーも全部面白いし、料理もとても美味しそう。

    食べることは生きてく上でなくてはならないこと。どのタイミングで誰と何を食べ、それがどんな思い出になっていくか、一人一人の気持ちになりながら一緒に食べているような気分を味わえる、素敵な一冊。

    好きな話は松茸の話。
    覚悟決めるための奮発。彼女、かっこいいです。
    そしてちょっと切なかったのが豚柳川の話。
    いなくなってしまった人の料理は、もう食べられない。後になってから大切なものだったって気付くんだ。

  • タイトル通り料理の話なんですが、解説で井上荒野さんが書いている通り『料理を作る過程』に力が入ってる感じ。
    『月間ベターホーム』という料理雑誌に連載していた掌編をまとめたもの。巻末に、それぞれの話で出てきた料理のレシピがついてる。
    掌編だけど親子の絆を感じてホロリとなったり、少年の強さを感じて前向きになったりしました。

    全部で14編載っていますが、13回目の『決心の干物』が一番好きかも。
    妊娠した娘が、今までほとんど料理らしい料理をしていないのに、母親の助けを借りて干物を作る話。
    『生まれ根前から私は母とつながっていたのかも』と思い、やがてお腹に宿ったばかりの子供に気持ちは移っていくところがホロリと。
    それから11話目の『豚柳川』の話も良かった。無くしてしまった妻を思い、妻の面影を探して、彼女の作った味を再現しようとする夫の話。
    亡くした人の思い出は、写真やビデオなどで物理的に残っていることもあるけど、感覚の中もしみ込んで残っているものです。

    色々な料理が出てきますが、一番『美味しそう!』と思ったのは4話目に出てきた『お宝かぼちゃ』です。巻末の写真も最高でした。家で作ってみたいけどできるかな…。

  • 「この料理が食べたい」と思う本は数多くあるけれど、
    「この料理を自分で作って、食べたい」と思える本に出会うことは
    そんなになかったような気がする。
    ちゃんとレシピがついている小説なんてほとんどないということも勿論あるだろうけれども。
    読み終わったあと、無性に食べたくなった料理が2品。
    そしてそのどちらも、自分で作って、誰かのために、あるいは
    誰かと一緒に食べたくなった。
    ちょうど今みたいな寒い時期にぴったりの料理。
    次にこの本を読むのは、ここに出てくる料理をどれかひとつでも作ってからがいいな。

  • 料理に関する短編。次々主人公が繋がっていくのが面白い。
    料理を作って食べる。
    自分の為に、誰かの為に。
    毎日欠かせない行為だからこそ、大事にしなきゃと思わされる。
    母と子の話はどれも感慨深く、じわっと胸が熱くなる。
    自分も母に感謝して、そしてこれから料理頑張らなきゃ!と思った。

  • 角田光代さんの短編集。舌にも心にもおいしいレシピをつなぐリレーバトンな小説の数珠つなぎ。当や、ちまきは「恋愛のはじまりと停滞期」に似ている。その心は? できたてはほかほかしておいしい。時間が経過したら冷たくなっていく。しかし、時間が経った後でも、また温めたら美味しくなる料理も恋もあるし、冷たくなってから味が深まる料理も、恋もある。短編集。これが好きなら著作「くまちゃん」もオススメ。

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彼女のこんだて帖 (講談社文庫)の作品紹介

長く付き合った男と別れた。だから私は作る。私だけのために、肉汁たっぷりのラムステーキを!仕事で多忙の母親特製かぼちゃの宝蒸し、特効薬になった驚きのピザ、離婚回避のミートボールシチュウ-舌にも胃袋にも美味しい料理は、幸せを生み、人をつなぐ。レシピつき連作短編小説集。

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