きのうの世界(上) (講談社文庫)

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著者 : 恩田陸
  • 講談社 (2011年8月12日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062770378

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きのうの世界(上) (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

  • 淡々と穏やかに流れる日常の中にうっすらとした恐怖。これぞ恩田陸の真髄!といった作品。

  • 下巻が気になる!この後、どう展開するのだろう~!

  • 30代半ばの実直なサラリーマン市川が突然失踪し、一年後に、縁の無いはずのM町で刺殺体となって発見されたことをめぐる物語。○○の事件、○○による幕間、という独特のタイトルで、M町に住む双子の老婆、失踪した市川本人、市川の死体を発見した郷土研究者、M町に住む高校生、と、いろいろな人の視点で細切れに町の不思議が語られます。これぞ恩田陸作品!という独特の雰囲気と、この話はどこに向かっていくのだろうという期待と不安がないまぜになった気持ちを楽しみながら読了。まったく思いも寄らなかった終わり方。読後には何とも言えない余韻が残ります。恩田ファンにはたまらないけど、わかりやすい作品が好みの人は、不完全燃焼で物足りない、と思う向きもあるかもしれません。数多い不思議エピソードの中でも、焚き火の神様の話が一番好きでした。大変面白かったです。

  • 「あなたはドアを開ける」、「あなたは気になって後ろを振り返った」など、テーブルトークRPGのような独特の語り口調で表現される物語の幕開け。否が応でも期待が高まる作りはさすがだ。各章で文体や視点が変わっていくので、飽きずに読み進めることができた。

    恩田陸を読むといつも思うのは、閉鎖的な町という空間の書き方の巧さ。というより「閉鎖された場所」そのものが得意なのか。著書に多い学園ものにも言えるけど、こういう場所では独特なルールや世界観があって、そこに必ず妙な不安と心配が付随しているのがお約束。そして、なんでもないことに「怖さ」を見いだすのが著者の十八番でもある。今作で言えば「窓の外から覗く紫陽花がうなだれた人の顔に見える」という表現なんかがそう。ただの紫陽花が怖い。この辺の相性の良さのせいか、「地元ルール」的なものが強ければ強いほど面白くなる傾向がある気がする。

    物語の内容にも簡単に触れておくと、瞬間記憶という見たものをそのまま切り取って覚えてしまう男が突然の失踪。その後、遠く離れた町で不可解な死を迎える。視点が二転三転して語られる現在と過去。盛り上がりには欠けるものの、緻密で味のある序章として下巻へ繋がっていく、といったところ。

    徐々に明らかになる事件の全容と、謎が謎を呼び解明されないモヤモヤのバランスがもどかしくもちょうどよかった。ただ、いくら下巻があるとは言っても、もう少し盛り上がって欲しかったのが本音。同じ内容で一般的な章立て・構成(ずっと同じ視点とか)だったら途中でめげていたかもしれない。

    【キーワード】
    水無月橋、全てを忘れられない人生、保護色のような男、幽霊のダンス、三本の塔、狐火、焚き火の神様、メフィストフェレス、計算された白々しさ、チュートタウン、『塔に見守られて』

    【主要人物】
    「あなた」、「あいつ」、市川吾郎、古野忠明

  • 最初はなかなか話に入り込めず…でも粘った甲斐があった。途中からはページをめくる手が止まらないくらい面白かった。すごく不気味な雰囲気で、「あなた」と書かれているのが余計に怖かった。まだまだ上巻ではわからないことばかりなので、下巻でどのように展開するのか楽しみ。

  • (下巻まで読んで感想)好きな恩田陸作品だ。ある町で起こった一人の異邦人の死について、彼自身や、彼と関わった住人、彼のことを調べに来た新たな異邦人と、複数の視点で物語が進む。読みやすい綺麗な文章を追うだけで心地よくて、ノスタルジックで、魅力的な謎があり、静かに不安が高まっていく不思議な心地のサスペンス。といってもジャンル分けはこの作品には不要で、ミステリと読むもファンタジーと読むもSFと読むも自由だ。
    視点に対する工夫は面白く、冒頭、そして時折挟まれる二人称が不思議な印象を与え、また、印象だけではなく、物語的に意味があったことにも後に気づかされる。
    導入と風呂敷の広げ方の魅力に対して、明確な解決が示されず消化不良ということも多い恩田作品ですが、本作の畳み方は好み。個々のエピソードは投げっぱなしもありましたが、今回たまたま焦点が当たった彼の物語は閉じるも、周囲はそれぞれの事情で生きており疑問や悩みが解決されなくたって明日に向かっていくんだなと思う。
    この本を読んでいて、懐かしく感じるのは、過去の恩田陸作品への懐かしさというものもあったかもしれない。六番目の小夜子を読んだ時の感覚が呼び起こされて、また読みたいと感じた。

  • どんどん続きが気になってあっという間に読了。最後まで不思議をまとった物語。季節や雨の色や空気感の表現がうまい。

  • 塔と水路の町で起きた殺人事件にまつわる人と町の物語。

    世界観や文章は間違いなく恩田さん。

    いろいろな登場人物に観点から物語が語られ、それぞれが関連をもちながら進んでいく手法は本当に楽しい。

    上巻はぐいぐいと引き込まれていく。

    なぜ上巻なのか。

    世界観、文章、手法は最後まで本当に面白かったが、下巻に入っての、殺人事件の顛末、町の秘密など、伏線の回収がしょぼく感じてしまった。

    もう少しミステリー色の強い結末の方が個人的には好きだった。

    自然の怖さと、先祖の知恵と、ファンタジーの融合という感じで、それはそれで面白いのだが、ちょっとピンとこなかったなぁ。

    月の裏側のようなホラーっぽい方が良かったような。

  • ミステリーのようなファンタジーのような、それでいて地に足が付いている、そんな感じがすごく大好きです。

  • 詳しくは下巻を読み終わってから。

  • いつもとちょっと違った書き方なんだけど、なーんにも起こってないといえばなーんにも起こってないのよね、上巻では。

  • 「三月は深き紅の淵を」が面白買ったので購入。平穏に見える町に隠された秘密に凄く想像を掻き立てられました。上までは。

  • 見たものすべてを記憶出来るってどんな世界だろう。想像がつかないし、人間って忘れることができるから生きていけるんだ。

  • ぐいぐい引き込まれる

  • 「あなたは〜をしている」といった書き方のため、自分がその場にいるような感覚となる。
    自分の行動って、自分が思っていることと、他人から見た自分って違うから、あなたはとしたほうが描写は正確になるように思う。

    話の展開としては、地図にない塔が3つあって、その地域で人が殺されて、殺された理由を調べてると、殺された男の弟が登場して、殺された男は見たもの全てを暗記できる能力を持っていたっていう伏線が色々ある感じ。

    どの辺が昨日の世界なのかは下巻でかな。

  • 再読。なのに、細部には記憶があるが、結末は全く思い出せないまま、読み進めた。徐々に不安感をあおりながら、物語の種をまきつつ、下巻へ。

  • 水路が好きな作者

  • 不思議な町へ来た女性の視点ではじまる。

    読みながらJR宇治駅の前がデジャヴしました。

  • 遺跡マニア真骨頂!とでもいうべきか。

    「塔と水路の町」が舞台、というより主人公。

    上下巻通して読んだ後でも第一章の町案内が印象的。

    特に上巻は短編として読んでも良い章がたくさんあったんじゃなかろうか。
    「溺れかけた猫」と「焚き火の神様」の章が好き。

    この町に行ってみたい。端役でいいから登場したい。

  • 塔のある街を舞台とした、無機質でホラーな面もあるミステリー。いつ何のために建てられたか分からない塔、どこか閉鎖的な街、双子、狐火、神様。雰囲気がとても好き。

  • 裏表紙に「恩田陸がすべてを詰め込んだ集大成」と書いてあるけど、確かにまさに恩田陸!という感じ。風呂敷の広げ方も文章も記憶の仕方もちょっと不安定な雰囲気もかすかに懐かしい気持ちになるのも、とにかく全てが恩田陸。大好きなこの感じ!下巻も早く読もう…

  • 一気に読めた。伏線と謎。問題は、下巻でどうオチをつけるか、ということだ!

  • かなり実験的な構成というか文体も実験的だったんでしょうが、正直失敗作じゃないかと思うほど支離滅裂でした。1章ごとに視点になる登場人物が代わるというのは珍しい構成ではないと思いますが、そこにさらに「あなた」を組み込む意味がわからない。読者にRPG感覚でストーリーの中に(舞台になってる町の中に訪問者として)入ってきてほしかったのかもしれないけれど、誰だか明かされないわりに変なとこ具体的で全然感情移入できないし、文体的にも退屈で読むのが苦痛でした。

  • 久しぶりの恩田陸。一章ごとに目線が変わって色々な人が語り手になるんだけど、語り手が「あなた」なのが、ん?!ってなる。何の為に市川吾郎は殺されたのか、まださっぱりわからない。下巻に続く。

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