長い終わりが始まる (講談社文庫)

  • 講談社
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本棚登録 : 704
感想 : 80
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062770705

感想・レビュー・書評

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  • 小笠原が直情的過ぎてストレスがたまる。己のナイフの切れ味を知っていながら躊躇なくノーガードで振りかざす様は幼稚園児のようだ(切れ味を知っている分タチが悪い)。
    小笠原はガードができないのだ。盾を全く持ち合わせていないから。

    こう書いているうちにだんだん小笠原に興味が湧いてきた。
    読んでいるときはイライラしたのに、読み終わったそばからまた会いたくなってきている。
    不思議だ。

    渋谷に構える大学にの小さなサークルのお話。

  • 読んでいるあいだは小笠原への反感でいっぱいで面白くもなかったけど、読み終わって思い返すときは話の余韻が続いていて良い流れだったなと思う。
    人のセックスを笑うなの方が、言葉のつながりとか思いがあって良かった。

    人の気持ちが全く考えられない、でも繊細で鋭い女の子。

  • 主人公の小笠原は私とは真逆の人間。すぐに「ばかだ」と言う所はむかついたが、惹きつけられた。
    大学生はサークルという実に狭い世界で生きている。いつも人と繋がることに必死だ。
    音楽にストイックな小笠原はかっこいい。
    しかし必死な人間たちも、私は愛したい。

  • (2015.5.25)
    (192P)

  • 少しずつ失恋していく、話
    と言ったらいいのかな。

    サークルに恋に音楽に、
    いろんな葛藤があって
    いろんな思いがあって。


    この作者独特の雰囲気が漂う。
    何も変わっていないようで、
    何かが確実に変わっていく、
    そんなことを描くのがうまいなあと。

  • これ絶対國學院っしょと思って読んでたらそうだったからもう!しかもいま実習中だからちょうタイムリー!
    ナオコーラさん國學院て知らなかった。
    お話としては、サークルのぐるぐる感を見事に描き切っていて、おもしろい!じゃないんだけど、あるよねー、そうだよねー、うんうん。という感じ。サークルのめんどくささを適切に表現してるすごさ。

  • くそが。
    初体験を無下にすんな殺すぞ。
    彼女居んのに独り身の女抱いて「帰らせたくないなー」じゃねえよ殺すぞ。
    何が失恋だあほが。
    思いっきり感情移入して身体が熱いわ。
    田中の背中に飛び蹴りしたい。しね

    -----


    「形がきれい」
    と田中が言ったのが、他の女の子のを見たことがある人しか言わない科白だったため、小笠原はブルーになったのだった。どうして他の女の子と比べられながら、褒められなくてはならないのか、と頭の芯が冷えた。


    ぴょんと立っているものは可愛いが、枕に押しつけた跡が残って後頭部がペタッとなるタイプの寝ぐせは、見苦しいものだ。

  • サークルに馴染めないけど、音楽が好きマンドリンが好き。指揮者が好き、田中が好き。頑固で一途な小笠原(女)が主人公。

    マイノリティの難しさ、青春のもどかしさを感じることができる一冊。また、クリエイター、アーティストなどモノづくりを経験している方であれば、同感できることがある。

    大人になった小笠原の今後を見てみたいと思う。

  • 即物的な日常を生きる精神の在りようとして、「長い終わり」は純粋さと同型だ。「長い終わり」という純粋さは、決して終わらない。それは、自らの純粋性それ自体をも否定しうるほどの徹底さによって、逆説的に「長い終わり」を終わらせる機制を自らの内に欠いているからだ。それが終わるとすれば、その純粋さが否定によって押し出した外部からの圧力によって終焉を迎えるしかない。その時、純粋さを生きてきたその人間の美的感性そのものが消滅する。

    ところで、「長い終わり」という純粋さが、その実、外部に対して自らの「弱さ」が精神に取らせる防衛的構えでないと、証明することはできるだろうか。できないだろう。この問いは、純粋さの内に於いては決定不可能な命題であり、それを決定する機制も自らの内に欠いているのであるからして。

    純粋さの強張った脆さが、淡々とした筆致の中に描き出されている。

    「人間も[水と]同じようなもので、この街に溢れる男女は、それぞれの肌が区別され、各々歩き回っているが、ひとりの指先がどこまでなのか実は曖昧であり、この人形[ひとがた]はいっときの仮の姿でしかなく、誰かと触り合えばすぐに境目が溶けてしまい、自分というものを意識するのが難しくなるのではないか・・・。自分の体がどこまで伸びるのかが分からない」

    「セックスって、いつが終わりなのか、分からない。小笠原が田中のことを好きな間は、日々を越えて続いていく行為なのだろうか。まだ終わっていない、と小笠原は感じる」

    「男の生理感覚に偏って成立しているセックス文化は、おかしい。射精でなんか、セックスは終わらない」

    なお、批評家による巻末の解説は、蛇足の典型。

  • 短い文の中に、たまにきらりとひかるフレーズがあってはっとさせられた。主人公の小笠原にちょっとだけ共感する。

著者プロフィール

1978年生まれ。「人のセックスを笑うな」で2004年にデビュー。著書に『カツラ美容室別室』(河出書房新社)、『論理と感性は相反しない』(講談社)、『長い終わりが始まる』(講談社)、『この世は二人組ではできあがらない』(新潮社)、『昼田とハッコウ』(講談社)などがある。

「2019年 『ベランダ園芸で考えたこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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