モダンタイムス(上) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062770781

作品紹介・あらすじ

恐妻家のシステムエンジニア・渡辺拓海が請け負った仕事は、ある出会い系サイトの仕様変更だった。けれどもそのプログラムには不明な点が多く、発注元すら分からない。そんな中、プロジェクトメンバーの上司や同僚のもとを次々に不幸が襲う。彼らは皆、ある複数のキーワードを同時に検索していたのだった。

感想・レビュー・書評

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  • 『魔王』の時代から50年後。
    いきなり主人公渡辺拓海が自宅のマンションの部屋で椅子に縛られ、見知らぬ男に殴られる場面から始まる。焦りと恐怖でぶるぶる震えそうな状況なのに、何だか飄々とするのは渡辺の人柄のせいか。
    「勇気は実家に忘れてきました」
    そんな渡辺が、得たいのしれない巨大な敵と向かい合っていくのだから、どこでどうなるのか人生は面白い。以前に読んだ『ゴールデンスランバー』では決して勝つことの出来ない、いや勝ってはいけない巨大な敵から主人公が逃げ切る物語だった。それもひとつの選択で彼には生きていてくれたらそれでいいと思ったけれど、今回の展開はどうなのだろう。
    『魔王』の主要な人物たちの影もちらほら見えかくれし下巻への期待が高まる。
    怖いのにワクワクするのだ。

    • やまさん
      地球っこさん、おはようございます。
      いいね!有難う御座います。
      伊坂幸太郎さんの本は読んだ事がないので下巻のレビューを楽しみにしています...
      地球っこさん、おはようございます。
      いいね!有難う御座います。
      伊坂幸太郎さんの本は読んだ事がないので下巻のレビューを楽しみにしています。
      やま
      2019/11/07
    • 地球っこさん
      やまさん、こんにちは。
      こちらこそ、いつも「いいね」ありがとうございます!
      伊坂幸太郎さんの小説を読むと、他の小説に出てくる人物や名言が...
      やまさん、こんにちは。
      こちらこそ、いつも「いいね」ありがとうございます!
      伊坂幸太郎さんの小説を読むと、他の小説に出てくる人物や名言がちらりとリンクすることが多く、そんなところを発見するのも楽しみの1つです。
      やまさんも機会がありましたら、ぜひ読んでみてくださいね(*^^*)
      2019/11/07
  • 伊坂幸太郎 著

    伊坂幸太郎さんの本は、読む前からワクワクしてしまう。
    読みはじめて…途端、吹き出した(笑)
    流石、入り口から読ませる気配…半端ない!
    先ずは笑いをとって、、何度も吹き出して笑ってしまうシーンはあるのだが、まったく、ふざけているのか?真剣なのか?分からない 伊坂さんならではの手法だ!
    最初は徴兵制度?の話があったり(いつの時代背景なのか?)かと思えば、「検索エンジン」ネット社会の先行く背景…プログラマーやシステムエンジニアの状況は昔?と変わらないのだが…しかも、ジョン.レノンを知らないって!世代が違うから知らないって現在の状況よりも、伝記の世界の人間じゃないアーティストそのものの存在を完全に知らない近未来の世界背景なのだ。
    とはいいつつ、歴史上の同姓同名の人物の仮名を変えて登場させたり、それだけでなくその歴史的出来事も兼ね合わせてたり、(例えば、大石内蔵助→大石倉之介だったり(一例))井坂好太郎!笑える!
    今までの伊坂幸太郎さんの作品に出てきた登場人物や、その台詞(言葉)まで、巧く絡ませて(伊坂さんの本のファンにはたまらないだろう(^。^))
    いつもの如く、伏線が張り巡らせられており、どうやって、この伏線を回収してゆくのか、見どころ満載…そして次回(下)に続く…。
    絶対見てしまうよね 今、下を読んでる最中
    レビューはその後で、、「勇気はあるか?…

  • システムエンジニアの渡辺のまわりの人々に起こる様々な不幸。ある言葉の組み合わせを検索した人がそうなっていると確信し…という上巻。
    著者ならではのちょっと不思議な世界観が全体を支配している。未来のお話らしく、平成が大昔のように語られていたり、手元のグラスに画面が投影されていたり、徴兵制があったり…!
    渡辺の妻や、正体不明の安藤商会、井坂好太郎という作家も登場し笑、皆謎だらけで気になる存在。

  • この話を読みながら、「え?これって最近の話?」と首を傾げていたのだけれど初出を見る限り結構昔に書かれた話みたいで驚き。
    近未来感はあるけれど現代の抱えている問題とか情勢とか様々なことがリンクしている気がして。
    その当時からこんな世界になるって予測が出来ていたのだろうか……凄い。

    前後編になっている事もあって物語はまだまだこれから動き出すといった感じではあるけれど、既に不穏な事件は起きているし、謎が謎を呼ぶ感じで面白くて一気に読んでしまった。

    それにしても検索したら何かしらの事件に巻き込まれるっていうのは怖いなぁ……日常を生きてて検索をかけない日なんて今はないもんなぁ、何気なく検索してしまったせいでそんなことに巻き込まれたりしたら悲惨すぎる。
    確かに都市伝説とかで「絶対に検索してはいけない言葉」みたいなものがあったり流行ったりするけれど、これはそういうのじゃなくて本当に何かが起こってしまいそうな恐怖感があって……リアルというか。
    フィクションだと分かっていても私もあの言葉を検索してみよう!とは全く思わないもんなぁ……流石に怖すぎる。

    今の段階では何がどう繋がっているのかも全く読めないけれど、これがどう繋がっていくのか後編を楽しみに読みます。

  • 面白かった
    魔王の50年後の世界だそうで、魔王に出てきた犬養元首相、じゃんけん無敗の安藤潤也のエピソードも出てきます。
    主人公渡辺拓海は安藤と血縁関係があることが後程判明

    全体のストーリ展開がゴールデンスランパーに似てるなと思ったら、双子のような関係とのこと
    そういった意味では、ゴールデンスランパー、魔王、本作と自分好みのストーリ展開でした。

    上巻は
    システムエンジニア渡辺拓海が妻の佳代子から浮気を疑われて、妻に雇われた男岡本から拷問されるシーンから始まります。
    なんじゃ、その展開は?(笑)
    その拓海は会社の先輩で失踪した五反田がやり残した仕事を引き継ぐことに。
    後輩の大石倉之介とともに取り組んだその仕事は単純に出会い系サイトの仕様変更。
    しかし、そのプログラムには不審な点が多く、発注元に仕様を問い合わせても返事すらない。
    そして、プログラムを追っかけていくと、「播磨崎中学校」「個別カウンセリング」を同時に検索すると何かあることを突き止めます。
    しかし、そのキーワードを検索したプロジェクトメンバには様々な不幸が...
    それを相談する相手が井坂好太郎(なんじゃそりゃ?)

    そのキーワードが意味するものは何か?
    なぜ、不幸が?
    といった展開です。

    さらに、拓海の浮気相手の女も失踪
    佳代子って何者?
    拷問男の岡本にも相談して、いったいどうなっているの?ってな感じですが、それでも徐々に明らかになる真相
    どうなる?どうなる?っていう感じで下巻に続きます。

  • 「魔王」の50年後のお話。この世はインターネットの情報に支配されているように思える内容。

    「現実にそこにいるその人間が積み上げた関係よりも、どこの誰が書いたかも分からないネットの記述の方が信じられたわけだ」

    実際にそうなる未来はすぐそこまできてるのかもしれない。

    作中に井坂好太郎なる小説家が登場する。その人物の作品を主人公が客観的に否定するシーンが印象深い。

    上巻である本作を読み終わる頃には、ここに感想を書くことなんか放棄し、すぐさま下巻を読みたくなる、そんな作品です。

  • 出だしから引き込まれました(笑)
    なぜ拷問⁉︎

    登場人物もそれぞれ魅力的で、展開も面白いです。
    謎の判明を楽しみに下巻も読みます‼︎

  • 『魔王』から50年後の話。
    『魔王』は数年前に読んでおり、え?なに?これで終わり?という残念な感想を持った覚えがあります。
    続編とは知らずに読み始めてしまい、なかなかページが進まず。
    伊坂さんの作品はほぼ読んでいますが、『魔王』『PK』『火星に住むつもりかい?』に次ぐ、自分には合わない作品になるかも・・・。
    とりあえず最後まで読もう。下巻へ続きます。

  • 伊坂幸太郎氏の「モダン タイムス」を読みました。
    ストーリーはミステリー?
    国家?大きな力?システム?に対しての抵抗。
    最後まで話のツジツマは合わないような気もしますが、話のツジツマをあわせることではなく、それを通しての伊坂氏の想いが思いっきり沢山込められています。

    この歳になりいろいろ考えることが増えてきましたが、今まで考えていたことのヒントが沢山あったようで、読んで本当によかったと思います。

    一部抜粋すると


    「アリは賢くないが、コロニーは賢い。」

    「細分化された仕事を任された人間から消えるのは、良心。」

    「人には良心があるが、人のコロニーには良心がない。」

    「危険思想とは常識を実行に移そうとする思想である。」

    「人生は要約できない。」

    「人間は大きな目的のために生きているんじゃない。もっと小さな目的のために生きている。」

    「宇宙の力を考えろ。宇宙の力で、地球は動き、樹木は育つ。その力は、君の中にもある。」

    「大事なルールほど法律では決まっていない。」

    「目の前でこまっている奴を救え。細かいことは考えるな。」

    「物事なんて見方を変えれば、何が正しいかなんてわかんなくなっちゃう。」

    「無知で、社会についての知識や責任感も分からない子供たちに、物を教えるには、威厳が必要だ。そもそも動物は、自分より強い動物にしか従わない。」

    「そもそも、小説ってのは譬え話なんだよ。しかも含まれている教訓は曖昧だ。「レモンにはビタミンCが含まれていますよ」なんて具体的な情報は小説には入っていない。作家はそんなこと知っちゃいねえし、書けねえんだよ。作家が分かるのはせいぜいが、「酸っぱいものを食べると、なんだか元気になった感じがしますよね」といった程度のことだ。」


    大きなことをすべてできないときどうするか?一つはあきらめること。もう一つはできることをすること。


    また、未来像では

    徴兵制
    高性能な白杖

    等がでてきます。


    ストーリーよりも含まれるエッセンスが面白い一冊でした。

  • 主人公が翻弄されていく姿に翻弄される上巻だった。
    謎が散りばめられ増えていくのがあまり良い心地がしなくて、終始不思議な思いをかかえて読んだ。

    夫の仕事がシステムエンジニアなので、夫の仕事のことが知れるかもしれない、と読み始めた。
    けれど、全然お仕事関係なくて笑っちゃった。

    主人公が少し不憫。
    それも面白いのかも。
    それが今後の話に繋がっていったらいいな。
    下巻に期待です。

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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