鉄の骨 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
4.14
  • (900)
  • (1237)
  • (443)
  • (32)
  • (8)
本棚登録 : 7942
感想 : 788
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (672ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062770972

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • またまた池井戸さんの小説。
    単行本が出たときから、
    読みたくて読みたくて仕方なかった本です。

    ゼネコンの「談合」をテーマにした小説で、
    熱血漢のある新米社員が現場から業務課に異動になり、
    談合に関わってくストーリー。
    談合とは何か?や談合は何故なくならないのか?が
    素人にも分かるように書かれています。

    この本を読んで、結局は産業構造自体を変えないと、
    談合はなくならないのかなと感じました。
    建設業界は談合というわかりやすいフレーズがありますが、
    もしかすると、ある程度停滞した業界なら、
    どこにでも見て取れる現象なのかもしれません。
    自分の会社や業界を振り返る良い機会になりました。

  • 大学を卒業して中堅ゼネコンに勤めて4年目になる富島平太が主人公。建築学科を卒業して3年間現場で働いてきたのが、営業部門の業務課に配置転換になり公共工事の談合に関わることになる。そして談合の企業論理に反発しながらも上司の命令に従っていく。
    恋人が勤める銀行の論理や政治家の収賄が絡む検察の捜査が並行して描かれ、談合の裏事情が明らかになっていく。まさにミステリーで結末は予想もしなかった展開になる。池井戸潤の作品はいつも飽きさせない展開で一気に読み終わる。
    公共工事でなくても企業活動の中で談合や価格カルテルといった話は当たり前のように耳にするが、その詳細を知る機会がなかなかない。それがよくわかる本であったが、意外な真相が最後に用意されており、談合のリスクを改めて認識しつつ同時に競争社会の爽快感を感じるのは私だけだろうか。

  • とても面白かった。ページ数の多い小説でしたが、内容に引き込まれるので苦にならないです。
    談合(「話し合い」という人もいるらしい)について考えるいいきっかけになりました。
    業界のためになることなら、内緒でせずに公に数字や順番を公表してやっていくことはできないのかな。
    しがらみにがんじがらめになっていくのを仕方ないと諦めるしかないのかな。

    この作品には若い主人公の恋愛も描かれていたので、
    読みやすさが倍増でした。
    女の子の方がおませになるのが早く、
    背伸びして年上の男性に惹かれ、
    同年代の男の子に頼りなさを感じていく展開は、
    よくわかってるなぁと池井戸さんに興味を覚えました。
    他の作品も読んでみたいです。

  • 最近ヘビーローテーション気味の、池井戸作品。今回の舞台はゼネコンで「談合」がテーマです。

    談合というと「悪いこと」だというくらいの認識しかありませんでしたが(お恥ずかしい話)、この小説を読んで談合が生まれるメカニズムや、談合からなかなか抜け出せないゼネコンのしがらみがよくわかりました。ゼネコン、政治家、検察など、複数の視点から談合を描いており、その仕組みが立体的に浮かび上がってくる構成もよいですね。ミステリーのようなスリリングさもあって、結末も「なるほど、そうきたか」という感じです。

    企業に関わる難しいと思われがちなテーマを、分かりやすく、面白く描き出す池井戸作品。今後も目が離せないです。

  • 一言、面白かった。おすすめです。寝る前に少しずつ読むスタイルですが、だんだん本を閉じることができなくなりました。
    登場人物の人間臭さが良い。魅力溢れる絶対的な三橋顧問でさえ、しがらみを捨てきれない。
    先輩の西田さんの言葉も響いた。
    「なんでここにいるかなんて、青臭い精神論を語る暇があるんなら、このチャンスを生かすことを考えな。〜目の前に転がってきた運を掴む資格があるとかないとか、そんなことを考える奴は、結局何をやったってダメなんだ。」

  • 読んだのは七つの会議くらいの時期。
    凝った展開が面白かった記憶があるが、詳細は割愛。
    池井戸潤シリーズの中ではかなり面白い方だったと思う。

  • 池井戸作品、WOWOWのドラマをたまたま見てて原作はどんな感じかと人気の池井戸作品に興味がわいて読んでみた。 率直な感想はとても読みやすい。 僕も35歳からほんの少しの期間だがこの手の部署にいたこともありそうビックリするような内容でもなかったが単純に面白かった。 ただ恋愛話は僕には不必要に感じたしもう少し硬派と言うか本質まで迫ってほしかったなとも感じたし、特にグッとくる場面もなかった。 万人に読みやすい娯楽本って感じ。

  • 会社の先輩からオススメされ購入。シンプルに面白い。普段あまり小説は読まないが池井戸潤のものは買ってみようかと思う。

  • 痛快!面白かった〜、流石池井戸潤さん!

  • ゼネコンの談合を扱った経済小説。スピード感があって、一気に読めた。著者の小説に有りがちな悪大官が出てこなかったのもよかった。主人公の恋人を奪っていくエリート銀行マン園田、実は裏のある悪いやつなんじゃないかと疑ってたが、そんなでもなくてよかった(ホ)。

    不正で甘い汁を吸うのは許せないが、赤字覚悟で競争せざるを得ない入札の厳しさ、身に詰まされるなぁ。

全788件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

1963年岐阜県生まれ。慶應義塾大学卒。98年『果つる底なき』で第44回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。2010年『鉄の骨』で第31回吉川英治文学新人賞を、11年『下町ロケット』で第145回直木賞を、’20年に第2回野間出版文化賞を受賞。主な作品に、「半沢直樹」シリーズ(『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』『アルルカンと道化師』)、「下町ロケット」シリーズ(『下町ロケット』『ガウディ計画』『ゴースト』『ヤタガラス』)、『空飛ぶタイヤ』『七つの会議』『陸王』『アキラとあきら』『民王』『民王 シベリアの陰謀』『不祥事』『花咲舞が黙ってない』『ルーズヴェルト・ゲーム』『シャイロックの子供たち』『ノーサイド・ゲーム』『ハヤブサ消防団』などがある。

「2023年 『新装版 BT’63(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

池井戸潤の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
池井戸 潤
三浦 しをん
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×