この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 上 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1056
感想 : 85
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062771153

作品紹介・あらすじ

数々のスクープを物してきた敏腕編集長、カワバタ。大物政治家Nのスキャンダルを追う彼の前に現れた奇妙なグラビアの女。彼女を抱いた日から、人生は本来の軌道を外れて転がり出す。不敵なまでの強引さと唐突さで物語に差し挟まれる数々の引用。小説が真理に近づく限界を極めた、第22回山本周五郎賞受賞作。(講談社文庫)

感想・レビュー・書評

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  • 予想と違うスタート。権力をほしいままにしてグラドルを抱く悪徳編集者かと思いきや、違う側面も次々に出てくる。そして登場人物の名前がカタカナ表記だったり(人物名が覚えにくかった)、やたらと出てくる引用文。これは小論文崩れの読み物?と思ったけれど、ちゃんと小説だった。
    出版社内の権力闘争や、自分の妻との簡単に説明しきれない尊敬と愛情と憎悪のごった煮のようなものも楽しめた。
    ただ、機関銃のような理屈の羅列と、精神科医との高尚な議論には正直ついていけなかった。人なんて、その辺に咲いて枯れる草花とほぼ同じなのに理屈こねすぎ、と。
    頭のいい人はどこまでも理屈を追うことが出来て、それってかえって苦しいことなのかもとも考えた。

  • 格差社会、メディアと権力、
    大きなテーマに小説のカタチで鋭く斬り込む!
    引用のフリードマンとか
    「恋愛はギャンブルだけど結婚はビジネス」などの
    警句は目を引く。

    ちょっと人物造形はありきたり、とも思ったり。
    下巻を読まないと最終的な判断はできないけど。

  • 山本周五郎賞
    脂肪の塊◆N◆マスターベーション◆排出権取引◆僕の年収◆テレサ◆ユキヒコ◆まぼろしの声◆コッテコテの物語◆マキノ官房長官◆難民◆ダルキース演説◆四分の一◆名器の家系◆ミルトン◆個人の自由◆バイトの娘◆ひとりの暴君の手◆結婚はギャンブル?◆ライダーじゃダメ◆隔壁◆神戸のバラバラ事件◆格闘記◆モニカ◆メンフィス演説◆電池が切れた日◆時空の歪み?◆引き算の人生◆マユカの相談◆圧力◆私はあなたを仏弟子にしない◆無駄と恐怖に支配された世界◆そう、たった一人◆貸し借り◆藤崎農園◆私の奴隷◆バレバレ◆記事の抜粋◆イチローになれますか?

  • 子どもの頃ロシア文学を好んで読んだので、この長々と語られる独白はすんなりと入る。エンタメではないので、楽しい話を求めるなら他の話を勧めるけれど。

  • 【あらすじ】
    数々のスクープを物してきた敏腕編集長、カワバタ。大物政治家Nのスキャンダルを追う彼の前に現れた奇妙なグラビアの女。彼女を抱いた日から、人生は本来の軌道を外れて転がり出す。不敵なまでの強引さと唐突さで物語に差し挟まれる数々の引用。小説が真理に近づく限界を極めた、第22回山本周五郎賞受賞作。

    【感想】

  • (オーディオブックにて)
    こんな小説初めて。主人公の内面を中心に物語が展開する。
    頭の中で様々な思いや考えが文字として記録されているような。
    ストーリー自体はよくある小説なのだろけど、人間の思考ってこんな感じ、と自分でも思う。
    経済の話や哲学に脱線をするが、それも人の思考の中にあることだと思うし、(知っていることもあるが)これはかなり勉強にもなる。
    自分を取り囲む人々との関係、自分の(おそらく)未来との邂逅。ガンになったからこそ見えてくるもの。

  • 新たな遭遇だな。

    こんな小説読んだことないよ。

    作者は理屈っぽい性格なんだろう(笑)
    でも、男の読者はそれがハマるかも。

    唐突な引用に戸惑うが
    何故か引き込まれる。

    でも、勉強になったな(^^)/

  • 「世の中に問題が起こるのは、私たちみんなが他人の不幸に余りにも無関心だからだし、その結果として世の中がいつまでたっても不調和なままだからです。私たちは全体の調和を優先しようという強い意志をいまだに持つことができないし、私欲に溺れて資源の分配でも常に独り占めをもくろんでしまう。そのために人間同士の恨みや嫉妬、憎悪の感情は一向に衰えを見せず、相互殺戮がいつ起きても不思議ではない怨恨の連鎖がいまもって途切れることなく続いているのです。」

  • 著者の頭の中にもやもやしていることを主人公に喋らせているだけの作品。長いだけで焦点が定まってないし、十分思考されたようにも思えなかった。率直に言って、垂れ流しを読まされたという印象。
    読み始めた以上、下巻まで読み切りたい気持ちはあるけど、次苦痛すぎ。

  • うーん、自己中心的で理屈っぽい感じの男の人が主人公です。
    主人公をあまり好きになれないので胃癌だと言われてもなんかいまいち同情もできず…。
    あと別の本でも超能力的なものでてきて醒めた覚えがあるのですが、今回は死んだ人の声が聞こえたりするのがちょっと…。

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著者プロフィール

1958年、福岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。文藝春秋に勤務していた2000年、『一瞬の光』を刊行。各紙誌で絶賛され、鮮烈なデビューを飾る。09年『この胸に深々と突き刺さる矢を抜け』で山本周五郎賞を、翌10年には『ほかならぬ人へ』で直木賞を受賞。巧みなストーリーテリングと生きる意味を真摯に問いかける思索的な作風で、現代日本文学シーンにおいて唯一無二の存在感を放っている。『不自由な心』『すぐそばの彼方』『私という運命について』など著作多数。

「2023年 『松雪先生は空を飛んだ 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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