真鍮の評決 リンカーン弁護士 (上) (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062771245

作品紹介・あらすじ

丸一年、わたしには一人の依頼人もいなかった。だが妻とその愛人の射殺容疑で逮捕されたハリウッド映画制作会社オーナーは弁護を引き受けてほしいという。証拠は十分、アリバイは不十分。しかも刑事がわたしをつけまわす。コナリー作品屈指の二人の人気者が豪華共演する傑作サスペンス、満を持して登場。

感想・レビュー・書評

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  •  コナリーのメイン・シリーズは、ロス市警のハリー・ボッシュと決まっているようなものだが、時にノンシリーズと思われるキャラクターであれ、メイン・シリーズに登場したり、続編が出たりすることも数多くあるので、『リンカーン弁護士』のミッキー・ハラーが再び登場して、シリーズ化の勢いを見せ、さらにハリー・ボッシュが共演することになろうことも予測の範囲でなければならないのだろう。それにしてもいつもいい意味で裏を欠かれ、ツイストを見せられてしまうのが、コナリーの作法であり、手腕であるのだ。全く侮れない作家である。

     前作のラストシーンを受けて長い休養から復帰することになったミッキーは、のっけから、殺された友人弁護士の仕事を引き継ぐことになる。弁護士の殺害犯を探るヒントは、弁護士の引き受けていた仕事の中にあるだろうことを、ミッキーのみならず警察の捜査官も当然探るはずである。案の定、知人弁護士の職場には、ハリー・ボッシュが事件資料を漁っている姿が。早い段階で二人の小説ヒーローが顔合わせとなり、読者サービスの美味しさに舌鼓を打ちながらページをめくることにになる。

     前作でも見せたとおり、機転の利くミッキーである。一流の法律事務所を経営しているわけではなく、今もなお運転手は弁護料代わりに調達している。31件ある死んだ弁護士の仕事をミッキーは振り分ける。金にならぬ仕事、捜査の困難な仕事は、他の事務所に回す。しかし新聞を賑わしたような有名な事件には飛びつく。そこに大きな罠があるとも知らず。

     コナリーのストーリー・テリングについて今更書き記すことはないと思うが、大船に乗った気持ちでストーリー展開の二転三転ぶりを楽しんでもらえればいいと思う。ましてやボッシュとのやりとりは、そのキャラクターの違いもさながら、お互いのスタンス、距離感などは、味わい深いものがある。事件とは別に彼らの関係にとんでもない真実が見出されるラストでは、少し出来すぎのきらいがあるものの、コナリーだから、ということで容赦してもいいような気がする。

     今後のシリーズ化は占えないものの、少なくともこれで二人の共演は今後約束されたようなものである。楽しみがまた一つ増えたと言っていい。できれば、『わが心臓の痛み』『夜より暗き闇』登場のテリー・マッケイレブのような結末を迎えては欲しくない。

  • リンカーン弁護士シリーズ第2作。相変わらずとても面白かった。こんなに早い段階でハリーボッシュも絡んできて、ファンには嬉しい限り。文句なし。

  • 「リンカーン弁護士」のシリーズ第2弾。

    ミッキー・ハラーは刑事弁護士。
    法廷や刑務所を効率よく回るため、3台のリンカーンを事務所代わりに乗り回している。
    正義の味方のつもりでいたくても、ほとんどの仕事は、常習犯罪者の刑を出来るだけ軽くする手続きというのが実情。
    元妻マギーは有能な検察官で、幼い娘ヘイリーとは時々会う。

    いろいろあって1年もの療養期間を過ごし、ようやく仕事に復帰しようとした所。
    相互に契約を結んでいた弁護士仲間ジェリー・ヴィンセントが殺された。
    ジェリーの仕事をいきなり引き継ぐことになったハラー。
    信頼している秘書ローナと、ジェリーの事務所に乗り込むが。パソコンとファイルの一部が盗まれていた。
    ローナはもう一人の元妻だが、長年の友人で、一時結婚したが間違いに気づいたという仲。

    ジェリーはセレブの弁護を引き受けていて、裁判がもうすぐ始まるというタイミング。
    映画プロデューサーで富豪のエリオットが、妻と浮気相手の二人を射殺したとされる事件。
    25万ドルもの前金が振り込まれていた。
    証拠はほとんど状況証拠だが…

    ロス市警強盗殺人課の刑事ハリー・ボッシュも登場。
    作者が長年書き継いでいる人気シリーズの強面刑事です。
    殺人事件に対しては素人っぽいミッキー・ハラーと、互いに反発もしながら、そろそろ協力も。
    上手く絡んで面白くなるか!?作者のお手並み拝見☆

  • 信託口座と営業口座のことが書かれていてなるほど~。

    前に読んでるのに全く話を覚えてない。
    このまま下巻へ。

  • リンカーン弁護士シリーズ二作目。そして、著者のもう一つのシリーズの主人公である、ハリー・ボッシュが登場します。

    前作の最後で、ミッキーは銃撃を受けたのですが、その後、ジャンキーにまでなってしまっていたんですね。まぁ、アメリカでは、鎮痛剤の多用で、ジャンキーになってしまう例が少なくないと言われていますが。

    衝撃的な幕開けで始まりますが、上巻では、まだまだ事件は動きません。嵐の前の静けさです。下巻で、どう、事件が動くのか?

  • 待望の新刊。面白い。下巻へ!

  • リンカーン弁護士の第2作。1作目も十分面白かったがこの作品も冒頭からグイグイ引き込まれる。もうひたすらマイクル・コナリーの職人技的な起伏にとんだストーリー展開、魅力的なキャラに陶酔できる。しかも、今作はそれに加えて、なんとハリー・ボッシュが登場!今までハリーの作品は一人称のハードボイルト形式が多かったので、リンカーンの視点で3人称的に描かれるハリーは興味深い。こうやって読むと意外と嫌な奴?
    後半の謎の急展開に期待大!!

  • 面白い。
    シリーズ最初から読んだ方が良かったかな〜

  • 11月15日読了。図書館。

  • 「リンカーン弁護士」ハラーに、ボッシュとマカヴォイが絡む。まあなんと魅力的な出だしだろう。ちょっとまだ調子が出ないけど、下巻に期待。

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著者プロフィール

Michael Connelly:1956年生まれ。LAタイムズ元記者。代表作としてはボッシュ・シリーズ、リンカーン弁護士シリーズがあり、当代随一のストーリーテラー。

「2023年 『正義の弧(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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