密室の如き籠るもの (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062771528

作品紹介・あらすじ

猪丸(いまり)家に突然、謎の女が現れる。その名は、葦子(よしこ)。狐狗狸(こっくり)さんのお告げを伝える彼女が後妻に来てから、何かがおかしい……。そんなある日、屋敷の2階で密室殺人が起きた。惨事の元凶は狐狗狸さんなのか、はたまた……。旧家をおそった凄惨な事件を、刀城言耶が解明する!(「密室の如き籠るもの」) 表題作ほか、全4編収録。

刀城言耶シリーズ第一短編集、待望の文庫化です。

感想・レビュー・書評

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  • そうきたか〜(〃'艸'〃)!!
    乱歩のトリックの説を用いて細かく推理。
    そして真相は……すごすぎる…‎߹ㅁ‎߹)♡



    刀城言耶シリーズ短編集第1弾!

    【首切の如き裂くもの】

    元侯爵家の令嬢が、喉を裂かれて殺される事件が発生。
    行き止まりの路地突き当たりには、氏神様が祀られている祠がある以外は、何もない場所だった—。

    ちょ……これすごいよ。
    このトリック解けたら拍手!(๑•∀•๑)!


    【迷家の如き動くもの】

    毒消し売りの少女が峠を越えた所で見かけた奇妙な家。
    しかし、もう1人の少女は、見ていないと言う。
    家が動いている?
    すると、山で出会った商売人の男に「マヨヒガ」の話を聞く…。

    動く家の謎。
    迷家の中で夜をやり過ごす描写が怖い……。
    すごく面白かったです!!
    必ず思いがけない展開がある所が、言耶シリーズの魅力です(〃´-`〃)♡


    【隙間の如き覗くもの】

    多賀子は昔から「隙間」を嫌う。
    小さい頃から襖やドアの隙間はきちんと閉めるように祖母から厳しく躾けられていた。
    林間学校の就寝時間、襖が少しだけ開いていた。
    覗き込むと、そこでは友人同士のやりとりが見えた。

    過去や未来が見える隙間。
    覗くと、向こうからも覗かれて…\=͟͟͞͞(꒪ᗜ꒪ ‧̣̥̇)/
    これもまた、すごいトリックでした(^▽^;)


    【密室の如き籠るもの】

    猪丸家に突然現れた謎の女、葦子。
    記憶がなく、怪しいが、当主に気に入られ嫁入りする。
    前妻が2人、謎の死を遂げた蔵座敷の2階で狐狗狸さんをはじめる。
    すると、よく当たる占いとして評判になる。

    コックリさん…。
    勝手に狐の霊だと思っていましたが、違うみたい(^▽^;)
    欧米にも、ウィージャーボードというのがあるそう。
    この話で出てくるのはハート型の板に鉛筆を差し込んで使う自動筆記版。
    興味深いですね。

    コックリさんの事だけではなく、トリックと推理方法について細かく解説しています。
    面白い!間違いない!


    言耶が出てくると安心感がある…(〃´-`〃)
    これでもか、これでもか、と端から疑問点出して端からぶった斬っていくスタイルは読んでいて気持ちいいです。

    しかも『密室の如き籠るもの』に関しては、もう、お見事としか言えない……!!
    (゚∀゚ノノ"☆パチパチパチ
    ブラボー!


    短編で隙間時間も言耶に癒されたい…♡
    おすすめです!!!ヽ(´▽`)/

  • 今回は短編集、4話収録。
    1話目...首切りの話。行き止まりの路地、そこにある祠。と舞台装置は不気味な様相。あとは意外な謎解き。それはわからん。
    2話目...山に存在する移動する家、通称「迷家」。人を誘い込み自らに取り込んでしまうという恐ろしい家。怖すぎ。トリックはなるほど...人間の思惑も絡んでいたのね。
    3話目...隙間から「隙魔」が見えてしまう特異体質の女性の話。隙魔が見せるのは凶兆。この話は因果応報だなー、それよりも特異体質が面白いなぁという印象。
    4話目...こっくりさんと密室殺人。偽真相で真相を隠すという技が面白い話だった。偽の方も思わず納得しそうになるロジックを組むのはさすが。

  • 刀城言耶シリーズ第一短編集。表題作『密室の如き籠るもの』は、真相を提示した後更にどんでん返しが来る。これだけでも読む価値有り。他の短編は『迷家の如き動くもの』が好き。怪談の体験者が山の怪異に追いかけられる描写はとても怖かった。そして刀城言耶が示した謎への解釈にも納得。
    刀城言耶シリーズの長編は分厚いが、その分提示される謎も多く、読み終えたときの達成感や満足感が凄まじいが、短編集はそれを短い時間で味わえる新鮮さが良い。

  • 刀城言耶シリーズ短編集第1弾!

    いや〜刀城言耶シリーズ好きにはたまらないだろっ! 四の五の言わずに読むぞーᐠ(°Д° )ᐟヨイショットー!!!!

    〜あらすじ〜

    旧家の猪丸(いまり)家に現れた記憶のない謎の女・葦子(よしこ)は、開かずの間だった蔵座敷(くらざしき)で“狐狗狸(こっくり)さん”を始める。だが、そこは当主・岩男(いわお)の前妻たちが死んだ場所だった。刀城言耶(とうじょうげんや)が訪れた日も“狐狗狸さん”が行なわれるが、密室と化した蔵座敷の中で血の惨劇が起こる。表題作他、全4編を収録した“刀城言耶”シリーズ第1短編集

    ふっふっ……たまらない!たまらない!
    全4編とも読み応えがあるでわないか!
    まず各話軽く感想を述べたいと思います

    1、首切の如き裂くもの
    感想……怖ぇーー!すげ〜トリックだなぁ〜と思いました!(⁠´⁠⊙⁠ω⁠⊙⁠`⁠)⁠!!以上!ww

    2、迷家の如き動くもの
    感想……この終わり方めちゃ好きぃぃ〜♡(•ु˙³˙•ु)
    以上!ww

    3、隙魔の如き覗くもの
    感想……と、特殊能力だと!アベンジャー!( •̀ᴗ•́ )و
    以上ww

    4、密室の如き籠るもの
    感想……短編?否っ!もはや!これは長編並の読み応え!ラストの結末に驚愕っ!

    このように短編集ならではのバラエティに飛んだ
    1冊になっております!
    刀城言耶シリーズ好きも満足出来る作品
    そして初めての方も刀城言耶とはどういうものなのか?初読としても良いと思いましたね!
    機会があれば是非読んでくだされ〜!
    とてもおもしろかったです!!


  • いつも通り怖いし面白いけど、長編のこれでもか!ってぐらい畳み掛ける怪異が好きなので物足りなかった。もっと怖がらせてほしい。
    密室の歴史を話そうとした時には「このページ数だぞ正気か」と思ったけど本筋の事件に戻ってくれてよかった。

  • 三津田信三の「冬城言耶」シリーズの第四作目にあたる短編集。正確にいうと、短編が三本に、中長編(表題作)が一本。
    正直にいうと、前作(特に衝撃度がハンパない第一作=厭魅の如き憑くもの)ほどの迫力も、背筋の凍る怖さもない。・・・といっても面白くないわけではなく、これはこれで良くできているし、そこそこ面白いのよ。
    ただ、この本を読んではっきり明確に、このシリーズの構成要素&どこがおもしろいのか、が見えてきました。そう言う意味では収穫は大きかった。
    1、こわ~い怪異にはページ数が要る。
    身の毛もよだつようなホラー要素を十分に描写するには、つまり作品世界の情緒を引き出すにはかなりのページを割く必要がある。これは長編の強み。短編ではこれが必要最低限の状況説明で終わってしまうので(必然的に)、どうしても怖さに深みがない。
    2、このシリーズの構成がよく見える。
    謎(怪異)の提起→繰り返される過去の逸話→現在進行形のトラブル→言耶登場→巻き込まれる・リアルタイムで怪奇を体験→謎解き。長編だとこれが怪異ウンチク、人物情景描写、過去と現在両方のエピソード満載で、真相は注意深く隠されている。ミスリードや伏線もたっぷり。短編では物語の背骨がくっきり浮かび上がってしまう。言耶の謎ときが占める割合が多すぎて理屈っぽくなる。
    ・・・文句じゃありません(笑)。これはこれで面白かった。でも、もっと深く掘り下げてほしかった怪異がいっぱいで、若干心のこりです。

  • 刀城言耶シリーズの初の短編集。今までだと「天魔の如き」が唯一の短編でしたが、今回は短編集。といっても最後の表題作は中編くらいのボリュームですが。

    読んでみて・・表題作はなかなかに面白かったです。これまでと比べてそれほど遜色のない出来というか。
    ただあとの「短編」は正直ちょっと物足りない感じがしました。もともとが「その土地に根付く言い伝え」なんかを丹念に積み上げて雰囲気づくりをした上での事件、という流れが強いシリーズなのでそういう雰囲気を十分に作れないまま「こんな事件があって、真相はこれです」というさっぱりしすぎた印象が強い。ちょっと短編のボリュームではきついのかもしれないなあ、と。

  • 2007年から2009年にかけて『メフィスト』に掲載された短編3編と
    表題作である書き下ろし中編「密室の如き籠るもの」を加えた
    刊行順としては刀城言耶シリーズ第5作目に当たる短篇集。

    短編の物語の形式として、地方での怪異譚蒐集から東京に戻った際に
    怪想舎の編集者である祖父江偲から事件の相談を持ちかけられ・・・
    という形になっていて、「隙魔の如き覗くもの」は、
    物語の時期的に『凶鳥の如き忌むもの』で描かれている
    鳥憑島(ここでは鳥坏島ではない)での鳥人の儀の後に当たるので、
    「隙魔の如き覗くもの」の最後に『凶鳥の如き忌むもの』に関する
    思わぬ後日談が書かれていて、ちょっとホッコリしてしまった。

    刀城言耶シリーズの土着的ホラー部分が楽しめるのが
    「迷家の如く動くもの」なのに対して、
    ミステリーとしての部分が楽しめるのが「密室の如き籠るもの」。
    刀城言耶の密室講義や土壇場でのちゃぶ台返し、
    最後に残る薄気味悪さは、中編ながら長編作品で
    感じられるそれに近いものがあります。

  • 刀城言耶シリーズ初の短編集。
    これまでの長編が隔絶された山村(孤島)を舞台としていたのに対し、本作の1話目は住宅街の真ん中を舞台にしている。
    ただ1つ目は短すぎて良さが出ていない感じ。2つ目は短いながら舞台といい、刀城言耶のクレバーな部分といい、味が出ていた。
    最後の表題作は、三津田の良さを感じた。乱歩とカーの引用は冗長に感じて読んでいる途中はイライラしたが、その直後には引き込まれた。首無しに通づる推理の大どんでん返しがあり、面白かった。
    全体を読んでみた感想としては、短編ではこのどんでん返しを描ききれないので刀城言耶シリーズは中編以上の方が面白いと感じた。

    これまでの刀城言耶シリーズの作品はどれも長いので、初めて触れる人にはこの作品を薦めて、シリーズとの相性を見る試金石にしても良いかもしれないと思った。

  • 刀城言耶シリーズ第5弾は初の短編集。
    短編3中編1の構成ですが、中編というかもはや長編と言っても過言ではないボリュームでした。
    過去の長編4作品に比べるとややホラー寄りに感じましたが、それでもやはり本格ミステリーさがあって面白かったです。
    中編では、解決編で密室トリックの謎を江戸川乱歩の分類に当て嵌めながら推察していく方法を取っていて興味深かったです。
    そして、完全に記憶から消失していた伏線をしれっと回収し驚愕な真実を持って解決の流れでしたが、そんな無理矢理な…と思ってたらやはり刀城言耶先生でした。

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著者プロフィール

三津田信三
奈良県出身。編集者をへて、二〇〇一年『ホラー作家の棲む家』でデビュー。ホラーとミステリを融合させた独特の作風で人気を得る。『水魑の如き沈むもの』で第十回本格ミステリ大賞を受賞。主な作品に『厭魅の如き憑くもの』にはじまる「刀城言耶」シリーズ、『十三の呪』にはじまる「死相学探偵」シリーズ、映画化された『のぞきめ』、戦後まもない北九州の炭鉱を舞台にした『黒面の狐』、これまでにない幽霊屋敷怪談を描く『どこの家にも怖いものはいる』『わざと忌み家を建てて棲む』がある。

「2023年 『そこに無い家に呼ばれる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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