アカネちゃんの涙の海 (講談社文庫)

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著者 : 松谷みよ子
  • 講談社 (2012年1月17日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062771580

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アカネちゃんの涙の海 (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

  • 『アカネちゃんの涙の海』タイトルを見るだけでも涙を誘いそうだ。

    モモちゃんとアカネちゃんシリーズの最終話となる今作では、遠い国で行われる戦争に心を痛めるアカネちゃんや、別れて暮らすパパとの永遠の別れなどが描かれている。少しずつ間を置いたりしながらゆっくりと読んでいった。

    アカネちゃんが流す涙に思いを馳せながら、自分の中のかすかな記憶を一つ掘り起こした。祖父が亡くなって何年かしての法事。何度目かは忘れたが、けっこう親戚が集まったから三回忌とかそういう特別なものだったのだろう。その日は雨が降っていた。静かな小雨だったと思う。お坊さんの読経と焼香が済んで、みんなで後片付けをしている時に、親戚のおばちゃんの一人が外の雨を見て、

    「おっちゃん、みんな来てくれて嬉しい嬉しい言うて泣いてるんやなあ」

    と微笑みながら言った。みんな「そうやなあ」とか言っていた。うちの母方の親戚は女系で昔みんな近くに住んでいたからとても仲がいい。その言葉はその場にいたおばちゃん達の誰から発せられてもおかしくない雰囲気だった。その言葉には自分よりも何度も人とのお別れを経験している人の悲しみの取り扱い方が滲み出ていた。私はごく若かったので、そこに共鳴するだけの人生経験も、言葉に乗せられる重みも持ち合わせていなかった。私もいつかこんなことをさりげなく言えるようになるのだろうか、とふと思った。

    雨を見て嬉し涙の方へと想像力がはたらくこともあれば、実際に流される涙が、別のものを想起させることもあるだろう。アカネちゃんが流す涙は、海となってくじらを呼び寄せる。核実験によってやけどをした地球の傷口を冷まそうとする。本来、涙は人間が持っている機能、という目でみれば、傷を癒していつもの心の動きを取り戻す、あくまで自分自身のためのものだろう。でも、この本の中で描かれるように、他の人へ働きかける作用も涙は持ち合わせているように思える。そんなことを思いながら読み終わった。

    子供が読んでわかるようなシンプルな言葉だからこそ、涙の向こうにある様々な感情が直接的に響く。泣いている子供を見る目が少しだけ変わるような体験だった。

  • モモちゃんシリーズ読み終えた。
    深く考えさせられたのだが、楽しく素晴らしい本。
    こんな本、きっと他にない。

    アカネちゃんの涙の海では、パパについて完結するのだが、パパに会いに行く冒険があったり、モモちゃんのつらく悲しい気持ちに胸がつまりました。

    でも、ツバキの赤い花や真っ赤なもみじの素敵な場所でよかった。

    夏みかんや、サルスベリ、戦争と日曜日の学校だったり忘れ物1等賞なんかが心に残る。

    子どものころ読んで、大人になってまた読んで、子育て終わってからもまた読んでみたくなる本じゃないかな。

  • 作者が夫と別れ、夫の死を子どもたちに伝える童話である。

  • 再読。パパと永遠にさよならした後のさびしさは、年を重ねた自分もモモちゃんたちと一緒。親目線で再読したけれど、そこだけは子どもに還って読んでいた。
    アカネちゃんの森での上映会のように、出生前後の出来事を自分の子どもに見せられたらいいなぁ。
    読後、家族の優しさと前に進む力強さに包まれる。

  • 文庫版最後の三冊目には、『アカネちゃんとお客さんのパパ』『アカネちゃんの涙の海』の二作が収められています。
    涙の海のほうは、読んだのは初めてだったと思います。

    話の中心はモモちゃんからアカネちゃんへといつのまにか移っていて、特にアカネちゃんが、パパの不在という現実と向き合っている姿が多く描かれます。
    とはいえ離婚のことだけでなく、戦争反対や核実験反対の話も出てきます。

    泣き虫のアカネちゃんは、涙の海ができるほど泣いてしまうこともあります。
    いつも強くて明るいしっかりもののお姉ちゃんのモモちゃんも、パパとの悲しいお別れのときには、涙の海にやってくるくじらの赤ちゃんも戸惑ってしまうくらい、昼も夜もなく泣き続けました。

    でもみんなみんな大きくなって、天国に行っても尚ひとところに留まらずに歩き続けているパパのことを、パパらしいねと言って、ママと三人で笑って話す日がやって来るのでした。

    第六作『~涙の海』発表が1992年。第一作『ちいさいモモちゃん』の初出1961年から30年も経っての完結。

    母でありながら物書きであった松谷みよ子さん、2015年2月に89歳で亡くなりました。
    この勢いで、自伝『じょうちゃん』を読もうと思います。

  • 「ちいさいモモちゃん」のその後がとても気になっていたので、本屋さんで見つけたときは即買いましたが・・・
    とても読んでいて辛かった。

    親が離婚するという事を、子供はどのようにして理解して納得するのか・・・いつも気になっていました。

    それでも毎日は過ぎていくし、毎日メソメソしている訳にはいかないし。
    けなげに自分の身に起った事を、事実として受け止めるしか無いのだと感じた。

    これはお母さんが子供の視線になって書いているから、まだ母親である私も理解しやすいが
    実際のところ、子供はこんな風にすんなり受け止める事はできないのではないだろうか。

    ともあれ、何とか前に進もうとしている事がわかって、苦しいながらも安心しました。

  • すっかり大きくなったモモちゃんが頼もしいです。
    アカネちゃんが学校でからかわれたことを知ると、その子たちをぶっとばしてやる、と頼もしいです。

    アカネちゃんも大きくなり、うちにはどうしてお父さんがいないんだろうって悩んで哀しみます。その姿をみるのはとても苦しいです。
    そうやって子供ながらにいろんなことを考えて、哀しんだり、乗り越えたり、周りの人に助けられたり。

    モモちゃんもモモちゃんでおねえちゃんだからと、パパのことを何も言わないで我慢していたり。

    子供たちの成長する姿にたくさんのことを教わりました。

  • 「でもその声は、
    とっても青い空によくにあっていて、
    まるで上等のバターをのせたように、
    青い空にとろっととろけて光りました。」

    こういう、どうしようもなくときめいて
    脳味噌もとろとろとなってしまいそうな言葉たちが、
    なんでもない顔をしてあちこちに潜んでいる凄さ。

    モモちゃんとアカネちゃんの成長ぶりに
    親戚のおばちゃんみたいな気分で頼もしく感じつつ、
    気付いたらあれこれに泣いていた。

  • 今までの中で一番衝撃的でした。
    児童文学でありながら戦争、核兵器、離婚、いじめ、死についてふれています。アカネちゃんやモモちゃんの視点でみたそれらの問題はより切実に感じられました。

  • シリーズ最終巻。

    読者が子供であるにも関わらず、
    ラストを安易なハッピーエンドと
    しなかったところに、
    作者の松谷みよ子さんの
    物書きとしての、そして母としての、
    「強さ」を見た。

    この本を読み終えた時、読者は
    誰のもとにもいずれはやってくる
    「別れ」について考えさせられるだろう。

    正直、アカネちゃんが
    「海が出来るくらいに」いっぱい泣くので辛い。
    しかし、多くの仲間達に支えられて、
    その悲しみを乗り越えて、強く、優しく、
    成長していく姿に感動した。

  •  人の「死」だとか、「離婚」「戦争」について、触れているというスゴイ童話ですねw 文章の表現が、とてもやさしくてあたたかみにあふれていて、読んでいると心がキレイになる気がします。

  • 子供の頃の私は、「ちいさいアカネちゃん」までしか読んでいなかったように思う。それ以降の2冊が出版される前に、たぶん私の読書の範囲が少し大人の方にずれていて、童話を読む年代ではなかったのではないかと思う。そして、「ちいさいアカネちゃん」を読んだときに、物語の中心が、モモちゃんからアカネちゃんにシフトしたことをなんとなく感じていた、のかな。

    私が読みたいのは、アカネちゃんじゃなくて、モモちゃんのお話なんだよ!と思った記憶がうっすらとある。

    だからたぶん、このシリーズのラスト2冊(この文庫に収められている2冊分)は、読んだ記憶はあるけれど、あまり強い印象が私の中に作られていない。

    戦争とか核実験とか。とても重要で大切なテーマで、アカネちゃんやモモちゃんやママの間で本当にやりとりのあった内容だろうと思うのですが、そんな難しい話をするまで成長するなんて。だって、この文庫3冊目の冒頭では、アカネちゃんはまだ「あかちゃんのうち」に通っているんですよ。なのにあれっと思う間に1年生になってしまうのです。時間の流れにおいていかれたような気持ちになってしまいます。

    今回読んで、一番強く印象に残ったのは、「モモちゃんの涙の海」の章でした。確かに、ママとパパの離婚話(のたぶん前)から、モモちゃんはいっぱいいっぱいいろんなことを感じて、いっぱいいっぱい我慢していたに違いないのです。強いモモちゃん、元気なモモちゃん、アカネちゃん対してはちょっぴりいばりんぼのおねえちゃんのモモちゃん。そんなことに私は気を取られて、モモちゃんの本当の気持ちに、ここを読むまで気づいてあげられずにいたのかもしれません。

    文庫本の、たった3ページ。かなしくて、さみしくて、でも強くて、とてもとてもきれいな3ページだと思います。

  • 小さい頃大好きだった「モモちゃんシリーズ」。子どもにとって、靴だけが帰ってくる「おとうさん」、そして、おとうさんにさよならを決めるおかあさんは衝撃でした。たしかその頃は「モモちゃんとアカネちゃん」までしか出版されていなかったので、そこでストップしていたのだけど、その後が出ていたんですね。久しぶりに読むのが楽しみです。

  • いくつになっても、読み返したいと思います。
    母親の本棚から借りた本でした。この年になって改めて読んでみて、また読み方が変わりました。
    母に会いたくなりました。

  • 涙の海ができるとやってくる、クジラの赤ちゃんがなんとなく好き。
    死を書く事が辛かったとおっしゃる作者様。死が近しい世界をこれだけ自然に書くまでに、布目が見えるまでじっくり時をかけるというお姿を想像しまして、大切に毎日を生きぬいていらっしゃるんだろうなぁと憧れが浮かびました。

  • 積読状態だったのですが、読み終わりました。子供向け、でもあるのかもしれないけれども、これはお母さん向けだと思いました。子育てしてるお母さんが読むと、勇気づけられる話が多いなぁと。そして、少しお子さんが大きくなったら、読んであげたらいいんじゃないかなぁと思いました。子どもが、世界をどんな風に見ているのか、小さな出来事が大冒険だったり、何時の間にか夢の世界に迷い込んでいたり、子どもの空想の力ってほんとに素晴らしいのですね!

  • シリーズ最終巻。
    さみしい~~

    けど、タッタちゃんとタアタちゃんが帰ってきたのが何よりもうれしい!!
    よかったー!!
    でも、パパがいないことをアカネちゃんがさみしく思う年齢になり・・
    絵本のくだりは、ほろっとした。
    クジラに乗せてもらって、アカネちゃんがパパに会えてよかったね。

    モモちゃんが、モモコって名前なのはびっくりした。
    モモだと思ってた。

  • おうちにひっそりと一生置いておきたい本です。

  • 大人になってからこの文庫版で読み始めたモモちゃんとアカネちゃんシリーズですが、忘れていた子ども時代を思い出すと共に、将来の大切な宝物を頂いた気がします。
    離婚や死、戦争といったテーマは取り扱うことが難しいと思うのですが、とても自然な形で、そして嘘やごまかしなく描かれていることがこの本の素晴らしさだと思いました。

  • 児童書なのに離婚や死について語られている。小さい頃に読んだ記憶があったけど、よくわからなかった。今、読み返して深いな。と。

  • 離婚や死までも含め、成長を描いている、児童文学はそうはないだろう。この話が半世紀前から書かれている事に驚く。今読んでも古臭くないのは、人の生活の本質が描かれているからなのだろう。最後の方の涙の話にはやられた。もはや大人向けの話と言ってもおかしくない。

  • 小学校の時に読んだ本。
    文庫化したので、読み直したくなりました。

    モモちゃんとアカネちゃんとママとねこのプーと、
    ときどきやってくるお客さんのパパ。
    あたたかくって、でも悲しくて怖くもある物語です。
    離婚や死別、戦争や核実験にも触れられています。
    それらが理屈じゃなくて、ありのままの感情で
    語られているような感じ。

    一気に読んじゃったけど、
    深くて理解できない部分も多かったなあ。。

  • オリジナル作品を2つずつ収録して文庫化。帯のコメントに引かれて3・4を収めたものを読み、大変面白かったので続けて購入。思い返すと、1・2は子どもの頃に読んでいたけれど3から以降は読んでいなかったのかもしれない。5・6でふたりはさらに大きくなって、モモちゃんは中学生になりました。アカネちゃんも小学校にあがり、ものが少しわかりはじめた周りのお友達に、「どうしてパパがいないのか」と言われて悲しんでいます。それをママとモモちゃん、おいしいものがすきなくまさん、猫のプー、懐かしい靴下双子のタッタちゃんとタァタちゃん、おじいちゃんおばあちゃんが優しく見守ります。しごく満足して読了。せっかくなので1・2の収録されている文庫も買おうかな。保存版にします。

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アカネちゃんの涙の海 (講談社文庫)の作品紹介

誕生日、おおかみの姿でアカネちゃんの所に来たパパには、実は死に神が近寄っていた。モモちゃんとアカネちゃんは多くの出会いや別れを経験し、前に歩き続ける。どうして人は亡くなるの?核実験や戦争は誰がなぜするの?『アカネちゃんとお客さんのパパ』『アカネちゃんのなみだの海』収録。

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