- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062771689
作品紹介・あらすじ
突如、阿倍野第六中学の生徒会長に立候補し、鮮やかに当選してみせた高見沢みちる。それまで目立たない存在だった彼女は、魅力的な微笑と不思議な力で学園を支配していく。美しい顔に覆い隠された彼女の正体と真の狙いとは?'70〜'80年代に大ブームを巻き起こし、幾度も映像化されてきた日本ジュブナイルSFの金字塔。
感想・レビュー・書評
-
この作品は1974年に連載されたものなので、著者が40歳位の時に書かれたものである。
思ったよりも古い作品である
ジュブナイルSFとのこと。
ジュブナイルとは、ティーンエイジャーを対象とするようだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
突然、生徒会役員となり学校を徐々に支配していく美しい少女。彼女は不思議な力を持っていた。
NHK少年ドラマシリーズ!(未来からの挑戦)
その超能力とも言える力には、ある学習塾の存在があった。
正義・多数決・学力重視。重松さんとは別方向で、当時の教室が描かれている。 -
小1時間程度でサクッと読める、ちょうどよかった。
舞台設定としては一昔前のものではあったが、まあそこまで違和感なく読めた。
前半は全く未知のものに襲われる恐怖でだいぶ不快感が高かった(褒めてる)し、SFとして読み進めていったが、未知のウイルスに生活を狂わされている現在のことを考えるとどんどん他人事として読めなくなっていった。和美の最後の「またこんなことがある気がする…」台詞が本当にそうだな、、と思ってしまった。
主人公の父の「君たちの行動は短略的なものであり、ああいう熱は長続きしない(端折ってます)」はめちゃくちゃ的を得ているし現実にものすごく通じるなと思った。
現在のコロナ禍なのにも関わらず始まってしまえば盛り上がりを見せる五輪のことを考えると、なんとももやもやした気持ちになった。今こそ読むべき一冊に感じる。
(この短さだったから読めたけど個人的にはかなり不快感強かった!) -
するっと、そしてすらすら読める。文体は、言葉遣いの端々にこそ時代を感じるが、読みやすいし、展開はスピーディ。
ただし、SFとして読むと、バックボーンの弱さや、設定の粗さが目立つ...というか、科学的にどうこう、技術的にどうこうみたいな話は全くないし、SF的な設定を少し借り受けて来ただけ、みたいな感じ。ジュブナイルと割り切って読むべきだと思う。
何より、ジュブナイルであるということが非常に強く意識されているようにも感じた。凄くメッセージ性の強い内容だったし、あとがきからも、テーマにこだわって執筆されたことが伺える。
読んでいて一番思ったことは、古い、ということ。その古い雰囲気自体は、どこか懐かしさを帯びていて、むしろ心地良いものですらあったが、雰囲気のみならず設定も古いし、学生像も古い。仲間と団結する様子には胸が熱くなったが、主人公の立場にしても、相手の立場にしても、こんな熱量を持っているということ自体に、今となってはリアリティの欠如を感じる。まだ学生が、学生としての自分たちの力を信じて、政治的な行動に行き着くことも珍しくなかった時代の尾を引いているような気がした。
読んだタイミングが悪いのかもなあ。-
ネタバレ注意
古さに関しては復刊時のコメントで筆者も言及してたから、やっぱそうなんだと思う。
ていうか、ここまで露骨にファシストを意...ネタバレ注意
古さに関しては復刊時のコメントで筆者も言及してたから、やっぱそうなんだと思う。
ていうか、ここまで露骨にファシストを意識してジュブナイル書くことなんて、今ならあるのかな。
未来人の取った手段が若干迂遠な気がするけど、それは些細な点か。2020/10/30
-
-
もし超能力で何もかも意のままに操れるとしたら・・・過去何度も映像化され、今年もアニメ映画化された日本SFの古典、ねらわれた学園。
有名な小説であり多くの人もだいたいの内容を知っているが、ストーリーはいたってシンプル。
しかし重要なのはその物語の背景とテーマ性だ。ファシズム、選民思想、未来への正しい選択。
子供向けにしてはやや重すぎるが、それが現代までこの小説を生き長らえさせている秘密だろう。
圧倒的な力を持つみちる達に対して、普通の人間のの耕児と和美が戦う場面は手に汗握る展開だ。
超常的な力に対してあらゆる物は無力にも見えるが、唯一人の心だけは自由にできないらしい。
心の自由を手放さなかった者が最後に勝利する話だと自分は解釈したが、たぶん人によって受け止め方は様々だろう。
サンライズによるアニメも現代的にに内容が変えられているので、併せて見ると面白いだろう。 -
良くも悪くもテンポよく物語が進んでいく。悪い予感がするといえば悪いことが起こるし、あいつは超能力者といえば本当にいかさまなしの超能力者である
あんまりにもテンポよく、予告通りに展開にするので驚きがなく作者に手を引かれてるような居心地の悪さがある。一方で短く読みやすくまとまっているので淀みなく読める。
軽く読むには丁度いいといったところ -
薬師丸ひろ子さんの表紙に惹かれて購入。映画もあったみたいですがみたことはありませんでした。てっきり高見沢が薬師丸ひろ子さんの役柄かと思って脳内再生してましたが違ったんですねf^_^;) 支配されていく怖さ、群衆心理というかナチズムをちょっと思い出しながら読みました。あっという間に読み終わる物語です。それにしても表紙の薬師丸ひろ子さんが可愛い☆
-
学園ジュブナイルSF。超能力。1976年。
とても読みやすく、1時間半ほどで読了。
SF設定のなかで、教訓めいたものを暗示しているように思う。
書かれた年代を考えると、ライトノベルの先駆け的な作品なのでしょうか。 -
非常におもしろく、あっという間に読み終えた。書かれたのは1976年ということで、学園の様子は少し今の感覚とは違って見えるのが興味深い。サイドストーリーなどがあれば読みたくなる作品。
-
映画化されると聞き読みました。
内容的には古さを感じましたが、
一気に読み切ることが出来る良作です。
現在の日本で始まりつつあるファシズムをうまく表現していると思います。 -
【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
https://opc.kinjo-u.ac.jp/ -
大阪は阿倍野第六中学校。2年3組の関耕児は、ひょんなことから学級委員長になってしまう。しかし、学級委員長を集めた生徒会で、生徒会長である高見沢みちるによる超能力による支配が行われていた。耕児たちは生徒会に立ち向かうのだが…。
昔、「角川ジュブナイル文庫」という、背表紙が臙脂とも茶色ともつかない色の文庫で読んだ記憶はあるが、中身は忘れていて、講談社から改めて出ているのに気がついたので買い直した。
はっきり言ってしまうと、ストーリーは古くて、子供向け。他の眉村卓作品に比べるとストレートでひねりがなく、唯一共通項があるとすると、夜中に高見沢みちるを尾行してしまうところあたりか。
結末もお世辞にも褒められたものではなく、解決したんだかしてないんだかという感じで終わる。間違いなく、世間の評価は映画化されたことによって美化されているだろう。
1980年代までは、「角川ジュブナイル文庫」はどの古本屋にもあふれるほど存在し、小中学生が読書、特にSFというものに親しむ入り口として大きな存在であった。筒井康隆や平井正明なども有ったが、やはり最も大きな存在であったのが眉村卓である。白黒では有ったが、すこし不気味な水彩のイラストが添えられ、子供心にワクワクしながら読んだものである。
再販の講談社版は、挿絵はカット、門司は大きいがルビはなく、おとなが懐かしんで読むものという感じ。子供用は「青い鳥文庫」というやつかな。
個人的には『ねじれた町』『つくられた明日』などのほうが、『ねらわれた学園』よりも出来は良いと思う。講談社も映画化されたというバイアスで選んでいるのだろうが、もう全部再発すればいいんじゃないの?
もう一つ。
おそらく「角川ジュブナイル文庫」が世の中から消えた理由の一つが、ブックオフでの「ISBNがない」「表紙スレ等の傷み」による大量廃棄ではないかと思っている。ブックオフによる文化の破壊は、そろそろ問題化してよいのではないかと思う。 -
阿倍野六中では高見沢みちるという女子生徒が立候補し、生徒会長の座に収まるが、彼女は超能力を駆使して学園を支配しようとしていた。
関耕児を始めとした二年三組の生徒達は、高見沢みちると謎の少年に立ち向かおうとするのだが……。
謎の少年こと京極は、過去改変して未来を変えようとしたが、こうもあっさりと頓挫するとなれば計画自体を練り直すべきではないだろうか。 -
昨年、亡くなられた眉村卓さんの名作。中学生のころ、眉村作品をむさぼるように読みました。それこそ、1日1冊のペースで読んでいた夏休みを思い出します。
舞台設定にはさすがに時代を感じますが、根底を流れる社会的なメッセージには、昔は気が付かなかったように思います。 -
ねらわれた学園は2012年11月にアニメ化し、全国ロードショーをしたのですが、本編は見ていません。
不思議な力を持った学級委員になり損ねた女の子から始まる「超能力で学校を占拠する」という同小説は読んでいるうちにこの不思議な力がどこから来ているのか?何のために学園を不思議な力で占拠するのか?
その答えは未来にあった?
学校をテーマにした学園ドラマ?というよりSFですが本当にあったら怖いと自分たちはどうしようと思える作品だと思います。 -
流石に今の感覚で言うともう少しキャラ付けを濃くした方がいいと思うし、言葉遣いがアレ?と思う箇所があったりするのですが、そうした古臭い(失礼!)なアレコレを差し引いてもジュブナイルSFの古典として高い評価がなされているのは、未来世界の人類や超能力による支配といったガジェットの部分もさることながら、現代社会への警告というSFに不可欠とも言える要素が見事に物語の根幹をなしているからでしょう。
-
再読。1976年の作品。
「ねらわれた学園」と中編「0からきた敵」
NHK少年ドラマシリーズ「未来からの挑戦」の原作。
懐かしい〜
今読むと展開が早くて子供向けと思うものの面白かった。
未来から来た種族との対決というSFではあるが、今の時代に権利と自由を主張したために未来は無秩序と混沌でどうしようもない状態である。あるいは、生徒会での決定という名のもとに、生徒会でパトロールを組んで規則を破った生徒を罰する。民主主義の手続きを踏んで正義の名のもとに生徒たちを支配していく。ファシズムというのはこうして始まるのだという意味も込められ、奥が深い。
主人公の少年は正義感が強くまっすぐで、母親は子ども思いで心配性、父親は子どもの意思を尊重し頼もしい存在。
こんなところは昔の家庭だなと思う。 -
[2014.02.25]
-
うーん。
-
ここまでクラスが団結するなんて、今の学校ではありえないので、ちょっとうらやましかった。2もあるようなので、読んでみようと思った。
-
一見理屈に合っているようなことを押しつけてくるものに対する短期的抵抗。
エンディングの耕児の父親の言葉が印象的ですね。 -
『アイドル映画の原作』というイメージが強く、また、薬師丸ひろ子があまり好きではなかったことから、触れる機会がなかった本。朝日新聞の書評をきっかけに読む。
非常に奥深い小説。正義とは何か、正義を守る行動とは何か、考えさせられる。 -
1976年発行。昔の生徒会は校則を決めて生徒に守らせたり「自治」の勉強をする場だったんだなぁ。悪いルールや体制には時にレジスタンスも必要となる。今回はそれでうまくいったけれど、勢いだけのレジスタンスではダメで、継続することの重要性も説く。
超能力という絶対的な力で生徒を押さえつけようとする「体制」への抵抗がテーマなあたり、1970年代という時代を感じる。 -
王道展開大好きです。SFジュブナイル作品。
-
日本ジュブナイルSFの金字塔,ということで読んでみました。
文体もシンプルで読みやすく,1日で読了。
個人的には,高見沢みちるのその後が気になるし,どうして超能力を使えるようになったのかも気になる。
あくまで私の意見ですが,細かい心情描写と駆け引きがある作品の方が好みの者としては あっさりしすぎかなあという印象。
しかし,主人公関耕児や楠本和美と同じ中学生のときに読んでいれば,自分の中学生活と重ねてまた違った印象を持っていたかも。
シンプルかさくさく読める。これらの点が名作と呼ばれる所以なのかも。 -
今の時代、ストーリーを追うだけで終えてしまうとこの作品はかなり古びたものに映る事でしょう。それこそ本来の対象読者層である10代前半の世代には、このままではあまり受け入れられないと思います。ですが、青い鳥文庫版の著者による前書き(この文庫版でも解説に収録されています)にある言葉「また読み直したりする場合、できれば、主人公の反対側の敵対者とか、直接かかわりがなさそうな人物の身になって、そうした目から見ればどうなるか、という読み方もして欲しいのです」を実践すると、むしろ今だからこそ響いてくるものが見えてきます。