整形前夜 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 997
感想 : 78
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062772310

作品紹介・あらすじ

だが、と私は思う。日本女性の美への進化もまだ完璧ではない。例えば、踵。あの踵たちもやがては克服され、「おばさんパーマ」のように絶滅してゆくのだろうか。かっこ悪い髪型からの脱出を試み、大学デビューを阻む山伏に戦く。完璧な自分、完璧な世界を強く求めながら、平凡な日常の暴走に振り切られる生ぬるき魂の記録。人気歌人の頭からあふれ出す、思索のかけらを集めたエッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • 講演で穂村さんに会ったとき、この人の人間的豊かさに驚かされたことがある。世界音痴などといいながら、さりげなくこの世界を見事に掌握している人だと思った。なのにそのあとで読んだこれに、また騙されそうな自分がいた。すべてを包み込んで後ろ向きで囁き声の、この人の世界観というか言葉の選び方すべてが好きだ。

  • 気持の「強張り」が
    読んでいるうちに
    やわらかく
    ほぐされてしまう

    穂村弘さんの
    エッセイを読むたびに
    感じてしまう
    ことです

  • ユルさと真面目さのあるエッセイ。

    「言語感覚」では先輩詩人がお菓子をポケットに入れただけで沢山のことを想像し、感じ、詩人だなあと思う、著者のその感覚こそ詩人だと私は思った。
    私がその場にいても、きっとそんなこと気にも留めない。

    「裸足で来やがって」の短歌が素敵。
    なぜそう感じたかを自分では上手く言葉に出来ないところを著者の解説で、そうそう!と共感した。

  • 穂村さんの本はこれで3冊目なのだが、穂村さんの魂に触れたような、というと大袈裟になるかな?魂をチラリと覗いたような気がした。
    穂村さんの面白おかしい妄想やエピソードもありつつ、詩歌や言語表現についても書かれていて、難しかったけれど読んでいてワクワクした。
    穂村さんの「歌人である自分でも分かっている短歌は全体の60%」や「読むスピードが遅くて読了時に内容を覚えていない」という言葉に自分を重ねて安心したり、引用されている短歌や江戸川乱歩の少年小説に興味を持ったり、“言葉の世界はこんなに面白いところだよ”と、手を引いてもらっているようだった。
    そうか、短歌は分からなくてもいいのね。今、分からなくても、それがぴたっとハマる時が来たりするものね。それが来なかったとしても“わからない不思議さ”を楽しめばいいのね。
    焦らず、たくさんの作品に触れたいと思わせてくれる本でした。

  • エッセイ。自分と世界とのズレ、違和感、新しいものをキャッチする強力なセンサー、つっこみ力。ユーモアたっぷりの文体。すごい。こういうことを考えている人が世の中にいる、というだけで嬉しくなった。

  • 世界は無数の前夜に充ちている。
    明日こそ本当の今日がやってくるんじゃないか、と毎日くりかえし思い、運命の出逢いの前夜を妄想して興奮する歌人・穂村弘によるエッセイ。
    ちょこっとずつ読もうと思ったのに、言葉の魔術師・ほむほむの「なぜか続きを読んでしまう魔法」にかかってしまった。

  • 整形前夜ね、岡崎京子思い出すわ

  • 穂村さん独特の観点が相変わらず最高な短編エッセイ集。ライバル同士の感情が恋人同士のそれに近いと語られる 「来たれ好敵手」 がめちゃめちゃ好きだった。

  • 一番最初のエピソードから飛ばしすぎてるからずっとこいつやべーなって引き気味で読んでしまった。
    もうちょいマイルドエピソードから始めた方がいいと思う。

  • 義父の本棚から見つけた。たまたま娘が取り出して読むふりをしていた文庫の中の一冊。
    恥ずかしながらたくさん本を読んできたつもりだが、穂村弘さんを存じ上げず、タイトルも『整形前夜』なにこの方はゲイなの?と思い、読むぞっと腰据える前にググったよね。[穂村弘 ゲイ〕って。
    全然ヒットしなかったけど。


    感想としてはとにかく面白かったの一言。きっとこの方の著者全部読んじゃう!

    あの堅物っぽい義父との共通点見つけちゃったよ。あとがきでも書かれてるけど、やっぱりこのエッセイの中で一番興味深かったのは、「共感と驚異」のところかな。

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著者プロフィール

穂村 弘(ほむら・ひろし):1962年北海道生まれ。歌人。1990年に歌集『シンジケート』でデビュー。短歌にとどまることなく、エッセイや評論、絵本、翻訳など広く活躍中。著書に『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』、『ラインマーカーズ』、『世界音痴』『もうおうちへかえりましょう』『絶叫委員会』『にょっ記』『野良猫を尊敬した日』『短歌のガチャポン』など多数。2008年、短歌評論集『短歌の友人』で伊藤整文学賞、2017年、エッセイ集『鳥肌が』で講談社エッセイ賞、2018年、歌集『水中翼船炎上中』で若山牧水賞を受賞。

「2023年 『彗星交叉点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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