新装版 ハーレムワールド (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 137
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062772372

作品紹介・あらすじ

男たちは皆、サユリの寵愛を受けようと躍起になる。留学生のティエン、軍人のスタン、外交官クラウス、そして日本男性シンイチ。ひとりの女によって性愛の「訓練」を施される4人の男たちが、狂おしく涙ぐましい切磋琢磨の末にたどり着いた真実とは。著者による全面改稿を経た、男と女の永遠の教則本。

感想・レビュー・書評

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  • 山田詠美さんが、わたしが生まれた年に書いたものでデビュー二年目のものだとか。
    なるほど。文章が、若い!笑

    黒人と日本人のハーフ
    美貌の女、サユリ。
    彼女の寵愛をうけようと躍起になる四人の男たちの、涙ぐましい切磋琢磨の末に辿り着いた真実とは‥

    恋する目をした男は、黒人もおじさんも田舎出身の青年もみんなどうしようもなくいじらしくて可愛い!

    黒人のスタンとシンイチの関係がすき。
    意図があるとはいえ、じぶんを好きな男ふたりを同じところに住まわせるのはほんとうに悪趣味だとおもうけど‥笑

    黒人と結婚経験のある山田詠美本人があとがきで、
    「男の出来に、国や肌が関係者してる訳ないだろーっ!!!」て怒ってたのがおもしろかった。

  • サユリの、傍若無人なところと驕れる者久しからずなところがわたしみたい、大人になりたいな〜〜

  • 「新装版 ハーレムワールド」
    ふくざ〜つな感情。


    気持ちいいセックスと美味しい食べ物どっちが好き?と聞かれたら後者を答えてはダメだ。これは前者です!女王様!サユリ様!と意気揚々と答える中坊の様な精力と性欲を備えている男達が、サユリの掌で気持ち良く転がされる話。


    男の出来に、国や肌の色が関係してる訳ないだろーーーっ!!!


    それを証明したくてこの小説が誕生したらしい。なるほどなるほど、di◯◯の大きさで優劣は決まらないのだ、、、きっと。そうだそうだ!と言わざるを得ない。だって、ジャパニーズだもの。


    ざっくりなあらすじは前述通りである。ようはティレンやシンイチやスタンやクラウスやら国際色豊かな男子どもが、色気と肉体と妖艶さと形容しがたい魅力に包まれたサユリに言いように操られる話なのだが、男子どもに悲壮感がない。


    まあ、ティレンは、恋人と思ってなかったサユリ(まぁ、肉体関係すわ)に恋心が出来たのか、わくわく病に罹る様はラブストーリーぽいが、それだけで悲壮感なしを担保できるわけもなく、これはきっとサユリの人徳ゆえだろう。そうだきっとラブストーリーなのだ。


    ハーレムとありながら、ドロドロ吐き気がするようなどエロに仕上げないのは流石である。

  • 2年前のわたしなら、女王として生きているサユリをカッコいいと思ったかもしれないけど、いまはそうとは思えなかった。だからこそ、終盤の彼女には共感しっぱなしだったのだと思う。読むタイミングで感想が変わりそうな作品。

    わたしの腹心、いったい誰かなぁ。

  • 山田詠美の若くて適当で粗い部分が全面に出ている。
    彼女のことは好きだけど、彼女が持っているテーマ全てが荒削りな仕上がりで包括されているかんじ。。

    とりあえず、セックスさせときゃいいんでしょー!!ってかんじ。

  • 男の形の意義を問う。

  • 山田詠美さんの作品は、何冊も読んでいますが、最後が意外な印象を受けました。

    彼女の世界は、私の日常からは、かけ離れていますが、だからこそ一冊読むと、いくつかハッとするような言葉があり、そういう部分が好きで時々読みますが、今回はそのハッがなかったかな〜。

    雰囲気で、伝わってくるものが、無いわけではないけど。

  • 残念の一言。
    山田詠美の本は、初めて読んだ時に、内容の物珍しさもあるが、それ以外にも感じるものがあった。
    でもこの本については、彼女の自分の行動への言い訳しか見えない。
    がっかりした。

    沖縄で暮らし、外人と付き合う沢山の日本人女性を見てきた。
    その中にいる、アメ女と呼ばれるバカ女を見てきた。
    彼女たちは、半分程度だと思う。
    普通の女性は、彼氏の国籍や考え方が違うことに悩む。
    アメ女達は、「一旦、外人と付き合ったら、日本人が退屈なんじゃない?」なんて、知った風なことをきく。
    おまえら、国籍や話す言語で、決めつけているお前らの方が、しょうもないんだよ。
    怒りがあふれる一作であった。
    あとがきを読むと、より言い訳がましくて、いやらしい。
    山田詠美の、軽くてどこが悪いみたいなすっきり感がちっともない。

  • 半分黒人のヤリマンビッチ・サユリ。
    アジア人の留学生でインドネシア料理店で働くティエンは、サユリを俯瞰して観ながら恋もしている。
    日本人男性シンイチに、黒人男性スタンを一緒に住ませる。
    サユリを見下す醜悪なコバヤシをステたら勝手に幽霊になってサユリに付きまとうようになる。
    外交官クラウスはサユリにぞっこんだが、ティエンとの関係を知って心が崩壊し、火を通された料理になってサユリに別れを告げる。
    スタンは捕まって去り、残されたシンイチはスタンの存在がないサユリをもう愛せないと突き放す。
    女王様でいたかった、自分が捨てられるなんて許せない。
    醜悪なコバヤシの幽霊に付きまとわれながら、今やサユリの唯一特別な存在になったティエンだけが、またサユリが新しいハーレムを作るだろうことを予感している。

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著者プロフィール

1959年東京生まれ。85年『ベッドタイムアイズ』で文藝賞受賞。87年『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞、89年『風葬の教室』で平林たい子文学賞、91年『トラッシュ』で女流文学賞、96年『アニマル・ロジック』で泉鏡花文学賞、2000年『A2Z』で読売文学賞、05年『風味絶佳』で谷崎潤一郎賞、12年『ジェントルマン』で野間文芸賞、16年「生鮮てるてる坊主」で川端康成文学賞を受賞。他の著書『ぼくは勉強ができない』『姫君』『学問』『つみびと』『ファースト クラッシュ』『血も涙もある』他多数。



「2022年 『私のことだま漂流記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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