影法師 (講談社文庫)

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著者 : 百田尚樹
  • 講談社 (2012年6月15日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062772839

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影法師 (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 「永遠の0」「風の中のマリア」に続き、百田作品を読むのはこれが3作目。前述2作品同様に、熱く芯の強い主人公のストーリーだ。時代小説は滅多に読まないのだが、贔屓にしている若手俳優がこの本を薦めており、どんな理不尽さにも屈せず出世していく主人公・勘一を支える親友・彦四郎を演じてみたいと述べていたので、俄然興味が湧き手に取ってみた。
    頭脳明晰で剣の達人であった彦四郎は何故不遇の死を遂げたのか。勘一の哀しく辛い幼少期から物語は始まるが、彼に降りかかる非情な出来事の連続には本当に胸が痛む。父の死、貧困、いじめ。そんな境遇に負けることなく、ひとつひとつの困難に打ち勝っていく勘一の強さに心惹かれる。
    そんな彼を誰より理解していたのが竹馬の友である彦四郎だった。互いに切磋琢磨し、夢を語り合い。仲間達と友情を育む場面は清々しく、青春だなと感じる。だが、ある事件をきっかけに勘一と彦四郎の運命は狂っていく。
    順調に出世していく勘一とは対照的に、落ちぶれていく彦四郎。将来を嘱望された男が一体何故と謎は深まるが、その理由が驚くべき形で明らかとなる。
    読み終えて、「どうしてそこまで」と心が痛んだ。正直言えば理解しきれないところもある。でも、そこまでしないと成し遂げられない、厳然として存在する身分制度。これが江戸時代なのかと痛感させられる場面がいくつもあった。刀傷沙汰。百姓一揆。藩の不正。核となる2人の熱い友情シーン以外にも、印象に残る男達がたくさん出てくる。命を賭して不条理な世に立ち向かう男達の潔さに胸が熱くなる。
    そして、文庫版には袋とじとして、親本には収録されなかった「終章」が掲載されている。この章についてどう感じるかは人それぞれだが、私はあってよかったかと思う。ますます彦四郎に対して切ない想いがかきたてられることとなったが。
    そして、この文庫版の表紙が内容を見事に表現していてとても好きだ。読了後に見ると間違いなくしみじみします。色々な意味で、スケールの大きい作品。

  • 頭脳明晰で剣の達人、彦四郎はなぜ不遇の死を遂げたのか。一方下級武士から筆頭家老まで上り詰めた勘一は親友の彦四郎の行方を調べていた。その彦四郎の生き様を勘一が知った時、自分の人生の意味を見つめ直すことになるのだった。

     前半は、二人の親友の友情が描かれ、青春小説のようにさわやかな印象を受けました。

     中盤から彦四郎の不可解な行動が謎を呼び、勘一がその謎に迫っていくというミステリーを読むような感じでした。

     そして、その謎が解けた時、真の友情が見事なまでに描き出され、深い感動を味わわされました。

     タイトルの「影法師」の意味も心に深く残りました。

     自分にはこの二人のような生き方はできそうにもありませんが、友情や人生のすばらしさを感じ取れるような生き方をしていきたいとしみじみ感じました。

  • あまりの見事な話の構成に言葉を失う。
    書くたびにジャンルの違う小説発表してきた百田尚樹の時代小説、影法師。

    あまり時代小説は読まないのだが、百田氏が書いたとあれば別だ。
    読む前から面白いだろうことは分かっていたが、読了後もその思いに変わりはない。

    一体この小説を何と形容したらよいのだろう・・・男の友情物のようにも見えるし一生涯を通しての立身出世物にも見える。

    そこに何を見るかは人それぞれだが、自分は主人公の勘一とその竹馬の友、彦四朗の侍の生き様を通して男のあるべき姿を見た。

    百田氏はいずれ何かの賞を取るだろうが、自分の中ではすでに彼の存在は直木賞を超えている。

  • 上手い。ドラマ見てるみたいだった。

    本当にこのかた、描くもののジャンル広過ぎ?
    でも全部「百田ジャンル」ですからー。みたいな。

    時代物は宮部みゆきさんとか位しか範疇無いので
    あまり大きな事は言えないけど…
    ちょっと言葉の解らない事が有って
    調べたりしながら読んだ。

    虫かごの中の虫の名前が解らなくて。
    故事成語みたいな意味は知ってましたが
    そんな虫がいるんだ?みたいな。

    浅田次郎先生の文章も、
    知らない言葉が結構出てきますが
    何処かで解りやすく書いて置いて下さったりするので
    なるほど〜と、思ったりするからスムーズ。
    そういう「優しい」文章になれていると
    「この言葉の意味はふつう知ってて当然なのか…」
    と、ちょっと自分にガッカリ。

    もっと本読んだ方がイイネワタシ。

  • 時代小説好きとしては、百田さんの時代ものということで期待大で読み始めた。藤沢さんぽいな…と思いつつラストまで読み進めると、藤沢さんに勝るとも劣らない名作だった。私の中では永遠の0超え。
    男の友情という言葉では言い尽くせないほどの深いお話。彦四郎が素晴らしすぎて泣けた。
    袋とじは賛否両論あるが、個人的にはあり。彦四郎にとっては、勘一も、みねも、同じくらい大事だったんだと思う。私がみねだったとしても、勘一も素晴らしい人だけど、やっぱり彦四郎でしょう。
    もし終章がなければ、護るという約束がそこまでつながっていたとは気付けなかった。物語に厚みが増したと思う。
    今まで読んだ本の中でもベスト5に入るくらい好きな本。たくさんの人に読んで欲しい。百田さんの本はまだ3作目なので、全て読破することに決定!

  • うーん、さすがに泣かせるお話だった!
    架空の藩での江戸時代の武士同士の友情のお話。

    彦四郎の男っぷりにただただ感心したのだが・・・

    なぜそこまで熱い友情につながっていくのか?というのが私も日本人なので、ちょっと疑問であるかも笑 中国の歴史本をよく読むので、実は友情の類の話は中国人や欧米人のほうが心から共感できるのかもしれない。それくらい中国では横のつながりが強い。刎頚の交わりというのがそもそも中国の戦国時代の故事だし。

    当時の武士は縦のつながりが大変すぎて、友情話はそんなになかったんだろうなーなんて読みながら思ってしまった。
    (友情という概念は明治時代からできたと司馬先生は言っていた苦笑)

  • "Where there's a will, there's a way."
    意思あるところに道あり、とはE・リンカーンの有名な言葉ですが、主人公の志に触れ、道を助けてくれる周囲の人々は、一人一人が濃いキャラクターを持っていて、それでいて男女に関わらず武士道精神を生活の中で全うしようとする厳かさがある。この世界観にどっぷり浸かってしまいました。
    他の百田作品同様、シンプルで端的な文体も手伝い、のめり込んで本を繰る手が止まらなくなる。

    ラストの方で、タイトルの意味にピンときたとき…思わず胸にじーんと熱いものが込み上げてきました…後味もよし!

  • 下士に産まれた名倉彰蔵と、彰蔵の影法師のように生きた頭脳明晰で剣術にも優れた中士産まれの磯貝彦四郎のお話。
    うん。泣けた。こんなにじっくり読んだの久しぶりかも。なんだかずっと読んでいたい、というか結末をもっと先伸ばしにしてほしいって思った作品。
    百田さんの作品に出てくる人物は、永遠の0といい、人間性が素晴らしい。周りに誤解されようとも、自分が信じた道、志した道を進む強さを持ってる。

  • 久しぶりの五つ星。素晴らしい小説だった。
    百田尚樹の人間性について巷ではいろいろと言われているが、高い人間性がなければこの小説は書けないのではないか。
    作者が人間をよく知っているからこそ、彦四郎のような人間の生き方を描けたとしか思えない。
    勘一がみねに恋をしたときの恋心の表現は巧みである。
    また最後の最後の登場する島貫はキャラクターが立っていて、エンターテイメントとしても面白い。
    最高傑作と言える一冊に出会った。

  • ちょっとちょっとお兄さん。
    こんな出来過ぎな話ってありますか?っていうか、こんな奇特な人いますか?
    いくら親友のためとはいえ、自分の人生なげうって夢をかなえさせてあげるって、非現実的すぎるでしょ。好きな女も親友に渡し、地位も名誉も譲って、自分は誹謗や罰も甘んじて受け、日陰の存在に身を落とすって、どう想像をたくましくしてもありえんでしょ。しかも少年時代は自分のほうが剣術勉学共に上位だったのよ。ここまで献身的になる理由がちっともわからない。
    もう!感動するだろこの話^^的な「どや話」は鼻につく。
    それでも評価を悪くしなかったのは、江戸時代のお侍さんの厳しい慣習(どんなに勉学ができても、剣の達人でも上士は上士、下士は一生下士と身分が決まっており、次男坊以下はどんなにがんばっても養子に出るしか家を持つ術がなく、養子に出なければ結婚することもなく、部屋住みの厄介叔父として家の片隅で一生を終えることになる。など)や一反(=一石)で人ひとりが一年に食べる米が獲れる。一反は三百歩つまり三百坪だが、その昔は三百六十坪で、一坪で人が一日に食べる量の米が獲れた。逆に考えれば、人が一日に食べる米が獲れる土地の大きさを一坪と決めたのだとか、読んでるうちに自然と江戸時代の生活のお勉強ができるというのがこの本の救われる点か?ま、時代小説だからお勉強できて当たり前か。

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影法師 (講談社文庫)の作品紹介

頭脳明晰で剣の達人。将来を嘱望された男がなぜ不遇の死を遂げたのか。下級武士から筆頭家老にまで上り詰めた勘一(かんいち)は竹馬の友、彦四郎(ひこしろう)の行方を追っていた。二人の運命を変えた二十年前の事件。確かな腕を持つ彼が「卑怯傷」を負った理由とは。その真相が男の生き様を映し出す。

『永遠の0(ゼロ)』に連なる代表作。文庫版は単行本未収録、幻の「もう一つの結末」を収録。

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