獣の奏者 4完結編 (講談社文庫)

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著者 : 上橋菜穂子
  • 講談社 (2012年8月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062773454

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獣の奏者 4完結編 (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

  • 闘蛇衆となった夫イアル。一方、エリンはロランの子供たちがなかなか成熟しないことに危機感を抱き、王獣捕りのオラムを訪ねる。

    人の手によりその形を歪められてしまった獣、闘蛇と王獣。そのことに心を痛めるエリンは、息子ジェシが自分のような獣ノ医師に憧れ、「王獣使い」になりたがっていることを知って・・・

    愛する者を守りたい、その気持ちが彼女を孤独な戦いに駆り立てる。秘められた多くの謎をみずからの手で解き明かす決心をしたエリンは、拒み続けてきた真王(ヨジエ)の命に従って王獣を増やし・・・

    ついにラーザ率いる闘蛇が攻め込んで来て、王獣軍を先導するエリンも最前線へ。

    神々の山脈からの客人により、「闘蛇が地を覆い王獣が天に舞う時、大災厄が起きた」とされる伝説の真相を知らされたジェシは母の身を案じて身重のアルに飛び乗り戦場へ赴くが、そこはすでに地獄と化していた・・・

    ラストは悲しい無惨なものでした。
    闘蛇も王獣も愚かで欲深い人間の犠牲になり、狂って惨禍はさらに大きくなる。
    その姿に原子力・核を重ねてしまうのは3.11以後にこの作品を読んでしまったからでしょう。

    出来ればもっと純粋に物語そのものを楽しめる子供のうちに読んでおきたかったなぁ。

  • どこで「残った人々」の話が出てくるのだろうと、はらはら、どきどきしながら読んだ。

    ジェシの親が結末でどちらかが亡くなることは想定できた。
    人を殺して、生き残って幸せでしたでは、話にならないだろうから。

    ジェシは、母親のエリンと同じように教壇についた。
    戦を避ける方法を見いだせないまま。

    処世術が参考になった。p303
    「意見が出つくし、議論が煮詰まったと思ったら、そこで<茶の一刻>を宣言なさい。その時機をしっかり見極めることが大切よ。時機を逃すと、すでに意見は出つくしているのに、まだ言いつのろうとする輩が、自分の主張をくり返して、場を倦ませてしまう。そうなるまえに、うまく断ち切りなさい。」

  • “降臨の野”での奇跡から11年。
    エリンは<堅き楯>であったイアルと結婚し、ジェシという息子を授かっていた。
    ある日大公に呼ばれたエリンは、闘蛇村で起きた<牙>の大量死の原因を探るよう命じられる。
    その真相を探るうちに、次々と出てくる新たな謎。
    母ソヨンが秘していたこと、遠き民の血筋、王祖ジェと闘蛇・王獣のつながり。
    そして真王ヨジェの命を受け、ついにエリンが腹を括る・・・。

    あ~あ、読んじゃった。うっかり開いたら、予想通りの吸引力で一気読み
    ・・・これは、本当に「完結編」でしたね。
    見事に終わってしまいました。

    Ⅰ・Ⅱと比べ、非常に重たい雰囲気を感じました。
    それはエリンが大人になり母になり、しがらみや守るべきものができたからなのか。
    Ⅲ・Ⅳは国家的政治的な思惑が強すぎて、エリンの「王獣を野に放ちたい」という思いとは真逆なことを強いられている姿が痛々しかったです。

    そのぶん親子や周囲の人々とふれあうシーンはほっとさせられました。
    あのエリンが母になって、息子のことでハラハラさせられているなんて。
    そしてイアルの予想外のよき父親っぷり。
    なんとも微笑ましい。
    とはいえ、それは傍から見ての姿で、ジェシにとっては・・・。ってところがまたキツいんですが。
    そしていつか訪れるであろう破綻を想定しながらの暮らしは、やはり痛々しいものがありました。

    なんだかすごく大人向けな印象。
    エリンはもちろん、セィミヤにしても重大な決断を迫られ、そして起きたことの責任をとらされる。
    いくらでも深読みできてしまいそうです。

    それにしてもなんなんでしょうね、この虚無感。
    ラストもエピローグも申し分ないのですが、ものすごい虚しさを感じているのですが。
    結局、エリンのしたことってなんだったんだろう。

  • 闘蛇編から一気に読みきった。
    まだ夢見てるみたいで、物語の片鱗が頭の中をぐるぐるしてる。心が重い。哭いてる。
    すやすや寝息たててる娘の顔をみてしまう。

    語り継がれることはいつか薄れ、そしてまた同じ過ちを犯す。

    本当にエリンが生きてた時代があったような錯覚におちいる。すごいオーラ。

  • 4冊を通してのエリンの生き様が圧巻で涙。ある程度間を空けながら長期間にわたって読んだということもあって、長い間そばにいた感覚だったのもあると思う。
    ファンタジーなのに勧善懲悪ではない、美しい理想を追求しているわけでもない、逆に退廃的ディストピアでもない。人間の歴史を振り返って正面から向き合った結果を、ここで広い年齢幅で読めるよう描いていると思う。美しさも醜さも賢さも愚かさもその中間も。その上で、それでも人の生も動物の生も肯定している。
    殺し合いの戦場というところで渦巻くものは、敵味方やなにかきれいに切り分けたり整理したりできるものではなく、あのように怖ろしく混沌とした狂気の塊のようなものなのかもしれない。

  • ちょっと、呆然としてる。
    涙が止まらなくて、止まらなくて。
    エリンが生き延びて、幸せにくらしてく道を探ったけれど、
    この結末しか、
    「それから、母は四日生きた」
    このジェシの言葉にしかたどりつけなかったと上橋先生は書かれてたけれど、そうなんだろうなあっと思う。

    エリンは生きたかっただろうけど。
    もっともっといろんなことを知りたかっただろうけど。
    泣いているエリンをリランが何度も何度も舐めるシーンが胸にしみた。

    狂乱、と章題にあったから、怖ろしいことになるんだろうとは思いつつ、
    ずっと読んでいたのだが、いざその情景が目の前に広がると
    怖ろしいというより哀しくて、涙が止まらなかった。
    野にあるように生きていれば起こるはずもなかった悲劇。
    ぐるぐると廻りつづける闘蛇の群れ。
    その渦は、エリンが逃れようとも逃れられなかったもろもろのことにも思える。
    全てを明らかにして、その先に未来を、というエリンの願いは、
    少なからず叶ったといえるのだろう。
    王獣は野に還り、起こったことは全て後世へと残される。
    違う言葉をもつ生き物と心を交わしあいたい、
    そんな少女の純粋な気持ちが行き着いた場所があの哀しみなのだとしても、
    それでもリランとエリンの間に芽生えたものをなければよかったとは思えない。

    悲劇は何度でも繰り返すのだろう。
    それなら人など滅んでしまえばいい。そう思ってしまう。
    でも、それでも、とエリンは言う。
    そうじゃない道を探すのも人なのだと。
    考えて、考えて、死に物狂いにいきるのだと。
    心をつかれる言葉がいくつもいくつもこの作品にはある。
    私はここまで懸命に生きれるだろうか、と思う。
    後になんにも残せなくてもいい、ただすっぱりあっさり
    なにもかも終わって欲しい。不意にそういう想いが湧いてくるのは。
    きっと私がここまで懸命に生きてないからなんだろう。

    あの結末しかあり得なかったとしても、
    そのことに異論はないけれど、
    それでもイアルとエリンに2人で幸せに老いていって欲しかった、と心から思う。


    なんだか言葉にできないものがいっぱい湧いてくるような気持ちだ。
    本当にすばらしい物語を産んでくれて、感謝!!

  • わからないことをわかろうとする。
    これが全てじゃないかと思う。
    古くから伝わる言い伝えも言葉を交わすことができない生き物も、自分が目にして耳にした小さな欠片を広い集めて想像するしかない。
    理解したという結果より理解しようとした過程が大切で、そうやって人生を生き抜いたエリンと王獣や闘蛇の歴史のお話。
    感想が上手く書けないのが悔しいけれど、王獣や闘蛇などの架空の生き物が生きるこの本の世界に浸って欲しい。
    物語の純粋な面白さだけでなく、現実に通じる何かを感じる人も沢山いると思います。
    大好きなシリーズ完結編。

  • 探求編、完結編と一気に読了。
    闘蛇、王獣同様に興奮MAXなので感想は
    落ち着いてから改めて。

    ***************

    正直まだ、頭の中でうまく纏まらないんだけど
    一晩眠ったので、改めて感想を。

    長い、長い、お話しです。
    ジェシが幼少の頃から少年期に差し掛かって
    最後は立派な教導師になっているくらいに。

    作者さんが後書きで「それから四日、母は生きた」
    というジェシの言葉について書かれています。

    なるほど、この言葉を終着点として完結するなら
    物語はこう紡がれるしかないのかなー、と。

    ヒーローなんてどこにもいない。
    みんなが悲しいです。
    みんなが必死で自分の生きる道を模索して
    運命に抗いたいけど抗いきれなくて結局飲み込まれて。

    救いはどこにある?

    語り継がれなかった悲しい歴史は繰り返される。
    人はどこまでも愚かで無力。

    松明の火を隣の人、また隣の人へ繋いでいけば…
    というくだりを読んで
    随分前、大好きだったアーティストさんが
    「みんなで今、隣に居る人に大好きだよって言って
    どんどん手を繋いでいけば世界は平和になれるのにね」
    って言っていたのを思い出しました。

    でもそれこそファンタジーでしかありえないなー、なんて
    ひねた大人は思うわけです。

    「これはファンタジーだけど今この地球上で人間が抱えてる
    問題と通じるものがあるなー、なんていうのは考えすぎ?

    人は己の利益の為に尤もな理由をつけて
    仕方のないことだからと言い訳して
    破滅への道を自ら進む生き物なんだなー。

    それをよしとしない生き方はやっぱりファンタジーでしか
    ありえないのでしょーか?」

    上記「 」内は闘蛇編、王獣編で書いた感想。
    このお話し、ホントにぶれないなー。
    見事に筋が通ってる。

    だから、どこかわたし達の知らない別の世界で
    本当にエリン達が刻んだ歴史の足跡があるのでは?
    と思うとリアルに胸に響くのです。

    そして今回もカバー装画がとても素敵。
    この絵の世界感でアニメーション映画として見れたらなぁ。

  • ラストまで一気に読みきってしまいます。想像上の異世界の物語ですが、このような国が世界のどこかに存在して、このような物語が本当にあったかのような読後感。上橋さんの物語は本当に面白い。再読したい物語がまたひとつ増えました。

  • 圧巻の世界観、重厚なストーリー、そして繰り返す悲劇。
    希望のなかの無情、無情のなかの希望。みなが希望に向かってそれぞれに足掻く姿がひどく苦しい。世界は、上橋さんの考える、エリンの願う、『正解』に繋がったんだと思う。
    それでも、わたしの望む結末とは違かったので★3つ。わがままな読者ですみません。

  • 4巻完結編。
    個人として人間として社会としての闇や葛藤が色濃い巻である。ここにくるとストーリーより裏に流れる黒々しいものの圧迫感が強い。
    謎が解かれ、2巻で棚上げであった問題も結末を迎え、次世代に意思が引き継がれていく。まさに完結するわけであるがこの寂寥感。
    不完全なまま終わる2巻が好きです。
    だからといって3,4巻がないのは嫌ですが--;

  • 結局3・4はなくてもよかった

  • 涙が出てしょうがなかった。
    人間を含めた生き物の仕組みに真摯に向き合った物語だと感じた。
    上橋さんの言葉は不思議。言葉に過ぎないはずなんだけれども、手触りや匂いがある。
    母を助けに飛び込んだ闘蛇の沼、そのときの皮膚の感触や、お弁当に出された猪の香ばしいにおい、渓谷の身を切るような寒さ、そういったものがリアルに想像できる。見たこともない情景を懐かしいと思ってしまう。
    本を閉じて、エリンという人の一生を思ったとき、苦しみの中に微かに光る希望が見えてくる。
    幼いエリンの母への思い、母からエリンに受け継がれたもの、ジョウンが与えてくれた日々、リランとの絆、イアルと出会い育まれたもの、そしてエリンからジェシに受け継がれたもの…命の根源にあるのは愛なんだと、そう思わせてくれる物語だと思う。

  • 終わってしまった。
    エリンが、イアルとジェシと長く長く幸福に過ごしている未来を、見たかった。
    だけど、たくさんの兵士の命を奪った惨禍を引き出した彼女が、のうのうと生きることは出来なかったのかもしれない、とも思う。
    王獣軍を指揮しようと決めたとき、カレンタ・ロゥに会っていれば。彼らがもう少し早く訪れていたら。色々なことを考えてしまいます。
    だけど、不思議と読後感は悪くなかった。すとんと胸に落ちてきて、受け入れることができました。これしかなかった、としか思えない。
    上橋さんと同じ年代に生まれたことを尊く思う。
    二巻の終わりに感じた凄さはちょっとなかったかな。とも思う。

    338ページを自戒として引用しときます。
    「わたしたちは、ばらばらで、言葉を持っていても思いはけっして、思うようには伝わらない。でも……それでも人は、道を探しつづける。」

    ただ、ジェシを好きになれなくてちょっとだけ辛かったかな、と。

  • ついに〈完結編〉
    これで終わってしまうのかと思うともったいなくて、でも先の展開が気になって一気に読んでしまった。

    この作品のテーマは何個もある。人がいるかぎり戦争は避けられないよとか、「獣」との付き合い方だとか。
    でも一番重要だと思ったのは「愛情」だ。

    エリンとジョウンにしてもそうだし、エリンとエサル、エリンと王獣のリラン。
    人同士だけでなく、人と獣の愛情も確かに存在する。

    極めつけはエリンとイアル、ジェシの家族愛。
    エリンとイアルは家族を守るために自分が犠牲になるかもしれない重大な決意をする。
    なんと美しく、儚いことか!

    なんとなく敬遠してたのだけど、もっと早く読んでおけば良かった。
    とにかく大好きな小説になった。

  • ファンタジーは想像できない世界が広がっていて、興味が無いと思って避けていたジャンル。
    主人公エリンを中心として、王獣・闘蛇をめぐる民族の歴史や争いなどを描いた物語。
    初めのうちはカタカナの登場人物に対して人間関係が分からず相関図を見ながら読み進めていたが、エリンと家族、闘蛇、王獣との描写を頭に思い浮かべて温かな気持ちになったり、想像もできない展開で先が気になり、一気に4巻まで読み進めた。
    エリンに協力的な人にはもちろん、反対側にいる人に対しても、それぞれの国や民族を思う気持ちを大事に描かれている。
    所々で前とのつながりが分からない場面や解読が難しい場面があったが、実際には存在しないものに対して想像を膨らますことができる壮大なファンタジー。
    編集後記で4完結編を想定してなかったと見て驚き。4完結編が無かったら今後が気になって物足りなく感じていたはず。
    これを見て、他のファンタジーを読んでみたくなった。

  • エリンが真摯に追い求め続けた、人は何故争い続けるのか、獣が自然に生きるとはどういうことなのか、何十年もの長きに渡る物語も遂に完結を迎えた。人という獣が群れをなす、そこには醜い争いがあり、多くの間違いを犯す。けれども、人は知ることで考え、たとえ一人では成し遂げられなくても、その心を受け継いで新たな道を探し続ける諦めない強さを持っている。この物語を、そしてエリンの生き様を通して、そのことを強く感じた。そして、その心は確実にジェシへと受け継がれている。最終章のジェシの言葉は哀しくも力強く響く。

  • 個人的には本当にジェシ!!!!ジェシがすきです!
    人はやっぱり親になることで、命をつないでいくことで、人も獣もまた新しいステップに立つんだなって感じました。
    この4冊。食い進めるように2日くらいで読み切ったのですが、読み切って満足のため息をつきました。
    知った上でどうしたらいいのかを決めていくこと、真王たちの成長もとてもほろ苦くも前向きに読むことができました。

  • 大人になったエリンが闘蛇と王獣にまつわる謎をついに解決する完結編。
    過去の惨劇を繰り返さぬため、これまで葬り去られてきた真実がついに明らかになる。
    激流だったエリンの生涯は最後の最後にようやく穏やかになったのだろうか。

  • 家族の物語だった。
    ソヨンとエリンもそうだったけど、エリンとイアルとジェシの家族としての描かれ方がとても印象的だった。
    エリンとリランもジェシとアルも。
    哀しかったけど、満たされた読後感。
    著者後書きにもあったように、ジェシのラストのセリフが響いてくる。
    作中にあった、『松明の火を手渡す、という表現が好き。
    作品を読んでいると、本当にそのとおりなんだなと思える。そしてそれが成っていっているのがわかる。
    見られるのが嬉しいし、見せてもらえるのが嬉しい。

    ちょっと仕事でフラストレーション溜まってたときにラストを読んだら、すっきりした気分になれた。
    溜まっていたものがいい風に吹き飛ばされていったようなカンジ。

    獣の奏者は本当にいい作品。

  • シリーズ完結。
    久しぶりに後書きを読む前に自分の感想だけで。


    やはり災いは起こってしまった。
    その被害は小さくすんだが。
    そして、祖ジェと同じように人々は新たな規律を組んだ。

    違うことは、人々にこの事件に限らず
    知識が開かれるようになったこと。

    エリンが何度も口にしていたように
    一人が一生のうちに明らかに出きることには限りがある。
    それを、後に伝えていくことの大切さを思いしった。


    そして、この小説では母が子を思う気持ちの強さを感じた。
    エリンの母、エリン、セィミヤ。
    他にも、
    自分のためだけに行動しているわけではない人々の、その意思の強さが胸をうった。


    先にも書いたが、エリンは過去と同じ災いを引き起こしてしまった。
    しかし、ここでエリンの望む幸せな未来を手に入れることがなかったのがこの物語の意味なのかなと。
    人間は何度でも失敗して、
    その度に学んで、
    未来を切り開いていかないと。

  • はっきりいって、好きじゃない。
    けれど、これはけなし言葉ではない。だいたい、私は、ファンタジーには多少の隙が遭った方が好き。隙が無さすぎるんですよ、このひとの作品。風俗、歴史、架空の生き物のオリジナリティとリアリティなどを、きちんと抑えていて、齟齬のようなものが見つからない。登場人物も、たとえ、突出した能力があっても、理由がきちんとあり、ご都合主義にならない。主義主張にブレがない。
    結末の壮大さに混乱することもなく、作者の書きたかったものもよくわかるし、変な文章もない。むしろ、文章で情景を目に浮かぶように書ける作家は少ない。
    実に優等生。きらいじゃないけれど、私の好みじゃない。
    まったくもって、好みではない。

    けれど、もし、この世に子供に読ませるべきファンタジーがあるとしたら、この本は間違いなくそうだと思う。
    最近のぬるいファンタジーとは明らかに一線を画する作品だ。
    結末含めて面白いです。
    好みではないけど、買ってるくらいですから。

  • 悲劇が起こるとわかっていながら、禁位を冒してしまう人々の物語。悲劇が現実となってしまう終盤の展開が凄まじい。シリーズ通してとても面白かった。

  • 自らの仮説を検証し
    結果を後世の人々に知らしめるため、
    恐ろしい結末を迎えることに気づきながらも
    実践しようとするエリンに対して、
    「学者」としての異様なまでの気概を感じた。

    ただ、王獣と人間とが結果として共存しなくなる、
    という結末になるのはどことなく納得がいかない。

    闘蛇が戦争に利用される限り、
    天敵の王獣を災いを避ける別の方法で
    利用してやろうと目論む輩が現れるに違いないので、
    解き放つだけでは根本的な解決にはならない気がする。

    とはいっても戦は人から切り離せない、
    というエリンの持論と同様に、
    似たような過ちを人は繰り返し続けると割り切ってしまえば、
    エリンのできる範囲のことはやりきれたのではないかと思う。

  • 「小説の続きが気になって夜更かしする」は、自分ほどの年齢になればそうそうあることじゃない。けれども本作についてはじゅうぶん警戒していた。「獣の奏者」の続編が面白くない訳がない。読み始めたら止まらないに決まっている。文庫版を心待ちにしながら、なかなか手をつけられなかったのもそういう理由。
    今回「III.探求編」を出張の新幹線で読み始めたところ、往復で読み終え、帰宅直後に矢も盾もたまらず「IV.完結編」を手に取った次第。案の定、読まずにおれなかった。

    本作は恐ろしいことに児童書の定番・ポプラ社「青い鳥文庫」にもラインナップされている。もし自分が小学生でこの本を手に取っていたら、間違いなく(良い意味での)トラウマになったことだろう。正しいからといって常には報われず、汚く見えるものの中にも何かしら知るべきことが隠れている…… 学校や親が教えてくれないこともある、世界はもっと深いかもしれないと気になり始める年頃に、エリンが何を思いどう行動したかを辿ることは、強烈な読書体験となるに違いない。

    子どもの頃、一番好きなジャンルはSFとファンタジーだった。いつから、どうしてそれらを読まなくなったのかは思い出せない。今から3年前に文庫化されていた本作を手に取り、久しぶりにファンタジーの楽しさを味わった。今回、作品世界がより深まった続編を読めて幸せだと思う。

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上橋菜穂子さんの異世界ファンタジー「獣の奏者」完結編がついに文庫化!

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