無貌伝~双児の子ら~ (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (608ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062773591

作品紹介・あらすじ

名探偵・秋津は、怪盗・無貌によって「顔」を奪われ、絶望の日々を送っていた。そこにサーカスにいた少年・望があらわれ、探偵助手になることに。そんな二人の前に、無貌から新たな犯行予告が送られてきた!狙われたのは鉄道王一族の一人娘、榎木芹-怪異的連続殺人事件に望と秋津が挑む。

感想・レビュー・書評

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  • 10年前の第40回メフィスト賞受賞作。    
    あまり比較するのは好きではないが、最近のに比べればこの頃はまだ新本格で面白かった。     
    まぁこの前後の受賞作が何だったのか覚えていないけど。    
    さすが西尾維新が絶句しただけある。     
    なのになぜか文庫版の続きが出ない。    
    これはとても悲しいことである。     

    THANATOSシリーズといいなんで文庫版の続き出さないん?    出してください……。

  • 成り行きで探偵助手となった少年・古村望が、三探偵の一人・秋津承一郎とともに事件に臨むという展開ですが、本書は特殊でユニークな設定が多く、単純な謎解きミステリーとは一味違った趣向です。

    舞台は日本と似て非なる架空世界。「東京」ではなく「藤京」だったりと現実とは違う世界ですが、一番の相違点は「ヒトデナシ」という存在です。

    何かと何か2つの影響を受けてそれぞれが特殊な能力を持っているヒトデナシ、精霊のようなイメージをわたしは持ちました。
    この存在が作品世界に独自のルールを与えており、事件にも深く関わって混迷をきたします。
    シリーズの最大の敵であろう「無貌」は、魂と人間の影響を受けた人の顔を奪う恐ろしきヒトデナシ。顔を奪われるということがどういうことなのか明らかになるほど恐ろしく不気味です。
    奇怪な雰囲気が素晴らしいですが、不可解な出来事で終わらず事件の伏線も丁寧でした。

    また登場人物もユニーク。
    無貌に対抗する探偵・秋津承一郎ですが、過去に無貌に打ち負かされてがら探偵としての活動を放棄しています。
    無謀から予告が届いたり、不気味な事件が目の前で起きているのにやる気のない探偵の態度には古村や溝口警部と一緒にやきもきしました。
    逆に事件にのめりこむのは助手の古村ですが、15歳の彼はその波乱に満ちたこれまでの人生のせいで斜に構えており、無謀で荒々しいです。

    語り手の古村が自ら語る彼の半生は哀しく、それを乗り越えて「しぶとく生きる」と自身に言い聞かせる古村の独白は青臭くて痛々しい。
    諦めて無気力になっている秋津と未熟でがむしゃらな古村の二人が、一つの事件に臨む姿も対照的で、それがお互いに影響を及ぼしていく人間ドラマも見ものでした。終盤は大いに盛り上がりを見せます。

    陰鬱で悲惨ながら、シリーズの第一歩として決して後味が悪くないラスト。
    続きが気になる物語です。

  • シリーズものなのか。
    続きも読みたい。

  • ヒトデナシという不思議な生物が存在する世界を扱ったミステリ。
    不思議な設定を上手く生かしたトリックで楽しかったです。
    テンポも良く読みやすいしキャラも可愛い。少し伝奇っぽい雰囲気も素敵。

  • 現実のこの世界とは少し違う、架空の日本が舞台の、少し不思議な設定の小説です。
    当たり前のように、「ヒトデナシ」と呼ばれるあやかしが出て来たり。
    でも、その設定が存分に生かされた、きちんとした(?)本格ミステリでした。
    秋津の過去や、望の成長等、今後の作品もとても楽しみです。

  • 星が足りない面白さ!
    メフィスト賞らしいぶっ飛んだ世界観と舞台設定、いろんなジャンルがミックスされたテーマとストーリー、魅力的な登場人物とあっと驚かされるクライマックス。
    何を言っても読んだ時の衝撃が薄れそうなんで、「詳しくは一切説明しないけどとにかく読んで!」と誰彼構わずオススメしたい傑作!!!
    早く続きが読みたい。

  • "無貌伝 双児の子ら"望月守宮著 講談社文庫(2012/10/16発売)
    (2009年1月発売 講談社ノベルスの文庫版。解説:松江杉恋)

    ・・・"無貌伝”シリーズ、第一作。”ヒトデナシ”という怪異が存在する世界。”人と魂のヒトデナシ”無貌という怪盗が暗躍していた。無貌の次の標的は鉄道王の孫、芹の”舌”。
    芹警護の依頼を受けた対無貌”三探偵”の一人、秋津と助手の望。彼らは親族会議の場で謎の影を目撃する。翌朝、離れで死体が。

    ”もうじき、この家に業魔が二匹やってくる。一方は奪う者だ。いくつもの顔を持つ。もう一方は破壊者。どれほど近くまで来ても、お前らにはわからぬ。そして近いうちに、この家の人間はみんな死ぬ。一人は病で死に、二人は自らの手で命を散らす。残りのものはみな、人間であれば殺される。そして死にゆくこの家から化け物が生まれるだろう。”
    不気味な予言を残し、自死した鉄道王の弟。

    不気味な予言と怪異を纏った連続殺人事件に秋津と望が挑む。

    ・・・"ヒトデナシ”という設定についていけるのかな?とも思いましたが、序文や望と秋津が出会うエピソードだけですんなりと入り込めました。”悪いだけの悪人はいない””名探偵は人を幸せにしない”など細々したところで私と意見が同じところもありましたので、好感も持ちました。
    連続殺人についてもきちんと手がかりが明示。また、以降の巻で登場する”ヒトデナシ”や人物についてもちょくちょく登場しておりシリーズ初刊として完成度の高さも感じさせてくれました。
    この文庫版とノベルス2巻の推薦文は西尾維新。
    ちょっと毛色の変わった話や西尾維新のファンの方におすすめkと。

    ・・・シリーズとしては5巻まで刊行中。(2013年発売予定の6巻が最終巻)文庫版が刊行開始して人気のシリーズかと思いきや、新聞広告の講談社の新刊覧では一番扱いが下のグループでした。ちょっと残念だ・・・。

  • 2012/10/16 Amazonより届く。
    2012/12/7~12/14

    第40回メフィスト賞受賞作。評判であった本作品。積読本のリストをすっ飛ばして読んだが、その価値があった。架空の世界で、一見あり得ない設定ではあるが、グイグイ作品世界へ引き込む魅力的な世界観とキャラ設定。ど偉い新人が居たもんだ。杉江松恋氏の解説も良い。無貌伝サーガ、続編も凄い楽しみ。

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著者プロフィール

第四十回メフィスト賞を『無貌伝 ~双児の子ら~』で受賞。同シリーズに『無貌伝 ~夢境ホテルの午睡~』、『無貌伝 ~人形姫(ガラテア)の産声~』『無貌伝 ~綺譚会の惨劇~』『無貌伝 ~探偵の証~』『無貌伝 ~奪われた顔~』がある。

「2014年 『無貌伝 ~最後の物語~』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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