戦国鬼譚 惨 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.81
  • (8)
  • (29)
  • (13)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 154
感想 : 19
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062773942

作品紹介・あらすじ

人を欺けば謀られ、人を信じれば殺される。木曾谷の治世をめぐり反目する木曾家当主の義昌と弟の義豊。武田に殉じるか織田へ寝返るか-谷間に常と変わらぬ春が訪れたとき、兄弟は慟哭の中で身悶えしなければならなかった。武田家滅亡が招いた鬼哭啾啾を活写し、極点での人間の本性を炙り出した傑作戦国絵巻5編。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 2020年の一冊目は、伊東潤さんの『戦国鬼譚 惨』。どの作品も最後のどんでん返しが良い。戦国という時代が人を醜くさせてしまうのは分からなくもないが、読んでいて「人はなんと浅ましいのか……」と思ってしまう。その中で「温もりいまだ冷めやらず」だけは、なんだか心が救われる作品。

  • 武田信玄亡き後、勝頼の下で凋落の一途をたどリ、滅亡する武田家の姿を、武田家から次々と離反していく重臣や有力国衆の視点から描いた短編集。「木曾谷の証人」(木曾義昌・義豊)、「要らぬ駒」(下條一族)、「画竜点睛」(武田逍遙軒)、「温もりいまだ冷めやらず」(仁科五郎盛信)、「表裏者」(穴山梅雪)の5篇。

    「木曾谷の証人」での義豊の行動はかなりショッキング! 森を守るためとはいえさすがにやり過ぎだろう。「表裏者」では、本能寺の変が実は家康を暗殺するために信長が仕掛けた罠だった、という奇想天外なアイデアにビックリ!

    忠義・外聞と実利・生き残りの間で揺れ動く武田家家臣の姿がリアルだった。

  • 短編集。
    「木曽谷の証人」(木曾義昌・義豊)
    「要らぬ駒」(下條一族)
    「画龍点睛」(武田逍遥軒信廉)
    「温もりいまだ冷めやらず」(仁科五郎盛信)
    「表裏者」(穴山梅雪信君)

    人を欺けば謀(たばか)られ、人を信じれば殺される。
    木曾谷(きそだに)の治世をめぐり反目する木曾家当主の義昌と弟の義豊。
    武田に殉じるか織田へ寝返るか――谷間に常と変わらぬ春が訪れたとき、兄弟は慟哭の中で身悶えしなければならなかった。
    戦国絵巻5編

  • 滅亡へ突き進む武田家。
    崩れ始めると、このようなものなのか。

  • 木曽谷の証人 他4編の短編集。いずれも、武田軍の崩落していく姿を外側からだけでなく、内部から崩壊していく事実経過をドラマチックに描いている。親子兄弟すら戦国時代の惨は見逃がすことはない。

  • なかなかない視点。
    陽の当たらない人たちを照らす。

  • 木曽義昌、義豊兄弟、下條氏、武田信廉、仁科盛信、穴山梅雪と歴史の表舞台にはあまり出てこない人物が主人公となる物語が五編
    木曽兄弟の話は悲しく、のちに義豊は義昌の子供に・・・

  • 信玄死後、一時は盛り返すものの、長篠以降は凋落の一途。
    木曽義昌謀反からの瓦解の激しさは史学的にも特筆らしい。

    「人は城 人は石垣 人は堀。 情けは味方 仇は敵」
    と信玄は言ったらしい。(後年の創作説有り)

    極限状態に陥った時、人は何を最優先するのか。
    義? 情? 利? 恨? 信? 家? 欲?・・・・・
    読み終わるとね、"成程、滅亡する訳だ"
    納得する一冊。

  • 戦国時代の人を信じる事の危険さを、武田家崩壊にまつわる将たちを中心にまとめた一冊。短編集ではあるのだが、武田家の将と武田家滅亡というイベントがこの短編集に長編としての物語性を与えている。そして読了後に感じるこの無常観。騙し騙され滅び滅ぼされの果てで出てきた最終章のとある家の対比性とその家の大名ですら手を染めねばならぬ黒さに暗澹とする気持ちになる戦国の一面を鋭く描いた一冊。

  • 木曾義昌、下条頼安、武田信廉、仁科盛信、穴山信君。武田家滅亡により裏切り、あるいは裏切りにあい、結局は悲惨な末路をたどった者たちを描く、連作短編集。自らが誇りに思い恃むものの瓦解、身を切るような思いでかけがえのないものを断腸の思いで差し出したのに報われず、苦い後味。

全19件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1960年神奈川県横浜市生まれ。私立浅野中学、浅野高校、早稲田大学卒業。日本IBM(株)入社後、おもに外資系日本企業の事業責任者を歴任。
著書に『戦国関東血風録 北条氏照・修羅往道』(叢文社)、『悲雲山中城 戦国関東血風録外伝』(叢文社)がある。
加入団体に『八王子城とオオタカを守る会』『八王子城の謎を探る会』『ちゃんばら集団剣遊会』『三浦一族研究会』等。
趣味 中世城郭遺構めぐり 全国合戦祭り参加 ボディビル エアーギター アマチュア・ウインドサーファーとしてソウル五輪国内予選に参加(8位) 「湘南百年祭記念選手権」優勝等各種レース入賞多数
*ご意見、ご感想等の連絡は下記のメールアドレスへ
jito54@hotmail.com

「2006年 『虚けの舞 織田信雄と北条氏規』 で使われていた紹介文から引用しています。」

伊東潤の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
伊東 潤
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×