藪の奥―眠る義経秘宝 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.18
  • (1)
  • (2)
  • (6)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 42
感想 : 4
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062774253

作品紹介・あらすじ

「黄金郷ヒライズミ」の地図を入手したシュリーマンは、一攫千金と名声獲得の野望を抱き来日。髭を伸ばして蝦夷に変装し、偽者を横浜に置いて平泉に上る。それを阻む修験者と謎の黒装束集団の争いが勃発。険しい山中をさらに分け入るシュリーマンは、秘宝を目前にしてついに短筒を構えた。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • トロイ遺跡の発掘で知られるシュリーマンが、日本滞在時にこっそり横浜を抜け出して東北まで訪れ、奥州藤原氏の財宝を探し出すというお話し。

    舞台は幕末の日本、主人公はシュリーマンってなかなかの着眼点で興味をそそられる物語である。

    しかし、難点が幾つか…


    いわゆるチャンバラの場面が迫力無く面白く無いことと、金山に関する知識が乏しいと思われるためにせっかく考えた設定に対する信憑性が薄れていること。



    まず、一つ目。
    戦いの描写について、すこし引用する。


    “貪狼坊は、体を捻りながら飛び上がり、鉞を振り下ろした。
    黒装束の脳天に鉞が打ち込まれた。
    六人の修験者もそれぞれの得物を持って振り返った。”

    などと、続いていくのだけれど、描写が俯瞰的でありすぎて、迫力もスピード感も感じられないのが残念。


    次に、金山について、文章を見てみる。

    “「昔々と言ったではないか。平泉藤原氏時代の掘り跡じゃ。もう金は取り尽くされておる。出羽、陸奥国にはそのような坑道があちこちにある。」”

    ぱっと見は違和感ないかもしれないが、でも気になることがある。

    平泉藤原氏の時代には、坑道掘りは無いでしょ。

    別のページでは砂金について触れているけど、この頃の金の採取は主に川金(かわがね。川で取れる砂金)と山金(やまがね。山で取れる砂金)で、どちらも採掘というより採取がメインだった。掘ると言っても、せいぜい金鉱脈を追っていく狸掘りぐらいだったろうに、このあたりの描写がいまいちだった。


    好きな作家だけに、もう少し頑張って欲しい。

  • 最近時代小説が増えている作者だけど、この作品もその流れの一つ。
    あのシュリーマンがこっそりと日本で平泉の黄金を求めて来日してという話だけど、更に、それに絡めてせっかくだから「義経になった男」とリンクさせてくれたら良かったのになぁ

  • あのシュリーマンが日本で埋蔵金探しをする本。で、平谷美樹なのでやっぱり義経伝説。もうちょっとボリュームがあったら良かったかも。

全4件中 1 - 4件を表示

著者プロフィール

1960年、岩手県生まれ。大阪芸術大学芸術学部を卒業後、2000年に『エンデュミオン エンデュミオン』(ハルキ・ノベルス)でデビュー。『エリ・エリ』(ハルキ文庫)で、第1回小松左京賞を受賞。14年には「風の王国」シリーズ(ハルキ時代小説文庫)で、第3回歴史時代作家クラブ賞・シリーズ賞を受賞。「採薬使佐平次」シリーズ、「江戸城 御掃除之者!」シリーズ、「よこやり清左衛門」シリーズ(ともに角川文庫)や「草紙屋薬楽堂ふしぎ始末」シリーズ(だいわ文庫)、など、多岐にわたるジャンルにて活躍している。

「2023年 『大一揆』 で使われていた紹介文から引用しています。」

平谷美樹の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×