血霧(下) (講談社文庫)

  • 講談社
3.34
  • (9)
  • (29)
  • (43)
  • (11)
  • (2)
本棚登録 : 313
感想 : 28
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062774369

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • (上巻より)

    そして、ラストがいつもに増して、急転直下すぎる。
    お約束の、犯人が襲いにやってくる、じゃないだけまだましか。
    ちょこちょこっと出てきた軍がらみの話をざっぱり削って、
    犯人を追いつめる時間を長く取った方がよかったのでは。

    前作登場した、秘書のブライスはまだ生き残っているらしい。
    今回は活躍の場がなかったのが残念だが。
    次作に期待。

  • 上巻で怪しいなと思っていた人物の1人が脳死状態になってしまう。
    さらにケイが面会した受刑者や、今後のシリーズにも登場するだろうと思っていた人物も殺害されてしまう。
    怪しいと思っていたもう1人に一連の殺人は不可能だし、どう収束するんだろうと読み進めると、犯人は上巻では気にも止めずにいた意外な人物で面白かったです。
    そして、こんな殺害方法が現実に起こらないことを前作同様祈りたい気になりました。

  • 何とも後味の悪い事件。というか、事件全般が非常に不快。

    そもそもフィールディングが最初に出てきたとき、気は弱いけどまじめで誠実な男だったはず。
    吹き出物の出やすい体質は最初からだったけど。
    なのに、後出しの設定のクセがすごい。

    少年の頃、年上の女性による性的被害者だったフィールディング。
    相手の女性はそれにより逮捕され、刑務所内でフィールディングの子どもを産む。
    成人し、家庭を持った後も、相手の女性と連絡をとり続けたフィールディング。
    そのことが前作『変死体』で暴かれたフィールディングの秘密。

    そして今作では、それも下巻になって突然にそれに続きができる。
    一か所不自然なセリフが上巻にあったことは認める。
    でも、それが犯人を示唆したものだというのなら、家族ってなんだろう?
    血のつながりが全て?

    そして、犯人がジェイミーを殺した理由はわかるとして、キャスリーンを殺した理由がわからない。
    最初からケイを陥れるつもりだったのも解せない。

    ケイを事件に巻き込もうとしたのはジェイミーのひとりよがりな思い付きのはずだ。
    だとしたら、犯人が事前にケイの名を騙ってキャスリーンと連絡をとっていたのは、どういうわけか?

    それらの謎が明かされないまま事件を終結させてしまったのは、読者として非常に消化不良。
    それというのもまた、ルーシーが犯人の頭を撃って即死させちゃったからだ。
    で、特におとがめなし。
    この辺がすごくフェアじゃなくて嫌い。

  • この人の作品は、はじめの「検屍官」で思ったけど、ミステリーの王道的犯人をちょっと逸脱してるじゃないの?
    もしくは、え、犯人結局何なの…
    ってところがたまに……

    今回は、伏線もあったけど、上下巻で2冊の計4冊費やした割にはなんだかな。
    過程を楽しむ話、に、もうずっとなってしまっている。

    双子が正体か…
    しかもルーシーが射殺しちゃうとか。
    作者が簡単にケリをつけてしまったように見えたけれども、これはルーシーがジェイミーを殺された怒りと見ればいいのかなあ。

  • 冷静に考えてみて、最後の最後に、今まで触れてもいなかった設定が出てくるというのは、ちょっとずるい。もっとも、その設定に至っての疑問点は既に記されていて、「どうやってまとめるんだろう?」と思っていたところに出てきた設定なので、完全に反則ということでは無いですけどね。もっとハッキリと伏線を示したほうが良かったと思います。

  •  いよいよエンジンが、かかってきたかなと思われるこのシリーズ、何といっても前作から一人称でのケイの視点で記述される文体に戻したことが効果的な結果をもたらしていると言っていい。前作は実は完結していなかったという内容の本作。どの作品にも続編や後作の伏線であったりするのが本シリーズの特徴ではあるのだが、一旦シャンドン・シリーズに決着を見てからの新スタートとしての一人称文体、前作の続編として完全に捉えることのできる本書『血霧』も、なかなかスピーディで読みごたえがあっていい感触。

     前作までで何とか捕獲した犯罪キャラクターたちが軒並み謎の死を遂げてゆく。しかも過去の人とは言え、ルーシーやマリーノにとっては重要なキャラクターが思いがけぬ再登場を果たしたかと思うとやはりこれまた謎の死を遂げてゆく。どれもが地理的にも状況的にも距離があり離れている場所で、なぜどうやって死に至ったのか、アクロバティックにもほどがあるという連続殺人にぶちあたるケイ・ファミリーであるのだが、一番地道で結論を急がない牛歩タイプのスカーペッタが、究明困難かと思われる真相にどんどん近づいてゆくところが小気味よい。

     想像や類推を極度に嫌い、想像でものをいうこと、相手に何かを保証することを避けるために、ケイは常に融通の利かない嫌なセリフばかりを放たねばならないのだが、確実なもののみを捉えない限り何も認めないという科学者的スタンスこそが彼女のルールでありやり方であるのだろう。

     一作に一回は爆発するケイ・スカーペッタのヒステリーだが自分を制御できなくなるその相手は最愛のベントンだけなのだから、彼以外のところで強いられている日常的な緊張からのストレスをベントンは嫌でも引き受けなければならない立場なのだろう。愛情ゆえの信頼、それゆえの自己制御が利かない混沌の時間は、二人の時だけのものである。ある意味とても完成された愛情とも取れるが、一方で別組織に属するゆえの二人の職業的守秘義務がもたらす沈黙の苦しみも、二人の本来あるべきスイートな時間を困難にする材料の一つとして、本シリーズの特徴と言えるハードな一面を示すものではないだろうか。

     とても凶悪な素材として強く特徴づけられた前作の殺人者の存在を受けて、その母の収容されている女子刑務所を訪ねるシーンからこの小説は始まる。女子刑務所の所在地はジョージア州サヴァンナ。なんとケイが住んでいたチャールストンよりさらに南。雪のシーンが多かった前作までのニューヨークやケンブリッジから、一気にスカーペッタの故郷ともいえるディープサウスに帰ってきたというフラッシュバック感が味わえる本書。コリンという検屍官が南部魂の広告塔のような明るい存在感を全編に渡って表すところなど、日ごろのこのシリーズの堅苦しい切迫感から少し解放されるイメージすら感じ取れる。

     そして続編ということでしばしば用いられる手法として、新たな脅威をもたらす殺人者の存在が浮かび上がってくる。その上、凶器は大量殺人兵器に繋がる可能性があるところで、前作冒頭で登場した軍の上層部まで顔を出し始め、あわや物語は全米全世界を飲み込むスケールに広がるや否やというところまで。これがスカーペッタのシリーズの特徴であり、広げた風呂敷をどう畳むのかといつも冷や冷やさせられるのだが、本書はきっちり締めてくれた。前作に続き、曖昧さの残らない展開が嬉しい。思いがけぬ結末と、クライマックス・シーンの印象度も、本書の質を高める重要ファクターである。

  •  ベントンが生き返ってから、いま一つ魅力を感じなくなったシリーズ。
     ケイもベントンもルーシーもあまり人間的に好きになれない。最新(であろう)の鑑識や検視に関する記述はそれなりに興味深いけど。
     病める国の中であがく人々、犯罪者も裁く側も病んでいる。
     裏表紙はネタバレ過ぎる。
     突然双子の姉妹が登場するのもなんだか。

     マリーノが哀れ過ぎて。

  • 引っ張る割に解決するときはラスト付近からあっさりと解決してしまうのがコーンウェル氏の作品の特徴かもしれない。。。さて、残すところ既刊はあと一作上下の2巻。早く頑張って読んだで賞を自分にあげたい(笑)

  • 下巻の面白さが上巻からあればいいのにといつも思う
    次もやっぱり読むんだろうなぁ

  • いつも最後があっけないよなぁ。
    ベントンにもう少し人間味があればいいのに。

全28件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

マイアミ生まれ。警察記者、検屍局のコンピューター・アナリストを経て、1990年『検屍官』で小説デビュー。MWA・CWA最優秀処女長編賞を受賞して、一躍人気作家に。ケイ・スカーペッタが主人公の検屍官シリーズは、1990年代ミステリー界最大のベストセラー作品となった。他に、『スズメバチの巣』『サザンクロス』『女性署長ハマー』、『捜査官ガラーノ』シリーズなど。

「2015年 『標的(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

パトリシア・コーンウェルの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
パトリシア・コー...
パトリシア・コー...
パトリシア・コー...
パトリシア・コー...
パトリシア・コー...
パトリシア・コー...
パトリシア・コー...
パトリシア・コー...
パトリシア コー...
パトリシア・コー...
パトリシア・コー...
パトリシア コー...
パトリシア コー...
パトリシア・コー...
パトリシア・コー...
パトリシア・コー...
パトリシア・コー...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×