双月高校、クイズ日和 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062774437

作品紹介・あらすじ

クイズで閉塞感をブチやぶれ。燃えるものを探したいのに見つからない。そんな悩みを持つ高校生たちが、クイズ同好会を結成した。目指すは全国高校クイズ選手権大会出場。周囲の好奇の目をよそに、本気でクイズに取り組む彼らが見つけた「大切なもの」とは?爽やかさあふれる、文化系青春小説の傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 年の瀬に何て本を読んでしまったんや…!

    めちゃくちゃ面白かった!!!

    (こればっかりやな)


    イヤイヤ、著者の本は(別タイトルを)読んだことがあるような、しかも途中で挫折したような気もするけど、違うかなあ…。笑

    たぶん、図書館の蔵書リストから検索して読んだ。クイズ好きの仲良しグループが何かしらのイベントに挑む話かなあ、と、思ったらとんでもない。

    「カブキブ」も、同じような部活青春モノやったけど、「カブキブ」とは何か違うかったなあ。
    (どっちもめちゃくちゃ面白かった)

    共通点は、「何かに打ち込む姿勢」かもしれへん。ほんで、わたしが一番好きなテーマやねんな。
    わたしがこの年齢のころは、打ち込む「何か」は、メジャーなスポーツであるのが当たり前やった。

    その後、マイナーなスポーツに打ち込むフィクションが脚光を浴びるようになって、ほんで今はこんなふうに、「人と違う何か」がテーマになることも増えた。

    単純に、人と違う何かをすればいいというわけでもなくて「これをやっていれば自分の立場はそこそこ守られるのはわかっているけど、それではない何かに打ち込む姿勢」が大事なのかもしれない。

    あとがきで著者が書いていたとおり「スマートに大概のことはこなせる」著者ならではのテーマなんやろうなあ。

    これだけ情報過多の世の中だけに、「場を読む」という評価基準はわたしが若かったころよりずっとずっと高くなっていると思う。

    「わかるよね?」という流れと、仮に知らなくても「自分で調べられるよね?」と、いう「常識」は、30年前には絶対になかった。当時は「わからないならわかるまで走れ」やったと思うもの。

    今は「走るより調べろ」と、いうような気がする。そうやって過ごすのに、いざ社会に出たらまだ「わかるまで走れ」世代が主流やから、急に走らされる、今の若い人ってそういう感じなのかなあ、と、思うことが増えてきた。

    それだけに、若いうちから、打ち込める何かを持っているか持っていないか、その感覚を知っているかどうかが、わたしらのときよりずっと重要になってくる気がするなあ。

    勉強はせなあかん、場を読みつつそれっぽくすごさなあかん、でも、打ち込めるものがある感覚を知っているほうが有利、と、今の若い人に求められることって多すぎる気もするな。

    「そんなん、どうでもええわ!」て言うて、わたしらを笑い飛ばして好きに振る舞えるぐらいでええんやろうな~。


    そしてわたしはというと、若いころはほんまに好き勝手にやった。そのときにしかできなことを充分やったと思っている(わたしの尺度で)。

    だから、若いうちにもっとこうやっておけばよかった! っていう後悔はあんまりなくて、それよりも今、30代後半から40代にかけて、「そろそろ落ち着かんとあかんよな」って思ってから回ってきたことのほうがちょっと後悔してる。笑

    2020年もいろいろあった。前述の通り、44才にもなったんやから物分かりはよくなっとかなあかんって何度も思ったけど、最後の最後で「アカンやろ」ていうぶち壊し方をして終わった。笑

    それはそれで「あー…」って思うけど、若いころもわたしはいつもこんなんやった。
    ムキになるし人の話聞かんし暴走するし、でも、その物事に対して真面目ではある。真面目ゆえに融通がきかん、と、思う(よく言えば)。

    そうやったそうやった。わたしってそんなん。
    そんなんこの年齢で言うとったらアカンやろって思ってたけど、この年齢やから言うてもええんちゃう。そのぶん、責任は持たんとあかんけども。


    あとがきでも語られていた「どのキャラが好きですか」と、いう問いかけ。
    しばらく考えて、わたしは、アンペアくんやわ~。何やの、ヒポクラテス・クラブの人ちゃうやん~(笑)。

    憧れ具合でいえば、アンペアくんみたいに、自分で自分のやりたいことをやる人に、ほんまに憧れる。
    軸がある人に憧れがあるから。

    なので、ヒポクラテス・クラブで言うなら、土方さんかな。芯の通り方がわかりやすくて、王道で、柔軟性もあるね。それを言うと、ほんまにみんなそうやね。

    すごく面白くて、ものすごいいきおいで読んだ。ほんで、いろんなところで泣きそうになったよ。
    やっぱり、「熱中する」と、いうところに、泣けるものがあったなあ。一生懸命っていうのはいいな。ほんとうに、いい。

    「何の役にも立たないことをやる」と、いうのは、全然合理的でもないし生産性もないし、一見、「仕事」としてはアカンくて、「そんなことができるのは学生のうちだけだ」なんて言うのよ。

    でも、今のわたしらの年代(と、その上)が好むフィクションってどうよ。無駄と思えることに熱中して、それがいつか実を結ぶっていうサクセス仕事話が多いよねえ。

    結局、永遠に「熱中できることと、それを共有できる仲間」を、求めているのよ。なので、いくつになったからってそれを卒業する必要なんて、ないんちゃう。

  • 青春を通り過ぎた人間に青春小説は刺さりすぎる。
    ましてや私は、同士を集められず高校生クイズを断念した人間だから、双月高校の彼らが羨ましくて仕方ない。いいなぁ、クイズで青春出来て。自分の青春も悪くなかったと思っているけれど、本の中に閉じ込められた青春は余りにも魅力的だ。

  • テニス部に所属するも行き詰まりを感じていたアリサ。クイズ同好会を作るために誰彼構わず声をかけていた不思議な先輩のことが頭に残っていた。陰キャ男子、不良女子、スポーツ男子など、個性豊かな面々がクイズ同好会に集まって……。

    今ではミステリ作家として名を馳せている青柳碧人さんの不運なデビュー作、らしい。なんならそのことについて書かれたあとがきだけで衝撃の物語になりそうである。そのせいもあってか、高校が舞台とはいえ、ちょっと青臭く芝居くさい気はする(特に生徒会長)。まあ、フィクションなんだからそんなに気にならないけど。
    クイズをテーマした作品は多くはない。『君のクイズ』がプレイヤーの内面を深く描いたのに対してこれはみんなでクイズの青春。大人としてうらやましくなってくる。キャラクターも個性的なので、好みが分かれそうだ。

  • ヒポクラテス・クラブのメンバーそれぞれが個性的で、クイズという繋がりが無ければ友達にならなかったであろう彼らが、深い絆で結ばれているのが印象的でした。特にサミねえと秋山生徒会長のヒポクラテス・クラブの存続をかけた、全校生徒の前での対決が印象的でした! 一方的にクラブを辞めたナツキも応援に来ていて、クラブのメンバーみんなが一丸となっている感じが熱かったです!

  • 高校クイズ研究会の物語
    クイズ研究会の捉え方が、ちょっと古い感じがするのも、2007年の作品なら、やむを得ないか
    解説が福留さんってところも、ツボ

  • 夢を追うこと。大人になるとなかなか難しくなってしまうからこそ、クイズに青春をかける描写は熱くなれる。

    あとがきがなにより良い!青柳さんの思いがすごく伝わってくる。『浜村渚の計算ノート』で有名な人だから、読んでみたくなった。

    リーダーみたいに夢にひたむきな人になりたい。

  • たった一度きりの高校生活。
    一生記憶に残るような、燃えるものを探したい――とは言うけれど、それが何か分からない。
    そんな漠然とした不安や閉塞感を抱いた生徒たちが、放課後の一室に集まった。
    キーワードは、なんと「クイズ」。
    変わり者として知られる二年生の男子生徒が、クイズ同好会の創設に向け、のべつまくなしに有志を募ったのである。
    クイズ? 何それ。
    カッコ悪い。
    周囲から冷ややかな視線を浴びせられ、心が折れそうになる会員たち。
    だが、次第に「クイズ競技とは、スポーツと同じ真剣勝負である」ことに気づき、その魅力に惹きつけられていく。
    記憶力が致命的に劣るリーダー。
    テニス部を途中退部した美少女。
    演劇をしたいけれど、人数集めに自信がない気弱な少年。
    ケンカは強いのに、じつは極端なアガリ性の不良少女etc.。
    個性豊かなメンバー7人が、「本当の仲間」を見つけ、全国高校クイズ大会「ビロード6」出場を目指す――。
    (アマゾンより引用)

    面白かった

  • クイズ

  • 高校のクイズ同好会のお話
    生徒たちそれぞれのキャラが濃い
    ま、その分現実離れしてる描写もあるけど、ラノベとして見れば普通かな

    出てくるクイズの9割がわからない(笑)
    ガチのクイ研ってこんな?
    ナナマルサンバツはまだわかる問題もあったけど

    それにしても、メンバー選出のくだりは青春だなぁ
    勝ちにこだわるか、想いを大事にするか
    多分、僕が誘われた立場だったら辞退する側だな、きっと

    そして最終判断を担った葉山さん、カッコイイ
    その判断、間違いではないと思うよ

    本戦のところをスルーしたのも、そこが主題ではないからだね
    高校のときの思い出って一生モノという事を再認識させてくれる小説でした

    僕の場合は思い出すのは高校のときではなくて、大学の生活を思い出すだろうね
    部活とか実習とか3年後期の暇な時期とか院試勉強とか卒論とか修士のときとか

  • 胸が少し苦しくなりました。もう自分には送ることのできない日々を楽しく読みました。わたしにももうこれから交流がないにせよ、自慢できる日々と仲間がいたことを思い出すことができました。

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著者プロフィール

1980年千葉県生まれ。2009年『浜村渚の計算ノート』で第三回講談社birth小説部門を受賞しデビュー。「ブタカン」「西川麻子」「猫河原家の人びと」などシリーズ多数。2019年刊行の『むかしむかしあるところに、死体がありました。』が各ミステリーランキングや書店年間ランキングにランクインし、本屋大賞にもノミネートされた。

「2023年 『あかがみんは脱出できない(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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