魔物が棲む町 物書同心居眠り紋蔵 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062774673

作品紹介・あらすじ

高輪・如来寺に赴任した快鴬は、門前町人たちに地代を課そうとしたが、彼らがいっこうに払わないので公儀に訴えた。ごく簡単な訴訟だったはずなのに、背後に拝領地の売買という、奉行所が裁決を避けてきた容易ならぬ問題が。訴訟を取り下げさせるという厄介事が紋蔵に降りかかる表題作。人気捕物帖第10弾。

感想・レビュー・書評

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  • 目次
    ・十四の侠客岩吉の本音
    ・独断と偏見と冷汗三斗
    ・親殺し自訴、灰色の決着
    ・御三家付家老五家の悲願
    ・魔物が棲む町
    ・この辺り小便無用朱の鳥居
    ・仁和寺宝物名香木江塵(こうじん)の行方
    ・師走間近の虎が雨

    この巻では僧侶や儒者などの、いわゆる徳の高いと言われる人の裏の顔が暴かれるのが多かった。

    表題作「魔物が棲む町」では拝領地にあるお寺の門前町人たちが、本来払わなければならない地代を何年もお寺に払わないですませてきた。
    新しく赴任した僧侶がそれを改善しようと町人たち相手に訴訟を起こすのだが、その裏には別の思惑があった。
    その生臭い思惑を、奉行所は結局知ることはなかったけれど、町人たちは知っていた。
    なぜなら魔物を作り出していたのが彼らだから。または彼らが魔物なのか?

    「仁和寺宝物名香木江塵の行方」の住職も悟りとは無縁の生臭坊主だったし、幕末、すでに仏教は形骸化していたのかと思う。

    文吉がますますいい男になってきている。
    遅れている勉強を取り戻すため勉学に励んでいるけれど、それが机上の空論ではなく、生活に密着したまっとうな感覚を持った理屈。
    紋蔵のいい跡取りになるのはないだろうか。
    初恋の千代も江戸に帰ってきたことだしね。
    先が楽しみな少年である。

  • ちょっと理屈っぽい話が多くなったかな。

  • ミステリーの伏線とオチが綺麗に結びつかないことがあったり、「えっ」というような意外な終わり方をすることが多いのが面白い。
    ところでこの「居眠り紋蔵」シリーズ、そろそろドラマ化しないものでしょうか?

  •  物書同心居眠り紋蔵シリーズ第10弾。佐藤雅美の似た物シリーズの中でも最多冊数を誇る。いつもいつも言うように、みんな似ていていずれがアヤメカキツバタなんだけど、こうしてみるとこのシリーズはおもしろいな。長続きする所以かもしれない。
     例によっておもしろおかしい短篇が8篇。居眠り紋蔵が主役でからむくらいだからいずれも大した事件ではなく、その解決も真正面からというよりは何となくの偶然とかひょんな別件からのつながりとかから、こんなに都合よくいくかいと思うような結末になる。それも、きちんと帳尻をあわせるというよりは、なんとなくうやむやに済ませてしまったりするところが人情の機微をついていてまた現実味もあるという寸法だ。たしかによくできている。

  • 毎回期待以上に楽しませて頂いています。今回も脇役が魅力的でした。もちろん、一編一編のエピソード自体も。

  • 文吉がだんだんと大人びてくるエピソードは読んでいて嬉しくなる。出てくる悪役に、ふてぶてしいタイプが多いとと思ったが、読み返してたらそうでもない。後ろの二編にそんなのが続いたので印象が強かったようだ。

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著者プロフィール

佐藤 雅美(さとう・まさよし)
1941年兵庫県生まれ。早稲田大学法学部卒。デビュー作『大君の通貨』で第四回新田次郎文学賞を受賞。1994年『恵比寿屋喜兵衛手控え』で第110回直木賞を受賞する。著作に『御奉行の頭の火照り 物書同心居眠り紋蔵』『頼みある仲の酒宴かな 縮尻鏡三郎』『関所破り定次郎目籠のお練り 八州廻り桑山十兵衛』『知の巨人 荻生徂徠伝』などがある。2019年7月逝去。

「2021年 『恵比寿屋喜兵衛手控え 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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