感応連鎖 (講談社文庫)

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著者 : 朝倉かすみ
  • 講談社 (2013年2月15日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062774765

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感応連鎖 (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

  • 自意識の膨張( ་ ⍸ ་ )

  • 2015/8/19
    紹介文通り痛快極まりないかどうかはわからんけど。
    節子が幸せならばそれでよい。
    いかにも女性作家の作品。もちろんいい意味で。
    ユーモラスなのに薄ら寒いのがいい。

  • こいつは凄い本だ…というのが読了後の感想でして、いや、自分は今までも朝倉氏の本は好んで読んできたんですけれども、今作はおそらく今まで読んできた朝倉作品と比較して…最高傑作であると! 僕などは思いましたかね…社畜死ね!!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    ともかく思春期の女子の心理描写が凄い! 男が読んだら女子への甘ったるい幻想など一発で消えうせてしまうかのような衝撃がそこ、つまりは本書にはありました…まあ、ぶっちゃけ見ないで済むならその方が良いと思われる、人間のいやらしい部分ではありますけれども、僕などはそういうのも楽しめるタチなので良かったですね…社畜死ね!!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    うーん…本書は数年経った後、再読するかも…みたいなことを思わせるに足る、素晴らしい著書でありました…おしまい。

    ヽ(・ω・)/ズコー

  • 次から次へと読み進めてしまった。 正直、苦手な表現とかも多かったけれど女心が、気持ち悪いほどに描かれていた。 想像していたものとは違う構成になっていて、それが面白さを引き立てていた。

  • 母と娘の関係がごにょごにょっと書かれた連作集。墨川節子、秋澤初美、佐藤絵理香、新村由季子の4人の名がそのまま章タイトルになっている。

    冒頭の節子の章から、ぎょっとする。節子の母・和代は、娘のことを「セシルちゃん」と呼ぶのだ。私立女子高に合格した節子に「セシルちゃん、合格おめでとう」と言い、夫の時彦が「セシルってだれだ」と口を挟む。

    自分を「セシルちゃん」と呼ぶ母のことを、15の娘は冷徹なまでに観察している。15にしては達観のほうだ、と自己分析もする。

    「おかあさまは、セシルちゃんの努力を知っています」
    「おかあさまも、セシルちゃんと一緒に努力してきました」
    「セシルちゃんが合格したということは、おかあさまが合格したのも同じなのです」
    「だって、セシルちゃんとおかあさまは一心同体なんですもの」

    母はその巨大な顔面をあげて、うっとりと、あらぬほうを見あげてほほえんでいる。口もとはだらしなくゆるんでいる。娘は、母のこのほうけたような表情にはとっくに慣れている、と思う。

    娘は小5のクリスマスにカメラをねだり、それで毎日母を撮り、自分自身も撮った。「わたしの成長とともに和代の顔面も成長している」という仮説を検証するためだ。

    2年間撮った写真を、娘はアルバムにおさめている。
    母の顔面が、めりっ、めりっ、めりっ、と巨大になっている。
    娘のからだも、めりっ、めりっ、めりっ、と巨大になっていっていた。

    あるいは、娘に寄せる母の「思いの丈」が娘のからだを肥満させ、母の顔面を巨大化させているのかもしれない(第二の仮説)。あるいは、娘のからだと母の顔面をふくらませたものは、2人のやりきれぬ思い、思い通りにならぬ思いかもしれない(第三の仮説)。

    母が信じているのは、「夢のような理想の娘」だ。母はそれを口に出して言うわけではないが、その思いの丈は、言葉にしないぶん、よけいに強く発散される。母はときおり、その夢の娘を思いうかべて放心する。おかあさまはわたしを見ていない、と娘は気づいている。

    ▼じゃあ、だれを見ているのだろう。よそに子どもがいるのだろうか。おかあさまは、わたしとその子とどちらがより好きなのだろう。(p.20)

    娘は母を憎み、そして母を憐れむようになった。

    発育がよく、有り体にいえば肥満していた節子は、「でぶ」「でぶのくせに」と言われないよう細心の注意を払っていた。159センチ、95キロのからだに向けられる失笑をくいとめたい、肥満ではなく異形と認知させたい、と節子の自意識は叫んでいた。

    高校にあがっても、とぎすまされた節子の自意識は自身と周囲のモニターをおこたらない。高校で初めて会った同級生・絵理香は、やけに勘がよかった。そして同じクラスになった島田由季子の姿は、まるで母の望む「夢の娘」そのものだった。

    話はそこから、この3人と、3人の担任の秋澤の妻・初美とを絡ませながら、じわじわっとふくらんでいく。4人それぞれに、ふくらみきってはじけそうな自意識の扱い方が違い、一番手なずけていると思えるのが節子だ。あとの初美、絵理香、由季子は、自意識にさいなまれている感じがする。

    最後の由季子の章は、時間がしばらく流れていて、だが、それはまた冒頭の母と娘の話に戻るかのようだ。由季子が、まるで節子の母・秋代のように見えてくるのだ。そして、秋代は、由季子のような育ちをしたのかもしれない、と思わせる。

    「こんな子だったらいいな」という、周りの大人たちの希望や期待に雑作なく応えてきた、「夢の娘」への期待に応えることができた――そんな由季子は、自分が「からっぽ」だと感じている…。

    なんか、怖さのある話だった。

    (4/30了)

  • 「グロテスク」を読みながら、「ああ、あの小説は随分『グロテスク』に
    影響をうけてる印象…」と、思ったんだった。

    その「あの小説」が、こちら。

    もともと家柄とか幼稚舎からどうのとかとは
    相当に無縁な私で、
    まわりからも求められず、価値についてもわからないので、
    それを自慢にする人があらわれ、
    はじめさりげなくしているのにあまりにも私が感心しないので
    しまいには怒りだすということも、あったなあ。

    この本は、そんなような価値観を持つ人たちをベースに
    女の子の、意地悪と面倒くさい感じが
    如実に著されている、けれど、

    申し訳ないけど私自身は、
    まあ、もちろん色々あったけど、
    もっとあっけらかんと朗らかにしていたような…。

    「この人たち、どうなるのかな~」と思って最後まで読んだけど、
    一回読めば良いかな。

    「グロテスク」もそうだったけど、こう言う話って
    どうしてもラストが次の世代のなんか…みたいな
    ださい感じになるのかな。

  • それぞれの話を読んでる時点ですごいと思ってたけど、最後のページでは気持ち悪くなるほどだった。女子の自意識こわい。夢の娘ってこんな恐ろしいのか。でも自分にも大なり小なり当てはまる部分はあるから気持ち悪くなったんだと思う。

  • 女の中の黒い部分を引き伸ばして文字に起こしちゃった感じ。
    怖かったです。もっと夢見させてくれよって思った。

    でも嫌いじゃない。

  • 気持ち悪~い‼(けなしているわけじゃないよ)
    想いが身体に影響して異形のモノになっていく様は、おぞましいと同時に、不安をかきたてる。

  • いいねェ。冷静に狂っていて。若いって気持ち悪いね。
    傑作。少女ってこんななのか?

  • 久しぶりの朝倉節が効いていて満足。
    初期の『ほかに誰がいる』のような激しい感じと
    最近の奇妙な雰囲気が相まって3人の女を、まるでそこにいる人物に
    言葉を紡ぐようにして描いている。
    朝倉さんファンとしてはとっても安心する一冊でした。

  • 読んでいて、河をわたったような気分になった。

    気付いたら服の裾が濡れていて、
    つぎに気付いたらすっかり腰まで浸かっていて、進むしかないという心地がする。
    そして物語が進むと、もうすっかり足のつかない深い部分にひきずりこまれていて、どうしようと途方に暮れて、もがいていると、
    突然ぐいっと向こう岸に引き上げられる。
    そして、その先にはまた河があることを知る。

    読んでいるときの感覚を表現すると、
    上記のような感じになる。

    朝倉かすみは、女性を描くのがうまい。
    おそらくどんな女性も感じたことのあるであろう自意識、それを強調して描く。
    そこに皮肉なタッチがないので、ついついこちらも
    「ああ、こういうことあったな・・」「わかるよ・・」という苦笑いでもって、登場人物たちを受け入れるしかないわけだ。

    この物語はすこし不思議で、
    母親によって「夢の娘」という妄想を押し付けられた巨躯の娘、セツの視点から物語は始まる。
    母親の望みをうけて、自分もそうありたいと願いながらもそうではない自分を痛切に感じている彼女は自分たち二人の思いが自分の体をどんどん膨らませているのだと思っている。

    そんな彼女は、同級生の「絵里香」に自分の隠した本性の片鱗を言い当てられ、とことんまで愚鈍を演じることを決める。
    その絵里香は、人の気持ちの中にある言葉を舌に乗せる能力を持った女の子だ。
    彼女を支配するのは虚栄心、自尊心、嫉妬。

    その絵里香がねたみ、
    セツが「彼女こそ夢の娘だ」と確信する相手、それが由季子。
    誰よりも美しい容貌をもち、理想の娘らしいしぐさをもち、
    しかしその実、それはすべて他者の望む像でしかない、空っぽな娘。
    彼女は、セツによって自分を「夢の娘」に仕立てあげられることを望む。

    しかし、「恋」こそがより少女たちを完璧なものにすると信じたセツが、その思いをうけた由季子が起こした行動によって彼女たち自身に変化がおきる。

    タイトルにあるように、それは「連鎖」する。

    小説のつくりとしては、二か所ほどにミスリードが仕込んであって読み進めるわくわく感があっていい。
    物語がどこに着地するのか、まったく想像できない不気味さもいい。

    ああ面白かったなあ、と読み終わろうとしたら、
    最後の最後でぞっとさせられる。
    このためだけにこの一篇を書いたのでは、とすら思うような。

    だから本を読むのはやめられないなと久々に思った一作。

  • 2013.02.25読了。
    今年10冊目。

    女という生き物の自意識のお話。
    読んでて少なからず自分にも当てはまる部分があり、そのため登場人物に嫌悪感を抱く(笑)
    人に対して嫌だなと思うことは少なからず自分の中にもあり、そのためそれに気づいてか気づかずか嫌悪するっていうことだねー。
    となると自戒するべきことがたくさんすぎるw

    母子の関係、理想の娘の話はかなり歪んでいて私には全く当てはまらないが、長女だったので親の希望に添いたい応えたいという部分では気持ちは少しわかるかも。

    4人それぞれの登場人物が自意識のもとに話を進めていくが、他者から見たそれぞれの登場人物の見た目の描写はかなりバッサリしていて(特に初美とか絵理香)えげつなかった...
    そこが痛快とも言えるんだけど。

  • もう絶対、15歳なんかに戻りたくないんだい!

    と、倍の年齢になった今、身震いしながら読みました。
    自分の中に、節子(セシル)も、絵里香も、由季子も、
    未だに居座っていますが、それを、それなりに飼いならせる
    ふつーの大人になれて、本当によかった。

    「夢の娘」を持つぐらいなら、子ども、いなくていいです。

  • 感応と自意識って裏表ですね。
    自意識が過ぎて苦しむ少女たちの話。

    結構大人になっても同じじゃないかな、心は。
    歳をとると、隠す術を覚えるだけかもしれない。

  • ぞうっとしながら読んだ。
    こわいおはなしだった。
    それでいて、共感するところも、多分にあった。

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感応連鎖 (講談社文庫)の作品紹介

母親が自分に寄せる夢を体に溜め込み肥満化した節子。他人の秘め事を言い当てられるがゆえに高慢で孤独な絵理香。周囲の期待に応え続ける美貌の由季子。膨らんだ自意識は、彼女たちを苦しませるだけではない。生きあぐねる女子の生態と心理を辛辣かつユーモラスに描き、痛快極まりないラストへと誘う傑作長編。

感応連鎖 (講談社文庫)はこんな本です

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