カワイイ地獄 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062774970

作品紹介・あらすじ

大学に通いながらキャバクラで働くことになった駒子。ここには「カワイイ」以外の価値観は存在しない。だけど私には夢がある。自分だけは他の子とは違うはず、そう思っていた。女子はいつでも「カワイイ」を求め続ける。アイラインで大きくした瞳も、磨き上げた髪の毛も。女子的短編連作、文庫オリジナル。

感想・レビュー・書評

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  • 「カワイイ」が全て。
    30キロ台の体重で華奢なのがカワイイ。
    つけまつげ2重でカラコンで、目はとにかく大きいのがカワイイ。
    髪もデッコデコに巻き髪で盛るのがカワイイ。
    キラキラDQNネームがカワイイ。
    ピンクに黒にハート、ネイルももちろん盛りまくってるのがカワイイ。

    カワイイが正義。洋服にメイクにインテリア、ペットや彼氏までもカワイイ尽くめ。そのためなら水商売も整形もクスリも死すら厭わない。
    そんなギャルやキャバ嬢の価値観を描いています。

    子供を持ってなお、その思想の止まるところはなく。。怖いです。
    そりゃカワイイに越したことはないけど、そんな上辺だけのカワイイってどうよ、という皮肉なメッセージ。

    どうでもいいけど、彼女らの理想像は安室チャンなの?あゆだと思ってたよ。。

  • 何でもカワイイかわいいってお前らバカじゃねぇ?揶揄されてる気がして、少し戸惑った。
    確かに対象物が何であろうとカワイイって言っちゃう女の子は頭が悪そうに見える。
    でもね、そう思ったから言ってるだけ。
    カワイイと感じるものが男性より多いんですよ。そして女の子の財布の中身を狙った“カワイイ”商品が世の中に溢れているじゃないのさ!
    カワイイ地獄…わたしもしっかり陥っているようで、諸々気を付けようと思いました(^^;
    cuteもbeautifulもlikeも兼ね備えていると思うので、結構便利な言葉だと思うんですけどね。

  • 「カワイイ地獄/ヒキタクニオ」講談社文庫
    「カワイイ」を求めて夜の世界に身を投じる女の子達を描いた連作短編集。カワイイを求める女の子達を醒めた目で、時に優しく見守るバー「寒猫」の女主人「小夜子」さんをキーとして少女たちの物語はリンクしてゆく。「寒猫」は赤坂見附の奥まった所で三十数年前にオープンしたバー。寒そうに丸まっている野良猫の事を「寒猫」と言う事から名付けたが、そんな名前にした所為なのか店には野良猫のように街を逞しく生きる女の子たちが集まってくる。
    亡き父の代わりに道場再建を夢見る娘
    カワイイを求めて借金まみれになる娘
    田舎を嫌悪し東京に憧れる女の子
    全身整形でオンナの身体を手に入れたニューハーフ
    カワイイ以外の価値観は存在しないその世界は男には想像つかないほど歪だ。
    その世界をカワイく武装してしたたかに生きぬいてゆく女の子達は強い。
    「カワイイカワイイって言ってるワタシ、カワイイでしょ?」
    自分だけは違う!そう思っていた娘も・・・「カワイイ地獄」後味はビターです。

  • 「カワイイ」を絶対とするキャバ嬢たちの物語。
    アイラインで大きくした瞳、磨き上げた髪、カワイイものに囲まれた部屋。
    全てはカワイイに集約される女子たち、結末は悲哀こもごも、面白かった。
    (図書館)

  • 大学に通いながらキャバクラで働くことになった駒子。
    ここには「カワイイ」以外の価値観は存在しない。
    だけど私には夢がある。
    自分だけは他の子とは違うはず、そう思っていた。
    女子はいつでも「カワイイ」を求め続ける。
    アイラインで大きくした瞳も、磨き上げた髪の毛も。
    女子的短編連作、文庫オリジナル。

  • こんなオバさんの私でも、四半世紀も前はおねぃちゃんだったわけで、
    その頃はおミズで食ってたりしてて。
    ってことで
    かつての自分や友人知人を思い出して
    いろいろ懐かしかったり
    自分の運の良さに今更ながら感謝したり
    イマドキの子はこうなのかなぁ と吃驚したり、
    なかなかに忙しい1冊でシタ。
    思えば
    私達こそ『カワイイ』を武器や免罪符にし始めた世代じゃないかなぁ。
    それがこの「カワイイ地獄」に連なっていくのかと考えたら
    なんかちょっとごめんね。

  • タイトルで読んだけど、面白かったな。連作って好きなんだよな。悲しいエンドになる物語もあったけど、いなかから都会のギャルに憧れて上京しようとする女の子の話が一番好きかも。なめてた父さんが自分のために頑張ってた、っていうね。最後のチンピラの話も好きだったけど。

  • カワイイといいながら地獄に堕ちていったり
    地獄を覗いたりするキャバ嬢たちの短編。。
    死んだあと、そこに縛り付けられる話が
    コワカッタ・・・。
    ずっと同じ場所で立ってて、動くと消えちゃうって
    のは地獄・・・。
    生きて必死にもがく地獄の方がナンボかましだと
    思われ。。

  • カワイイ地獄 - bookworm's digest
    http://tacbook.hatenablog.com/entry/2015/01/02/185322

  • キャバ嬢ってお客様をもてなす職業だよね。でもここに登場する彼女たちが心砕くのは、心配りとか会話の知性というより「カワイイ」ってこと。

    面白かったのは「JUNK WORD-ポンコツな言葉」
    キャバ嬢を母に持つ小学生の娘の視点で語られる話。

    『知っているよ。君ががんばっていることを』
    みたいに巷にあふれているJUNK WORD。
    相手のことを考えているのではなくて、自分が気持ち良くなるために吐く言葉。ポンコツな言葉。
    しかし、そんな言葉にすがりつきたいときもあるのね。

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著者プロフィール

ヒキタ クニオ
1961年、福岡県福岡市生まれのイラストレーター、クリエーター、作家。1986年、九州産業大学芸術学部デザイン科卒業。大学在学中に日本グラフィック展で奨励賞受賞。1988年、JACA日本イラストレーション展銀賞。1998年にCD-ROMで、ブラウン管で読む小説「ブラノベ」『ブラノベ人生画報』を発表以降、作家業を営む。作家代表作に、2006年に第8回大藪春彦賞を受賞した『遠くて浅い海』。ほかの作品に映画化された『凶気の桜』『鳶がクルリと』、『触法少女』など。2019年10月に、『「ヒキタさん! ご懐妊ですよ」―男45歳・不妊治療はじめました』 が実写映画化される。

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