夜宵 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 49
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062775434

作品紹介・あらすじ

大晦日までの僅かな期間にだけ立つ「細蟹(ささがに)の市」。そこで手に入らないものはないという。 ある者は薬を。ある者は行方不明の少女を。ある者はこの世ならぬ色を求めて、細蟹の市へと迷い込む。 異形の者たちが跋扈(ばっこ)する市で、市守りのサザが助けたのは記憶を喪った身元不明の少年・カンナだった。呪われた双子の少女は唄う。「ああ、不吉だ、不吉だ」「おまえがもたらす流れ、その循環は、混沌を呼ぶわ」……

感想・レビュー・書評

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  • 湖に浮かぶ小島で冬の夜にのみ開かれる細蟹の市。
    この市で買えないものはないという…。

    閉鎖的で異質な空間に集まる不思議な人々。
    少しグロテスクで恐ろしいのに、
    何故か耽美で刹那的で惹かれてしまう。
    夜、雪、血、林、篝火…
    暗い暗黒の世界のようにみえて、
    はっきりと脳裏に色が浮かび上がる。
    この世界観はかなり好きかもしれない。

    私もすっかり騙されていて、
    途中で「え!?そうだったの?」と驚き、
    読み終わってから再び冒頭に戻った。
    真実を知ってから読むと、また新鮮だった。

  • タイトル怪しくて読んでみようかと。
    ファンタジック・ホラーとか言うジャンルみたい。(あんまり気にして読んだことないけどね)
    日が沈んでいる間だけの何とも怪しい感じの市。手に入らないものはなし!人でも何でも売ってて…でも許される…この市では…
    (でも、どっかの国の人身売買的な怖い感じではないで!)
    こういう世界観は、好きやな。市にはお面被って、人ではないという事で成り立ってる。
    魑魅魍魎の中での非現実的な感じが、日常を忘れさせてくれる〜
    最後にどんでん返し的なのもあって、なかなかやった!
    続編もあるみたい。読もう!
    溜まってる本全部読んでからやけど(^^;;

  • 「大事なことはただ一つ。まともな一生を送りたければ、あの市に近づくべきでは無い」

    帯にもある通り、人に言えぬもの全て揃います。
    ただ一つだけ置いてないものがあります。
    人間が迷い込んでしまえば容赦なく切り落とされ、犬に噛みちぎられ、売り物にされる細蟹の市。

    柴村さんの作品はぬるっとどんでん返しがあるので、衝撃っていうよりもなんか嫌な感じになるミステリーってところが面白いです

    人間がいくべき市ではないけど、なぜか魅力的で美しくて
    行ってはダメだけど
    この作品を読んだ人は誰でも細蟹の市に一回は行ってみたいと思うのではないでしょうか

  • 夜市が好きで読んでみました。
    夜市のパクリとか口コミがあったものの、夜市とはうさんくさい怪しい市場という世界観が同じなだけで全く違うお話なのでパクリではなかった。
    これはこれで面白かった。
    このうさんくさい世界で楽しんでる人もいれば、宿命というかここでしか生きられない人もいたり。
    私は好きなので今度は続編の宵鳴を読んでみようと思う

  • 最初のチョコレートスープから一気に世界観に引き込まれた。
    和洋混ざった不思議な世界に浸れるだけでなく、最後のトリックが明かされてから、もう一度初めから読み返すと同じ文章が全く違うように感じられ面白かった。
    しかしまだ、細蟹(=蜘蛛の糸)の市というだけあって、もやもやすること、気づいていない伏線がありそうな雰囲気。
    そこがまた、この世界観と合わさって妙な後味がある。
    続編があることをさっき知ったので、読んでみたい。

  • 柴村仁氏のnoteに短編が掲載されています。

    6年半ぶりに再読。

  • 街のお祭りから始まり大晦までの間、日が落ちると開かれる市がある。湖の小島で、面つけた人なのかすらも怪しい者たちが跋扈する市では、人には言えないものが全て揃うという。

    って和ホラー好きには刺さりまくるような話。刺さったよ…。千と千尋の雰囲気や恒川光太郎さんの夜市が好きな人間に刺さらないわけがないじゃない…。

    市を警邏するサザを縦糸に織りなされる、物々しいのに余韻が切ない短篇連作集。優しいサザ。
    思いがけずにヤンデレ男が出てきたのはびっくりした(性癖なのでありがてぇ〜!!)

    わたしは鈍い方なので、読み終わった後に一息ついて、最初から何気なく読み返してから「そういうことか!」ってやっと気がついた。面白かった!!!!!続編も買います!!!!!!!

  • 出だしの「チョコレートスープ」の印象が強烈。
    不穏な歌だとは思っていたけれど、流石にそんなとんでもないスープだとは思いもよらなかった。
    表紙のファンタジー感は何だったのかと目を疑うほど、気持ち悪い、絶対に飲みたくはない一品。
    サザが登場するとはいえ、主人公らしきカンナに関わる話でもなしに、何でこれを最初に持ってきたのやら…
    と思いながら読み進めていたのだけれど、結末まで読み終えてから、違った意味で「チョコレートスープ」にガツンと頭を殴られたような気がした。
    サザを知る前と知った後では、同じ話でも全く違うものに見える。
    まして、サザにとってのカンナはいかほどの存在だったのか。
    「チョコレートスープ」を思えばもう一度読むのは遠慮したいはずなのに、再び細蟹の市の経と緯の糸の上に足を踏み入れずにはいられない、恐ろしくて、美しくて、悲しい物語だった。

  • 06.01.2014 読了

  • 最近で1番良かった…。こんなどんでん返しは想像してなかったし、涙するほど切なかったし、完璧に色々と騙された…‼︎‼︎
    先が気になりすぎて歩きながら読んでしまうほどでした笑(危ないので良くないですけど…)
    柴村さんの作品、初めて読んだけど他のも読んでみたいと思いました。

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著者プロフィール

第10回電撃ゲーム小説大賞金賞を受賞し、受賞作の『我が家のお稲荷さま。』(電撃文庫)でデビュー。本作はシリーズとなりアニメ化される。主な著書として『プシュケの涙』シリーズ(講談社文庫)、『おーい!キソ会長』シリーズ(徳間文庫)、『オコノギくんは人魚ですので』シリーズ(メディアワークス文庫)、講談社BOX『夜宵』シリーズ、などがある。

「2020年 『虫籠のカガステル 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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