天山の巫女ソニン(2) 海の孔雀 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062775892

作品紹介・あらすじ

隣国・江南に留学したイウォル王子とソニン。極彩色の鳥が舞い、花咲き乱れる“楽園”に隠された悲劇と陰謀とは。シリーズ第二弾。

感想・レビュー・書評

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  • 行ける範囲の中古本屋には行ってみたのだけど、この「2」がなかなか置いてなく、先に「3」「4」が手に入っていたこともあって、ブックオフの店頭受取サービスを使ってみた。
    それにしてもここのサイトは重くて使い辛いや…。

    クワン王子の誘いに応じて江南に留学するイウォル王子に同行することになるソニン。
    前半は、沙維と江南の違いとか、江南の王族の複雑な事情とか、王宮と街の暮らしの格差とか、前作と違って色んなことがまったりと描かれる。
    相変わらずに腹の内が見えないクワン王子と向上心はあるもののまだまだ情緒が安定しないイウォル王子のそれぞれの動きに加え、クワンの妹リアンとソニンの交流が描かれ、悪役はどこの国でも同じと思わせる奴も登場するが、話がどこへ進むのか予想がつかず。
    子ども向けのお話のようでありながら、今の世相を映すようなところもあって、『役人とか偉い奴ってのは…他の国の貧しさは政のせいで、自分の国の貧しさは民が怠けているせいなんだ』なんて言葉を子どもに吐かせるとこなんざ、なかなか鋭い。
    今回はちょっとしか出て来ないサウォル王子が良いところをさらってしまったが、イウォル王子もそれなりに成長してきて微笑まし。
    前半★★★で、後半★★★★という感じ。

    ※レビューの数が1,000になった(個人的に祝!)

  • ソニンの魅力は心に悪がないこと。
    純心で誰にでも優しく接する。
    だから彼女の周りの人はみんな幸せになる。
    自分の損得なく、まず相手のことを考える。
    時折、そういうソニンのような人に出逢えます。

    スカッとする物語。素直な気持ちで読めるファンタジーです。
    読んでいくことが頭にサクサク入ってくるのであっという間に読める。

    いろんな本があるな~。と思える本です。次が楽しみです。

  • 世の中の仕組みをわかりやすくしたような物語。
    巫女というエリート職を首になった少女が、俗世を知らない真っさらな目で世界を学んでいく。
    例えば一巻では、貧しい農家を営む父に、もっと儲けの出る作物を作ってはどうかと提案するも、高く売れる作物の苗はリスクが高く、貧しい家は手が出せないため、安い作物を作り続けていくしかないと説明される。そこでソニンは、貧しく生まれた者は貧しいまま生きていくしかないのだと感じる。巫女としていたころは毎日本を読み勉強していたのに、働きづめの今は本のことなど頭にもない自分に気づきショックを受ける。

    今回は障害による偏見に苦しむイウォルが、初めて知的障害の少女と対面し、無意識に偏見のある態度で接してしまったことに気付き、罪悪感に苛まれるシーンが特に印象深かった。

    • komoroさん
      本の本質に深いテーマがありそうな物語ですね。
      本の本質に深いテーマがありそうな物語ですね。
      2014/07/28
  • 図書館で。
    戦争なんか起きない方が良いに決まっている、戦争を望む人なんていないだろう…と言う考えが実はすべての人に共通では無いのだ、という辺り中々このファンタジーは複雑だなと思いました。確かに戦争で得する人も居るし、自国の戦はイヤだけど他国の消費は大歓迎、という面もあるだろうし。

    居なくなった後も存在感のある王弟妃が、決して悪というだけでは無かったんだよなぁという辺り奥が深いですねぇ。
    まぁ今回は隣国に出張するお話でしたが。

  • 『天山の巫女ソニン』第2巻。
    舞台は沙維国を離れ、江南国へ。物語世界が広がり、ますます今後が楽しみ。
    ソニンは生きる道を自ら選び始め、イウォル王子は他者を知ろうとすることをおぼえるなど、登場人物たちの成長が垣間見えるから読後感も爽やか。

  • 児童書だけど大人が読んでもとても楽しめるこのシリーズ。
    ソニンがどんどん成長していく過程は読んでいて面白い。

  • 読み終えて思わず感嘆の声が出た。
    無欲で無私の人ソニンが

    自分のために欲しがることも
    好きなものを選ぶことすらも
    できなかったソニンが

    いくつもの試練の中で
    自らの歩む道を選び始めている。

    主人公たちは少しずつ成長し
    それにつれて物語も少しずつ
    その世界と視野を広げながら
    読者が求める姿へと変わりつつある。

    これこそがファンタジーだ。
    非現実であればこそ示すことのできる
    理想の現実が そこにはある。

  • 2016.7

  • まだ2巻目ですが、この物語は人の心の機微や政の裏表、産業、経済のことも物語として自然に取り込み、年少者にも分かりやすく、それでいて押し付けがましくなく本当に良く出来ているなあと感心します。1巻でソニンを侍女として取り立てたイウォル王子は、なかなか見る目があるなと思っていたのですが、結構自分本位だったのだなと少々幻滅(笑)。でも経験を積んでより良く成長したので安心しました。

  • 二巻。どかどきわくわくというよりは、成長していく姿に勇気付けられるような気持ち。
    2015/8/30

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著者プロフィール

1969年、福島県南相馬市生まれ。2002年、「橋の上の少年」で第36回北日本文学賞受賞。2005年、「ソニンと燕になった王子」で第46回講談社児童文学新人賞を受賞し、改題・加筆した『天山の巫女ソニン1 黄金の燕』でデビュー。同作品で第40回日本児童文学者協会新人賞を受賞した。「天山の巫女ソニン」シリーズ以外の著書に、『チポロ』3部作(講談社)、『羽州ものがたり』(角川書店)、『女王さまがおまちかね』(ポプラ社)、『アトリと五人の王』(中央公論新社)、『星天の兄弟』(東京創元社)がある。ペンネームは、子どものころ好きだった、雪を呼ぶといわれる初冬に飛ぶ虫の名からつけた。


「2023年 『YA!ジェンダーフリーアンソロジー TRUE Colors』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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