新参者 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
4.10
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本棚登録 : 12553
感想 : 719
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062776288

作品紹介・あらすじ

立ちはだかるのは、人情という名の謎。日本橋で発見された女性の絞殺死体。着任したばかりの刑事・加賀は、この未知の街を歩き回る。

感想・レビュー・書評

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  • 江戸時代から変わらぬ人々の心意気と、受け継がれている歴史や文化
    そんな江戸情緒漂う日本橋人形町に赴任して来た『新参者』、加賀恭一郎

    う〜ん、なるほど
    加賀の管轄地域の情報を得る事を怠らない地道な日頃の行いが、これ程まで事件解決に貢献されるとは恐れ入りました〜

    煎餅屋、料亭、瀬戸物屋、時計屋、洋菓子屋、翻訳家、清掃屋、民芸品屋から生まれた八つの謎のパズルが、彼によって一つ一つ埋められ、事件解決に向けて次々に繋がって行く様子がやっぱり面白かったなあ

    そして解決しても終わりにはしないんだよね
    登場人物が隠していたり、嘘をついていたのには理由がちゃんとあって、相手を想ってしたことだということまで囁いてくれる
    それも絶妙〜なタイミングだ!
    人として間違っている事も、はっきり相手に言える
    思うだけでなかなか出来ないことだよね

    そんな彼の人情味溢れ正義感ある言動に、思わずうん、うん、と頷きながら読んでいる自分に気付いた


    「加賀さん、あんた、一体何者なんだ?」

    「何者でもありません。
    この町では、ただの新参者です」

    セリフ、決まったねッ!ദി˙◡・)

    • ハッピーアワーをキメたK村さん
      y yさん、読みましたよ〜
      新参者!
      凄く話題になっていて以前ドラマを観たはずなんだけど、すっかり内容が抜けていて、ほぼ白紙の状態で楽しめま...
      y yさん、読みましたよ〜
      新参者!
      凄く話題になっていて以前ドラマを観たはずなんだけど、すっかり内容が抜けていて、ほぼ白紙の状態で楽しめました〜笑
      聞き込みに出向く時に、かなりの頻度で玉子焼きやら、洋菓子やら、人形焼やら持って来られたら、嫌な気持ちも薄れるかもなあ、なんて思ってしまった

      次も楽しみ(≡^.^≡)♪
      2024/01/20
    • hibuさん
      ついに読まれたのですね?
      私はいまだに東野作品で一番好きかもです。
      なんだか人情味溢れる感じが好きなんです。
      素敵なレビューありがとうござい...
      ついに読まれたのですね?
      私はいまだに東野作品で一番好きかもです。
      なんだか人情味溢れる感じが好きなんです。
      素敵なレビューありがとうございました♪
      2024/01/21
    • ハッピーアワーをキメたK村さん
      hibuさん、おはようございます

      イチオシの新参者!読みましたよ
      それぞれの章が、加賀が出会った下町の人間関係を描いていて、それが最後見事...
      hibuさん、おはようございます

      イチオシの新参者!読みましたよ
      それぞれの章が、加賀が出会った下町の人間関係を描いていて、それが最後見事に一つの物語になって、素晴らしい!と思いました☆
      単純な謎解きにとどまらず、温かい気持ちも味わえる
      彼はこうやって日本橋の人達と良い関係を築き上げながら、馴染みの顔になっていくのでしょうね
      オススメ、ありがとうございました♪
      2024/01/21
  • 加賀恭一郎シリーズの8作目の作品。
    今回は主人公加賀が日本橋署に移動しての物語。「新参者」というタイトルもピッタリの内容。

    作品は連作短編集なのだがこれ程迄の連作っぷりはなかなかないのではと思う。一つの殺人事件が作品の軸になっておりそれに纏わる関係者達の短編集になるのだが幾人もがこの事件を通して心を洗われている。それを見事に描かれている。
    凄いと思った。

    日本橋署に移転に伴い、その街の特性を色濃く描写している。街の情緒や風習、下町ながらの人間の育ちや独特な愛着感や佇まいや賑わい等を散りばめながら、人間の持つ人情的な話を中心にまとめ上げた一冊のミステリーなのだと感じた。

    今回の「新参者」は以前にドラマ化されていて大人気だったようだが、そちらは完全に見ていない為先入観無しで読むことができ凄く楽しめた。
    ドラマ化は一長一短あるなというのもこの作品を読んでいる最中感じた事だった。CMや告知等でも情報は入ってきてしまう訳で、とりわけ原作を読んで感じたり考えたりしてる方が今の自分は楽しいと感じている。今回の「新参者」がまさにそれだったのではないか?と思っている。
    よく原作の方が面白いとかいう話を聞いてきたが、そういう考え方ができるようになった自分が新参者なのか?なんて読後に感じていた。そんな意図はこの作品にはないだろうけど。

    次の「麒麟の翼」、こちらはドラマ見た記憶があるのだがしっかりと原作として読んでみたい。

  • 加賀恭一郎シリーズ「卒業」「赤い指」に続き3冊目読了!ずーっと読みたかった「新参者」を読む事ができて大満足!最後の方は早く先が読みたいのに、読み終わるのが名残惜しくゆーっくり読んでしまった…笑
    ドラマも観ていたのに、内容はすっかり忘れていたので、新鮮な気持ちで楽しむ事ができた。ひとつひとつのお話が最後に繋がり…スッキリした読後感!さすが東野圭吾先生!加賀恭一郎シリーズ制覇したい!

  • 面白かった!
    散りばめられたピースが1つ1つ合わさっていくような感覚。加賀さんが登場すると、ドキッとします。暑い夏にアイスコーヒー、の描写に惹かれます。

  • 加賀恭一郎シリーズ第8弾。
    9つの章で成り立った連作短編で構成されていて、それぞれの章で加賀が出逢う下町の人々との人間関係が描かれており、加賀の思いやりや優しさなどが垣間見れる。
    各章の短編という点が、読み進めるとともに線となっていく過程が魅力的。
    謎解き人情劇という言葉がしっくりくる作品。

  • 2024年読みたい本!
    読みました!東野圭吾さんの本2冊目^ ^。
    殺人事件の犯人は誰?一章毎に真相に近づいていく。成る程、成る程と、九章まで一気に読んでしまいました。

    p344上杉の言葉「悪事を働いた息子〜子供を正しい方向に導いてやらねばならない。それができるのは親だけなんです。〜」
    心打たれました。子の為と思い変に庇ってしまい後々冷静に考えると子の為では無かったな、と思い直すこと多々。親に出来ること目を背けてはいけないですね。
    加賀警部補の関わった人、一人ずつ丁寧に対応する人情味溢れる捜査が又良いです。
    面白かったです。

  • 毎日通勤で通る街。私が高校生の時に通ってた街が舞台でシリーズの中でも1番読みたかった作品。
    登場人物が多くてなかなか覚えられなかったけど
    それぞれ素敵な物語。
    最後の終わり方も最高に良かった。

  • 鮮やかに事件を解決した挙げ句に

    「加賀さん、あんた、一体何者なんだ?」
    すると加賀は傍らに置いてあった扇子を広げ、顔を扇ぎながら答えた。
    「何者でもありません。この町では、ただの新参者です」

    くあー、めっちゃカッコいい!
    一生に一度くらい、言ってみたい!

  • 【感想】
    加賀恭一郎シリーズでドラマ化もした代表作。
    映画にもなった「麒麟の翼」や「祈りの幕が降りるとき」は観たが、ドラマ版はこれが初めて。

    はじめは「噓をもう一つだけ」みたいな日本橋の事件に関する短編集なのかなーと思っていたが、全く違うところがまたニクイ。
    日本橋で起こった一つの事件に対し、各章ごとに色んな人物が絡んでいき、下町の人情味、そして情緒あふれる登場人物たちを交えて真相へと近づいていく。
    一見事件とは無関係に思える人々の日々の暮らしに接し、彼らのトラブル?もキチンと解決しながらじっくりと事件を詰めていく。
    また、キザすぎる加賀恭一郎の台詞一つ一つがまたイイ味を出している。
    飄々としながらも、事件の要点をしっかり押さえていくこの野郎は本当にカッコイイんだよ!!笑

    結局、最後の方になるまで東野圭吾に振り回される1冊でした。
    いや、本当に面白かった。


    【あらすじ】
    日本橋の片隅で一人の女性が絞殺された。
    着任したばかりの刑事・加賀恭一郎の前に立ちはだかるのは、人情という名の謎。
    手掛かりをくれるのは江戸情緒残る街に暮らす普通の人びと。

    「事件で傷ついた人がいるなら、救い出すのも私の仕事です」。
    大切な人を守るために生まれた謎が、犯人へと繋がっていく。


    【引用】
    p253
    「捜査もしていますよ、もちろん。でも、刑事の仕事はそれだけじゃない。事件によって心が傷つけられた人がいるのなら、その人だって被害者だ。そういう被害者を救う手立てを探し出すのも、刑事の役目です。」


    p296
    「皮肉な話です。戸紀子の一件から、女を幸せにするには馬車馬のように働かなきゃならないってことを学びました。でもそれだけでもだめだってことを、今度は峯子から教わりました。私っていう人間は、全く不器用にできているらしい。」
    息子とこんなふうに酒を飲むことが、昔からの夢だった。
    時には悩みを聞き、父親らしいアドバイスをしてやりたかった。
    しかし現実には、言葉を交わせば口論になる。心の繋がりを感じられない。


    p298
    「もう一つ質問です。加賀さん、あなた警察での階級は?」
    「警部補ですが」
    「警部にしてもらうべきだ。」そういって直弘は出口に向かった。


    p388
    彼の話は、人形町にある煎餅屋のエピソードから始まった。
    そこに出入りしていた保険の外交員に嫌疑がかかったが、なぜ彼がアリバイを正直に述べなかったのかという話だ。

    次は料亭にまつわることで、三井峯子の部屋にあったワサビ入りの人形焼きに繋がる。
    さらには三井峯子が通っていた瀬戸物屋、顔見知りだった時計屋、友人だった翻訳家の話へと続いた。
    いずれも事件と直接関わるような内容ではない。

    だが上杉は、聞きながら内心舌を巻いていた。
    この所轄の刑事は、誰もが見向きをしないような些細なことに拘り、たとえ事件に無関係だとわかっていても、決して手を抜かずに真相を突き止めようとしてきたのだ。


    p389
    「俺はね、この仕事をしていて、いつも思うことがあるんです。人殺しなんていう残忍な事件が起きた以上は、犯人を捕まえるだけじゃなく、どうしてそんなことが起きたのかってことを徹底的に追及する必要があるってね。だってそれを突き止めておかなきゃ、またどこかで同じ過ちが繰り返される。その真相から学ぶべきことはたくさんあるはずです。」


    p395
    上杉は背筋を伸ばし、背中を丸めたままの岸田を見下ろした。
    「私は悪事を働いた息子を守ったのではなかった。もっと悪い方向へ行くように背中を押しただけだったのです。親として、完全に失格です。同時に警察官としてもね。
    親は、たとえ憎まれても、子供を正しい方向に導いてやらねばならない。それができるのは親だけなんです。」

  • 「祈りの幕が降りる時」を映画で鑑賞し面白かったので、どうせなら原作を、加賀シリーズの中でまだ見ていない作品を、と思い読了。

    「人情推理小説」という感じで、あまり本に慣れていなくても読みやすいです。
    登場人物も多いのですが、丁寧に解説をつけてくれているので忘れていても思い出せます。
    加賀をイメージする時はどうしても阿部寛になってしまいますね…笑

    シリーズは10冊ほど出ているようですね。
    他の作品も読んでみたいです。

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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