トワイライト博物館 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062776349

作品紹介・あらすじ

僕に遺された奇妙な博物館、そこは、脳死患者と時間旅行を供にする極秘実験の場だった。注目の著者がおくるファンタジックミステリー

感想・レビュー・書評

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  • 両親を亡くし児童養護施設で育った雄介のもとに、ある日存在さえ知らなかった大伯父が訪れた。
    ようやく家族と暮らすことができると安堵した直後、その大伯父も事故死してしまう。
    雄介に残されたものは、大伯父が館長を務めていた奇妙な博物館だった。
    それぞれ一風変わった学芸員たちの中に、何を専門としているのかわからない青い瞳の女性・枇杷がいた。
    施設で妹のように可愛がっていたナナが事故で脳死状態となってしまったことで、中世ヨーロッパに迷い込んだナナの心を取り戻すため、雄介は枇杷と共に命懸けの精神の時間旅行に挑む…


    初野晴さん、初読…じゃなかった、2冊目。「退出ゲーム」を読んでいた。
    タイムトラベルものは数あれど、精神だけをとばして、過去の人物に憑依するというのは珍しい。
    雄介と枇杷の絆が重要なのは伝わってくるが、枇杷の姉のことが解決しないままで、少しスッキリしないラストだった。

    悪くないんだけれど、どこか少しずつ、ちょっとだけ、描きたい場面に夢中になって、何か枝葉の先が大雑把な感じがする。
    これが若さか…という感じかなぁ。

  • 簡単に言うと脳死者の魂を取り戻しにタイムスリップする物語。
    せっかく個性豊かなキュレーターがいる博物館という素敵な設定にしたのに、長編一冊で終わるのはもったいない。途中のトリック解明のところは中弛み気味だったので、もう少しシンプルな中編集にすれば良かったのに。

  • 勇介と枇杷の綺麗事で終わらない旅を、枇杷の姉と邂逅するまで見届けたかった……!

    続きがもっと読みたくなる、でもよかったなと思えるラストでした。

  • シリーズ化できそうな設定にはなってるけど、次のダイブ(ダイブとは言わない)でそこまで本気になる義理が無いよね。。別の時代、別の国の話も読んでみたいと思いつつも、その辺が難しそうだなぁ、とか。

  • 脳死状態になった少女の魂は過去の別人物へ飛ばされ、その人物が死ぬと少女が目を覚ます可能性も潰えてしまう。
    少女の魂を救うためタイムトリップする枇杷と、命綱となることを決意した勇介。

    ファンタジーだけどダーク気味。楽しい時間旅行じゃなく、物凄い痛みを伴う命を賭けた救出劇。
    自分を慕っていた6歳の子が、自分に会いに来ようとして事故にあったって聞いたら堪んないよなぁ…

    魔女裁判が行われていた中世、人を生きたまま焼き殺して喜ぶ愚かしさ…人間の醜悪さの塊のような行事。
    小さな子の魂が宿りこの子を守ろうと奮い立ってきた老婆アルドゴンド。自分だけが死ぬと伝えられナナを連れていかないでくれと懇願する所、ナナとアレフを必死で助けてくれる所 拭いても読み進める度に涙が出てきた

  • 【あらすじ】
    大叔父が遺した博物館は、時間旅行の秘密の実験場だった。天涯孤独になった勇介は、過去を彷徨う大切な人の魂を救うため、危険な旅路に出る。パートナーは碧い瞳の不思議な学芸員枇杷。「命綱」は堅くつないだ手。この手が離れれば二度と現代には戻れない。過酷な旅が今、始まる。新感覚ミステリー長編。

    【感想】

  • この手は離さない。それが君との約束だから
    目覚めることのない大切な人の魂を救うため、少年は、過酷な時間旅行(タイムトラベル)にダイブする。

    大伯父が遺した博物館は、時間旅行の秘密の実験場だった。天涯孤独になった勇介は、過去を彷徨う大切な人の魂を救うため、危険な旅路に出る。パートナーは青い瞳の不思議な学芸員枇杷。「命綱」は固くつないだ手。この手が離れれば二度と現代には戻れない。過酷な旅が今、始まる。新感覚ミステリー長編!

    ※本書は2009年5月に小社から刊行されたノベルスを大幅に加筆修正したものです。

  • <魂を救う,時間旅.命綱は,つないだこの手.>
    すごいと思ったのは,悪と対決しないこと.
    通常のミステリなら,読者へ謎解きを見せながら,真実を突き付けるものだけれど,本書では<魔女狩り>マシューホプキンスと直接対決することはない.
    タイムトラベルによる「ずれ」が起こる可能性があるからだ.
    しかし,琵琶も勇介も,博物館のみんなもナナもアルドゴンドも牧師も,戦っていることが熱をもって伝わってくる.
    つらく取り戻せない過去,やるせない現状,守りたい未来,それぞれがそれぞれに戦っていることが不思議と伝わってくるのが熱く、悲しさも持ち合わせていた.

  • なんて過酷で壮大なタイムトラベル。読みながら疲れを覚え、少しずつ息抜きしながら読みました。

    とはいえど、どんどん核心へ近づいていく場面ではハラハラドキドキの連続でぐっと引き込まれ、ぐいぐい読み進めました。

    自分が枇杷さんだったらこんな行動がとれるだろうか。
    そんなことを考えつつ、彼女の勇気と知恵と優しさに感心、脱帽。

    「アルドゴンドとアレフ」の章で涙。

  • 2016/3/2(水曜日)

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著者プロフィール

1973年静岡県生まれ。法政大学卒業。2002年『水の時計』で第22回横溝正史ミステリ大賞を受賞しデビュー。著書に『1/2の騎士』『退出ゲーム』がある。

「2017年 『ハルチカ 初恋ソムリエ 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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